育成年代のトレーニングドリルを考える【トレーナーマニュアルvol.135】

いつもお読みいただき、ありがとうございます。
C-I Baseballの佐藤です。

C-I Baseballでは今月より東京都内にて小学生を対象とした「ジュニアアカデミー」を開始しました。当アカデミーでは、野球をプレーする上での身体のベースをつくり、現在これからの野球に活かせる総合力を養成することを目的に活動しています。

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C-I Baseball Academy 2024
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C-I Baseball Academy 2024

「小学生にトレーニング?」
というイメージがあるかと思いますが、成長期である小学生にこそ神経系の発達の観点からも運動基礎を構築する必要性が大きいと感じています。

私自身、これまで小学生から大学・社会人まで各カテゴリーで関わった経験から、特に育成年代における運動経験の重要性を感じております。同時に、この部分にこそ理学療法士が関われる価値があると捉えています。

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練習内におけるトレーニングの必要性

こちらはある少年野球チームの1日練習メニュー例になります。
土日の活動であり、練習と試合がそれぞれ予定されたスケジュールになっております。

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練習では、午前中にバッティング練習、午後は守備練習が中心となり、言い換えれば、野球の技術練習をする内容で構成されています。
これらの練習内容は多くの学童期のチームでみられる光景ではないかと思います。

平日に実施できず、土日のみでどちらかが試合となると、どうしても技術練習が主体となる背景があります。

例えば、これらの練習中にトレーニングを加えると
「時間が確保できないため、疎かになってしまう。」
「大事ではあるとわかっていても、重要視されにくい。」

といった点を指導者の声としてよく聞きます。

トレーニングが練習内容や野球の技術に関連づいていない位置づけになってしまうと、上記のように優先順位の低くなる傾向があります。そのため、既存の練習にトレーニングの内容を”統合”していく方法が望ましいと考えています。

今回、タイトルに挙げた「ドリル」には、
そういった意味を内在し構成しています。
※記事後半に解説動画で紹介しています!

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投球障害へのピラティスメソッドの活用②ー腹腔内圧編ー【トレーナーマニュアルvol.134】

はじめに

C−I Baseball2期生の戸高です。
今回の配信はサポートメンバーシリーズとなります。

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私が配信する内容としては「ピラティス【pilates】」というメソッド1つのツールとして投球障害の治療、予防、パフォーマンスの向上にどう活かしていくかに焦点をあてて、3記事にわたり解説していきたいと思います。

投球障害へのピラティスメソッドの活用①
-呼吸編-
投球障害へのピラティスメソッドの活用②
‐腹腔内圧編‐
投球障害へのピラティスメソッドの活用③
‐胸郭編‐

前回の記事

今回は投球動作における腹腔内圧の考え方についてと腹腔内圧を高めるピラティスムーブメントを紹介します。

また今回の記事で伝えきれない部分をスポラボさんのセミナーにて解説させていただくのでご興味ある方はぜひお申し込みください。

2days開催 投球×ピラティスメソッド2days開催 投球×ピラティスメソッド

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■投球動作に求められる体幹機能

投球動作には体幹機能が重要ということはSNSでもよく見かけると思います。
体幹は、胴体から骨盤までの中心部分を指し、投球の際に安定性、力の伝達、姿勢の制御などに関与します。

それらに求められる要素としては以下が挙げられます。

・腹腔内圧の上昇(体幹の剛体化)
・先行的筋活動(姿勢制御)
・動的安定性(運動制御)

これらはどの要素が欠けても問題となります。
その中でも今回は腹腔内圧の上昇(体幹の剛体化)についてまとめていきます。

腹腔内圧の上昇の利点としては、体幹が安定することで四肢のコントロールが可能になることで、ピラティスでは『Strong Center(ストロングセンター)』とも呼びます。

腹腔内圧の上昇は良くも悪くも「体幹を固めるイメージ」になるため、競技特性を理解した上でえくさ運動を行わないと、悪い方向に働いてしまう可能性もあります。

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腹腔内圧を競技特性から考える

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よく挙げられる例としては、ラグビーなどのコンタクトスポーツでは瞬間的に腹圧を上昇させ、体幹を剛体化することが必須になり、求められるものになります。

野球の動作を考えると体幹を強固に固めてプレーするシーンは少なく、体幹を分節的、協調的に使うことのほうが求められます。そのため、コンタクトスポーツのように体幹を剛体化すると分節的な動きは引き出すことが難しいので腹腔内圧の強度も考える必要があると思います。

そこで私は腹腔内圧の強度を割合で考えています。
動作別の腹腔内圧の強度は以下のように言われています。

腹腔内圧の強度
・日常生活の動き 2〜5%
・物の持ち上げ 5〜20%
・ジャンプなど 25%
・最大努力での持ち上げ 50%以上

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割合で考えるとおそらく、コンタクトスポーツでは50%以上の腹圧の上昇が求められ、投球動作では25%あたりの割合で高めることがいいのではないかと考えています。

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これだけは押さえたい投球障害肩の可動域チェック【トレーナーマニュアルvol.133】

C-I Baseball「トレーナーマニュアル」をご購読頂きありがとうございます。

CIBのトレーナーマニュアルについて
①野球現場でのトレーナー活動
 チームトレーナー、育成年代への関わり、パフォーマンスについて
②臨床現場での選手への対応

 投球障害への対応、インソールからの介入
③ゲストライターによる投稿
 バイオメカニクス、栄養…など各分野の専門家の方が執筆しています
④C-I Baseballメンバーによる投稿
 2020年からC-I Baseballへ加入し育成メンバーとして活動していたメンバーがライターとして情報を発信しています。

C-I Baseballで学び、成長してメンバーの投稿もぜひお楽しみにしてください!

【注目!👀】イベント告知\\C-I Baseballフォーラム開催//
第1回C-I Baseballフォーラム「野球トレーナー・セラピストで繋ぐ輪」

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フォーラム情報

C-I Baseballのテーマでもある「輪を広げる」活動としてフォーラムを開催します。
野球に関わるトレーナー・セラピストの方に参加して頂き、意見交換・ディスカッションをすることで最新の知見や新たな発見、皆さんの知識の向上になることを目指しております。
また、トレーナー・セラピスト一人の力では関われる選手の数に限りがあります。「輪」を広げることでより多くの選手やチームに関わることが出来ます。
関わる数が多くなればなるほど、怪我に苦しむ選手、パフォーマンスが上がらなくて悩む選手を救うことが出来ます。
皆さんも一緒に日本の野球選手を救っていきましょう。

第1回 C-I Baseballフォーラム概要
●開催日:2024年3月10日 日曜日
●時間:10:00〜16:00
●場所:東京工科大学 蒲田キャンパス
●参加費:一般4000円(早割3000円) 学生1000円
メインシンポジウム
「各ステージにおけるトレーナーとしての取り組み」
プロ野球、大学野球、高校野球トレーナーがそれぞれの現場での取り組みを紹介します。

参加ご希望の方はこちらのフォームよりご応募お願い致します。
第1回 C-I Baseballフォーラム参加申込みフォーム

\\一般演題大募集 あなたの経験を共有しよう!//

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演題募集

C-I Baseballフォーラムでは参加者の方からの「一般演題」を募集しています。
皆さん経験・知識・技術を共有しましょう!
輪を大きくしていきより良い野球界を一緒に作りましょう!!

募集内容
テーマ:「野球に関わるもの」どんな内容でもOKです!
     ①活動報告 ②研究発表 ③ケースレポート
エントリー方法:申込みフォームから演題タイトルを登録
抄録:1200字程度の抄録を提出
発表時間:10分程度
発表形態:スライドを表示しての発表

第1回 C-I Baseballフォーラム参加申込みフォーム

はじめに

前置きが長くなりましたがここから今回の内容に入ります。

臨床や野球現場で投球障害肩を対応する際に最低限これだけは確認しておきたい肩関節の可動域チェックをまとめましたので皆様の参考になれば幸いです。

もちろんより詳細に評価したい場合は皆様のオリジナルの評価を付け加えていただいて良いと思います。

チェック項目

基本的には肩甲上腕関節が求心位を獲得できており、全ての項目をクリアできていることが望ましいです。肩甲上腕関節の運動軸がしっかりと取れていれば全てのテストが陰性化してきます。
左右差や目標値を参考に選手を評価してみてください。

1.CAT

まずは選手にしっかりと脱力させて実施することが重要です。余計な筋緊張が入ってしまうと正確に評価が実施できません。

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■方法
・肩甲骨を押さえた状態で上腕を他動的に外転させる
■要素
・肩後方、下方組織の柔軟性
■評価基準
・上腕が耳につくか
・上方に痛みが出ないか
・左右差、抵抗感の有無

2.HFT

単にHFTを見るだけではなく、併せて様々なポジション(1st/2nd/3rd)における内旋可動域をチェックしておきます。
HFTは3rd内旋の水平内転要素が深くなったものの集まりだと考えます。

求心位がとれていない場合、水平内転角度の増加に伴い肩甲上腕関節が外旋方向へ抜けるような動きをしますので、どこから逸脱するのかを感知しながら行います。

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■方法
・肩甲骨を押さえた状態で上腕を他動的に水平内転させる
■要素
・肩後方、下方組織の柔軟性
■評価基準
・軸がとれているかどうか。水平内転が強まってきたときに上腕が外旋方向へ抜けない。
・肘が正中線を超えるか
・前方、前上方へ痛みが出ないか
・左右差、抵抗感の有無

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2023年C-I Baseball活動報告【トレーナーマニュアルvol.132】

いつもC-I Baseball「トレーナーマニュアル」をご購読頂きありがとうございます!C-I Baseballの増田です。 2023年5月でC-I Baseballは4年目を迎えました。2023年は新たに12名のメンバ … 続きを読む

理学療法士がチームパフォーマンスにどう関わるのか?【トレーナーマニュアルvol.131】

いつもC-I Baseball「トレーナーマニュアル」をご購読頂きありがとうございます!

○今期のトレーナーマニュアル構成

①野球現場でのトレーナー活動
チームトレーナー、育成年代への関わり、パフォーマンスについて
②臨床現場での選手への対応
投球障害への対応、インソールからの介入
上記の①、②においては今まで同様にC-I Baseballスタッフが執筆致します!
そして今期はなんと
◎ゲストライターの登場
バイオメカニクス、栄養、各分野の専門家の方に執筆
◎C-I Baseballメンバーの登場
2020年からC-I Baseballへ加入し育成メンバーとして活動していたメンバーがいよいよライターとして登場します。

C-I Baseballで学び、成長してメンバーの投稿もぜひお楽しみにしてください!

野球トレーナーマニュアル|C-I baseball|

2023年の増田が担当するnoteテーマは「チームトレーナーとして働く理学療法士について」です!
1年間かけて皆様に4つの内容をお伝えしていきます。

①チームトレーナーとして働く理学療法士の役割
②チームの障害を予防するために
③理学療法士がチームパフォーマンスにどのように関わるのか?
④今後、理学療法士に求められるスキル、能力について

3本目の今回は
チームトレーナーとして働く理学療法士の役割について
「チームパフォーマンス」
をテーマに執筆していきます。

■C-I Baseballセミナー情報

○バッティングのバイオメカニクス

講師に株式会社DAH 高木紀史さんをお招きし「バッティング動作のバイオメカニクス」について全2回コースでお話頂きます。
ピッチングのバイオメカニクスについては多くのセミナーが開催されていますがバッティング動作についてはC-I Baseballセミナーしか開催していまいせん!!
参加ご希望の方は下記のリンクよりご参加下さい!!

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野球動作のバイオメカニクス理論編(ビッチング・バッティング・スプリント)全6回コース

なぜ今回のシリーズでは理学療法士のチーム内での働き方について執筆しているのか?

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3本目にして、このnoteで「チームトレーナーとしての理学療法士」について執筆しているのかをお話していきます。

理学療法士がトレーナーとしてスポーツチームに所属した際に悩むことはなんでしょうか?
・トレーニングについて
・外傷対応について
・アスレティックリハビリテーションについて
・選手のパフォーマンスアップについて

上記のようなことが挙げられるのではないかと思います。
このような悩みはどうやって解決すれば良いでしょうか?

方法は
・経験がある方に指導してもらう
・セミナーへ参加する
・自分自身で練習する
・SNS等で情報を収集する
などの解決策が様々あると思います。

解決策があるということは自分自身で行動すれば改善できますし
世の中にはたくさんの情報が溢れています。
なのでここに挙げた悩みは「表面的な悩み」だと考えています。

では「本質的な悩みはなんでしょうか?」

それは「チーム内でのトレーナー(理学療法士)としての動きや考え方、存在意義」ではないでしょうか?

チーム内でどのように自分自身の居場所を作り、価値を生み出し、生きていきのか?
そのような方法や経験を教えてくれるコンテンツは少ないと思います。

なので、このnoteでは私自身が経験した「チーム内でトレーナー(理学療法士)」についてご紹介していきます。

チームパフォーマンスとは?

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本題に入る前に「チームパフォーマンスとはなにか?」について考えていきましょう。

チームの定義

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チームとはなにか?
チームと似た言葉でグループがあります。
チームとグループではなにが違うのでしょうか?

・2人以上の人が集まっている→グループ
・「共通の目的」を持った人が2名以上集まっている→チーム

チームとグループの違いは「共通の目的」を持っているか否かで大別することが出来ます。

パフォーマンスとは?

パフォーマンスとは、「成果」と表現することが出来ます。
選手が実力を発揮し、成果を出すことを指します。
トップアスリートは最大の実力を発揮出来ることで、大きな成果を得ることが出来ます。

チームパフォーマンスとは?

では、チームパフォーマンスとはなにか?
今までの話をまとめると、「共通の目的を持った2名以上が成果を出すこと」をチームパフォーマンスといいます。

野球チームにおいての最大の成果とは何でしょうか?
それは
「チームの勝利」です!

トレーナー(理学療法士)がチームパフォーマンスに関わるということは
すなわち「勝利に関わる」ということになります。

トレーナーは試合中にサインを出してチームを勝利に導くことは出来ません。
なのでトレーナーの最大の成果は
「チームが勝利に貢献するための選手のコンディショニングを維持・向上すること」です。

チームパフォーマンスの決定因子

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チームパフォーマンスの決定因子には様々な要素があります。
・フィジカル
・スキル
・戦術
・チームワーク
・コンディショニング
・役割分担 適材適所

上記のように数ある因子の中で理学療法士はどこに関わるのでしょうか?

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