チェンジアップの投げ方(後編)【トレーナーマニュアルvol.160】

C-I Baseball「トレーナーマニュアル」をご購読頂きありがとうございます。

C-I Baseballでは野球現場のトレーナー育成も行っています。

ホームページはこちらから。
C-I Baseball -野球の未来を現場から変えていく-c-ibaseball.com

CIBトレーナーマニュアルについて

①野球現場でのトレーナー活動
 チームトレーナー、育成年代への関わり、パフォーマンスについて

②臨床現場での選手への対応
 投球障害への対応、インソールからの介入

③ゲストライターによる投稿
 バイオメカニクス、栄養…など各分野の専門家の方が執筆しています

④C-I Baseballメンバーによる投稿
 2020年からC-I Baseballへ加入し育成メンバーとして活動していたメンバーがライターとして情報を発信しています。

C-I Baseballで学び、成長してメンバーの投稿もぜひお楽しみにしてください!

さて、前回の私の記事は『チェンジアップの投げ方(前編)』でした。

今回はその続きで後編をお伝えいたします。

さて、今回は『チェンジアップ』の投げ方の【後編】となります。

前回は、『チェンジアップ』の投げ方の【前編】として、チェンジアップの軌道に始まり、基本的な投げ方のレクチャー、そして、岡本秀寛さん(元東京ヤクルトスワローズ)の動画解説も入れながら説明して参りました。

そして、前編ではチェンジアップは、シュートの方向にスピンすることをお伝えしました。

また、チェンジアップを投げるポイントとして、少し内旋(うちネジリ)をピュッとする感覚で投げる事を挙げさせていただきました。

※【後編】では動画が合計8本あります。これらの動画でも説明をさせていただいております。充分、満足していただける内容となっております。

握り方のコツ

チェンジアップの握り方には、サークルチェンジと人差し指と薬指でボールを挟む握り方が大きく分けてあります。

人差し指と薬指で挟むタイプの方が、抜ける感じはわかりやすい傾向があります。

画像

ここから先は有料部分です

続きを読む

投球動作×バイオメカニクス – 海外文献から得た知見 -【トレーナーマニュアルvol.159】

初めまして!C-I Baseball3期生メンバーの三好航平と申します.
今回は2023年から開始したサポートメンバーによるnoteシリーズです.

本noteで私が書かせていただく内容は,野球関連の海外文献レビューになります.

私は今年3月まで大学院生として,多くの英語論文を読んできました.
その経験を活かして,皆様に野球に関する近年の英語論文をご紹介させていただければと思います.

文献情報

今回ご紹介する論文はこちらです.

画像

Crotin, Ryan L., Jonathan S. Slowik, Gene Brewer, E. Lyle Cain Jr, and Glenn S. Fleisig. 2022. “Determinants of Biomechanical Efficiency in Collegiate and Professional Baseball Pitchers.” The American Journal of Sports Medicine 50 (12): 3374–80.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36122355/

背景

Pitch Efficiency(投球効率)は効率的な投球メカニクスを定量化するために使用された指標であるが,”Pitch Efficiency”という言葉は1イニングあたりの投球数が少ないという意味で使用されることがアメリカでは一般的である.混同を避けるために,この研究では,Biomechanical Efficiency(バイオメカニクス的な効率の良さ)という言葉で新たな指標として提言している.

Biomechanical Efficiency:単位肘内反トルクあたりの球速の値
この数値が大きい投手は,肘関節への負荷を抑えつつ球速が速い投手であると言える.

Crotin et al. The American Journal of Sports Medicine. 2022

一般的に球速が速い投手は投球時に生じる肘関節内反トルクが大きく,障害リスクが高いことが言われており,肘にかかる負荷を抑えつつ球速を高めることはパフォーマンスと障害予防の双方から考える上で重要であり,Biomechanical Efficiencyは投球を評価する指標として有用であることが示唆されている.

では,何がBiomechanical Efficiencyに影響を与えるか.
この研究では,動作指導により修正可能と考えられる投球キネマティクスとBiomechanical Efficiencyの関連を調査することを目的としている.

仮説

  1.  投球キネマティクスとBiomechanical Efficiencyは関連し,Efficiencyが高い投手と低い投手で異なるキネマティクスを呈する
  2.  プロの投手の方が大学生投手と比べてEfficiencyが高い

方法

545名(大学生98名,プロ447名)の投球データを解析しています.モーションキャプチャー(12台の赤外線カメラ,240Hz)で投球動作を測定,対象者は18.44mの距離を5-10球,ストレートを全力投球を行った.

対象者特性とキネマティクスについて,ステップワイズ多変量解析を用いてBiomechanical Efficiencyの決定因子となるものを検討.また,決定因子についてMann-WhitenyのU検定を用いて高効率群と低効率群で比較し,カットオフ値を算出した.

算出項目

画像
Crotin et al. The American Journal of Sports Medicine. 2022より著者作成

ここから先は有料部分です

続きを読む