C-I baseballのトレーニングを担当する佐藤康です。
今回の内容は
「足関節捻挫のメディカルリハビリテーションの流れ」
についてまとめています。
捻挫を発症した選手、足関節に不安定性を抱えた選手の
復帰に向けてどのような関わり方をしていくのか?
足関節捻挫として対応することの多い内反捻挫への対応について、ジョギング開始までの流れについてまとめていきます。
メディカルリハビリテーションのすすめかた
足関節捻挫のリハビリテーションを対応する際に
まずどのような目標を設定し、どのような流れで進めていくのか
を簡単にまとめていきます。
目標設定
今回のテーマに挙げた捻挫ですが、
内反捻挫時には前距腓靭帯・踵腓靭帯が
多い受傷部位として挙げられています。
リハビリテーションにおける競技復帰の目標においてはランニングができることが目標になります。
負荷強度も含めランニングの前提であるジョギングがメディカルリハビリテーションにおける目標としています。
不完全な治癒のケースでは再受傷するケースも少なくなく、治癒過程において再受傷を予防する足部・身体つくりが求められます。
段階的な対応手順
急性期→亜急性期→回復期→アスリハへの移行
と大きくわけて解説していきます。
肉離れでの対応に同じく、炎症所見の改善が求められる急性期対応
アスリハの移行に向けて、可動域や筋機能を改善し、動作の獲得を図っていきます。
急性期対応では
患部の保護と腫脹の抑制といった炎症所見の改善が重要となります。
亜急性期では
残存する腫脹の除去対策と可動域・筋力の回復を図っていきます。
回復期では
段階的な荷重運動を通し、動作レベルの向上・獲得を目指しアスレティックリハビリテーションの移行へとつなげていきます。
メディカルリハを進める上で整理しておくべきこと
メディカルリハビリテーションを進めるにあたって、
以下はおさえておくべき事項であると思います。
損傷した組織の治癒過程(靱帯・腱)
捻挫の重症度
スポーツ復帰までの期間
病態理解(病期に応じた対応)
内反捻挫の理解を深める病態と評価
今回お伝えする内容は「トレーニング」ですが、
トレーニング方法を理解する前に
病態の解釈・筋機能を中心とした評価方法
については知っておかなければなりません。
病態
評価
トレーニング前におさえておくポイント
トレーニングを進める前に以下のポイントを注意しておきます。
特に重症度の理解は重要であるため、後述してまとめています。
受傷機転
|どのようなメカニズムで受傷したのか?
重症度
|捻挫がどの部位をどの程度損傷しているのか?
治癒過程
|どのような過程で損傷部位が修復されるのか?
初期対応
|炎症を最小限に抑えるための方法とは?
再受傷の危険因子
|負荷の設定方法や運動負荷による再受傷のリスクとは?
内反捻挫による靱帯損傷後、多くの場合保存療法が選択されます。
保存療法で損傷した靱帯を治癒させながら、足関節に構造的な不安定性が起こらないようにすることを目指していきます。
①受傷機転の理解
受傷機転については以下の記事で詳細に解説しているため、割愛します。
非接触型による受傷の多い内反捻挫であるポイントをおさえておきます。
②重症度
Kannusらの報告
GradeⅠ:靭帯の損傷がなくストレッチされた状態でわずかな腫れと圧痛
GradeⅡ:中等度の疼痛と靭帯の部分断裂。軽度から中等度の関節不安定性
GradeⅢ:靭帯の完全断裂。強い腫脹,出血,圧痛,機能低下, 関節不安定性
(引用:捻挫の病態と動作|小林弘幸 より)
一般的な復帰期間として以下の期間が挙げられています。
GradeⅠ:2~4週間
GradeⅡ:4~6週間
GradeⅢ:6週間以上or ope
そのため、復帰を考える上で、
重症度における損傷の程度も重要ですが、
損傷部位を特定して適切に対応することが重要となってきます。
③治癒過程
急性外傷における復帰時期について考えるときは組織の治癒過程を考慮していきます。
つまり、受傷直後から身体の内面は治癒が始まっており、外力に対する靱帯の張力は3週程度から強くなってきます。
そのため、リハビリテーションを進める上でも、病態診断・病態に応じた治癒過程・期間を十分に把握しておく必要があります。
メディカルリハビリテーションの実際
つぎに、メディカルリハビリテーションの流れを解説していきます。
捻挫受傷後のリハビリテーションの主目的
足関節捻挫の治療では受傷パターンや重症度によって組織治癒に要する期間も異なってきます。
損傷組織や複数の損傷組織によっては復帰時期も異なるが、受傷から復帰までの治療プログラムに大きな変わりはありません。
(安静期間・各種トレーニング期間)
急性期では早期の消炎鎮痛とアライメント・ROM改善が治療のポイントとなります。炎症が軽減して荷重可能となる回復期では、急性期治療を継続しつつ積極的な筋機能回復を図ることで動作レベルの向上につなげていきます。