痛みがない選手の何を見る?-野球現場では「動作」から評価を始め

C-I Baseballの増田です。
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●今回のテーマは「痛みがない選手の評価」

野球現場で選手を見ていると、痛みがある選手だけでなく、痛みはないけれど投球に変化が出ている選手と関わることがあります。

「最近、少し投げにくそう」
「球速が落ちている」
「リリース位置が安定しない」
「投球数が増えるとフォームが崩れる」

このような選手を見たときに、何から評価を始めればよいのか悩むことがあります。
痛みがある選手であれば、痛みの部位や動作、圧痛、可動域、筋力など、症状を起点に評価を進めやすいと思います。

一方で、痛みがない選手では、一般的な機能評価を行っても大きな問題が見つからないことがあります。

肩関節の可動域もある。筋力も大きく落ちていない。
でも、実際に投げてもらうと、普段とは違う動きが見られることがあります。

そのため、痛みがない選手の評価では、機能評価に重点を置くのではなく
実際の投球を見ることが大切になります。

今回は、投球動作をどのように見ていくのかを解説していきたいと思います。

●痛みの有無で評価を変える

痛みがある場合は、病態・機能評価から始めます。

どの部位が痛いのか。どの動作で痛いのか。投球のどの局面で痛みが出るのか。

そこから病態を考え、必要な可動域、筋力、圧痛、スペシャルテストなどを選択していきます。

一方で、痛みがない選手では、実際の投球から評価を始めます。
まず投球を見て、普段と何が違うのかを分析します。

動作の変化が見られたら、その変化がどの局面から始まっているのかを確認します。そこから仮説を立て、必要な機能評価を選びます。

評価後は、もう一度投球を確認します。

機能評価で見つかった問題が、実際の投球動作とどのようにつながっているのか。介入後に、投球動作や本人の感覚が変化したのか。

痛みがない選手では、投球で何が変わっているのかを確認しながら評価を進めます。

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●病態ごとに確認する投球フェーズ

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理学療法士が投球動作を見るうえで、病態に関する知識は重要です。

肩や肘のどの組織に、どの局面で負荷がかかりやすいのかを理解していることで、確認する投球フェーズを絞りやすくなります。

例えば、
肩後方、関節唇、腱板筋の痛みなどを考える場合は、
肩関節外転・外旋位となる後期コッキングからMERの付近を確認します。

肘内側部や前腕、尺骨神経周辺を考える場合は、MERからリリースまでのフェーズを確認します。

肩後方や上腕部に張りが出ている場合は、リリース後の上肢や体幹の減速も確認します。

ただし、負荷が集中している局面だけを見るのではなく、その局面に入るまでの動きも確認します。

MERで肩や肘に大きな負荷がかかっていても、
実は、ストライド脚接地前の重心移動や、骨盤と胸郭の回旋タイミングが関係していることがあります。

●投球動作の確認のポイント
投球動作は「角度」ではなく「関係」で見る

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・理学療法士が現場で使える、動作分析の3つの視点

投球動作を見る3つの視点

①動く順序

1つ目は、何が先に動き、何が後から動いたのかを見ることです。

ここでいう順序は、単に「動き始めた順番」だけではありません。

どの部位が先に加速したのか。
どの部位が後から追いついたのか。
どこが先に減速し、どこがその部位を追い越したのか。

投球では、動き出す順番と同じくらい、減速する順番も重要です。

「下半身から上半身へ」という説明だけでは、投球の連続性を十分に表せません。

先に動いた部位が、ずっと動き続けるわけではないからです。

先行した部位が適切なタイミングで減速することで、その先にある部位が追い越し、最終的に手やボールの速度が高まっていきます。


②相対的な位置関係

2つ目は、何に対して、どの部位がどこにあるのかを見ることです。

骨盤に対する上胴。
上胴に対する肩甲帯。
肩甲帯に対する上腕。
上腕に対する前腕。

投球動作では、隣り合う部位との位置関係が連続的に変化します。

そのため、「肩が開いている」のように、ひとつの部位だけで表現しないようにしています。

同じ「肩が開いている」ように見える動作でも、

  • 骨盤に対して上胴が早く回っている
  • 上胴に対して上腕が前方へ移動している
  • 骨盤自体が回っていない
  • 身体全体が一塁側や三塁側へ流れている

など、起きていることは異なります。

何に対して位置が変わっているのかを確認することで、評価する部位も変わってきます。


③動く方向

3つ目は、その部位がどちらへ動いているのかを見ることです。

捕手方向なのか、投手方向なのか。
上方なのか、下方なのか。
一塁・三塁方向なのか。

また、水平面の回旋だけではなく、前額面や矢状面の動きも含めて整理します。

たとえば、投球時に「体幹が側屈している」と表現することがあります。

ただし、投手と捕手を結ぶラインの中で起きている側屈と、一塁側や三塁側へ身体が外れていく側屈では意味が違います。

関節運動の名前だけでなく、どの方向へ動いた結果、その形になったのかまで考える必要があります。


フェーズ1 KHPからSFCフェーズ

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KHPからSFCフェーズについて

骨盤が捕手方向へ進む一方で、体幹部は骨盤と完全に一緒には回りません。

骨盤が先に捕手方向へ進み、体幹部が骨盤に対して少し投手側へ残ることで、骨盤と体幹部の間に時間差が生まれます。

右投手の場合、接地へ近づくにつれて、骨盤は体幹部より先に捕手方向へ回旋します。

そのため、骨盤を基準にすると、体幹部は相対的に右回旋位になります。
ここで注意したいのは、胸郭が能動的に右回旋したと捉えないことです。

実際には、
骨盤が先に捕手方向へ回旋した結果、骨盤に対して体幹部が右回旋位になっていると考えます。

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