パフォーマンスアップのための足部トレーニング part2【トレーナーマニュアルvol.142】

こんにちは!理学療法士の野坂光陽です!

理学療法士として整形外科のクリニックに勤務しながら
主に高校野球の現場で、トレーナーとして活動をしております。

前回、育成メンバーとしてnoteにて執筆させていただいたのですが
今回は第3弾として、パフォーマンスアップのための足部トレーニング part2
と題しまして、記事にさせていただく機会をいただきました!

パフォーマンスアップには、足部の機能が非常に重要であると
考えています。

なぜなら、足部は身体の土台として機能しているからです。
そして、その足部の機能の恩恵で、自分の走力(スプリント)や
アジリティ能力が向上すると考えられています。

今回はそんな足部機能について、深掘りをしていきながら
後半はしっかりとトレーニング動画を載せていますので
今回のnoteをご覧いただき、今後のトレーニングの一助に
なれば幸いです。

前回の記事も貼り付けてあるので、そちらも合わせてご覧ください。

第一回目の記事はこちら


第二回目の記事はこちらから

野球選手と足部の関係性

野球選手における足部の怪我

野球選手において最も問題になりうるのが
肩関節や肘関節に代表されるような
「投球障害性」による怪我であることは、間違いない事実であると
思います。
これらは基本的に
投球過多によるもの
投球動作不良によるもの
総じて慢性的に生じるストレスの蓄積によるものであります。

対して、急性による影響つまり外傷にまで思考を広げたときに
野球選手において、肩肘の障害、外傷は1位
2位には腰部の外傷や障害
3位にはなんと足部がランクインされていると報告されています。

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野球選手におけるスポーツ外傷・障害と全身弛緩性との関係(飯田、2016)

もちろんどんなスポーツにおいても、陸上で行うものにおいては
足部だけが地形の影響を受けたり、身体を支える役割があるので
他の関節では受けないようなストレスがかかることは
容易に想像できるかと思います。

実際のスポーツ現場においても、急性外傷の対応として
足部の捻挫に対応することは結構あります。

しかし、現場や臨床においては
指導者だけでなく、保護者及び選手の中で
捻挫などの外傷が軽視されていることも事実です。

ちょっと挫いてしまったけど、2.3日放置してたら治った
このくらい病院に行くほどでもないと思っていた
冷やして湿布してたら治るでしょ

こんな声がいまだにグランドで頻繁に出ているのが現実です。

しかし、先ほども申し上げた通り
足部は運動中だけでなく、立っている状態の時に
数十センチの狭い支持範囲をフルに機能させ、
時に足趾を利用し、身体重心を支えるだけでなく
運動のパワー源として機能しています。

野球選手にとって足部がいかに重要であるかを
日々伝えていくことが、自分の使命だと考え
日々発信しています。

野球選手に対して影響を及ぼす「足」

木を見て森を見ず

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一箇所に気を取られていて、物事の全体像が
把握できないことの例えでよく使われることの例えです

理学療法士としてだけでなく
現場ではトレーナーという役割で活動しているので
「動作観察」という仕事を行い、出来るということは
もはや必須条件であります

そういった時に、例えば肩関節に問題がある場合
多くの場合は局所を評価し、その他隣接関節の評価と
段階的に進んでいくのが一般的かと思います。

しかし、選手の全体像を把握するときに
それだけでは足りなかったり、実際に治療が難航することも
しばしば経験します。

そういった時に、もっと全体を俯瞰してみる必要が
あることを考えた時に、足部のことを考えていただきたいです。

なぜなら、先ほども記述しましたが、
身体をわずか数十センチの大きさを足が支え、動かしているので
その恩恵と影響は計り知れないものであることが
考えられます。

ここでいう肩や隣接関節は、ことわざでいうところの木であり
足部はことわざでいうところの森に相当します。

選手の全体像を本気で把握していきたい
なかなか動作が改善しないなという選手においては
足部を確認し、アプローチすることで
何かヒントがもらえるかもしれないという可能性があるということを
覚えておいてください。

「運動連鎖」と「足部」

現場で活動するトレーナーや理学療法士は
選手の動きを把握したり評価したりする時には
運動連鎖という観点で考えることが多いと思います。

運動連鎖とは、各関節が独立して動いているわけではなく
運動中においては、各関節が互いに強調しあうことで
達成できるという概念のことを指します。

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上のスライド写真にもあるように、よくよく考えてみれば
運動連鎖の起点、投球動作の起点は足部ではないかと
私は考えています。

投球動作に先立って行われるワインドアップでは
支持する下肢(足部)の上にまっすぐ体幹が乗り、
安定して片脚立位が行われているかどうかを確認したり
体重移動をする際においては、足部は体重を支えながら
体重移動を行うという二つのタスクを強いられているように
その機能と恩恵を考えた時に
足部がしっかりと機能してしていない状況が起きていた場合
体重移動が困難になり、ボールに最大の力が
咥えられないようでは、いいパフォーマンスは出せません。

選手の能力が高いほど足部バランスが良好

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腸骨と距骨下関節の評価・アプローチ【トレーナーマニュアルvol.141】

いつもC-I Baseball noteを読んでいただき誠にありがとうございます。
スタッフの須藤です。

今回のnoteは腸骨です。
私は普段、立位評価時に距骨下関節と腸骨のアライメントと動作を評価し評価とアプローチの誘導方向を確認しながらリハビリを行なっております。選手の身体の特徴を活かすことで負担をかけずにパフォーマンスアップや疼痛軽減につながると考えております。

私のアプローチのキーワードは『選手の身体の特徴を活かす』です。

今回は腸骨の評価とアプローチを簡単にしたものをご紹介します。

評価とアプローチの方向性を一致させる

今回の内容です↓

①距骨下関節評価
②立位姿勢の骨盤評価
③臥位で行う膝PUSH TESTの骨盤評価
④アプローチをする際の方向性の確認評価

評価とアプローチの方向性を一致させることは運動療法やトレーニングを行う際に重要です。個々により姿勢やバランスなど異なるのでアライメントや動作を確認することが必要です。それぞれの選手のバランスや状態に合わせたアプローチができるとトレーニング効果もさらに期待できます。

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距骨下関節

距骨下関節可動域は約30°ありそれには中間位が存在し、その中間位は左右や個々により異なります
その左右や個々により異なる中間位を評価することは立位や歩行時の距骨下関節の動きを安定させるために必要です。

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距骨下関節 可動域

距骨下関節肢位は中間位・回内位・回外位に分けられます。
動きは回内・回外となり、そこには必ず中間が存在します。
距骨下関節の可動域は約30°で、中間位から回内は約10°(距骨下関節全体の動きの1/3)、中間位から回外は約20°(距骨下関節全体の動きの2/3)です。

OKCで距骨下関節を観察すると、左右の違いが見えてくる

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距骨下関節 機能

バランスをとることで重要なことは距骨下関節の機能です。
距骨下関節の回内位は脚位を短縮させ、回外位は脚位を延長させます。
距骨下関節は脚位に合わせて回内・回外と変化させます。

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距骨下関節指標中間位

距骨下関節可動域は約30°ありそれには中間位が存在します。その中間位は左右や個々により異なります。左右や個々により異なる中間位を評価することは立位や歩行時の距骨下関節の動きを安定させるために必要です。

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その中間位は個々により異なるため、距骨下関節が回内・回外・中間位なのかの評価したときの肢位を『距骨下関節指標中間位』と私は呼んでいます。

距骨下関節指標中間位評価


指標中間位評価は非荷重位で行います。荷重位では足部に荷重がかかることで足部構造が変化してしまうからです。
立位で後面から踵骨やアキレス腱の位置をチェックする方法があるが、荷重がかかることで体幹・骨盤の影響や横足根関節や足趾も加わり、色々な影響により足部構造が変化してしまいます。そのため純粋な距骨下関節の肢位がわかりにくくなってしまいます。

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指標中間位評価手順

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腸骨

腸骨のいい状態とは?

左右対象=良い状態

とは限らない。

なぜならその人ごとに骨形態や筋力の発揮しやすい肢位は異なる為、それを確認(評価)する作業が必要だからです。

腸骨アライメントチェック

まずはASIS(上前腸骨棘)PSIS (上後腸骨棘)の触診から始めます。
腸骨前後傾中間位はPSISから2横指半下にASISがあると言われています。

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腸骨の動き

●挙上/下制
●前傾/後傾
●内転(内側移動)/外転(外側移動)
●回旋(骨盤全体の動き)

腸骨は片側単独で動くわけではなく両側の位置や動きを把握できるといいと考えます。
左右の腸骨がどのような肢位になっているのか把握しましょう。

触診ポイント
●挙上・下制は腸骨稜で左右差確認
●前傾・後傾は矢状面でASISとPSISを確認

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腸骨評価

静止立位で評価します。
左右の腸骨がどのようになっているのかを観察します。

例)
右腸骨:下制・前傾位
左腸骨:挙上・前傾位
骨盤:右回旋位

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腸骨アライメントと足部

腸骨稜を触診し左右どちらが挙上・下制しているのか評価

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CIB Academy-トレーニング指導-【トレーナーマニュアルvol.140】

いつもお読みいただき、ありがとうございます。
C-I Baseballの佐藤です。

今回の記事では
「C-I Baseball Academy」についてご紹介していきます。
第2弾ということで、導入するトレーニングについてお伝えしていきます。

①Academy で実践するトレーニングについて
②トレーニングプログラムの見解
③目標設定<トレーニングテーマ>

C-I Baseball Academyとは

C-I Baseballでは2024年1月C-I Baseball Academyの運営をスタートしました。
対象は野球チームに所属する小学5〜6年生とし、野球に必要な身体の基礎の構築を目的としたトレーニングを毎週1回提供しています。

Academyでのテーマを「Base Up Training」とし、身体の土台となる機能・基礎運動能力の向上を図ることがねらいにあります。

子供のうちから、ひとつの競技だけに特化した運動経験により、下のスライドにある”ピラミッド”のスキル部分に偏ったパターンが多いといわれております。神経発達の著しい時期にスキルの土台となるさまざまな基礎運動能力を高める環境づくりの必要性を感じております。

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Base Up Training

まず、ここまでの流れを説明していきます。

|2023.12 体験会(フィジカルチェック)
活動開始に伴い、「体験会」と題し、フィジカルチェック+トレーニングを開催しました。各運動要素において「どこが自分の体の弱点であるのか。」なんとなくの把握ではなく、数値化することで、個人・全体の特徴を把握していきました。

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フィジカルチェック(2023.12)

|2024.01~ トレーニング開始
フィジカルチェックにおけるデータをもとに、課題克服・基礎運動能力のベースを上げるべく、1月より週1回のトレーニング指導を開始

毎月(2週間ごと)にトレーニングテーマ(目標)を設定し、その日の課題を宿題とし、選手の動きやパフォーマンスデータに変化も出てきました!

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↓↓詳しくはこちら↓↓

Academyで実践するトレーニング

「トレーニングはどんなことをしているのか?」
についてはじめにまとめていきます。

当アカデミーのトレーニングでは、競技スキルに特化した内容ではなく、競技を行うための土台となる「基礎運動能力の向上」にフォーカスした内容を構成しています。

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