データと自己分析で投手としての「現在地」を科学的に把握するロードマップ

トレーナーマニュアルをご購読頂きありがとうございます。

C-I Baseballの髙橋塁です。

C-I Baseballでは臨床コースも開催しています。

このコースは、肩・肘・腰部・下肢・投球動作・AI解析など、野球選手を支えるうえで必要な視点を、各分野のスタッフとともに学んでいく場です。

単なるセミナーではなく、選手の痛みやケガを、病態・機能・全身のつながりから考えられるようになることを大切にしています。

記事を読んで興味を持ってくださった方は、ぜひマガジンや臨床コースもご覧ください。

https://note.com/embed/notes/n59fb5be96585

プロ野球の現場(香川オリーブガイナーズ、横浜DeNAベイスターズ等)でトレーナーとして9年間、1軍・2軍を問わず一流選手のコンディショニングと科学的データに基づく指導を実践してきました。

ここのところ、ピッチングについての記事を継続して投稿しております。

現代のピッチングは「経験と感覚」の時代から、以前から私の記事で取り上げているラプソードのようなトラッキングシステムとAIによる「パーソナライズ最適化」の時代へと突入しています。

今回は、指導者やトレーナーさんからよくご質問があり、「なんとなく」の指導ではなく、選手の球質を論理的に分解し、マウンドでの生存確率を最大化するために必要なロードマップを公開します。

まず、過去35年くらい前からさかのぼり、ピッチャーの変遷について振り返りたいと思います。

1.現代野球におけるピッチャーの主流と変遷(1990〜2025)

ピッチャーに求められる能力は、テクノロジーの進化とともに劇的に変化しています。

まずは過去35年間の投手のトレンドの変遷を振り返ってみましょう。

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【図:プロ野球・MLB投手の主流の変遷(1990〜2025)】

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セラピストにおすすめしたいNotebookLM × Paperpile運用法

C-I Baseball 3期生メンバーの三好航平です.
いつもC-I Baseballのトレーナーマガジンをご購読いただきましてありがとうございます.

本日のテーマは「論文管理」と「AI活用」です.

昨年「AIをフル活用して論文を探す」「AIをフル活用して論文を読む」という2つのテーマでnoteを執筆いたしました.

このnoteを執筆してから1年ちょっとしか経っておりませんが,皆様ご存知の通りAIはとてつもないスピードで進化を遂げています.

昨年のnoteでもご紹介したとおり,論文を読む際にはNotebookLMを活用していましたが,私が愛用している文献管理アプリPaperpileのアップデートによって,これまで以上に論文の保存から管理,NotebookLMを活用して論文を読むというところまで便利に活用できるようになりました.

今回のnoteでは,このアップデートを経て私がどのように論文管理,運用しているかをご紹介いたします.

※文献管理アプリ Paperpile
Paperpileは、研究者や大学院生向けに開発されたクラウド型の文献管理ツールです。

PubMedやGoogle Scholarなどから論文情報をワンクリックで取り込み、PDFの保存、文献整理、引用文献リストの作成までを一元管理できます。Google Driveとの連携を前提とした設計になっていることも特徴です。

主な機能としては、
・PubMed・Google Scholarなどから文献を簡単に取り込み
・PDFの自動ダウンロード・保存
・Google Driveとの同期
・フォルダやラベルによる文献整理
・Google DocsやMicrosoft Wordでの引用・参考文献作成
・BibTeXやRIS形式でのエクスポート
・AIツール(NotebookLM、ChatGPT、Claudeなど)との連携
などがあります。

料金(2026年7月時点)
Paperpileは有料サービスですが、無料トライアルが用意されています。Studentプラン:月額約3ドル
Academicプラン:月額約10ドル
Businessプラン:月額約12ドル

1.今回のアップデートで何が変わったのか

2026年5月のPaperpileのアップデートで,Paperpile上でNotebookLMやChatGPTなどのAIツールにシームレスに繋げられるようになりました.

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トレーニングプログラムの考え方-理学療法士が考える、育成年代の野球トレーニング-

トレーナーマニュアルをご購読頂きありがとうございます。
C-I Baseball代表の増田です。

C-I Baseballでは臨床コースも開催しています。
このコースは、肩・肘・腰部・下肢・投球動作・AI解析など、野球選手を支えるうえで必要な視点を、各分野のスタッフとともに学んでいく場です。
単なるセミナーではなく、選手の痛みやケガを、病態・機能・全身のつながりから考えられるようになることを大切にしています。
記事を読んで興味を持ってくださった方は、ぜひマガジンや臨床コースもご覧ください。

理学療法士が考えるトレーニングプログラムとは?

今回のnoteでは、C-I Baseballで取り組んでいるトレーニングプログラム「BAXIS」について書いていきます。


理学療法士がトレーニングに関わるうえで理解しておくこと

まず、大前提として理解しておきたいことがあります。

トレーニングやパフォーマンスアップは、本来S&Cコーチの専門領域であるということです。

ストレングス、コンディショニング、パワー、スピード、アジリティ、年間を通した負荷管理。
これらは、理学療法士が少し勉強しただけで簡単に担えるものではありません。

特にプロカテゴリーのように役割分担が明確な現場では、理学療法士、アスレティックトレーナー、S&Cコーチ、コーチングスタッフが、それぞれの専門性を持って選手を支えています。

そのような環境で、理学療法士が安易にパフォーマンス領域へ踏み込みすぎることは、選手にとっても、チームにとっても良くない場合があります。

理学療法士には理学療法士の専門性があります。
S&CコーチにはS&Cコーチの専門性があります。

この領域の違いを理解し、リスペクトすること。

これは、スポーツ現場に関わるうえで絶対に外してはいけない前提だと思っています。

その一方で、アマチュアスポーツの現場では、理想通りの分業体制が整っているとは限りません。
育成年代、学生野球、地域のチームでは、トレーナーとして関われる人材が1名だけということもあります。

その1名が理学療法士である場合、怪我の対応、コンディショニング、ウォーミングアップ、復帰支援、再発予防、そして基礎的なトレーニング指導まで求められることがあります。

だからこそ、理学療法士がトレーニングを学ぶ必要があります。

これは、S&Cコーチの領域を奪うためではありません。

S&Cコーチへのリスペクトを持ったうえで、理学療法士が自分の専門性を活かしながら、どこまで関わるべきかを判断できるようになるためです。

理学療法士の強みは、評価にあります。

この評価の視点をトレーニングプログラムにもつなげることができれば、育成年代の選手に対して、身体づくりのサポートができます。

ただし、必要なのは、良さそうなエクササイズを並べることではありません。

「何をやるか」ではなく、「なぜ今それをやるのか」。

「どの種目を入れるか」ではなく、「どの順番で、どの負荷で、どこまで進めるか」。

ここを考えることが大切です。


理学療法士が悩むトレーニングプログラム作成

理学療法士は、評価や動作分析は得意です。

一方で、スポーツ現場で必要になる「どの能力を向上させるのか」「どの順番で負荷を上げるのか」「どの段階で競技動作につなげるのか」は、現場に出てから悩むことが多いように感じています。

その結果、トレーニングが「種目選び」になってしまうことがあります。

もちろん、スクワットも、ランジも、メディシンボールも、体幹トレーニングも、ジャンプも、ダッシュも大切なトレーニングです。

ただ、問題は「その種目が良いか悪いか」ではありません。

その選手に、今、その種目が必要なのか。
その順番で行う意味があるのか。
その負荷設定で良いのか。
何を確認して次へ進むのか。

ここまで考えられているかどうかです。

トレーニングは、良さそうな種目を並べることではありません。

選手の身体に必要な刺激を、必要な順番で入れて、適応を引き出していくことです。


C-I Baseballが提供するトレーニング「BAXIS」とは

BAXISのコンセプトは、

野球のための土台・軸を作り選手の可能性を拓くトレーニングです。

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野球選手に必要な身体づくりというと、球速を上げる、スイング速度を上げる、足を速くする、筋力をつける、といった要素がイメージされやすいと思います。

もちろん、それらは重要です。

しかし、育成年代においては、いきなり出力だけを追いかけるのではなく、その前提となる身体の土台を整える必要があります。

BAXISで大切にしているのは、以下の内容です。

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身体を思い通りに動かす力。
支える力。
コントロールする力。
力を発揮する力。
野球動作へ力をつなげる力。
自分の身体を理解し、成長し続ける力。

BAXISは、野球のための身体づくりでありながら、選手の未来に残る身体づくりでもあります。


BAXIS プログラムの考え方①目的を決める

種目から考えないために、まず必要になるのが「目的を決めること」です。

ここでいう目的とは、単に「今日は下半身を鍛える」「今日は体幹をやる」ということではありません。

BAXISでは、プログラムを考えるときに、

年代ごとのゴール
月間テーマの目的
週間テーマ
今日のセッションで確認したいこと

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を整理してから、トレーニング内容を決めていきます。

まず、年代ごとのゴールがあります。

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小学校4〜5年生であれば、目指すのは「動ける身体」です。
この年代では、運動経験や多様性を増やしながら、身体を思い通りに動かす土台を作ります。

小学校6年生〜中学1年生では、「操れる身体」を目指します。
止まる、支える、崩れない、分けて使うといったControlの要素を厚くしていきます。

中学2〜3年生では、「発揮できる身体」を目指します。
支えながら力を出す、動作品質を保ったまま出力する、StrengthやPowerにつなげる段階です。

高校生以降では、「野球へ転移できる身体」を目指します。
投げる、打つ、走る、守るといった競技動作へ、身体機能をつなげていきます。

そして、その先には「自分で成長できる身体」があります。
自分の身体を評価し、課題を選び、実施し、再評価する。
このサイクルを選手自身が回せる状態を目指します。

つまり、同じトレーニングでも、年代によって目的が変わります。

小学生に行うスクワットと、中学生に行うスクワットと、高校生に行うスクワットでは、同じ種目名でも意味が違います。

小学生では、しゃがむ経験や身体操作が目的になるかもしれません。
中学生では、姿勢を崩さずに支えることが目的になるかもしれません。
高校生では、出力や競技動作への接続が目的になるかもしれません。

だから、まず年代ごとのゴールを確認します。

そのうえで、月間テーマの目的を決めます。

たとえば、BAXISでは月ごとに以下のようなテーマを設定しています。

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ただし、ここでも大切なのは、月間テーマは「限定」ではなく「強調」だということです。

Movement の月だから、Movementだけを行うわけではありません。
 Strengthの月だから、筋力トレーニングだけを行うわけでもありません。

月間テーマは、その月に何を強調するかを決めるものです。

その中でも、Move / Control / Develop / Transferは毎回入ります。

動きを獲得する。
動きを制御する。
能力を高める。
野球へつなげる。

この流れを消さずに、月間テーマによって比率を調整していきます。

たとえば、同じSupportの月でも、小学生であれば「いろいろな姿勢で支える経験」を増やすことが目的になります。

小学校6年生〜中学1年生であれば、「片脚支持や着地で崩れないこと」を重視します。

中学2〜3年生であれば、「支えた状態で力を出すこと」まで進めます。

高校生以降であれば、「支持能力を投球、打撃、走塁、守備のスピードへつなげること」が目的になります。

このように、月間テーマが同じでも、年代によって目的は変わります。

だから、BAXISでは以下を整理してから、種目を選びます。

「この種目をやりたい」ではなく、
「この年代の選手に、今どの能力を育てたいのか」。

ここを先に決めることが、プログラム作成のスタートです。

目的が決まるから、運動面の順番が決まります。
目的が決まるから、肢位の難易度が決まります。
目的が決まるから、筋収縮の進め方が決まります。
目的が決まるから、負荷を上げるべきか、戻るべきかを決めることができます。

つまり、プログラム設計は「種目選択」ではなく、「目的設定」から始まります。

年代別のプログラム構成

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投球障害を見る上で知っておきたい〜胸郭出口症候群〜

<経歴>
2021-東北保健医療専門学校卒業
2021-にしざわ整形外科クリニック(神奈川県)
2024-芦屋整形外科クリニック(兵庫県)
私は小学校から高校まで野球を経験し、肘を痛め一時的に野球ができずに苦しい思いを味わい理学療法士の方にお世話になりました。今度は自分が野球やスポーツで怪我をして苦しい思いをする方の力になれればと今も励んでいる次第であります。
今後ともよろしくお願いいたします。
⬇️本題

胸郭出口症候群は、その症状自体が問題にもなりますし、肩痛の根本の原因はTOS様症状による圧迫だったと言うこともあります。それは前回神経根症でお伝えしたクラッシュシンドロームの機序がそれに当たることが多いと思います。

と言うことで、前回は頸部の神経根症についてお話ししました。
私からは頸部シリーズということで、今回は胸郭出口症候群(TOS)のお話をしていきたいと思います。

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01「TOS概要」

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thoracic outlet、すなわち「胸郭出口」とは解剖学的用語ではなく造語で、①第一肋骨とそれに付着する前斜角筋、中斜角筋で形成される斜角筋部、②鎖骨と第一肋骨の間の肋鎖間隙、③烏口突起に付着する小胸筋下間隙を指す。

ここで問題が起こることで症状が出るもののことを総称して胸郭出口症候群と呼んでいます。1)p8

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症状による分類は、動脈性TOS(arterial TOS:aTOS)、静脈性TOS(venous TOS:vTOS)、神経性TOS(neurogenic TOS:nTOS)と分類されます。
さらに神経性TOSは、圧迫型と牽引型に分類できます。1)p8

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それらの原因部位の比率の報告があります。腕神経叢造影検査にて、神経血管束の圧迫、あるいは牽引を認めた部分は、斜角筋部30%、肋鎖間隙75%、小胸筋下間隙6%と報告されています。

さらに、Dynamic CT angiographyを用いた報告では、TOS患者の血管狭窄部位は、斜角筋部37%、肋鎖間隙63%、小胸筋下間隙3%ととされている。
どちらも肋鎖間隙で最も多く、ついで斜角筋部での絞扼が多くなっています。1)p11

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胸郭出口とは、鎖骨と第一肋骨の間を通る鎖骨上窩から腋窩までの部位と定義されている。
この部位で先ほど挙げた3つの間隙があり、ここで鎖骨下動脈、静脈、腕神経叢という神経血管束が圧迫を受けます。1)p15

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その症状は多岐にわたります。
1979年のRoosの報告によると、患者の年齢層は多岐に渡り、10歳代から高齢者まで。
頸部から肩、上肢(手指まで)への異常感覚や断続的な鋭い痛みが発生すると説明されています。
さらに、頭痛、立ちくらみ、めまいなどの自律神経症状を訴えることも稀ではないです。
この症状については、慶應病院が有症率の報告をしています。

肩関節や肘関節など単関節の痛みでもTOSによる症状の可能性もある。
主訴が肩や肘関節のみの痛みで来院することもあるため、頸部から肩甲帯、上肢の症状を有する場合は常にTOSを念頭において問診します。

スポーツ選手では、挙上位での動作を繰り返す野球選手で罹患率が高いことが報告されています。
競技中あるいは競技後の上肢の痺れや脱力感、握力低下などの訴えがあればTOSを疑います。
投球動作中に、ボールリリース時のすっぽ抜けやcocking phase~acceleration phaseでの痺れ、肩、肘関節の疼痛を訴える場合があります。

ADLでは、上肢挙上位での日常生活動作の困難さを聴取することでおおよその予測がつきます。
具体的な項目はスライドの通りです。この辺りを問診で聴取すると判断の参考になります。p30

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「斜角筋部」
前斜角筋、中斜角筋、第一肋骨から構成される三角錐状の間隙。

起始→停止
・前斜角筋
C3〜6横突起前結節→第1肋骨
・中斜角筋
C2〜7横突起後結節→第1肋骨の鎖骨下動脈溝

斜角筋三角は、頸部の側屈時や深呼吸時に狭小化する。p.15

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前、中斜角筋の起始部である前結節、後結節とは、、、

頚椎は他の脊椎と違い、横突起の上を神経根が走行するために溝があり、前側と後ろ突起があります。
その前を前結節、後ろを後結節と呼んでいます。

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横から見るとこのような感じで、前結節に前斜角筋、後結節に後斜角筋が付着し、この間を神経が走行しています。

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モーションキャプチャの罠~トレーナーの存在意義~

いつも記事を読んでいただき、ありがとうございます。
C-I Baseballでは、野球現場や臨床で必要になる知識を、理学療法士・トレーナーの視点から整理し、発信しています。
より深く学びたい方には、「野球トレーナーマニュアル」をご購読ください。
投球障害肩・肘、腰痛、捻挫、肉離れ、下肢障害など、野球におけるケガへの関わりを、病態・動作分析・評価・介入まで含めて専門的にまとめています。  

また、C-I Baseballでは臨床コースも開催しています。
このコースは、肩・肘・腰部・下肢・投球動作・AI解析など、野球選手を支えるうえで必要な視点を、各分野のスタッフとともに学んでいく場です。
単なるセミナーではなく、選手の痛みやケガを、病態・機能・全身のつながりから考えられるようになることを大切にしています。  
記事を読んで興味を持ってくださった方は、ぜひマガジンや臨床コースもご覧ください。

「数値」だけを追いかける危険性

近年の野球界では、モーションキャプチャやトラッキングシステムの普及によって、これまで感覚的に語られていた投球や打撃動作が「数値」として見える時代になりました。

関節角度、骨盤回旋速度、肩関節外旋角度、地面反力、回転効率、リリース位置――。
これらを定量化できるようになったことは、野球界にとって非常に大きな進歩です。

従来であれば、「開きが早い」「下半身が使えていない」「腕が振れていない」といった曖昧な表現で語られていた問題点が、現在では数値として可視化されるようになりました。
その結果、選手間比較や変化の追跡がしやすくなり、指導の再現性も高まっています。

しかし一方で、データそのものに過剰な意味を持たせてしまうケースも増えてきています。

本来、モーションキャプチャで得られるデータとは、「複雑な動作の一部を便宜上数値化したもの」に過ぎません。
つまり、数値は“現象”であり、“結果”です。

にもかかわらず、その数値だけを見て

  • この角度を増やそう
  • この回旋速度を上げよう
  • 理想値に近づけよう

という方向へ進んでしまうことがあります。

もちろん、データを参考にすること自体は悪いことではありません。
問題なのは、「数値を目的化してしまうこと」です。

数値を目的化してしまう

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投球障害肘~後方インピンジメントに対応する~

C-I Baseball「トレーナーマニュアル」をご購読頂きありがとうございます。

■CIBのトレーナーマニュアルについて

①野球現場でのトレーナー活動
②臨床現場での選手への対応
③ゲストライターによる投稿
④C-I Baseballメンバーによる投稿

1. はじめに

今回は、実際に臨床で野球選手を見ていてよく遭遇する症状、病態、
肘関節後方インピンジメントについて述べていきたいと思います。

先月、新海先生のNoteで、肘後方障害に対する運動療法というタイトルで執筆されていました。

非常に勉強になりますし、動画も多数ありますので、
ぜひ、ご参考にされてください!

『 投球動作で肘の後方が痛い 』

この訴えを聞いたとき、まず思い浮かぶ病態の一つが肘関節後方インピンジメントです。

特に野球選手では、投球時に肘関節へ大きな外反ストレスと伸展ストレスが加わります。
その結果、肘頭と上腕骨の肘頭窩周囲が繰り返し衝突し、肘後方〜後内側部に疼痛が生じることがあります。

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後方インピンジメントのイメージ図

しかし、臨床では単純に
「骨がぶつかっている」
「肘を伸ばすと痛い」
だけで捉えると、病態の本質を見逃してしまうことがあります。

肘関節後方インピンジメントでは、骨性の衝突が病態の背景にはありますが、
それだけではなく内側側副靱帯、尺骨神経、肘関節可動域、前腕機能、肩甲帯・体幹機能、投球フォームなどが複合的に関与します。

本記事では、投球障害肘における後方インピンジメントについて、病態・評価・リハビリテーションの視点から整理します。

2. 肘関節後方インピンジメントの病態とは

肘関節後方インピンジメントとは、肘関節後方で肘頭と肘頭窩周囲が衝突し、疼痛や可動域制限を生じる ”状態” です。

インピンジメントという名称は、病態ではなく、状態を表しています。

病態ということを考えると、インピンジメントが誘因となって生じる疼痛を
インピンジメント症候群といいます。
肩関節ではよく聞くところかと思います。

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投球動作では、
加速期からリリース、フォロースルーにかけて
肘関節に強い外反ストレスと伸展ストレスが加わります。

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※Fleisig GS et al. Am J Sports Med. 1995
※Werner SL et al. J Orthop Sports Phys Ther. 1993
※Solomito MJ et al. Sports Biomech. 2021.

このストレスが繰り返されることで、肘後方〜後内側部に機械的な圧迫や剪断力が加わり、以下のような変化が生じることがあります。

・肘頭後内側部の骨棘形成
・肘頭窩との衝突
・軟骨損傷
・滑膜炎
・遊離体
・肘頭疲労骨折
・肘頭骨端線障害
・内側側副靱帯機能不全の合併

つまり、後方インピンジメントは肘関節単独の現象というより、
投球動作に伴う肘関節への反復ストレスの結果として生じる
“状態” として捉えることが重要です。

3. なぜ投球で起こるのか

投球動作では、肘関節に大きな外反ストレスが加わります。

このとき、肘の内側では牽引ストレス、外側では圧迫ストレス、そして後方〜後内側では肘頭と肘頭窩周囲の衝突が生じます。

特にリリース前後からフォロースルーにかけて、肘関節は高速で伸展方向へ動きます。

投球時の肘伸展速度は2200〜2500 deg/sに達する。
この驚異的なスピードは、単なる肘関節伸筋(上腕三頭筋)の筋収縮だけでなく、肩の内旋に伴う遠心的な慣性力が引き起こすものである。

※Fleisig GS et al. Am J Sports Med. 1995

この反復により、肘頭後内側部が上腕骨の肘頭窩周囲と衝突し、疼痛が誘発されます。

現象としては、Valgus Extension Overloadというものがあります。
MER時に肘が外反ストレスを受けることによって、肘関節肘頭窩の内側に肘頭がぶつかることを言います。

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※Wilspn, F, D, et al.: Valgus extention overload in the pitching elbow. Am J Sports Med. 11: 83-88. 1983の図を引用改変

もう一つ、リリースのタイミングで痛みを生じる現象があります。
Mechanical door stop actionというものがあり、リリース時に肘頭が肘頭窩へぶつかり、疼痛が生じます。

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このような動作が肘後方インピンジを引き起こします。

ここで重要なのは、後方インピンジメントが「肘後方だけの問題」ではないという点です。

例えば、内側側副靱帯の機能が低下している場合、肘関節の外反制動が不十分となり、後内側部へのストレスが増大する可能性があります。

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また、肩関節や肩甲帯、体幹の機能低下によって投球時の肘への負担が増加すれば、結果として後方インピンジメントを助長することもあります。

4. 症状の特徴

肘関節後方インピンジメントでは、以下のような症状がみられます。

・投球時の肘後方痛
・リリース後〜フォロースルーでの疼痛
・肘伸展時痛
・肘関節伸展可動域制限
・投球後の肘後方の違和感
・肘を強く伸ばしたときの詰まり感
・肘後内側部の圧痛

特に「肘を伸ばし切ると痛い」「投げた後に肘の後ろが痛い」という訴えは、後方インピンジメントを疑うきっかけになります。

ただし、肘後方痛を訴える病態は後方インピンジメントだけではありません。

肘頭疲労骨折、肘頭骨端線障害、遊離体、滑膜炎、尺骨神経障害、内側側副靱帯損傷なども鑑別する必要があります。

肘頭疲労骨折

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野球選手の腰痛治療を徹底解剖! 【Vol.4 腰椎分離症編】

こんにちは!
C-I Baseball サポートメンバーの理学療法士・久我友也です。

整形外科クリニックでの臨床経験を活かし、医療的視点から野球選手に対する評価・治療のエッセンスを、実践的かつ分かりやすくお伝えしてまいります。

科学的根拠と臨床での経験や工夫を重視し、その中で現場での実践に役立つ情報をお届けいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

ライタープロフィール
Writer|久我 友也
理学療法士
X:Tweets by tomokiyo0903

前回まで投球動作における鼠径部痛へのアプローチをシリーズでお届けしておりました。未読の方はぜひご参照ください。

今回は「野球選手の腰痛」がテーマです。

連載シリーズ

Vol.1:総論・腰椎椎間板ヘルニア

Vol.2:腰椎椎間板症、椎体終板変性(Modic change)編

Vol.3:椎間関節編

Vol.4:腰椎分離症(今回はこれ!!)

Vol.5:筋性腰痛編

さっそくはじめていきます!
少しでもためになったと思った方は
ぜひ ”スキ” ボタンお願いします!

やる気につながります!

はじめに

さて、今回のテーマは「腰椎分離症」です。腰椎分離症とは、腰椎の上関節突起と下関節突起の間、いわゆるpars interarticularisに生じる疲労骨折です。

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腰椎分離症は、成長期スポーツ選手の腰痛で必ず鑑別に挙げたい疾患ですが、病態や画像診断の詳細は成書に譲り、本noteでは現場で押さえておきたいポイントに絞って整理します。

今回のnoteでは、以下の内容を整理します。

  • 成長期の腰痛でまず分離症を疑うべき理由と、現場で確認したい問診・身体所見を整理します。
  • 骨癒合を妨げる因子を整理し、「骨癒合を目指すのか」「疼痛管理後の復帰を目指すのか」という治療方針の考え方につなげます。
  • 装具療法と運動療法を組み合わせて、骨折部を守りながら身体機能を落とさない保存療法を考えます。
  • 骨癒合後や競技復帰後に確認すべき身体機能、野球動作への落とし込み、再発予防のポイントを整理します。

腰椎分離症の保存療法は、ここ数年でどう変わってきたのか

腰椎分離症に対する保存療法は、ここ数年で考え方が少し変わってきています。

以前は
・競技を休止
・硬性コルセットで固定
・痛みや画像所見が落ち着いてからリハビリテーションを開始
このような流れが一般的でした。

しかし近年は、病期を確認したうえで早期から段階的な運動療法を導入する方向へ研究の関心が移っています[5,7,19–21,24]。

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Early cockingの足部の使い方〜小・中学生とプロ野球選手の違い〜

いつもC-I Baseballの記事をお読みいただきありがとうございます。
C-I Baseball須藤です。

今回は
『Early cockingの足部の使い方』〜小・中学生とプロ野球選手の違い〜
についてお話しさせていただきます。

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■C-I Baseballのご紹介

C-I Baseballのホームページはこちらから↓

C-I Baseball -野球の未来を現場から変えていく-c-ibaseball.com


C-I Baseballは、単なる理学療法士の集まりではありません。
野球に関わる選手、指導者、保護者、そして理学療法士が、それぞれの立場を超えて協力しながら、野球界の未来をより良くしていくための団体です。
私たちが大切にしているのは、ケガをしてから対応するのではなく、ケガをする前に守ること。
そして、選手が安心して成長できる環境と、理学療法士が現場で力を発揮できる環境を整えることです。
さらに、選手のパフォーマンス向上に理学療法士が関わることが当たり前になる環境づくりも、重要な目的のひとつです。

C-I Baseballでは、主に2つの事業を展開しています。
1つ目は、理学療法士向けの育成プログラムです。臨床コース・トレーナーコースを通して、1年間かけて現場で使える知識と実践力を学びます。
2つ目は、BAXISで行うアカデミー事業です。小学生から中学生を対象にトレーニング指導を行い、成長期の選手たちをサポートしています。

さらに、この2つの事業はつながっています。
育成プログラムで学んだメンバーが、コース修了後に実際にトレーナーとして活動できる環境があることも、C-I Baseballの大きな特徴です。
学んで終わりではなく、現場で実践し、選手に還元していく。
その循環をつくることで、野球界の未来をみんなで鍛えていきます。

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・・・・・・・以下本文・・・・・・・

■はじめに

Early cockingの段階では軸足はおおまかにですが、『体重を支える』 『骨盤を安定させる』『前方向へのエネルギーを蓄える 』『次の動作に向けての重心移動』『押し出す』『軸脚での踏ん張り』などの役割を持ちます。今回のnoteはEarly cocking における軸足足部の動きと、足部トレーニングについてお話をさせていただきます。

key word:『足の裏の向き』

■小・中学生とプロ野球選手のEarly cocking

小・中学生の投球動作を見ると、ほとんどの選手がEarly cockingから
に向いています。

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プロ野球の投手はどうかというと、足裏が見える方向はセンター方向(投げる方向とは反対側)です。

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プロの場合Wind-up・Early cockingから足部は投球方向への力が働くように使っています。
小・中学生は足裏が三塁方向(右投げ)に向いてしまい足部からの連鎖がうまくできておらず、力が分散してしまいます。

■相分けについて

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今回はEarly cockingを大まかですが、初期と後期に分けさせていただきます。(今回のnote限定)

●初期:ステップ脚が軸足に近い状態
●後期ステップ脚が捕手側に向いた状態

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■Early cockingの軸脚足部の使い方(プロ野球投手)


Early cockingでの足部の動きは大きく分けると2パターンあります。

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肘後方障害に対する運動療法

■CIBトレーナーマニュアルについて

①野球現場でのトレーナー活動
 チームトレーナー、育成年代への関わり、パフォーマンスについて

②臨床現場での選手への対応
 投球障害への対応、インソールからの介入

③ゲストライターによる投稿
 バイオメカニクス、栄養…など各分野の専門家の方が執筆しています

④C-I Baseballメンバーによる投稿
 2020年からC-I Baseballへ加入し育成メンバーとして活動していたメンバーがライターとして情報を発信しています。
C-I Baseballで学び、成長していくメンバーの投稿もぜひお楽しみにしてください!

■Introduction

スローイング動作における肘関節後方障害には

  • 肘頭骨端線離開
  • 肘頭骨端線閉鎖不全
  • 肘頭疲労骨折
  • 後方インピンジメント障害
  • 変形性肘関節症

など様々な病態が含まれています。

後方障害の発生要因は加速期終盤やBall Release から Follow-through にかけての外反+伸展ストレスが報告されています。

投球による肘関節後方障害の発生機序は、レイトコッキング期から加速期でのvalgus extension overload(VEO)やフォロースルー期でのmechanical door stop action とされている。

Wilson FD, Andrews JR, Blackburn TA, et al: Valgus extension overload in the pitching elbow. Am J Sports Med. 1983 ; 11 : 83-8.
伊藤惠康,宇沢充圭,松賢次郎ほか:スポーツ障 害 成長期におけるオーバーユース(野球肘) 肘 頭骨端離開・肘頭疲労骨折について.日臨整誌. 2002;27:38-42.

肘関節内側障害はMER、後方・外側障害はリリース時に最も疼痛が発生している。

坂田淳ほか:肘関節理学療法マネジメント. MEDICAL VIEW. 29. 2020

臨床においても肘関節後方に疼痛を訴える選手の多くがボールリリースでの症状を訴えている印象です。

理学療法介入のポイントとしてもMechanical Door Stop Actionを生じさせないことが挙げられますがリリースPhaseに突入する前に十分に肩甲帯・胸郭を含めた肩関節外旋可動域が確保されている必要があります。

MERにおけるTotal External Rotationを確保することはSingle Plane獲得のために必要であり、その後の肩甲上腕関節内旋+前腕回内の連動に繋がります。

MERにおける十分なTER獲得のための徒手的な介入やエクササイズなどは過去の記事でもいくつか載せておりますのでご参考にしていただけたらと思います。

■エクササイズ・介入

|胸郭に関する介入

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