C-I Baseballの評価・アプローチの発信を担当する須藤慶士です。
臨床では評価を大切にしております。評価が確かなものでないと原因に対するアプローチをすることができません。
局所評価だけでなく全体の評価を行うことも大切です。
臨床での経験を元にした評価とアプローチを発信していきたいと思います。
捻挫の評価
捻挫は日常生活・スポーツ現場でも頻度が高い疾患です。
早期復帰・再発予防・パフォーマンスアップのために何が必要なのかを今回のnoteに記載しました。
捻挫は距骨下関節が重要です
距骨下関節の中間位評価が行えることで足部機能を安定させることが可能です。
後半に距骨下関節の中間位評価を載せてありますので参考にしてください。
捻挫に対する病態・動作と合わせて読んでいただき、次回以降のトレーニングを合わせることで、早期復帰・再発予防・パフォーマンスアップが可能になります!
圧痛
前距腓靭帯を触診し、圧刺激を加えた際に痛みが出現する際は靭帯の炎症や損傷が残存している可能性があります。
ストレステスト
足関節を他動的に内反方向に動かし、前距腓靭帯に伸張性のストレスを加えます。
この際に『痛み・不快感』を感じるようなら靭帯の炎症や損傷が残存しているためそれ以上は伸張を加えないほうがいいです。
『伸ばされている』感じなら痛みが出ないようにストレッチを加えて可動域を広げても問題ありません。
捻挫のアプローチ
状態に応じたリハビリ
捻挫直後から開始する場合は、
距腿関節は固定した状態で、足趾・下腿の皮膚誘導・マッサージや、足趾の運動(タオルギャザー・距腿関節固定の足趾で物掴みなど)・膝関節周囲の筋力強化を行いましょう。
足底には多くの感覚センサーが存在するので足底刺激も行うといいでしょう。
膝立ちで行うエクササイズは股関節・体幹に対し荷重下でできるため股関節外転筋力強化やバランス能力向上が期待できます。
*捻挫に対する病態・動作の『他部位への影響』◯膝、股関節の筋機能参照
安静時・睡眠時のポジショニング
患部の固定方法は受傷度合いに応じて異なります。
受傷後はシーネ固定・バンド固定を行います。
医療機関で巻き方など指導されるとは思いますが、チームトレーナーの立場でしたら、日常生活できちんと固定・誘導できているかの確認をすることが大事です。
下腿の重みで足部に対して下方(床方向)に落ちるストレスがかかり、距腿関節で足部が前方に引き出されるような形になります。
寝るときは下腿と踵骨の下にタオルを入れて重みを取り除き前距腓靭帯へのストレスを軽減しましょう。
ROMex
底屈方向へのROMexは注意が必要です。
2〜3週間で靭帯が修復しても底屈時に前距腓靭帯に痛みがあれば、それ以上は可動域を広げてはいけません。
伸張痛(伸ばされている・ストレッチされているような感じ)なら内反方向(底屈・内転・回外)へのROMexは行なっていきましょう。
背屈・底屈のROMexする際は、距腿関節の構造・関節軸を意識して動かすことが重要です。
ホールド・リラックスなどを利用して背屈への抵抗運動を行い、前脛骨筋・長趾伸筋・長母趾伸筋などの筋肉を緩めてから底屈方向へのROMexを行うのもいいです。
背屈位でのホールド・リラックス⇨底屈へのROMex
底屈位でのホールド・リラックス⇨背屈へのROMex
筋力強化
筋力強化で重要なのは、
●捻挫中に他部位を強化すること
●医師との連携をとり靭帯の修復をきちんと確認すること
●前距腓靭帯にストレスをかけないこと
●腓骨筋の働きが重要
*捻挫に対する病態・動作の『他部位への影響』◯膝、股関節の筋機能参照
です。
底屈からの背屈運動で距腿関節の軸・構造を把握しながら行うことが重要です。
固定中は距腿関節を背屈していたために足趾が使いにくい状態になっていることが予測できます。
距腿関節・距骨下関節の肢位を変化させながらのタオルギャザーや、足趾での物掴みを行うのも大事です。
荷重位(CKC)での強化は
●固定しているバンドを外して行うのか、使用したまま行うのかは医師に確認しましょう。
●外して行う際はその選手の距骨下関節の肢位が重要です。
●距骨下関節の中間位の肢位は左右によって異なります。
●その中間位の肢位で行うことで荷重位でのトレーニングの効果を高めることができます。
距骨下関節 評価
●体格・体型・形状は個々により異なります。
●一人の体でも左右差があります。
●距骨下関節も同様に構造・動きの左右差はあります。
足部は地面に接している唯一の部位です。
距骨下関節は足部構造の中でも複雑で、重要な関節です。
距骨下関節は約30°の可動域があり、
中間位から回外は20°(全体の3分の2)
中間位から回内は10°(全体の3分の1)
と言われております。
ですから距骨下関節の中間位を評価し把握することは足部疾患をリハビリ・トレーニングしていくためにとても重要です。
距骨下関節 指標中間位 評価
外果上下にあるラインが直線になる位置を作り、その際の踵骨底面の向きで評価します。
この肢位を距骨下関節の指標中間位と言います。
指標中間位を軸にして回内・回外と距骨下関節は動きます。
評価は非荷重位(OKC)で行います。
なぜかと言うと、
CKCの場合、荷重がかかることにより、距骨下関節だけでなく横足根関節や足趾の機能が含まれるので、純粋な距骨下関節の肢位がわかりにくいから
です。
立位で距骨下関節を後側から見た際に、回外位や回内位になっていますがその距骨下関節の肢位が、指標中間位の可能性が考えられます。
ですから、OKCで距骨下関節評価を行う必要があるのです。
理想の距骨下関節肢位は、OKCでの指標中間位のままの肢位で立位がとれることです。
指標中間位のまま立位保持ができれば、立位動作で距骨下関節の回内・回外の動きがスムーズに行えるようになります。
距骨下関節機能が発揮できることで立位バランスや、足関節周囲の筋肉が収縮しやすくなります。
逆を言えば、機能していない状態でトレーニングしても効果が得られにくいです。
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