野球選手の腰痛治療を徹底解剖! 【Vol.4 腰椎分離症編】

はじめに

さて、今回のテーマは「腰椎分離症」です

成長期スポーツ選手の腰痛で必ず鑑別に挙げたい疾患ですが、病態や画像診断の詳細は成書に譲り、本noteでは現場で押さえておきたいポイントに絞って整理します。

今回のnoteでは、以下の内容を整理します。

  • 成長期の腰痛でまず分離症を疑うべき理由と、現場で確認したい問診・身体所見を整理します。
  • 骨癒合を妨げる因子を整理し、「骨癒合を目指すのか」「疼痛管理後の復帰を目指すのか」という治療方針の考え方につなげます。
  • 装具療法と運動療法を組み合わせて、骨折部を守りながら身体機能を落とさない保存療法を考えます。
  • 骨癒合後や競技復帰後に確認すべき身体機能、野球動作への落とし込み、再発予防のポイントを整理します。

解剖・病態

腰椎分離症とは、腰椎の上関節突起と下関節突起の間、いわゆるpars interarticularisに生じる疲労骨折です。

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では、どのような運動で
Pars(関節突起間部)への負荷が増えるかというと

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つまり
体幹伸展に加えて
右回旋→左のPars
左回旋→右のPars
となります。

投球動作の中ではどこで負荷が生じる?


胸郭に対して、骨盤が先行的に回旋していくフェーズである
ストライド脚接地→MERになります。

実際に投手では
非投球側に病変が多かったという報告もあります。

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腰椎分離症の保存療法は、ここ数年でどう変わってきたのか

腰椎分離症に対する保存療法は、ここ数年で考え方が少し変わってきています。

以前は
・競技を休止
・硬性コルセットで固定
・痛みや画像所見が落ち着いてからリハビリテーションを開始
このような流れが一般的でした。

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しかし近年は、病期を確認したうえで早期から段階的な運動療法を導入する方向へ研究の関心が移っています[5,7,19–21,24]。

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野球選手の腰痛治療を徹底解剖! 【Vol.2 腰椎椎間板・椎体終板変性編】

はじめに

アスリートが経験する腰痛は、大きく「前方要素」と「後方要素」の2つのタイプに分類されます。

前方要素の腰痛:椎体や椎間板(髄核、線維輪、椎体終板)などの障害

後方要素の腰痛:椎弓、棘突起、椎間関節などの障害

成長期のアスリートでは腰椎分離症に代表される後方要素の障害が多い一方で、成人アスリートの腰痛は椎間板や筋・軟部組織に起因するケースが大半を占めています。

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日本のプロ野球選手を対象とした研究によると

20代選手の腰痛原因

  • 椎間板ヘルニア:57%
  • 脊椎分離症:24%

30代選手の腰痛原因

  • 椎間板性腰痛:55%(最多)
  • 椎間板変性の発生率:91%
  • Modic変化やSchmorl結節も若手選手より有意に増加
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Morimoto M, Okada R, Sugiura K, et al. Low Back Pain and Lumbar Degeneration in Japanese Professional Baseball Players. Orthop J Sports Med. 2022;10(10):23259671221125510.

このデータから、大学以降の野球選手における腰痛では、椎間板性腰痛への対応が極めて重要であることが分かります。

本稿では、椎間板性腰痛について、解剖学的構造から病態メカニズム、そして実践的なリハビリテーションまで体系的に解説します。


特徴的な症状と身体所見

椎間板性腰痛には特有の症状パターンがあります

痛みの部位と特徴

  • 腰部正中の軸性腰痛(左右差が少ない)
  • 体幹前屈動作で増悪
  • 長時間の座位で増悪
  • 座位からの立ち上がり時に痛み
  • 臥位では症状が軽減

Lorio MP, Beall DP, Calodney AK, Lewandrowski KU, Block JE, Mekhail N. Defining the Patient with Lumbar Discogenic Pain: Real-World Implications for Diagnosis and Effective Clinical Management. J Pers Med. 2023;13(5):821.

さらに、アスリート特有の症状として、ランニングやジャンプなど「衝撃が加わる動作」で疼痛が増悪することも重要な所見です。

他の腰痛との鑑別ポイントとして
「椎間板性以外の要因を除外する」というが有効だと考えています。

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野球選手の腰痛治療を徹底解剖! 【Vol.1 総論・腰椎椎間板ヘルニア編】

今回は「野球選手の腰痛」がテーマです。

はじめに:野球選手×腰痛について

野球選手の悩み:肩・肘だけじゃない!腰痛も!

野球といえば
「肩関節」 「肘関節」
の障害に注目が集まりがちですが、実際には腰痛は肩・肘に次いで発生頻度が高い重要な障害です。

各年代の”腰部傷害”
の割合を見た報告をみると
高校~プロ野球レベルに至るまで、一定数生じていることがわかります。

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次に、”傷害”ではなく”腰痛”の報告を見てみると
その割合が大きくなってきます。

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小学生の”腰痛症状”で調査してみても
やはり5%程度は過去に腰痛を経験している選手が多いです。

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ほかのスポーツと比較し、大学生を対象とした研究では
各種スポーツの中でバレーボールに次いで、野球が腰痛発生率第2位

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Hangai M, Kaneoka K, Okubo Y, et al. Relationship between Low Back Pain and Competitive Sports Activities during Youth. Am J Sports Med. 2010;38(4):791-796.

これらの疫学が示すように、
野球選手は腰痛を一定数抱えていることがわかります。
よって、”野球選手の痛み”をサポートしていく上では
肩痛、肘痛に加えて、腰痛の理解も必要だと考えます。

さらに、休養を要するレベルではなく
「練習や試合は可能だが、腰が痛い」
このような選手は多くいるため、上記の報告以上に
野球選手は”腰痛”を抱えていると思います。

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野球選手の腰痛の多様性

選手からの訴え、多様であり以下のようなケースが多い

動作別の疼痛パターン
 「投げる時に痛い…」
 「打撃の時に痛い…」
 「走った後に痛い…」
 「捕球体制をとるときに痛い…」
 「ウェイトトレーニングのときに痛い…」

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これらの症状に対し、前屈・後屈・回旋動作を確認して以下のように分類するのが一般的によく行われるアプローチかと思います。

・屈曲型腰痛
・伸展型腰痛
・回旋型腰痛

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そして、これらの所見から機能改善を目的とした介入に落ち着くことが多いのではないでしょうか。

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このように運動時痛と身体機能から介入方法を決定していくことは重要です。

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このような”動作障害”から考えることに加えて

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これを「推測」
していくことが重要であると考えます。

なぜ、病態・疼痛の要因の推測が重要なのか

症状の発生源をある程度特定することが極めて重要です。
病態・疼痛の要因を推測することができると、治療方針がと決まってくるためです。

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