C-I Baseball「トレーナーマニュアル」をご購読頂きありがとうございます。
はじめに
今回は、第一回CIBFORUMでもお話した棘上筋にフォーカスを当てて
お話します。
棘上筋は、肩関節の回旋筋腱板、いわゆる”インナーマッスル”のうちの一つです。
棘上筋は、組織学的に非常に脆弱性がある組織です。
腱板損傷では、棘上筋の損傷が多く観察されます。
投球では、肩関節に大きいストレスが生じるため、
棘上筋の損傷(特に微細な)は数多く生じてしまうと考えられます。
特に、リリースではより大きい負荷が肩関節にかかります。
なので、肩関節、肩甲上腕関節の評価は詳細にしなくてはなりません。
棘上筋の評価は、非常に見逃されやすい評価と考えられます。
なぜなら、評価するのが非常に難しいからです。
なので、
こちらで少し解説していきたいと思います。
棘上筋の解剖
肩甲骨の棘上窩から上腕骨の大結節上部や肩関節包に付着するといわれています。
しかし、
正確な解剖としては、やや前方へ付着するとされています。
この解剖から、棘上筋の伸張肢位は、肩関節の内転となることがわかります(後述)が、伸展でも伸張肢位になることが考えられます。
また、
筋線維を詳細に観察すると、前部線維と後部線維で分けられます。
前部線維:腱性部が多い
後部線維:筋性部が多い
上記を鑑みると、外旋での方がより棘上筋の柔軟性を反映することができるのではないかと考えています。
棘上筋の評価
ROM
棘上筋が伸張する肢位は、肩甲上腕関節の内転です。
内転制限が生じることで様々な問題が生じてしまうといわれています。
腱板断裂を有する症例においてGHJの内転制限を呈する
Yano Yuichiro, et al. JSES international 2020.
夜間痛群ではGHA(肩甲上腕関節角度)が有意に増大(内転)し、
肩甲骨下方回旋位が強くなる傾向がみられた。
赤羽根良和ほか:夜間痛を合併した肩関節周囲炎の臨床的特徴.理学療法学(2017):44(2);109-114
わかりにくい評価だからこそ、
正確に、逃すことなく評価する必要があると考えています。
ただ、
普通に内転の可動域を確認すると、体幹が邪魔でROM測定ができません。
工夫をする必要があります。
肩関節内転制限がある場合、上腕骨が体側から離れてしまします。
その上腕骨を体側につけると、
肩甲骨の下方回旋が生じてしまいます。
上記のような適応が生じてしまい、正確にROMを診ることができません。
そこで、しっかりと、肩甲骨の上方回旋をしたうえで、
肩甲上腕関節の内転ROMを観察する必要があります。
肩甲骨の上方回旋を伴うことで、
真の肩甲上腕関節の内転ROMがわかると思います。
以下の動画で確認ください。
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