はじめに
野球に関わらずほぼ全てのアスリートにおいて、トレーニングでスクワットを行うと思います。
正しくスクワット動作が遂行できない場合、腰や膝を痛めたり重量が伸びにくかったりします。
今回はスクワット動作が正しく行えるようになるためのモビリティドリルやそのチェック方法をいくつかご紹介できればと思います。
スクワットの深さと筋活動
スクワットは深さによって名称が異なります。
1.クォータースクワット(Quarter Squat)
●膝の角度:おおよそ 45度程度
膝が少し曲がる程度。しゃがみが浅い。
2.ハーフスクワット(Half Squat)
●膝の角度:おおよそ 90度
3.パラレルスクワット(Parallel Squat)
●特徴:股関節(大腿骨上部)と膝が同じ高さになる程度
4.フルスクワット(Full Squat)/ディープスクワット(Deep Squat)
●膝の角度:90度以下、股関節が膝より下にくる
しゃがみきる動作に近い。可動域が最大。
●用途:可動域の改善、柔軟性向上、筋力・筋肥大向上に効果的。
ストレングストレーニングとして行う場合、基本的には4のフルスクワットを推奨しています。(競技特性上、体幹の剛性を一時的に高めたい場合などは別)
フルスクワットで可動域を求めた方が浅いスクワットよりも臀筋群、大腿部への筋肥大効果が高いことは先行研究でも報告がなされています。
スクワットの深さ(浅い、パラレル、深い)と足幅(標準、広い、最も広い)が大腿四頭筋の筋活動に与える影響を調査。結果、スクワットの深さが増すほど大腿四頭筋の筋活動が増加し、足幅の違いによる有意な差は見られなかった。
Matt Denning, Brad Gardiner, Tyler Standifird, Lauren Williams. Does Squat Depth and Width Influence Quadriceps Activation?. Medicine & Science in Sports & Exercise. 2019
異なるスクワットの深さ(最大膝屈曲と90°膝屈曲)および負荷(体重、50% 1RM、80% 1RM)が下肢筋の筋活動に与える影響を調査。結果、深いスクワットと高負荷条件で大腿四頭筋、ハムストリングス、臀筋の筋活動が有意に増加した。
Zachary Sievert, Joshua T. Weinhandl, Stacie I. Ringleb, Laura C. Hill. The Effects of Squat Depth on Electromyography of Lower Extremity Muscles. Medicine & Science in Sports & Exercise. 2016
深いスクワット動作と股関節、膝関節、足関節の可動域および筋力との関係を調査。結果、深いスクワットを行うことで、これらの関節の可動域と筋力が向上することが示された。
The Relationship Between the Deep Squat Movement and the Hip, Knee and Ankle Range of Motion and Muscle Strength. Journal of Physical Therapy Science. 2020
今回はフルスクワットに焦点を当てて、深いスクワットを獲得するためのドリルを紹介していきます。
Mobility Check&Drill
World Greatest Stretch
股関節屈曲開排位における体幹前傾機能を獲得するために行います。Check Point
・肘が床に付くか
・脊柱は屈曲しすぎていないか
・足関節の真上に膝関節がきている(もしくはやや膝が外に位置)状態でできているか
回旋動作を省き、モビリティを見てみましょう。
横から評価すると分かりやすいと思います。脊柱が過度に丸まっていない状態で、膝よりも体幹を低くすることができれば十分な可動性があるといえます。そのままストレッチとしても実施可能です。
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