育成年代のトレーニングvol.2‐ジャンプ動作と腱機能の強化‐【トレーナーマニュアルvol.63】

C-I Baseballの佐藤康です。
7月は中学生・高校生は総体や全国予選があり、最上級生は引退をかけた学生野球の集大成となる大会が連日開催されています。

先日、私も帯同するチームの試合を見てきました。
試合の勝敗を分けたのは進塁やカットプレーにおける細かな差が表れました。ここで感じたのは盗塁などの結果として出るものではなく、結果に見えない打球のチャージや一つ先の塁に進める走塁などの「走る能力」の差でした。

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「走れる」チーム・選手の集団は強い!傾向は少なからずあると思います。
やや短絡的な表現になりましたが、学生野球のさまざまなカテゴリーをみさせていただく中で、Warm-upや練習時の走動作は欠かさずチェックしております。その中で走動作につながる基本動作やメニュー(スキップやバウンディングなど)が適切にできていない選手を多く見かけます。

前回の記事では、育成年代に関わるチームのトレーニングの組み立てについて配信させていただきました。今回はその続編として、まとめていきたいと思います。

走る能力を向上するためには

前回の記事のおさらいにもなりますが、育成年代のトレーニングの関わりとして、神経系発達の著しい時期には特に様々な運動要素の経験が必要であることをお伝えさせていただきました。

↓↓前回の記事はコチラ↓↓

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今回のテーマでもある「走る」ことにおいては、この成長期の時期に”走り込み”をすることが適しているとは言えません。そのため、走動作の要素を分解し、その要素を統合したメニューを実践していくことになります。

スプリント能力をあげるにはさまざまな要素が挙げられますが、スタート・加速時における瞬間的な力の発揮については特に重要であると捉えています。

そこで重要な運動の一つに「ジャンプ動作」を挙げています。

ちなみに”ジャンプ力のアップ”となると、筋力の発達や野球の場面での動作の特性からジャンプ力が求められる競技というわけではないため、ジャンプ力を求めることに偏るのはやや間違いがあるかもしれません。

そのため、ジャンプ動作で強化される力の大きさというよりも力の発揮の仕方(地面からの反発に対して強い力を発揮する)を成長期の時期から養うという意でお伝えしています。

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ジャンプ動作

走動作に加え、ジャンプや投動作は神経系の発達の観点からも重要視されており、成長期の子供にとって、1-5秒程度の爆発的・高速の運動が理想的とされています。

成長期では神経筋系に関与するプライオメトリクスと高速の運動によって、運動能力の向上が促進されることが明らかになっています。

アスレティック・ムーブメント・スキル:NAP limited

Stretch Shortening Cycle

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パフォーマンス向上のための投球動作×足部 ーWind-up〜Early cockingー【トレーナーマニュアルvol.62】

球速、コントロールはどうすれば良くなるのか?故障しにくい投球動作は?
Wind-upからEarly cockingまでの軸足の使い方、動作不良例、足部トレーニングを紹介致します!

C-I Baseball の須藤慶士です!

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私の今シーズンのnote内容は『投球動作×足部』です。

  • 投球時の足部の動き
  • 足部が崩れによる投球時の不良動作
  • 投球相に合った足部エクササイズ

足部は地面に接している唯一の部位です。足部が安定することで下肢からの良好な運動連鎖が行われます。

その足部でも重要なのが『距骨下関節』です。
選手の距骨下関節の構造は左右異なります。理想の投球時の軸足・ステップ足、それぞれの距骨下関節の動きを把握し、選手の足部評価を行うことで動作の崩れを予防や変えることができます。


私が担当する『投球動作×足部』の今後の発刊予定です。投球・打撃におけるそれぞれの相における足部の理想の動きや、足部から起こる不良動作、足部エクササイズをご紹介します。

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距骨下関節の肢位

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距骨下関節肢位は中間位・回内位・回外位の3通りあります。

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距骨下関節には回内・回外を分ける『中間点』があり、その肢位は左右により中間位は異なります。

私は非荷重位(OKC)で評価を行います。中間位の評価方法は過去の記事をご参照ください⬇️⬇️⬇️

投球時の距骨下関節・横足根関節

投球時、軸足と踏み込み足の機能は異なります。

軸足:バランスを取る→押し出す→蹴り出す
踏み込み足:加速した身体を支え、踏ん張り、力を逃す

軸足の機能はセットポジションで両足の支持基底面内にある重心を軸足に移動しバランスをとることや、Wind-upから捕手方向へ重心を移動するために足部を硬め蹴り出す役割があります。踏み込み足は軸足から移動してきた身体を支えて踏ん張り、上半身の力を逃すようにしなければなりません。上記の動きが足部で出来れば重心移動や上行性の良好な運動連鎖が遂行可能となります。

次のスライドの足部の肢位と動きは私の経験からの考えを表にしました。

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投球時足部の肢位と動き

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Wind-up

Wind-upは軸足への重心移動を行う動作です。

Wind-up軸足の機能
●距骨下関節の理想は中間位から回外位
●母趾屈曲

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Wind-upは骨盤は投球側へ回旋します。距骨下関節が中間位もしくは回外位だと骨盤はスムーズに投球側へ回旋します。さらにここで大事なのは投球側回旋時に母趾が機能することです。立位体幹右回旋時(投球側)は母趾が屈曲することで良好な運動連鎖を遂行することができます。Wind-upは体幹回旋動作です。足部が機能することでEarly cockingへ上行性の運動連鎖を発揮することが可能になります。

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Early cocking①

Early cocking①はWind-upで貯めた力を反対方向へ動かす切り返しの開始相です。

Early cocking軸足の機能
●距骨下関節の理想は中間位から中間位
●4•5趾屈曲
●骨盤左回旋開始

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Early cockingの初期は骨盤はWind-upで右回旋していたものを非投球側(左)への反対回旋が始まる相です。

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距骨下関節が中間位で4・5趾が機能していれば骨盤の開きは抑制されます。
体幹左回旋時の右の足趾は4・5趾が機能しないと運動連鎖の破綻が起こります。足趾が機能することで距骨下関節の急激な速度での回内を抑制することが可能です。

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開きが早いフォームの足部から考えられる原因は↓
●距骨下関節が回内位
●足趾機能低下
➡️後半で紹介します

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パフォーマンスを上げるためのHip hinge を構築する方法〜実践編〜【トレーナーマニュアルvol.61】

こんにちはC-IBaseballの増田です。
いつも【トレーナーマニュアル】をご購読頂きありがとうございます。
野球現場で活動するトレーナーの方、これから野球現場に出たい方、臨床で選手の対応をしている方のお役に立てればと思います。

トレーナーマニュアルは現場編・臨床編の両側面の内容を毎週配信しています。

前回の内容

前回はHip hingeの理論について解説していきました・
・HIp hingeとは

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HIp hingeとは
Hip→股関節 hinge→蝶番
言葉の意味から考えると「股関節が蝶番に動く」という意味になります。
もう少し深く考えると
股関節→骨盤と大腿骨なので
大腿骨上を骨盤が蝶番に動くことを示します。

このHip hingeは野球パフォーマンスにおいてなぜ必要なのか?
・構造的観点
・力学的観点
・野球パフォーマンスとの関係性
3つの観点から解説していきました。

前回の内容を知りたい方はこちらからご覧ください。

今回はHip hinge trainingの実践編をお伝えしていきます。
どのようにHip hingeを構築していくのを解説します。

Hip hingeを構築するための要素

Hip hingeの構成要素について整理していきましょう。
Hip hingeは前屈とは異なり、脊柱の湾曲を維持した状態で
大腿骨上を骨盤が前傾方向に動きます。
そのため、後面筋の柔軟性だけでなく、関節機能や上半身質量のコントロールが必要になります。

Hip hingeを構築するための要素
・股関節屈曲
・骨盤前傾
・上半身質量のコントロール
・機能の統合

ここから先は「どのようにして各要素を構築するのか?」を解説していきます。

股関節屈曲を構築する

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Hip hingeを行う際の股関節の屈曲には
骨盤前傾と股関節内旋運動連鎖として生じます。
また、上半身重心の前方移動に伴う、骨盤の後方移動が生じます。
骨盤の後方移動に制限が生じると、上半身重心の前方移動制限を引き起こし
結果として腰椎の屈曲性を強めることになります。
そのため、Hip hingeでは下肢後面筋の柔軟性獲得が重要になります。

筋柔軟性を改善する方法

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野球選手のための肩関節後方タイトネス改善方法【トレーナーマニュアルvol.60】

C-I Baseballで投球障害についての記事を担当させていただきます新海 貴史と申します。

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普段は整形外科クリニックで投球障害の選手のリハビリテーションを行い、競技復帰をサポートしております。私の記事では臨床目線でお話させていただければと思います。

C-I Baseballでは
「野球トレーナーの輪」を広げるために「仲間」を募集しております!
・野球にトレーナーになりたい
・トレーナー活動しているけど自信がない
・トレーニングについて勉強したい
・野球選手の怪我を治したい

など、野球選手に関わりたい方はこちらをご覧ください!!

今回の記事では多くの野球選手が直面する肩関節後方タイトネスの改善方法について私なりの意見も交えながらご説明できればと思います。

最後までお読みいただけると幸いです。

初めに

一言で”肩後方タイトネスの改善”と言っても硬さを生み出してしまう原因因子に対するアプローチと生み出されたタイトネスに対する治療(結果因子に対するアプローチ)の両軸で捉えることが必要です。

今まで硬さに対して徒手的に後方をほぐして、肩後方のストレッチを処方するだけで終わっていた方々には新たな視点で選手を見るきっかけになるかと思います。

肩関節後方の解剖

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肩後方に存在する筋群

肩関節の後方には三角筋後部線維、棘下筋、小円筋などの筋群が存在します。

これらの筋群が遠心性収縮を強いられることにより、野球選手の肩後方の筋群はタイトネスを引き起こしやすくなっています。

野球選手における肩後方タイトネスについて

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投球動作における肩後方筋群によるブレーキング

投球動作ではリリースからフォロースルーにかけて上腕骨が水平内転方向へ高速で振り出されます。
肩甲骨がこの上腕骨の動きに追従してくれれば良いのですが、肩甲骨の動きが悪かったりすると、肩甲上腕関節に過剰に水平内転方向の負荷がかかります
菱形筋や僧帽筋によるブレーキングが不十分である場合、肩甲上腕関節後方に存在する筋群に過剰に遠心性の負荷がかかるため、よりタイトネスが生じやすくなります

野球選手では上腕骨後捻角の増大、肩関節前方関節包の弛緩、後方関節包や腱板の拘縮などが要因となり、一般的に外旋可動域が拡大、内旋可動域が減少することが言われております。
この内旋可動域の減少が著しい場合、TRM(Total Rotational Motion:内旋+外旋の総和)が減少し、障害のリスクが高くなります。

また、後方タイトネスにより肩関節の求心位がとれていない場合、肩挙上可動域の制限を来す場合があります。

TRMが5°減少することにより肘障害のリスクが2.6倍になる.
非投球側に比べ5°以上の肩挙上制限があると肘障害のリスクが2.8倍になる.

Kevin E Will et al. Deficits in glenohumeral passive range of motion increase risk of elbow injury in professional baseball pitchers: a prospective study. Am J Sports Med. 2014 Sep;42(9):2075-81.

このように肩後方筋群のタイトネスは可動域制限だけでなく、肩肘の障害リスクを増大させる要因となるため、できる限り制限を取り除く必要があると考えます。

肩後方タイトネスの評価方法

臨床で実施する肩関節後方組織の柔軟性評価の方法をご紹介します。

CAT(Combined Abduction Test)

・背臥位で肩甲骨を固定し、他動的に肩外転を行い可動域の左右差を評価します。

HFT(Horizontal Flexion Test)

・背臥位で肩甲骨を固定し、他動的に肩水平内転を行い可動域の左右差を評価します。 正常であれば、検査側の肘が顎のラインまで到達します。

2nd内旋・3rd内旋可動域

上記2つのテストに加えて肩甲骨の代償や上腕骨頭の前方偏位に注意しながら肩甲上腕関節の内旋可動域を2nd、3rdポジションで評価し左右差を見ていきます。

これらのテストは一般的には肩後方組織のタイトネスを評価するテストになりますが、筋の柔軟性だけではなく肩甲上腕関節の求心位が取れているかどうかをチェックするためにも重要な検査となります。

💡POINT💡
HFTや2nd内旋の可動域制限は野球選手の身体特性とも報告されています。

HFTにおいて肩肘痛の既往があった群と既往なし群の比較では有意差を認めなかった。

鈴木智ほか:高校野球選手における投球障害とCAT・HFTの関連性.第8回肩の運動機能研究会誌.37.2011

肩肘痛で医療機関を受診した高校野球選手では有意にHFTが高値を示す.

Takamura T.,Satoshi S.,et al:    Abduction, Horizontal flexion, and Internal Rotation in Symptomatic  and Asymptomatic Throwing Athletes. 4th International Congress of Shoulder and Elbow therapist. 234. 2013. 

野球選手の身体特性として可動域の左右差があるのはある程度は許容されるべきかと思いますが、その左右差が大きくなりすぎると投球障害を惹起する可能性が高くなるということになります。

肩後方タイトネスの改善方法

具体的な後方タイトネスの改善方法の例を以下に説明していきます。

肩甲上腕関節モビライゼーション(A→P)

筋群に対してダイレクトストレッチを行うのも良いですが、まずは上腕骨頭が後下方に移動できるための関節のゆとりを確保しておく必要があります。臨床上、野球歴が長くなればなるほど、肩後方組織の拘縮によってこの後下方のゆとりが無くなっている例を経験します。

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バッティングスタイルについて考える【トレーナーマニュアルvol.59】

C-I Baseballの高橋塁です。

C-IBaseballの育成プログラムも第3期になりました。

まずは、私の自己紹介から

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また、同時に、私自身がMetaGate(メタゲート)という『野球技術系サイト』も運営しております。

ご興味あります方は、一度、ご覧ください。

【ホームページ】

META GATE | 2.5次元をとらえろ

【note】

Meta Gate【メタゲート】|note

【オンラインサロン】

オンラインサロンLP | META GATE

【Youtube】

BaseballスーパースローチャンネルMeta Gate [メタゲート]

今回から育成プログラム第3期の第1回目の私の担当が始まりました。

私の担当では、『野球の技術』についての記事を中心に、紹介させていただけたらと思います。

今回は、『バッティングスタイルについて考える』です。

MetaGate(メタゲート)では、数多くの打者を分析してきた結果、現在、打ち方には2つのフォームがあると考えています。

その2つですが、『NPBスイング』と『MLBスイング』と表記させていただきます。

まず、日本人選手に多いのは『NPBスイング』です。

ここでのNPBスイングの代表例として、「ホーライスイング」で有名な蓬莱(ほうらい)昭彦さん(元横浜DeNAベイスターズコーチ)が推奨する『バットを横に振るタイプ』です。

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投球障害肩に必要な棘上筋のエコー観察【トレーナーマニュアルvol.58】

C-I Baseballの小林弘幸です。
今月で私たちの活動も3シーズン目を迎えました。
これまで多くの方々にいつもマガジンの記事をお読みいただきありがとうございます!

C-I Baseball3シーズン目は
「実践力」をテーマにライター一同記事を配信していきます!

現在C-I Baseballでは
「野球トレーナーの輪」を広げるために「仲間」を募集しております!
・野球にトレーナーになりたい
・トレーナー活動しているけど自信がない
・トレーニングについて勉強したい
・野球選手の怪我を治したい
など、野球選手に関わりたい方はこちらをご覧ください!!

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今シーズンの私が担当する配信では、「エコー」を通じて
肩関節の解剖とそれに対する実際のアプローチを学んでいこうという
コンセプトの元、記事を書かせていただきます。

元NPBチームドクターのスポーツDrと一緒にエコーを用いて、
野球選手の投球障害肩を診てきました。

投球障害肩になってしまうと、
『痛くて投げられない』
『何をしても良くならない』
『自分のプレーに集中できない』
『野球が楽しくない』
と悪循環になってしまいます。

私はそのような投球【障害】肩を持った選手に対し、
エコーを通じて、細かな解剖を理解しアプローチすることで
治療効果が奏功することを経験しました。

もちろんそれだけでは解決しないことも多数ありますが、
ケガからの復帰をするということを考えると、
細かな解剖を学んでいくということは必要なのではないかと考えています。

解剖書で見る肩関節だけではなく、
エコーを通じて、3次元的に捉える肩関節を一緒に学んでいけたらと思います。

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投球障害肩に必要な棘上筋のエコー観察

投球障害肩における棘上筋

棘上筋と聞いて、セラピストが思い浮かべるのが、『腱板断裂』かと思います。

実際、投球障害肩における腱板断裂は棘上筋と棘下筋の関節面断裂といわれていますし、
疼痛を発症するタイミングがCocking とAcceleration phaseで91%を占めるとされています。

腱板損傷のほとんどは、棘上筋と棘下筋であり(あるいはその境界部)滑液包面ではなく、関節面の不全断裂である。 

井手淳二:投球障害肩における腱板損傷に対す る鏡視下手術. 肩関節. 28巻第2号. 371-373. 2004

しかし、
軽微な腱板損傷では本当に障害へ結びつくものは少ないと
私は考えています。

理由は、
そもそもMER(最大外旋位)の肢位では
腱板の接触がみられているからです。

肩関節の既往のない8症例において、全例外転外旋位のMRIにて、腱板と後上方関節唇の接触がある。 

Halbrecht JL.et al. : Internal impingement of the shoulder: comparison of findings between the throwing and nonthrowing shoulders of college baseball players. Arthroscopy 15: 253-258, 1999

投球で100球以上投げるようなことがあれば、
100回以上腱板と後方関節唇の接触があります。

つまり、
腱板に対するストレスは少なからず生じていると考えています。

何となく痛くて投げられない = 軽微な腱板損傷がある
ということを私は考えています。

その軽微な腱板損傷を
そのまま放置せずにしっかりとアプローチして、
肩関節を『正常な』状態に保っておくことが大切かと考えています。

棘上筋の解剖

①支配神経:肩甲上神経

支配神経はC5~6になります。

上神経幹へ入り込んだ神経は、
その後すぐ分岐します。

図4

分岐した後、
前鋸筋と僧帽筋の間を通って、棘上筋の前方から
棘上筋の深層へ入り込みます。

図9

棘上筋の深層から棘窩切痕へ入り、
棘下窩から棘下筋深層へ走行します。

図5

神経の走行のイメージができると、
解剖学的な特徴が把握しやすいです。

関節包に対する神経支配として、
肩甲上神経は関節包の
後上方に位置します。

図3

肩の後上方に疼痛を訴える選手は、
肩甲上神経の絞扼等が考えられるかもしれません。

②筋の付着部

棘上筋と棘下筋の付着部は、
教科書的な報告と近年の報告では異なっています。

図11

棘上筋は大結節の前内側に限局して付着
棘下筋は大結節の前外側まで幅広く付着

下記文献を参考にし、図を作成した

Mochizuki T, Sugaya H, Uomizu M, Maeda K, Matsuki K, Sekiya I, Muneta T, Akita K. Humeral insertion of the supraspinatus and infraspinatus. New anatomical findings regarding the footprint of the rotator cuff. J Bone Joint Surg Am. 2008 May;90(5):962-9. doi: 10.2106/JBJS.G.00427. PMID: 18451386.

棘上筋の注目すべき部分は、
結節間溝を跨いでいるということです。

少し前方へ付着するので、
1stポジションでの外旋の制限にもなりえるかと思います。

身体評価

可動域:肩甲上腕関節内転( ≒ 肩甲骨上方回旋)
筋力:full can test  empty can test

棘上筋の評価としては、
上記の評価を用いています。

肩甲上腕関節の内転制限は、棘上筋の軽微な損傷でも生じると考えられます。

理由は、

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育成年代のトレーニングを考えるvol.1【トレーナーマニュアルvol.57】

C-I Baseballの佐藤康です。
今月で私たちの活動も3シーズン目を迎えました。
これまで多くの方々にいつもマガジンの記事をお読みいただきありがとうございます!

C-I Baseball3シーズン目は
「実践力」をテーマにライター一同記事を配信していきます!

現在C-I Baseballでは
「野球トレーナーの輪」を広げるために「仲間」を募集しております!
・野球にトレーナーになりたい
・トレーナー活動しているけど自信がない
・トレーニングについて勉強したい
・野球選手の怪我を治したい

など、野球選手に関わりたい方はこちらをご覧ください!!

今シーズンの私が担当する配信では、「育成年代」と称されるカラダの成長期の小中学生に対するトレーニングの関わりについて、お伝えしていきます。

小中学生にトレーニングは必要か?
身体の成長期に取り組むトレーニングとは?

1回目の配信では、どんなことを考えてトレーニングを提供していくか、学童期の関わりからまとめていきます。

トレーニングを考える前に

私は現在医療機関や野球現場で小中学生に関わりをもつ環境におりますが、多くの小中学生を担当する中で、身体の柔軟性の低下や協調的な運動ができない選手をよく目にします。

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そのような経験から、はじめに育成年代のトレーニングを考える上で、私は以下のポイントを踏まえて考えるようにしています。
▶子供の成長・発達過程を考える
▶成長期特有の怪我(障害を予防する)

子供の成長・発達を考える上で、身体の形態的な側面・神経系・精神面など著しく成長する時期であることは周知のことであるかと思います。「スキャモンの発達曲線」にでも挙げられているようにそれぞれ成長のピークを迎える時期は異なります。

特に「年齢」の解釈は育成年代にとって考慮すべき重要な要素の一つです。
◯歳といった暦年齢と比較し、発達を捉える上では※生物学的年齢の側面から、個人差があることも理解する必要があります。いわゆる早熟型・晩熟型と称されるようなことです。

※生物学的年齢:身体成長の成熟度に則した年齢
例)生物学年齢が高い・身体成長が早い子供:早熟タイプ

文献2より 小俣よしのぶ著:「スポーツ万能」な子どもの育て方

同じ12歳という年齢でも生物学的年齢では1.5~3歳の開きがあると言われており、暦年齢では同学年であっても、選手間で力の圧倒的な差が生じていることになります。

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特に野球では、球速・スイングスピードなどのパフォーマンスの研究からも、身体形態における成長の差は多く報告されており、結果的に身体的成長の遅れた選手では不利になる傾向が多いです。

また、身体の成長とケガの側面についても、理解が必要となります。発達の差がある選手が同じフィールドで同じ練習をすれば、負荷も大きくなり、ケガに繋がるリスクを高めてしまいます。

また、骨成長に対する筋柔軟性の低下はケガとの関連も大きく、多くの研究分野でも報告がなされています。また、過度な投球などによる環境的な側面からもオーバーユースを招く結果となり、障害につながる部分であるため、考慮すべき点です。

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Concept

前述した背景を踏まえたうえで、
トレーニングのコンセプトをまとめていきます。

選手個々の野球の技能を向上させるために、トレーナーにおける身体機能面での介入のポイントは野球に必要な動作の基礎作りにあると思っています。

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動作の基礎づくりに求めるポイントですが、大人の場合、上記のような”パフォーマンスピラミッド”に挙げられるような要素がイメージされやすいのではないでしょうか。

子供においてもこれらの要素は技能を向上させる上で共通した大切なポイントになりますが、この基盤にある基本動作の部分を子供の成長・発達という特性に合わせて、配慮した取り組みが必要であると感じています。

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そのため、
まずは基礎体力を向上させることが重要です。

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パフォーマンス向上のための投球動作×足部 ーPreparation〜Wind-upー【トレーナーマニュアルvol.56】

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C-I Baseball の須藤慶士です!
2022年6月よりC-I Baseball【トレーナーマニュアル】は3シーズン目に突入します!今日までたくさんの方にご購読頂きスタッフ一同感謝しております。今後ともよろしくお願い致します。
3シーズン目は「実践力」をテーマに記事を配信していきます!

C-I Baseballでは「野球トレーナーの輪」を広げるために「仲間」を募集しております!

●野球トレーナーになりたい
●トレーナー活動しているけど自信がない
●トレーニングについて勉強したい
●野球選手の怪我を治したい

野球選手に関わりたい方はこちらをご覧ください!!

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私が配信する記事は『投球相・打撃相に分けた 投球動作×足部』です。

  • 投球時の足部の動き
  • 足部崩れによる投球時の不良動作
  • 投球相に合った足部エクササイズ

足部は地面に接している唯一の部位です。
足部が安定することで下肢からの良好な運動連鎖が行われます。

その足部でも重要なのが『距骨下関節』です。
選手の距骨下関節の構造は左右異なります

理想の投球時の軸足・ステップ足それぞれの距骨下関節の動きを把握し、選手の足部評価を行うことで動作の崩れを予防や変えることができます。

私が担当する『投球動作×足部』の今後の発刊予定です。
投球・打撃におけるそれぞれの相における足部の理想の動きや、足部から起こる不良動作、足部エクササイズをご紹介します。

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投球時足部の肢位と動き

投球動作の構えは以下の4通りです。
①捕手に対して正面を向き両手を頭の上に振りかぶる
②捕手に対して正面を向き胸の前で両手を構える
③捕手に対して正面を向き下腹部の前で両手を構える
④セットポジション

今回は④セットポジションのPreparation(構え)からWind-upまでをご紹介いたします。

セットポジション

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Preparationは静止立位です。この状態から動作が始まります。

Preparationが安定していないとWind-upでは片脚立位になるためにバランスが崩れ余計な動作が起こります。
この相で両足とも動きやすく安定した肢位になっていることが大事です。


Wind-upではPreparationからの重心移動を軸足で支えてからEarly cockingに向けて捕手方向へ重心を切り替えなければなりません。

投球を行う上でPreparation〜Wind-upで安定することはとても重要です。

距骨下関節の肢位

距骨下関節肢位は中間位・回内位・回外位の3通りあります。
距骨下関節には回内・回外を分ける『中間点』があり、その肢位は左右により中間位は異なります。
私は非荷重位(OKC)で評価を行います。

異なる中間位の評価方法は過去の記事をご参照ください。

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投球時の距骨下関節・横足根関節

投球時、軸足と踏み込み足の機能は異なります。

軸足:バランスを取る→蹴り出す
踏み込み足:加速した身体を支え、踏ん張り、力を逃す

軸足の機能はセットポジションで両足の支持基底面内にある重心を軸足に移動しバランスをとることや、Wind-upから捕手方向へ重心を移動するために足部を硬め蹴り出す役割があります。
踏み込み足は軸足から移動してきた身体を支えて踏ん張り、上半身の力を逃すようにしなければなりません。

上記の動きが足部で出来れば重心移動や上行性の良好な運動連鎖が遂行可能となります。

次のスライドの足部の肢位と動きは私の経験からの考えを表にしました。↓↓↓

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Preparation 理想の足部肢位

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Preparationの軸足の機能
静止立位に似ている状態です。この時の距骨下関節は指標中間位では中間位が理想です。

  • 前後にふらつかない
  • Wind-upに向けて両足の支持基底面内にある重心を軸足に移動しバランスをとれるような状態にしておく

回内位だと足趾が使いにくい状態になり前後バランスが低下します。
回外位だと足部を硬めてしまうため、Wind-upに向けて重心移動しにくい状態になります。

Wind-upに向けて重心移動した瞬間に回外に動くと運動連鎖によりバランスが安定します。

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Wind-up 理想の足部肢位

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Wind-upの軸足の機能

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パフォーマンスを上げるためのHip hinge Training−理論編−【トレーナーマニュアルvol.55】

C-I Baseball の増田稜輔です!
2022年6月よりC-I Baseball【トレーナーマニュアル】は
3シーズン目に突入します!
今日までたくさんの方にご購読頂きスタッフ一同感謝しております。
今後のよろしくお願い致します。

3シーズン目は「実践力」をテーマに記事を配信していきます!

C-I Baseballでは
「野球トレーナーの輪」を広げるために「仲間」を募集しております!
・野球にトレーナーになりたい
・トレーナー活動しているけど自信がない
・トレーニングについて勉強したい
・野球選手の怪我を治したい
など、野球選手に関わりたい方はこちらをご覧ください!!

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今回担当する内容では「パフォーマンスアップトレーニング」として
選手個人の能力を引き出す・構築するトレーニング内容を配信します。

▶野球動作に必要となる関節機能
▶動作に獲得するための運動機能の構築
▶瞬発的なトレーニング

などを中心に配信していきます。

今回のテーマは「Hip hinge Training」について解説していきます。

近年、野球パフォーマンスや障害予防には「Hip hinge」が重要と言われています。
SNSやYouTubeを開けば「Hip hinge」に対するトレーニングも多く紹介されており、トレーニングメニューに取り入れているトレーナーの方も多いと思います。
情報が多く出回っており、「HIp hinge」に対する【方法論】を知っているけど、【なぜ重要なのか?】を考えていないケースを見受けられます。

皆さんは「HIp hinge」についてどのように考えますか?
・股関節のタメを作るため?
・股関節を上手く使う?
・下肢後面筋が伸張しSSCを利用出来る?

様々な意見があると思いますが
今回は「HIp hinge」が一体なんなのか?
野球にどのように関係するのか?どんな機能が必要なのか?を
考えていければ思います。

HIp hingeとは

皆さんもよくご存知だと思いますが「Hip hinge」の基本について考えていきましょう。

HIp hingeとは
Hip→股関節 hinge→蝶番
言葉の意味から考えると「股関節が蝶番に動く」という意味になります。
もう少し深く考えると
股関節→骨盤と大腿骨なので
大腿骨上を骨盤が蝶番に動くことを示します。

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では、なぜこの大腿骨上を骨盤が前傾する動きが
「野球のパフォーマンス」に重要になるのでしょうか?

結論
「各動作でHiphinge(股関節を屈曲する)必要があるから」です。
しかし、これだけの説明では不十分な感じがしますよね・・・
トレーナーとして選手に指導するには
「野球では股関節を曲げることが多いから曲げるトレーニングをしよう」
ではなく
「Hip hinge 」を獲得するメリットや効果を示す必要があります。

なので、なぜ重要なのかを説明出来るようにしていきましょう。
・構造的観点
・力学的観点
・野球パフォーマンスとの関係性

なぜHip hinge が重要なのか?

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構造的観点

まずは関節の構造的観点から考えていきたいと思います。
Hip hinge の主役となる「股関節」は球関節であり3軸性の動きをする関節です。

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人体の関節の中では最も可動性の大きい関節のひとつであります。
その可動性は関節が安定している条件下で十分は機能を果たします。
一方で関節が安定していない条件下では、股関節の可動性は低下します。

股関節の安定性を生み出すには「被覆率」が関係してきます。

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寛骨臼の構造は前方が浅く、後方部が深い構造になっています。
骨盤前傾することにより、寛骨臼の後方と大腿骨頭の被覆率が高まり関節が安定します。
つまり、Hip hinge を獲得すると股関節の安定性の向上につながるということです。

構造的観点にはもう一つ重要な要素があります。
それは股関節の「靭帯」による影響です。

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股関節周囲の靭帯は股関節伸展方向で緊張する特性を有しています。
つまり、股関節伸展位では各靭帯の張力が高まり骨頭の動きが制限されます。
この状態では野球動作に必要な「股関節回旋」が制限されます。
一方で股関節屈曲位では、靭帯の緩む肢位になります。股関節の可動性が高い状態になります。
このことから考えるとHip hinge を獲得することで股関節は
・安定性が高まる
・靭帯性の制限が少なくなる
この2つの要素を獲得することができ、効率よく関節運動を行えるようになります。

力学的観点

2つ目に股関節の力学的観点からHip hinge について考えていきます。

LoadingとUnloading

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LoadingとUnloadingとは
Loading→力の吸収 Unloading→力の発揮
人は力を発揮する前に力の吸収が起こります。

Hip hinge はLoadingに部分になります。
大きな力を発揮する前の力の吸収に関与します。
Hip hinge が行えないまたは不十分であると
このLoadingが機能せずに力発揮が弱くなってしまいます。

伸張反射

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Hip hingeをすると股関節が屈曲することで
大殿筋・ハムストリングスに伸張性の負荷が加わります。
野球パフォーマンスのように、瞬間的に爆発的な力の発揮には、
筋肉が伸張位から短縮位になる伸張反射を利用することが必要になります。

以上のように、Hip hinge を獲得することが重要であると考えています。
・股関節が安定する
・関節の可動性の効率性が上がる
・力を吸収し発揮できる
・伸張反射を利用し瞬間的な力発揮が出来るようになる

Hip hinge と野球パフォーマンス

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ここからはHip hingeと野球のパフォーマンスについて解説していきます。
Hip hinge 
・股関節を屈曲する
・膝関節は10〜20°屈曲位
・腰椎は伸展位で固定する
基本となるHip hingeは上記のようなものになります。

デッドリフトのようなウエイトトレーニング中には基本的なHip hingeが必要となりますが、野球動作中には基本的なHip hinge動作を行う場面は少ないと考えています。
では、なぜHip hingeが野球パフォーマンスに重要と言われているのか?

トリプルフレクション

トリプルフレクションとは下肢の3関節を協調させて屈曲運動を行うことです。このトリプルフレクションを構成する一つの要素がHip hingeです。

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野球選手に関わる上で必要な “肩関節エコー”【トレーナーマニュアルvol.54】

C-I Baseballの小林弘幸です。

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元NPBチームドクターのスポーツDrと一緒にエコーを用いて、
選手の病態を理解し障害の原因追及、症状改善を大切にしています。

投球障害の原因は多岐にわたり、非常に難しいです。
しかし、皆様に少しでも自分の考えを共有していただき、
ご意見をいただきながら、現場の選手に少しでも還元できたら
うれしく思います!

CIB第2期後半では、
【野球選手に関わる上で必要なエコー】
ということで記事を書かせていただきます。

というのも、
私が運動器エコーと出会って一番良かったなと思うところは、
【筋骨格の断面解剖】と【神経の走行】の理解がしやすいと思ったからです。

ということで、小林が担当する、
野球選手に関わる上で必要なエコー編の記事(予定)です↓↓↓

①野球選手に関わる上で必要な “股関節エコー” (2月7日)
②野球選手に関わる上で必要な “頚部エコー” (3月14日)
③野球選手に関わる上で必要な “肘関節エコー” (4月18日)
④野球選手に関わる上で必要な “肩関節エコー” (5月23日)←今回

これらの記事を通じて、
臨床の基礎になっていただけたらと思っております。
そして、
様々なご意見をいただけたらと思います!

野球選手に関わる上で必要な “肩関節エコー”

はじめに

肩関節は、大きな自由度を持ち解剖学的に非常に複雑な構造をしています。

さらに、投球障害肩ではいわゆる『レントゲン』で撮影しても
診断に役立つ情報が得られることが少ないです。

そのため、
軟部組織の影響が大きく関与すると考えられます。

そこで、【運動器エコー】が必要になってくると考えています。

いわゆる、
軟部組織に対するアプローチでは、運動器エコーを用いて、
実際に自分が触っている筋・神経をしっかりと確認する必要があります。

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ただ、アプローチするにあたり、
なぜ、その筋の動きが悪くなっているのか、
それを考察してからアプローチしなければなりません。

運動器エコーでは、
プローブで当てている部分しか観察できません。

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それ以外の部分は、評価治療の対象にならないので、
十分に考察し、
その上で、
軟部組織に対してアプローチしていきます。

肩甲上腕関節の筋

肩甲上腕関節の評価と
タイトネスの関係を以下に示します。

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各肢位で関節可動域をチェックしてから
エコーでの軟部組織チェックを行います。

また、
関節包の支配神経も覚えておくと、治療の解釈に役立つと思います。

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なぜ、肩の前方が痛いのか?

その場合は、
外側胸筋神経もしくは、肩甲下神経領域に他の症状がないのか?

そのような思考過程で
解釈へと結び付けられると良いかと思います。

棘上筋

①支配神経:肩甲上神経

支配神経はC5~6になります。

上神経幹へ入り込んだ神経は、
その後すぐ分岐します。

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分岐した後、
前鋸筋と僧帽筋の間を通って、棘上筋の前方から
棘上筋の深層へ入り込み、
棘下切痕から棘下筋深層へ走行します。

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②エコー画像

棘上筋表層に長軸でプローブを当てて、
肩甲切痕に肩甲上神経を描出します。

その後、棘上筋短軸にしてそのまま中枢へプローブを走査します。

そうすると、
棘上筋の前方へ肩甲上神経が走行するのが観察できます。

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徒手療法を行うとしたら、
棘上筋・僧帽筋・前鋸筋 間にある肩甲上神経を
アプローチします。

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神経周囲は疎性結合組織が多く存在するため、
その部位に対して徒手療法を施していきます。

③エコー動画

棘下筋

①支配神経:肩甲上神経

支配神経はC5~6になります。

上神経幹へ入り込んだ神経は、
その後すぐ分岐します。

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分岐した後、
前鋸筋と僧帽筋の間を通って、棘上筋の前方から
棘上筋の深層へ入り込み、
棘下切痕から棘下筋深層へ走行します。

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②エコー動画

肩甲切痕部に肩甲上神経が存在するのがわかります。

棘下筋の深層にある肩甲上神経は、
棘下筋下脂肪体に包まれています。

最終域まで外旋していくと、
脂肪体が動いて、肩甲上神経周囲の動きも改善します。

肩甲下筋

①支配神経:(上)肩甲下神経

支配神経はC5~6になります。

後神経束から肩甲下神経は肩甲下筋表層で3本分岐します。
そのうち、上肩甲下神経は肩甲下筋へと分岐します。

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分岐した後、
上肩甲下神経は肩甲下筋上で収束します。

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肩甲骨内側に肩甲下神経は存在するので、
エコーでは非常に観察しにくいです。

位置関係を理解しつつ、
プローブ走査をすることが大切です。

エコー画像

腋窩から、骨頭と肩甲下窩が同時に観察できる位置で
肩甲下筋表層に肩甲下神経が走行する層が観察できます。

上・中・下の肩甲下神経を分別するには、
後神経束から分岐する部分を3本の神経を観察するか
中・下の肩甲下神経を尾側まで観察していくかの
どちらかで判別すると良いかと思います。

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