トレーナーマニュアルをご購読頂きありがとうございます。
C-I Baseball代表の増田です。
C-I Baseballでは臨床コースも開催しています。
このコースは、肩・肘・腰部・下肢・投球動作・AI解析など、野球選手を支えるうえで必要な視点を、各分野のスタッフとともに学んでいく場です。
単なるセミナーではなく、選手の痛みやケガを、病態・機能・全身のつながりから考えられるようになることを大切にしています。
記事を読んで興味を持ってくださった方は、ぜひマガジンや臨床コースもご覧ください。
理学療法士が考えるトレーニングプログラムとは?
今回のnoteでは、C-I Baseballで取り組んでいるトレーニングプログラム「BAXIS」について書いていきます。
理学療法士がトレーニングに関わるうえで理解しておくこと
まず、大前提として理解しておきたいことがあります。
トレーニングやパフォーマンスアップは、本来S&Cコーチの専門領域であるということです。
ストレングス、コンディショニング、パワー、スピード、アジリティ、年間を通した負荷管理。
これらは、理学療法士が少し勉強しただけで簡単に担えるものではありません。
特にプロカテゴリーのように役割分担が明確な現場では、理学療法士、アスレティックトレーナー、S&Cコーチ、コーチングスタッフが、それぞれの専門性を持って選手を支えています。
そのような環境で、理学療法士が安易にパフォーマンス領域へ踏み込みすぎることは、選手にとっても、チームにとっても良くない場合があります。
理学療法士には理学療法士の専門性があります。
S&CコーチにはS&Cコーチの専門性があります。
この領域の違いを理解し、リスペクトすること。
これは、スポーツ現場に関わるうえで絶対に外してはいけない前提だと思っています。
その一方で、アマチュアスポーツの現場では、理想通りの分業体制が整っているとは限りません。
育成年代、学生野球、地域のチームでは、トレーナーとして関われる人材が1名だけということもあります。
その1名が理学療法士である場合、怪我の対応、コンディショニング、ウォーミングアップ、復帰支援、再発予防、そして基礎的なトレーニング指導まで求められることがあります。
だからこそ、理学療法士がトレーニングを学ぶ必要があります。
これは、S&Cコーチの領域を奪うためではありません。
S&Cコーチへのリスペクトを持ったうえで、理学療法士が自分の専門性を活かしながら、どこまで関わるべきかを判断できるようになるためです。
理学療法士の強みは、評価にあります。
この評価の視点をトレーニングプログラムにもつなげることができれば、育成年代の選手に対して、身体づくりのサポートができます。
ただし、必要なのは、良さそうなエクササイズを並べることではありません。
「何をやるか」ではなく、「なぜ今それをやるのか」。
「どの種目を入れるか」ではなく、「どの順番で、どの負荷で、どこまで進めるか」。
ここを考えることが大切です。
理学療法士が悩むトレーニングプログラム作成
理学療法士は、評価や動作分析は得意です。
一方で、スポーツ現場で必要になる「どの能力を向上させるのか」「どの順番で負荷を上げるのか」「どの段階で競技動作につなげるのか」は、現場に出てから悩むことが多いように感じています。
その結果、トレーニングが「種目選び」になってしまうことがあります。
もちろん、スクワットも、ランジも、メディシンボールも、体幹トレーニングも、ジャンプも、ダッシュも大切なトレーニングです。
ただ、問題は「その種目が良いか悪いか」ではありません。
その選手に、今、その種目が必要なのか。
その順番で行う意味があるのか。
その負荷設定で良いのか。
何を確認して次へ進むのか。
ここまで考えられているかどうかです。
トレーニングは、良さそうな種目を並べることではありません。
選手の身体に必要な刺激を、必要な順番で入れて、適応を引き出していくことです。
C-I Baseballが提供するトレーニング「BAXIS」とは
BAXISのコンセプトは、
野球のための土台・軸を作り選手の可能性を拓くトレーニングです。
野球選手に必要な身体づくりというと、球速を上げる、スイング速度を上げる、足を速くする、筋力をつける、といった要素がイメージされやすいと思います。
もちろん、それらは重要です。
しかし、育成年代においては、いきなり出力だけを追いかけるのではなく、その前提となる身体の土台を整える必要があります。
BAXISで大切にしているのは、以下の内容です。
身体を思い通りに動かす力。
支える力。
コントロールする力。
力を発揮する力。
野球動作へ力をつなげる力。
自分の身体を理解し、成長し続ける力。
BAXISは、野球のための身体づくりでありながら、選手の未来に残る身体づくりでもあります。
BAXIS プログラムの考え方①目的を決める
種目から考えないために、まず必要になるのが「目的を決めること」です。
ここでいう目的とは、単に「今日は下半身を鍛える」「今日は体幹をやる」ということではありません。
BAXISでは、プログラムを考えるときに、
年代ごとのゴール
月間テーマの目的
週間テーマ
今日のセッションで確認したいこと
を整理してから、トレーニング内容を決めていきます。
まず、年代ごとのゴールがあります。
小学校4〜5年生であれば、目指すのは「動ける身体」です。
この年代では、運動経験や多様性を増やしながら、身体を思い通りに動かす土台を作ります。
小学校6年生〜中学1年生では、「操れる身体」を目指します。
止まる、支える、崩れない、分けて使うといったControlの要素を厚くしていきます。
中学2〜3年生では、「発揮できる身体」を目指します。
支えながら力を出す、動作品質を保ったまま出力する、StrengthやPowerにつなげる段階です。
高校生以降では、「野球へ転移できる身体」を目指します。
投げる、打つ、走る、守るといった競技動作へ、身体機能をつなげていきます。
そして、その先には「自分で成長できる身体」があります。
自分の身体を評価し、課題を選び、実施し、再評価する。
このサイクルを選手自身が回せる状態を目指します。
つまり、同じトレーニングでも、年代によって目的が変わります。
小学生に行うスクワットと、中学生に行うスクワットと、高校生に行うスクワットでは、同じ種目名でも意味が違います。
小学生では、しゃがむ経験や身体操作が目的になるかもしれません。
中学生では、姿勢を崩さずに支えることが目的になるかもしれません。
高校生では、出力や競技動作への接続が目的になるかもしれません。
だから、まず年代ごとのゴールを確認します。
そのうえで、月間テーマの目的を決めます。
たとえば、BAXISでは月ごとに以下のようなテーマを設定しています。
ただし、ここでも大切なのは、月間テーマは「限定」ではなく「強調」だということです。
Movement の月だから、Movementだけを行うわけではありません。
Strengthの月だから、筋力トレーニングだけを行うわけでもありません。
月間テーマは、その月に何を強調するかを決めるものです。
その中でも、Move / Control / Develop / Transferは毎回入ります。
動きを獲得する。
動きを制御する。
能力を高める。
野球へつなげる。
この流れを消さずに、月間テーマによって比率を調整していきます。
たとえば、同じSupportの月でも、小学生であれば「いろいろな姿勢で支える経験」を増やすことが目的になります。
小学校6年生〜中学1年生であれば、「片脚支持や着地で崩れないこと」を重視します。
中学2〜3年生であれば、「支えた状態で力を出すこと」まで進めます。
高校生以降であれば、「支持能力を投球、打撃、走塁、守備のスピードへつなげること」が目的になります。
このように、月間テーマが同じでも、年代によって目的は変わります。
だから、BAXISでは以下を整理してから、種目を選びます。
「この種目をやりたい」ではなく、
「この年代の選手に、今どの能力を育てたいのか」。
ここを先に決めることが、プログラム作成のスタートです。
目的が決まるから、運動面の順番が決まります。
目的が決まるから、肢位の難易度が決まります。
目的が決まるから、筋収縮の進め方が決まります。
目的が決まるから、負荷を上げるべきか、戻るべきかを決めることができます。
つまり、プログラム設計は「種目選択」ではなく、「目的設定」から始まります。
年代別のプログラム構成
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