投球障害を足部から改善するための現場でできる距骨下関節インソールパッド編【トレーナーマニュアルvol.20】

インソールでできることは、疼痛軽減、消失、バランス能力向上、投球フォーム改善、動作改善など選手や患者さんが意識しないで変化させる事が可能なアプローチです。距骨下関節インソールのみなら、現場でも臨床でも短時間で行う事が可能 … 続きを読む

新チームで構成するトレーニングー野手のトレーニングを考える方法ー【トレーナーマニュアルvol.19】

C-I Baseballの増田稜輔です。
いつもトレーナーマニュアルをご購読頂きありがとうございます!

今月は「新チームでのトレーニング」をテーマに
CIB副代表・佐藤康氏とのともに【投手編】【野手編】の
2部編成でお伝えしていきます。

この記事では
【新チームで構成するトレーニングー野手編ー】について解説していきます。

投手のトレーニング内容については
こちらをご覧ください!!

みなさんは「新チーム発足」がいつの時期かご存知でしょうか?
野球の年間スケジュールを考えると4月に発足ではない場合がほとんどです。
「新チーム発足」はカテゴリーによって異なります。
学生野球であれば学年が上がる4月にはチームとして成熟している必要があります。

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どのカテゴリーにおいても4月が「新チーム発足」ではなく
主要としている大会後に発足します。
すなわち4月から年間スケジュールを立てるのではなく
「新チーム発足」後に年間スケジュール・トレーニングプログラムを作成する必要があります。

今回は年間スケジュールがイメージしやすい
【高校野球の新チームトレーニング】をテーマに話を進めていきます。

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高校野球では、夏の選手権大会後の7月〜8月に【新チーム発足】します。
この時期は年間スケジュールで考えると【試合期】に相当し
実践機会が多い時期となります。
新チーム発足後すぐに秋季大会や新人戦があり、トレーニングよりも
実践練習に重きが置かれる時期になります。


高校生の場合では、【新チーム発足】後すぐにトレーニングプログラムを
作成し、内容を切り替えるよりも
7〜9月の試合期の場合は、前チームから行っているプログラムを引き続き継続しパフォーマンスを維持していくことになります。

そのため、
【新チームのトレーニングプログラム】は
秋季大会終了後の10月から開始することが多いです。

今回は新チームに対する
野手のトレーニングプログラムの構成方法をお伝えしていきます。

新チームのトレーニングプログラムを考える

新チーム発足後、トレーニングプログラムの構成する前に
確認しておくべきことが何点かあります。

スクリーンショット 2021-09-27 1.52.22

チーム目標 方向性の確認

第一に考えるのが【チームの目標】がどこに設定されているかです。

チーム目標
・1回戦突破
・ベスト8
・全国大会出場
・全国優勝

それぞれのチームで目指す目標は異なると思いますが
目標がない状態ではトレーニングプログラムを構成することは出来ないです。

次に考えるのは【チームの方向性】です。
どんな野球のスタイルで目標に向かうのか?
これによっても、トレーニングプログラムを変更する必要があります。

例えば
【打ち勝つ野球】を目指すチームなら
打撃を中心にチーム作りをおこなっていくと思います。
なので、トレーニングの比率もアジリティなどのメニューよりも
短時間で筋発揮するためのパワーメニューが重き置く。

このように、目指すチーム像によっても
何を中心としてトレーニングを行っていくが変わります。

チームの目標や方向性が決定したら
【いつまでに達成するか】を考えていきます。


・チーム目標
全国大会出場
・チームの方向性
打ち勝つ野球
目標達成時期が
春の全国大会なのか?夏の全国大会なのか?
目標達成時期を明確にしていきます。

ここまでの、目標や方向性はトレーナーが決めるのでなく
チーム指導者、選手を意見交換し決定していきます。
そのため、チームとのコミュニケーションが非常に重要になってきます。

選手の能力の把握


対象となる選手・チームの現状どのくらいの能力があるかを把握していきます。今回は【野手】に特化して考えていきます。

野手のパフォーマンス要素

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野手のパフォーマンス要素は
バッティング、走塁、守備の3つです。
この3つのパフォーマンスは
筋力、パワー、スピード、アジリティ、可動性の5つの要素から構成されます。

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選手の状態を把握する方法

選手の状態を把握するには前述した5つの要素を数値化して判断していきます。
そのためには【フィジカルチェック】を行っていきます。

フィジカルチェックとは?
選手一人ひとりの各関節の可動域・柔軟性や全身の各部位の筋力を計測・評価し、それをもとにケガの予防・パフォーマンスの向上を目指すためのプログラムを構成するための方法論となるものです。

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筋力の測定

筋力の測定では主にBIG3での最大筋力を測定していきます。

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新チームで構成するトレーニング‐投手編‐【トレーナーマニュアルvol.18】

C-I Baseballの現場編を担当する佐藤康です。
今月のトレーナーマニュアル現場編では
「新チームでのトレーニング」
CIB代表・増田稜輔氏との2部編成でお伝えしていきます。

私の前回のnote(8月配信)では「夏休み時期のトレーニングプログラム」と題し、大会期間までの限られた時間でどのような関りをしていくのかについてお伝えしてきました。

9月のこの時期は中学・高校生では
新人戦が開催されることが多いのではないでしょうか。

また、新人戦敗退後は
・来年春まで大きな大会がない
・週末に練習試合がある
⇒大会出場メンバー以外の選手も試合に出る機会が増える

など、多くの選手が実践機会が増えていく時期であると思います。

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そのため、実践機会が増える
+来年春・夏までのカラダをつくることが求められてきます。

今回、私は投手編として内容をまとめていきます。

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新チームで考えるピリオダイゼーション

はじめに、トレーニングの実際の方法を解説していく前に、トレーニングを構成する計画についてまとめていきます。

|ピリオダイゼーション
スポーツ選手が、1年のうちで最も重要な試合に、コンディションをピークの状態で望むために、トレーニングの内容を変化させること

上記にあるように、ピリオダイゼーションとは最も重要となる試合(ピーク)に対して競技の日程を見据えたトレーニングのプログラム方法をいいます。

つまり、年間を一つの周期として、サイクルの中で期分けをしていきます。
主に学生野球では、図のように4~10月が大会期・試合期であり、12月~2月はトレーニングを強化していく期間、その他間の期間は移行期となります。

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これらをもとに現在の期間と目標設定をしていきます。

まず、年間のゴールを
最後の夏季大会(中学であれば総体、高校であれば選手権大会)とします。

その中で、
「現在がどの期間にあたるのか。」
「年間の目指す目標に対して現在の位置に何を目指していくのか」
について考えていきます。

詳細はコチラ

https://note.com/embed/notes/nb0338ee05cf5

では9月はどのような期間でしょうか。
9月は7,8月から新チームが開始し、大会までの短期間のため、実践練習が中心となり、トレーニングに割ける時間は多くなく、コンディションメニューが中心であるところが多いかと思います。

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そのため、教科書的には1年間を1周期としてサイクルを構成していきますが、実際の関わりでは年間にある3大会をそれぞれピークとして考えています。

これらは大会前の状況がすべて異なり、
その時期・状況に応じた対応が求められます。

<中・高生の学生野球の例>
夏季大会で最上級生が卒業し、下級生のチームとなる初の大会
→秋季・新人大会
冬の準備期を経て、カラダの大きさにも変化のある
→春季の大会
年間の集大成である
→夏季大会・総体

中学野球のためのピーキング

▶高校野球のためのピーキング

▶大学野球のためのピーキング

トレーニングを組み立てる前に

先述したピリオダイゼーションやトレーニングの具体的なメニューを考えていく上で、「目標設定」がポイントになります。

なにを目標にするか?
目指す投手像とは?

これを新チームのテーマとすることで
具体的なメニューの指針となります。

チームの大会での勝利を目指す上で、
勝てる投手にするためには、何が必要でしょうか?

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上記の他、スタミナや球速、コントロール(制球力)などの
要素が挙がってくると思います。

では、これらのパフォーマンスに
必要な要素はなにが挙げられるでしょうか?

トレーニングを構成する体力特性

トレーニングを計画する前に、
その選手・チームが
「どんな要素が弱いのか」
「トレーニングにはどんな要素があるのか」

を整理しておく必要があります。

ここが抜けてしまうと、感覚的なメニュー計画・構成になってしまい、自分に合ったトレーニングかどうかの判定がわからなくなってしまいます。

また、ありふれたトレーニング内容の中からなにをピックアップすべきか?トレーニングの本質を理解せずに、「プロ選手が最近やっているから、取り入れている」などということも生まれてしまい、実際その選手にとって過負荷となり、ケガをきたす可能性があるかもしれません。

そのため、まず基礎的なところから整理します。

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投球障害肩の評価-肩甲上腕関節編-【トレーナーマニュアルvol.17】

C-I Baseballの小林弘幸です。

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元NPBチームドクターのスポーツDrと一緒にエコーを用いて、
選手の病態を理解し障害の原因追及、症状改善を大切にしています。

投球障害肩の原因は多岐にわたり、非常に難しいです。

しかし、皆様に少しでも自分の考えを共有していただき、
ご意見をいただきながら、現場の選手に少しでも還元できたら
うれしく思います!

CIB第2期で小林が担当する、臨床編の記事(予定)です↓↓↓

①投球障害肩の問診と動作観察
②投球障害肩の評価 -肩甲胸郭関節-
③投球障害肩の評価 -肩甲上腕関節-(今回)
④投球障害肩の評価 -その他の部位-
⑤投球障害肩の治療 -徒手療法-
⑥投球障害肩の治療 -運動療法-

これらの記事を通じて、
私の臨床での考え方、思考過程を共有させていただき、
様々なご意見をいただけたらと思います!

投球障害肩の評価 -肩甲上腕関節-

はじめに

投球障害肩において、評価は非常に重要です。

投球障害肩に向き合うときの考え方や概論については前回のnoteにて記載しました。

また、治療ターゲットにするのを
肩甲胸郭関節にするのか、肩甲上腕関節にするのかの
判別についてと、
肩甲胸郭関節の評価について記載しました。

今回は、
前回の3方向SATで肩甲胸郭関節の問題点が少ないと考えられた選手に対して、どのような評価をしていくのかを
記載していきたいと思います。

図3

3方向SATを簡単に述べると、
3方向SATを用いて、痛みが軽減すれば、
肩甲胸郭関節の動きが問題。

痛みが変化なかったり、増加したら
肩甲上腕関節の動きが問題と考えています。

図2

野球選手は、普通の肩関節痛や肩関節周囲炎の患者とは異なり、
はっきりとした可動域制限や筋力低下が見受けられることが少ないです。

その制限を見逃さずに評価していくことが大切だと思います。

評価の手順

肩甲上腕関節(GH)の評価の手順は、
・ROM-t
・MMT
を評価していきます。

もちろん、
GHの可動域制限には過負荷となる問題もありますが、
まずは今のGHの状態を確認することが大切です。

GH評価の手順は下記に示します。

【座位ROM-t】
・肩関節自動屈曲(全体像把握)
・肩関節自動外転(全体像把握)
・肩関節他動屈曲(全体像把握)
・肩関節他動外転(全体像把握)
・LHT-test(肘屈曲位で外転。三頭筋長頭腱の制限あるか)
・結滞(棘下筋)

【座位MMT】
・Full can test(棘上筋)
・Empty can test(棘上・棘下筋)
・ISP test(棘下筋)
・Belly press test(肩甲下筋上部)
・Bear hug test(肩甲下筋下部)
・Hornblower test(小円筋)
※出力低下や疼痛があるような症例に関しては、肩甲骨固定下でのMMTを再評価
・Zero外旋、Zeroリリース(統合評価)

【背臥位ROM-t】
・1/2内旋(GH後方筋全体)
・1/2外旋(GH前方筋全体)
・1st 外旋(GH前上方:CHL)
・GH 内転(棘上筋)
・2nd 内旋(GH後下方:棘下筋)
・2nd 外旋(GH前下方:肩甲下筋)
・3rd 内旋(小円筋)
・3rd 外旋(大円筋)
・CAT(GH下方)
・HFT(GH後方)

ほぼルーティンで上記の評価を一通り行い、
GH機能の精査をしていきます。

比較対象は、左右の肩で行います。

毎回同じ評価を行うことで、選手同士の比較もできますし、
選手の経過も把握しやすくなると思います。

図4

それでは、これから
上記評価の一つずつを実際の評価動画とともに解説していこうと思います。

評価の解説

まずは、座位での評価をします。

座位ROM-t

立位で行うと、下肢の影響が含まれてしまうので、
まずは座位で下肢の影響を除いた状態で評価します。

・肩関節自動屈曲(全体像把握)
・肩関節自動外転(全体像把握)
・肩関節他動屈曲(全体像把握)
・肩関節他動外転(全体像把握)
・LHT-test(肘屈曲位で外転。三頭筋長頭腱の制限あるか)
・結滞(棘下筋)

全体像把握

まず、肩関節全体での屈曲や外転動作を見ていきます。

Early Cockingでの疼痛、主に上方の疼痛に関しては、
外転制限があることをよく経験します。

図5

Activeでの動きは自分で動かせる能力、
Passiveでの動きは関節の機能。

Activeでは動かせるが、Passiveでは制限があるという選手も
多くいます。そのような症例は肩甲帯や他の部位で代償していると考えられます。

また、
その際の肩甲骨の動きを評価します。

肩甲骨運動評価

肩甲骨の動きの左右差は特に最終域で見られることが多いです。

最後まで、手で触りながら確認します。

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チームトレーナーの活動(中学野球)【トレーナーマニュアルvol.16】

C-I Baseballスタッフの高橋塁です。

前回は『チームトレーナー活動:学童野球』についてお話しましたが、今回は、私が実際に現在活動している『チームトレーナー活動:中学野球』についてお伝えしていきます。

まずは、私の自己紹介から。

高橋塁プロフ写真①

過去、私は香川オリーブガイナーズ(独立リーグ)、横浜DeNAベイスターズ(NPB)の専属トレーナーの経験もあり、現在は、学童野球にはじまり、中学硬式、高校野球、大学野球のチームトレーナーを務めています。

このような経験から各年代ごとのトレーナーとしての関わり方について、シリーズとして紹介していきたいと思います。

 私がどの年代の選手に対して、プロ野球選手と接してきたように、各年代のアマチュア選手にも同じように接しているわけでもありませんし、各年代でいろいろとアプローチを変えていっています。

 今回は中学生を対象としたトレーナーとしての関わり方を紹介していきたいと思います。

前回は、学童野球(小学生)を対象としてトレーナー活動についてお話しました。

中学野球に対してアプローチしていく前に、年間の『ピリオダイゼーション』については、トレーナーの立場として監督、コーチと常に協議していく必要性があります。

中学生の『ピリオダイゼーション』については、こちらをご参照ください。

前回もお伝えしましたが、未成年世代へのアプローチとして、まず、理解しておくべきことは

『スキャンモンの発達曲線』

です。

スキャンモン

『スキャンモンの発達曲線』を念頭に、未成年世代には、その年代に適したトレーニングデザインを行っていくことが重要となります。

ゴールデンエイジ理論

それぞれの期間に伸ばすべき身体能力を示したものです。

『ゴールデンエイジ』は小学5~6年(10~12歳)と言われていますが、中学生年代は『ポストゴールデンエイジ』と言われています。

ゴールデンエイジ理論

ポストゴールデンエイジ(12~14歳)

技術のレベルを維持し、さらに磨きをかける時期になります。

神経系がほぼ完成し、技術習得の速度が鈍るので、これまで習得した技術のレベル維持と質的向上を図ります。

思考力や精神力、集中力を高め、考えた動作を促す。

復習にはなりますが、『プレゴールデンエイジ』と『ゴールデンエイジ』については下記を参照ください。

プレゴールデンエイジ(5~8歳)

動作の基本と感覚を身につける時期。

脳や神経の発達が著しい時期。バランスや調整力、動体視力なども養われる。

多種多様な遊びやスポーツによって、さまざまな動作を経験させることがよい。

ゴールデンエイジ(9~11歳)


運動の技術とセンスを習得する時期。

運動能力が最も大きく伸びる時期。

基本動作の習得や基礎体力の向上に適している。神経系が発達しているので動作の習得が早い。

ウォームアップ等の中に『アジリティトレーニング』等を積極的に導入してみてください。

中学生にトレーニングで求めるフィジカル要素

『スキャンモンの曲線』はじめ諸々の理論を理解しながら、成長期の選手にはカラダの成長の特徴に応じたトレーニングデザインが求められます。

コーディネーション理論

12歳ころまで(小学校6年生)に神経系の発達が完了するといわれています。

12歳以降は「筋の発達」・「心肺持久力」の能力向上にターゲットを当てたフィジカルメニューが必要となってきます。

12歳までに『神経系の発達』にターゲットを置いてトレーニングが行われてきたと仮定して、『筋の発達』・『心肺持久力』のアプローチについて考えていきます。

ただ、強い負荷を与えた筋力トレーニングをしてしまうと骨成長の発達の著しい成長期に骨格の成長を妨げてしまう恐れがありますので、注意が必要です。


学童期、中学生の時期は、生理学的にも筋力トレーニングが効果を表さない傾向があり、成長を促すホルモンが筋力を増やすよりも身長を伸ばす方向に使われやすい傾向があると言われています。

つまり、小中学生には必要以上に筋肉をつけさせることなく、高校生になって骨格が出来上がった体に筋肉をつけさせることが望ましいといえます。

ただ、成長の度合いもありますが、高校生に向けて、中学3年生程度になれば、自重トレーニング程度は検討していきます。

特に、中学生世代は

・骨成長を阻害しないための筋の柔軟性
・動きを調整するコーディネーション能力
・体力の基盤となる心肺持久力


上記、3点についてアプローチしていきます。

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投球障害肘改善のための前腕回旋機能評価とアプローチ【トレーナーマニュアルvol.15】

C-I Baseballで投球障害肘についての記事を担当させていただいている新海 貴史です。

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普段は整形外科病院で投球障害の選手のリハビリテーションを行い、競技復帰をサポートしております。現場での帯同は行っておりませんが、臨床目線でお話させていただければと思います。

Twitterでも臨床目線で発信をしていますのでフォローしていただけると嬉しいです!🔽

2021年度のC-I Baseballが発信する「トレーナーマニュアル」では、
野球のケガに関わる専門家向けの臨床編
選手のパフォーマンスに関わる現場編について配信していきます。

今回は臨床編として”投球障害肘改善のための前腕回旋機能評価とアプローチ”について私なりの意見も含めながら説明させていただきます。

少々長くなりますが最後までお読みいただけると幸いです。

はじめに

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前回の私のnoteでは”投球障害肘改善のための肘伸展機能の評価とアプローチ”ということで主に肘関節の伸展制限についての説明をさせていただきました。

今回は前腕の回旋機能、すなわち前腕回内・回外の運動になります。

投球動作は開始から終了までが約2〜3秒という短い時間の中で起こる運動であり、下肢から生じた力を体幹、上肢へタイミングよく伝達し、上肢末端部の運動速度を加算しながら最終的に指先▶︎ボールへ力を伝える運動になります。

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ボールを加速させる際、各関節において肩関節は外旋から内旋、肘関節は屈曲から伸展、前腕は回外から回内、手関節は背屈から掌屈および撓屈から尺屈、手指は伸展から屈曲運動が生じます。

各関節が十分な柔軟性や筋出力などの機能を持つだけではなくそれらがタイミングよく連鎖することで力強く微細な”投球動作”が遂行されると考えます。

前腕回旋機能と投球動作

前腕回内外運動に伴い、腕尺関節腕橈関節近位橈尺関節遠位橈尺関節で関節運動が生じます。この様に多くの関節が関わる前腕運動が破綻することによって、肘関節周囲へのメカニカルストレスが増大します。

また前腕運動が破綻することにより、肘関節から手指への運動連鎖がスムーズに行われなくなり、ボールへのエネルギー伝達不良が生じます。

また投球時における肘外反ストレスに対する動的制動機能として前腕回内屈筋群の機能が重要であることは多くの研究や文献でも報告されています。繰り返される投球の負荷の中で前腕筋群は酷使され、タイトネスや滑走不全が生じていきます。

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テイクバック

前腕回内の可動域制限があるとテイクバックで肩関節の過剰な内旋運動を引き起こす可能性があります。肩関節の過剰な内旋運動が生じた状態で外転運動を行うことで肩峰下インピンジメントのような肩障害を惹起する危険性がありますので、前腕回内可動域制限の有無をチェックすることが重要です。

また肩が過剰に内旋位になると肩関節が外転しにくくなります。テイクバックで肩の過剰な内旋が生じることは肘が十分上がらない選手の多くに存在する問題になります。

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肘が上がりきらない状態でLate cockingを迎えれば肘関節外反ストレスも増大してしまい、投球障害肘に繋がります。

このように前腕の可動域制限は肩関節の障害にも肘関節の障害にも影響する可能性があります。

アクセラレーション〜ボールリリース

リリース直前の前腕回内運動は肘関節障害に影響を与えます。

ボールリリースにかけての肘関節伸展運動に対する前腕回内運動のタイミングが遅延すると尺側手根屈筋が肘関節内側の動的支持機構として機能しやすくなると考えられます。

前腕回内運動のタイミングが適切であれば前腕屈筋のほとんどが動的支持機構として機能しますが尺側手根屈筋は肘外反ストレスへの寄与が小さいため回内運動の遅延により肘関節内側に大きな外反ストレスがかかることに繋がります。

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また回内の遅延が生じることにより手首が寝やすくなりボールの指へのかかりや回転軸にも影響が及ぶと考えます。

前腕の回内外の機能評価

前腕の回内・回外運動は橈骨が尺骨の周りを回転する運動で、回旋軸は手関節の尺骨頭と肘の橈骨頭を結んだ直線になります。日本整形外科学会が定める参考可動域は肘関節90°で計測を行い、回内・回外ともに90°とされています。

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日本整形外科学会の測定方法では移動軸が”手指を伸展した手掌面”となっていますが手掌面で可動域を評価した場合、手関節や手根骨の回旋の可動域も含まれてしまうため注意が必要です。

静的なアライメントとしてそもそも前腕に対して手掌面が歪んでいたり、捻れているケースもあります。捻れがある場合、手掌面での可動域評価はそもそも正確な前腕の可動域を評価できていないという事を認識することが大切です。正確に前腕の回旋可動域を評価する際には、まず最初に前腕に対して手部がどのような位置にあるのかを捉えることが重要となります。

あくまで見たいのは前腕の動きであり、その動きを分かりやすい部分である”手掌面の向き”で抽出しているだけなのです。

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回内外可動域評価

可動域評価の際は、橈骨・尺骨遠位を指で押さえて”前腕”の骨がどのくらい回旋するのかを見ていきます。その際、セラピストの母指球を選手の母指球と小指球に当てて、前腕と手の回旋度合いを感じ取るようにします。

*下の画像は回外時の持ち方です。

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前腕の回旋可動域を確認したら、橈骨骨体の動きの評価に移ります。

橈骨頭の軸回転によって、橈骨骨体は尺骨上を周回するように移動します。橈骨骨体の湾曲形状(クランク形状)は尺骨との衝突を避けるのに役立っています。

橈骨近位部を把持して、回内外の動きに追従して生じる橈骨の運動を触知します。動きが大きく捉えやすいのは遠位部ですが、遠位部に対して近位部がしっかりと追従して動いてくるのかを確認していきます。

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次の項目で説明をしていきますが、内側をM:Medial、外側をL:Lateral、背側(後方)をP:Posterior、掌側(前側)をA:Anteriorで記載します。

回内運動

POINT

・前腕遠位部を把持して回内方向の可動性を評価

・橈骨近位部を把持して橈骨骨体のL➡︎M方向の可動性とP➡︎A方向の可動性を確認

・前腕の近位部と遠位部を把持してどちらもしっかりと動いているかを確認

・左右差をチェック

回外運動

POINT

・前腕を把持して回外方向の可動性を評価

・橈骨近位部を把持して橈骨骨体のM➡︎L方向の可動性とA➡︎P方向の可動性を確認

・前腕の近位部と遠位部を把持してどちらもしっかりと動いているかを確認

・左右差をチェック

⚠️回内外の可動性を見る時には肘が内側や外側に動いてくる(肩関節内転・外 転)代償を見逃さないようにしましょう。

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足趾評価・テーピング・アプローチ【トレーナーマニュアルvol.14】

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C-I Baseballの須藤慶士です。

6月になりC-I Baseballも2年目を迎えることができました!
今年のC-I Baseballが発信する「トレーナーマニュアル」では、野球のケガに関わる専門家向けの臨床編と選手のパフォーマンスに関わる現場編について配信していきます。
今期はスタッフを増員し、さらにパワーアップした情報を配信していきますので、引き続き、ご参考いただけたらと思います。
これまで多くの方にご購読頂き大変感謝しています。
2021年「トレーナーマニュアル」もぜひご活用ください!

野球トレーナーマニュアル|C-I baseball|note【C-I Baseballトレーナーのトレーナーマニュアル】 投球障害肩・肘、腰痛、捻挫、肉離れ、下肢障害など野球におけるnote.com

臨床編は『肩』『肘』『足』を配信してまいります。

『肩』小林弘幸さん

『肘』新海貴史さん

『足』須藤慶士

半年かけてnoteを読むことでインソールができるようになるようになります!

6月:距骨下関節評価・アプローチ・テーピング

7月:横足根関節評価・アプローチ・テーピング


8月:足趾評価・アプローチ・テーピング
10月:距骨下関節インソール
11月:横足根関節インソール 
12月:距骨下関節〜足趾インソール

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はじめに

足趾は姿勢制御や、蹴り出し・踏ん張りなどの役割があります。

歩行やランニング・ダッシュでは蹴り出し時、足趾が使えないと同側の下肢は前に出しにくくなります。
つまづきやすい方は足趾が使えていない事が考えられます。

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さらに足趾が使えないと腰痛になりやすいと言われています。


テレビでは『浮きゆび』といわれてピックアップされています。
足趾と腰痛の関係性は論文・研究で多く見られます。

趾を使うということは日常生活でもプレーをする上でもとても大事なことです。

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内在筋である短母指屈筋,短指屈筋は,歩行周期の40~60%,つ まり立脚終期中盤から前遊脚期に活動することが示されている。これらのことから足指把持力に 関与する筋群は,姿勢制御の役割を果たしていること が伺える。

相馬 正之:歩行時の Toe clearance と足趾把持力について ―転倒予防の観点から―
Toe clearance and toe gripping strength in walking ― a study for fall prevention ―
Japanese Journal of Health Promotion and Physical Therapy Vol.6. 2016;No.1: 1-7

歩行時では、足趾の屈筋群である長母趾屈筋、長趾屈筋、短母指屈筋,短指屈筋はMSt以降に筋活動が見られます。

野球の場面ではMSt以降足趾が働かないと支持脚の不安定性や、蹴り出しが低下し、動く・止まる・切り返しなどプレーに影響が出る事が考えられます。

足趾機能の低下はパフォーマンス低下やシンスプリントなどの障害にもつながります。

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今回は足趾が使えているかのセルフチェックとセラピストが行う評価、テーピング、アプローチをご紹介致します。

評価

前後重心移動セルフ評価

立位で行います。どのくらい前方・後方に重心移動できるかを確認します。
足趾が使えないと前後に重心移動する際、移動量低下・代償動作が見られます。

前方シフトチェック

静止立位から前傾し、重心を前に移動します。

頭の先から足関節まで一本の棒のイメージで前傾を行います。

注意点

踵を浮かさない(足底全面接地)
股関節を屈曲しない
体幹屈曲しない
上肢でバランスをとらない

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後方シフトチェック


静止立位から後傾し、重心を後方移動します。

前方シフトと同様の姿勢で行い後傾します。

注意点

つま先を浮かさない(足底全面接地)
股関節伸展しない
体幹伸展しない
上肢でバランスをとらない

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母趾or4•5趾 優位チェック

どの趾が使いやすいのか?

趾の使い方はその足(下腿捻転)により異なります。例えば、内捻傾向の下腿と足部は母趾ではなく、4・5趾での蹴り出しの方がその身体の使い方にはフィットします。その特徴を把握するために優位チェックを行います。

方法
立位でToe-in、Toe-outで行います。
つま先の向きを変えて行う以外は、前方シフトチェックの注意事項と同じです。

Toe-inでの前方移動で4•5趾が使えて踏ん張れる場合は
⇨ 4•5趾が優位( 4•5趾蹴り出し)

Toe-outでの前方移動で母趾が使えて踏ん張れる場合は
⇨ 母趾が優位( 母趾蹴り出し)

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下腿捻転でも評価することができます。

距骨下関節指標中間位評価で使用した評価を用います。

まず選手に長座位または仰向きになってもらいます。(脱力できる姿勢)
膝蓋骨を正面に向けます。(膝蓋骨を正面に向けた肢位が膝関節正面)
下腿の捻転を見ながら、足尖の向きを決め足尖の方向から足部を見ます。(足尖は踵と第2趾を結んだ線)

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1列評価

列の評価は挙上・下制の動きから判断します。挙上・下制の可動域は、同じ量動くと正常です。

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評価はどちらが動きやすいのか(動きすぎるのか)を見ていきます。

同じ量動く事で接地から蹴り出しまで母趾が機能してきます。挙上・下制のどちらかの可動域が大きくなると母趾の屈曲が機能しなくなり蹴り出しが低下します。

1列挙上
MSt〜母趾荷重になり重心の前方移動を抑制する(遅らせる)

1列下制
MSt〜母趾球荷重になり重心の前方移動を促す(早める)

挙上位(挙上>下制)の場合の考え方
MSt〜母趾荷重になり重心の前方移動が抑制されているので、立脚中期は安定する事が考えられます。
しかし、蹴り出しが遅れる事が予測されます。

下制位(下制>挙上)の場合の考え方
MSt〜母趾球荷重になり重心の前方移動が促されるので、蹴り出しは行いやすい事が考えられます。
しかし、下制が強い場合はMStで急激に重心が前方移動するため、立脚中期は足趾が効きにくくなり不安定になる事が予測されます。

1列可動性

評価方法
①距骨下関節指標中間位を評価
②前足部の肢位を確認
③2•3•4趾MP関節をセラピストが指で挟み固定する
④母趾MP関節を挙上・下制し評価

判定基準
大きく動くのはどちらなのか?(挙上or下制)
動いた方向を記載しておく
例)評価:挙上>下制 ⇨ 1列挙上位

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距骨下関節回内位にしてしまうと列の可動性が増大し正しい列の評価ができなくなります。

足趾評価の際は距骨下関節指標中間位を評価して、その肢位を固定しながら行うようにします。

固定のポイント
2・3・4を固定している手で距骨下関節指標中間位を固定
(前足部を固定するだけでも後足部はある程度抑えられる)

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5列評価

歩行時MSt後半から足圧中心が外側に向かう際に、4・5趾(小趾)が使えることが重要です。

扁平足や・変形性膝関節症の歩行では足圧中心が内側に移動しやすい傾向にあります。
4・5趾が働かないと骨盤のスウェーや膝のスラストにつながり疼痛を引き起こします。さらに体幹も動揺し不安定になります。

挙上位(挙上>下制)の場合の考え方
MSt〜小趾荷重になり重心の前方移動が抑制されているので、立脚中期は安定する事が考えられます。
しかし、TSt〜足底内側への重心移動が早まり小趾への荷重量軽減し蹴り出しが不安定になる事が予測されます。

下制位(下制>挙上)の場合の考え方
MSt〜小趾球荷重になり重心の前方移動が促されるので、蹴り出しは行いやすい事が考えられます。
しかし、下制が強い場合はMStで急激に重心が前方移動するため、立脚中期は足趾が効きにくくなり不安定になる事が予測されます。

方法
①距骨下関節指標中間位を評価
②前足部の肢位を確認
③2•3•4趾MP関節をセラピストが指で挟み固定する
④5趾MP関節を挙上・下制し評価

判定基準
大きく動くのはどちらなのか?(挙上or下制)
動いた方向を記載しておく
例)評価:挙上>下制 ⇨ 1列挙上位

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小趾外転筋評価

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熱中症対応ートレーナーに必要な基礎知識ー【トレーナーマニュアルvol.13】

C-I Baseballの増田稜輔です。
8月も後半に入りましたがまだまだ暑い日が続きます。

夏の時期のトレーニングや練習では熱中症にリスクが非常に高いです。
みなさんも、テレビで試合中継を見ている時に
足を攣っている投手を見て【熱中症かな?】と思ったことがあると思います。

もし、自分自身がトレーナーとしてグラウンド内で
熱中症の選手に遭遇したらどんな対応をしますか?
・冷やす?
・医療機関への受診は必要?
・翌日は練習していいの?

今回のテーマ【熱中症】
熱中症の基本的な知識から野球現場での対応・メニューの考え方を
まとめて解説していきます!

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熱中症の基礎知識

新型コロナウイルスの影響により、夏の暑い日でも
試合中のベンチ内ではマスク着用等の対応が必須となっています。

炎天下での長時間の練習やマスク着用の影響により
選手の「熱中症リスク」が高まっています。
「熱中症」といっても、
・ちょっと休憩すれば治る
・首元や脇の下、足の付け根を冷やせばいい
等の比較的安易に捉えがちですが
「熱中症」が重篤化するケースやその後の競技パフォーマンスレベルに影響する可能性があります。

野球現場に帯同するトレーナーとして最低限の知識は身につけましょう!

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人の体温と運動

熱中症の話の前に運動中に人の身体で起こる体温の変化について解説していきます。

体温について

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体温といっても計る部位や環境によっても変化します。
核心温度:脳や心臓などの深部の温度 環境温度の影響を受けない
     常に一定を保つ
外殻(がいかく)温度:体表の温度 環境温度に影響する
          核心温度を一定に保つために変化する

上記の2種類の体温は視床下部で一定に保つようにコントロールされています。

体温調節について


人の体温は熱産生と熱放散によってバランスを取っています。

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熱産生:基礎代謝熱 筋活動による熱産生 ホルモンによる熱産生促進
熱放散:放射 伝導 対流 蒸発

熱産生が熱放散を上回った場合は身体に熱が蓄積し体温が上昇
逆に熱放散が大きくなった場合は体温が低下します。
これは、環境温と皮膚温の差や運動強度によって変化します。

夏の運動と体温の変化

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外気温が35℃を超える環境下での運動では
皮膚温度よりも外気温が高くなるため
放射、伝導、対流といった熱放散機能が使えなくなり
汗の蒸発のみで体温をコントロールするため、身体に熱が籠もり体温が上昇します。

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汗の蒸発は外気温の影響は受けないですが
日本の夏のように湿度が高い状態や水分摂取が十分でない場合には
汗の蒸発が制限されます。
これがいわゆる「熱中症」の発生機序です。

運動パフォーマンスと体温

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体温の上昇に伴い筋温も上昇します。
筋温の上昇は運動パフォーマンスを上げるためには必要です。

〈筋温上昇に伴う身体メカニズム〉
神経伝達速度の向上
筋血流量の増加
筋の粘性抵抗の低下など

しかし、これには最適な温度が存在します。
すなわち高ければパフォーマンスが上げるわけではないです。

熱中症の種類と対応方法

「熱中症」と一括にされて表現されることが多いですが
「熱中症」には複数種類があり、それぞれの症状によって対応が異なります。
トレーナーとしては、選手の状態を把握し症状に合わせて対応していく必要があります。

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夏休み時期のトレーニングプログラム【トレーナーマニュアルvol.12】

C-I Baseballの佐藤康です。
8月の現場編noteでは
「夏休み時期に構成するトレーニング」をお伝えしていきます。

夏休み期間は中学野球の練習では夏の総体が終了し、高校生では選手権大会の敗退により最上級生が引退し、新チームの発足として代が変わってくるタイミングであると思います。

そのため、およそ40日間ほどある中で9月からの大会(新人戦・秋季大会)に新チームとしてコンディションを高めていく必要があります。

練習時間も限られている中で、
どのように練習・トレーニングメニューを設定していくべきでしょうか

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トレーニングメニューを立案していく上で、現場からのニーズに加えて、
まず新チームに求めらることをリストアップしていきます。

試合でパフォーマンスを発揮できるための体力・持久力
チームの協調性
自己管理・コンディショニング方法

今回は私が担当している中学生に
実践している夏休みの取り組みについてまとめていきます。

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夏休みの練習環境と選手のカラダの状態

新型コロナウイルスの感染予防の対策から私が帯同する市内の中学野球では練習時間は3時間までとされており、また連日30℃以上の暑い環境下での練習環境となるため、練習の開始時間や休息の方法には十分注意して対応していく必要があります。

熱中症予防をする上で、練習する時間は、気温が急激に上昇する前の「朝」から開始し、一日の中で最も気温の高い「昼」までには終了するような時間は一つの例になります。

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選手の体調管理をする上で
練習前に選手にヒアリングをしています。
朝早くからの開始のため、食事を摂らなかったり、睡眠時間の短い状態で練習に来る選手がいないか確認しています。

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Q.寝不足ではないか?
⇒寝不足や疲労の蓄積した身体であると、気温の高い環境下での体温調節機能が低下するという報告もあります。そのため、睡眠時間を十分に確保できているかを聞くようにしています。中には、暑くてあまり寝れずスマホゲームをしていた選手がいたりします。

Q.食事はとってきたか?
⇒水分+塩分の補給ができるため朝食の摂取が大切です。朝に摂取することで発汗しやすくなり、体温を下げる作用が機能します。つまり、熱中症のリスクを下げることにつながります。

Q.水分補給は十分にできているか?
⇒水分は摂っていても、利尿作用のあるドリンクを過剰に摂取していないかも含めて確認しています。水分の排出が増え脱水のリスクを高めることがあります。

その他、熱中症予防を考慮した練習プログラムの詳細は次週配信予定のため、ぜひご参考いただけたらと思います。

中学生の身体的発達の特徴

「子どもは大人のミニチュアではない」

成長期に関わる鉄則ですが、中学生世代ではカラダの成長を考慮していかなければなりません。成長のスピードに個体差が大きく影響する世代でもあるため、学年が1つ変わるだけで、力の出力や動きのスピードは大きく変わってきます。

そのため、成長のメカニズムを無視することはできません。

また、トレーニングの内容や量により過負荷となり、ケガをしやすいカラダとならないようにするためにも理解を深めておくことが大切です。

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中学生の身体的発達の特徴として
「スキャモンの発達曲線」を参考に解説していきます。

ヒトの身体の器官はすべて同じスピードで発達していくのではなく、機能ごと、部位ごとに独自の発達過程をたどっていきます。

これを踏まえて、発達が著しい時期にその機能を伸ばすトレーニングを行っていくことが重要となります。

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中学生はポストゴールデンエイジ(12-14歳)と称されるカテゴリーであり、筋の発達や心肺持久力が目覚ましく発達する時期といわれています。

|ポストゴールデンエイジ
技術のレベルを維持し、さらに磨きをかける時期。
神経系がほぼ完成し、技術習得の速度が鈍るので、これまで習得した技術のレベル維持と質的向上を図る。思考力や精神力、集中力を高め、考えた動作を促す。

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以下にその詳細について解説していきます。

セルフチェックポイント

現場で選手を担当していると、姿勢不良や筋柔軟性の低下によりカラダの動きを大きく使う・動かすことが苦手な選手が多い印象です。

例えば、Warm-upでよく行う「腕回し・もも上げ」などでも腕の位置が下がった状態で回していたり、脚の挙がっていない動作がよくみられます。

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「大きく体を使う」という大雑把な表現ではありますが、自分がもつ本来の関節可動域を十分に動かせず筋力の発揮が低下したり、代償的な動きでケガを招いてしまうことにつながってきます。

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そういった背景から、私はチームに関わる初めのセルフチェックとして選手自らでもできるセルフチェックを行い、所属選手の身体機能をスクリーニングし、コンディショニングの指針を立てる参考にしています。

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練習前にチーム全体と個々のカラダの状態を把握するため、上記のテストを行いました。以下は項目別に取得した目的とそのデータになります。解釈としては70-80%の選手がクリアできることを目指しています。

※パーセンテージはチーム内全選手に対する陽性の割合を示しています。

脊柱の伸展柔軟性

ブリッジ動作・広背筋テスト(脊柱伸展)

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股関節の柔軟性

SLR・股関節外転・フルスクワット

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肩が上がらない(腰椎伸展代償)

フルスクワットでの上肢挙上動作

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実際帯同しているチームの選手では、上記のように脊柱・股関節ともに柔軟性の低い値となりました。特に下肢(股関節)の柔軟性の低下が半数以上であり、ケガへのリスクやパフォーマンスに影響する要因として改善が必要であることを感じました。

カラダの動きが十分に動かせていない現状を自分がしっかり把握することが自分のカラダを知る第一歩ではないかと感じ、指導にあたっています。

チームの練習メニュー一例

夏休み期の練習メニューをご紹介します。

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※赤字は主にトレーナー側が選手に関わる時間を示しています。

主に中学生に対しては、トレーニング項目を中心に、Warm-up/セルフコンディショニングメニューを決定しています。

以下にそのメニュー構成について考えていきます。

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投球障害肩の評価-肩甲胸郭関節−【トレーナーマニュアルvol.11】

C-I Baseballの小林弘幸です。

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元NPBチームドクターのスポーツDrと一緒にエコーを用いて、
選手の病態を理解し障害の原因追及、症状改善を大切にしています。

投球障害肩の原因は多岐にわたり、非常に難しいです。

しかし、皆様に少しでも自分の考えを共有していただき、
ご意見をいただきながら、現場の選手に少しでも還元できたら
うれしく思います!

CIB第2期で小林が担当する、臨床編の記事(予定)です↓↓↓

①投球障害肩の問診と動作観察
②投球障害肩の評価  -肩甲胸郭関節-(今回)
③投球障害肩の評価  -肩甲上腕関節-
④投球障害肩の評価  -その他の部位-
⑤投球障害肩の治療  -徒手療法-
⑥投球障害肩の治療  -運動療法-


これらの記事を通じて、
私の臨床での考え方、思考過程を共有させていただき、
様々なご意見をいただけたらと思います!

投球障害肩の評価  -肩甲胸郭関節-

はじめに

投球障害肩については、どのようなことを思い浮かべるでしょうか??

・肩甲骨の動きが悪い?
・股関節の動きが悪い?

・フォームが悪い?
・肩自体の動きが悪い?

私の考えは、
そのすべてに可能性がある!です。

今回は、理学療法士(PT)、ならびにメディカルトレーナーといったような
立場から書きたいと思います。

PTとして、野球選手に関わる場面として最も多いのは、
痛みがあって投げられない選手を、投げられるようにするといった
場面でしょうか?

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この場面の評価、治療として、
一番大切なことは、
何を優先順位として高く設定するか?です。

ついつい、
自分の勉強している部分から治療したい!と思ってしまいますが、
それではセラピスト自身の自己満足になってしまいます。

そうではなくて、
選手の問題点の優先順位があるはずです。

その問題点の高いところから治療をしていくべきかと思っています。

そして、
病院にくる『肩に痛みのある選手』には、
広義の意味での『肩』をしっかり見る必要があります。

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まずは

・肩甲上腕関節の問題
・肩甲胸郭関節の問題

このどちらの問題なのかを
優先順位をつけていく必要があると考えています。

この評価がセラピスト、トレーナーにとっては

非常に重要だと考えています。

投球障害肩に対する理学療法の考え方

近年、理学療法の考え方において診断名から理学療法を決定するのではなく、発生している症状に対して最も効果的な運動から理学療法を実施する必要があるとされています。

※Ludewig PM, et al.: Changing our diagnostic paradigm: movement system diagnostic classification. Int J Sports Phys Ther, 12(6): 884–893, 2017

Drが診断するためには、病理解剖学的診断の考え方を活用します。

つまり、どの組織が痛んでいるのかです。

しかし、PTやトレーナーは、病理解剖学的診断をしてはいけませんし、

選手を投げられるようにするといった目的では、
必ずしも病理解剖学的診断は必要ないかもしれません。

それは、野球の投球障害では画像診断上で複数の構造異常があるものの無症候の選手が存在するためです。

考え方
※Miniaci A, et al.: Magnetic Resonance Imaging of the Shoulder in Asymptomatic Professional Baseball Pitchers. Am J Sports Med, 30(1): 66-73, 2002

そうではなく、病理運動学もしくは運動病理学的考え方が必要です。

例えば、
疼痛誘発テスト(病理解剖学的診断)を用いるのではなく、
疼痛緩和テスト(病理運動学的診断)を用いる必要があると考えられます。

どのような運動をすれば痛みがなくなるのか、
どのような運動をすれば投げられるようになるのかを
考えなくてはなりません。

そのための評価方法を提示していきたいと思います。

優先順位のつけ方

投球障害肩に対して機能障害をもたらしている原因が肩甲胸郭関節、肩甲上腕関節のどちらなのかを判断するためにScapula Assistance Test(以下SAT)の概念を利用しています。

これは上肢挙上時に痛みのある症例で、

挙上の際に肩甲骨を後傾・上方回旋にassistして、痛みが減る
つまりSATが陽性の人は、肩甲胸郭関節に問題があることを示唆するという評価です。

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※Pluim BM. Scapular dyskinesis: practical applications. Br J Sports Med. 2013 Sep;47(14):875-6.

このSATの概念を利用し、
投球障害に利用できるように変更しています。

まず、投球障害肩で多いフェイズでの評価を実施します。

痛みの出やすいフェイズ

ここでは、
Late-cockingでの切り返し時に痛みが出る症例が多いので、
その評価方法を示します。

投球動作を評価することは難しく、
その動作を細分化することが大切だと考えています。

Late cockingでは、外転外旋が強調されるので、
その運動を切り取って評価します。

いわゆるHERT(Hyper External Rotation Test)で評価します。

投球疑似肢位
※原正文:投球障害肩の診察方法(メディカルチェックを中心として). 骨・関節・靭帯. 20. 301-308. 2007

投球動作に関してみるために、
自動運動でのHERTを評価しています。

また、SATでの肩甲骨誘導ですが、
従来の方法では、肩甲骨は後傾と上方回旋のみの誘導です。

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※Pluim BM. Scapular dyskinesis: practical applications. Br J Sports Med. 2013 Sep;47(14):875-6.

肩甲骨運動は、3軸2方向の運動があるといわれており、
その方向で示すことが重要です。

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※Aoi Matsumura, et al.:J Electromyogr Kinesiol. Feb;44:46-55. 2019 

上記を踏まえて、我々は、
類似する肩甲骨運動方向をまとめた3方向でのSAT(以下3方向SAT)を用いています。

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3方向SATを用いて、痛みが軽減すれば、
肩甲胸郭関節の動きが問題。

痛みが変化なかったり、増加したら
肩甲上腕関節の動きが問題と考えています。

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ちなみに、

痛みの軽減は、NRS2以上の軽減が臨床的に意味があるといわれています。

※Farrar JT, et al.: Clinical importance of changes in chronic pain intensity measured on an 11-point numerical pain rating scale. Pain. 2001;94:149-158.

実際の評価方法

ここからは、動画も踏まえて評価方法を示していきます。

まずは実際にどのように3方向SATを実施しているかです。

このように肩甲骨の誘導をしています。

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