筋持久力トレーニング【トレーナーマニュアル42】

筋持久力のトレーニング

C-I Baseballの佐藤康です。
今回は「筋持久力」をテーマにお伝えしていきます。

「筋持久力トレーニング」と聞いた時に
どのようなトレーニングをイメージしますか?

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持久力というワードから
長距離をランニングしたり、
耐久性を高める運動を連想されやすいかと思います。

持久力には大きく分けて
局所的な持久力全身的な持久力に分けられます。

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|筋持久力(局所的持久力)
身体の一部分を集中的に使うことのできる持続力
筋力を維持することのできる能力
|全身持久力
全身運動の持続力
全身の筋 (全身の骨格筋の1/7~1/6以上)が働く場合の持久力
呼吸・循環器系が運動の主役

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そこで今回は野球選手のパフォーマンスに関わる重要な要素である「筋持久力」について生理学的な分野から実際のトレーニング方法について解説していきます。

・筋持久力とはなにか?
・トレーニングにおける整理学的な作用とは?
・野球に求められる筋持久力とは?
・どんなトレーニングを選択すべきか?

筋持久力とは

はじめに、<筋持久力>という意味にピンとこない方のために整理していきます。

筋持久力
同じ動作の繰り返しが要求される場面で発揮される力

野球では、投球・スイング動作ともに一度に最大能力を発揮できる(筋パワーの向上)ことが重要ですが、試合の中でそれは一度だけではなく、同じ動作を繰り返すことが要求される競技でもあります。

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連日の試合や試合後半のプレーで、前半と比べて投球やスイングスピード・走塁が落ちてしまうのは筋持久力の問題も考えられます。

つまり、同じ筋肉が繰り返し使われることで、筋肉自体が疲労してプレーの質が下がることにつながってしまいます。

筋持久力の中には等尺性収縮を保持した静的筋持久力、等張性・等速性による繰り返しの筋収縮を行う動的筋持久力があります。

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野球で求められるのは動的筋持久力であり、トレーニングの内容によって最大筋力を指標に負荷設定をしていきます。

こちらの詳細は「トレーニングの負荷設定」の項でお伝えしています。

筋持久力が高いと疲労しにくいのか?

筋持久力(筋肉が力を発揮し続ける能力)は、
必要とするエネルギーを補給し続けられるかどうか、
すなわち筋力を発揮し続けられる時間が重要なポイントとなります。

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一度にいかに強い力を発揮できるかを表す「筋力」とここが異なります。

例として、
重量の軽いダンベルと重いものでの運動(アームカール)を挙げます。

例)アームカール
重量が軽いと、肘を屈曲する筋肉を構成する筋線維が交代して活動することができます。
対して、重量が重いと、構成する筋線維のほとんどが活動することになるため、筋線維は連続して活動しなければなりません。

すなわち、疲労しやすくなります。

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つまり、
交代して活動を休んでいる筋線維へのエネルギーの補給はしやすいが、活動し続ける筋線維へのエネルギーの補給は難しくなります。

そのため、筋肉がどのくらい長く活動できるかを示す筋持久力として、重負荷での筋持久力の増強は望ましくないといえます。

生理学的作用

筋持久力トレーニングによる効果を
生理学的な作用を中心にまとめていきます。

TypeⅠ線維・Ⅱa線維・Ⅱb線維といった
筋線維の特性からおさらいしていきます。

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トレーニングの効果

筋持久力を高めるトレーニングを続けると、毛細血管が発達し、筋肉を流れる血液量(筋血流量)が増加していきます。

すると筋肉に、より多くの酸素を取り込むことが可能となるため、運動の継続に必要なエネルギーがより多く生み出されるようになります。

これが回復能力となり、「筋持久力の強化」につながります。

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最大筋力が高ければ、トレーニング課題を楽に(疲労が少なく)こなせるようになるので、筋持久力を高める効果がありそうですが、最大筋力を高めるトレーニングでは主に白筋が鍛えられるので、筋持久力の向上には、あまり効果が期待できません。

最大筋力が高いからといって筋持久力が高いわけではないということです。

エネルギーの補給

筋収縮にはATP(アデノシン3リン酸)がADP(アデノシン2リン酸)に分解されるときのエネルギーが使われます。つまり、ATPが筋収縮のエネルギー源といえます。

ATPは筋内に貯蔵されていますが、量に限りがあるため、運動を続けるためには消費したATPを再合成して補充していく必要があります。

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エネルギー源であるATPをつくる過程には3種類あります。

①ATP-CP系
②解糖系
③有酸素系

|無酸素性
・酸素を利用しない(必要としない)エネルギー産生
・短時間に大きな力を必要とする運動で有効(瞬発力)
・糖質を原料とし、反応速度が速い

①ATP-CP系
②解糖系

最大強度で運動した場合、ATP-CP系と解糖系を合わせても約40秒程度しか続きません。これは無酸素系のエネルギー源であるグリコーゲンの筋肉貯蔵量に限りがあるためです。

|有酸素性
・酸素を利用した(必要とする)エネルギー産生
・長時間継続する運動に有効(持久力)
・反応速度は遅いが、酸素の供給+糖質・脂質があれば、長時間エネルギーを供給することができる

③有酸素系(TCA回路:クエン酸回路)

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エネルギーの供給速度

ATP-CP系>解糖系>有酸素系

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捻挫の実際【トレーナーマニュアル41】

C-I Baseball Advanceの腰痛・捻挫・下肢疾患・インソールの発信を担当する須藤慶士です。
臨床では評価を大切にしております。評価が確かなものでないと原因に対するアプローチをすることができません。
局所評価だけでなく全体の評価を行うことも大切です。
臨床での経験を元にした評価とアプローチを発信していきたいと思います。

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【マガジン紹介】
C-I Baseballトレーナーマニュアルでは、臨床・現場での野球におけるケガの対応力を高めるためのマニュアルを配信しています。
・これから野球現場に出たい方
・野球のケガの対応力を高めたい方
・臨床での野球のケガの評価・トレーニング・復帰について悩む方
にオススメの内容です!
ぜひ、ご活用ください!!

野球トレーナーマニュアル|C-I baseball|note【C-I Baseballトレーナーのトレーナーマニュアル】 投球障害肩・肘、腰痛、捻挫、肉離れ、下肢障害など野球におけるnote.com

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はじめに

捻挫は日常生活でもよくある疾患です。
野球選手の受傷ケースは、ベースの踏み外し、ボールを踏んでしまう、捕球時踏ん張ろうとした際などに起こりやすいです。

損傷度は様々ですが治療の流れは、固定から始まり徐々に固定装具を外して日常生活で慣らしながらプレー復帰の順だと思います。

復帰までに比較的多くみられるのが『歩行時痛』だと思います。
筋力強化や可動域訓練はしているのに『なぜ?』なんていう事ありませんか?

今回のnoteは現場でも多い『捻挫後の歩行時痛に対する評価とアプローチ』を記載していきます。

足関節の解剖(捻挫に対する病態・動作より)

外反捻挫において、間違いなく理解しなくてはならないのが、足関節外側靭帯です。3つの靭帯から構成されます。

・前距腓靭帯(ATFL)
・後距腓靭帯(PTFL)
・踵腓靭帯(CFL)

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前距腓靭帯損傷メカニズム

前距腓靭帯伸張肢位:底屈・内転・回外位

距骨の形状は水平面で見ると台形のような形をしていて、後方の方が前方よりも辺の長さが短い。
そのため距腿関節は底屈位で関節の遊びが出やすい。(背屈位は脛骨・腓骨にはまり、ロックされるため遊びが少ない)
底屈位では距骨が前方に引出されるために前距腓靭帯が伸張される。

受傷後の足部

受傷3日経過した捻挫です。
右足は圧痛、伸張痛、腫脹、可動域制限、歩行時痛が見られます。

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安静時・睡眠時のポジショニング

受傷後から夜間痛がある間行います。

下腿の重みで足部に対して下方(床方向)に落ちるストレスがかかり、距腿関節で足部が前方に引き出されるような形になります。

寝るときは下腿と踵骨の下にタオルを入れて重みを取り除き前距腓靭帯へのストレスを軽減しましょう。

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距腿関節 背屈位から戻すのはいつか?

背屈誘導バンドは前距腓靭帯を伸張しないために巻いていますが、いつまで背屈位にしておけばいいのでしょうか?

受傷後から前距腓靭帯を伸張しないために背屈位に誘導していたので靭帯は短縮していることが考えられます。

ストレステストを利用し靭帯の状態を確認します。エコーを使用することで判断基準はさらに高まります。

ストレステストが陰性になった際に固定を外すことを考えていきます。(医師の診断が大事)

捻挫に対する病態・動作(小林幸弘)にエコーが記載されています

ストレステスト 動画

圧痛・ストレステスト痛みないのに歩行時痛がある場合

所見がないのに捻挫後の選手が歩行時やランニング時に痛みを訴えることがあると思います。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

ここで考えなければいけないことは、距骨下関節の中間位です。

捻挫後の足部バンド誘導をチェックすると以下のようにしていることが多いです。

ストレステスト
+:距腿関節背屈誘導(距骨下関節回内)
ー:距腿関節底屈誘導(距骨下関節回外)

ストレステスト陰性=距骨下関節回外?

そうではありません。

それぞれの距骨下関節にはそれぞれの中間位が存在します。
個々で異なり、さらに左右でも異なります。

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それぞれの距骨下関節中間位を評価し、その距骨下関節に合わせた誘導が必要です。

歩行時痛はなぜ出るのか?

復帰までに足部トレーニングはきちんと行ってきたが、歩行やランニング、ダッシュと強度を上げていくと『痛みが出る』『ひねりそうで怖い』と選手からの訴えがあると思います。

なぜでしょうか?
それは、距骨下関節肢位にあると考えます。

距骨下関節肢位とは?

捻挫後は必ずと言っていいほど靭帯を伸張させないように固定をします。
この時の足部肢位は

・距腿関節背屈位
・距骨下関節背屈・外転・回内位

このようになっています。

この肢位は足趾が使いにくい状態になっています。

距骨下関節回内位はLR〜MStの肢位です。

足圧中心は外側を通るとTStに距骨下関節回外傾向になります。

靭帯損傷中はこの回外傾向になる際に痛みが生じやすいので前距腓靭帯を伸張させないように距骨下関節を回内させて内側を通ります。

この肢位で2週間もしくは3週間歩いているのです。
この肢位が『癖』になってしまう選手もいると思います。

癖=距骨下関節回内位

『癖』になっている場合は回外にすると痛みが取れる場合があります。

しかし、どの選手も距骨下関節回外誘導すればいいのでしょうか??

それを確かめなければなりません。

回内位もしくは回外位が良い場合・悪い場合が考えられます。

その足の距骨下関節の中間位がどの肢位なのかがわからなければアプローチしても歩行時痛は残存する可能性があります。

元々の距骨下関節肢位がどうなっていたのかを知る必要があります。

癖をどう変えるか?

足部の評価ポイントは3点です。

・距骨下関節中間位
・立方骨
・第4・5趾

アプローチはこの3点を意識したものを紹介します。

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評価

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距骨下関節

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距骨下関節の中間位はどこでしょう?

教科書では、、、
距骨と踵骨の位置が整い、踵骨底面が地面に並行な状態
だと思います。

距骨下関節中間位はあくまで教科書上ですのでこれに当てはまるとは限りません。

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距骨下関節 指標中間位 評価

外果上下にあるラインが直線になる位置を作り、その際の踵骨底面の向きで評価します。
この肢位を距骨下関節の指標中間位と言います。

指標中間位を軸にして回内・回外と距骨下関節は動きます。
評価は非荷重位(OKC)で行います。

なぜかと言うと、CKCだと荷重がかかることにより、その距骨下関節だけでなく横足根関節や足趾の機能が含まれるので、純粋な距骨下関節の肢位がわかりにくいからです。

立位で距骨下関節を後側から見た際に回外位や回内位がその距骨下関節の指標中間位の可能性が考えられます。
ですから、OKCで距骨下関節評価を行う必要があるのです。

理想の距骨下関節肢位は、OKCでの指標中間位のままの肢位で立位がとれることです。指標中間位のまま立位保持ができれば、立位動作で距骨下関節の回内・回外の動きがスムーズに行えるようになります。

距骨下関節が機能しなければ歩行時、距骨下関節の回内外が崩れてしまい足部が機能しないだけでなく骨盤・体幹のバランスも崩れます。

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距骨下関節の評価ができないと足趾は機能しません。

まずは距骨下関節指標中間位評価をしっかり行いましょう。

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5趾

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5趾(小趾)

歩行時MSt後半から足圧中心が外側に向かう際に、4・5趾(小趾)が使えることが重要です。
扁平足や・変形性膝関節症の歩行では側圧中心が内側に移動しやすいです。

4・5趾(小趾)が働かないと骨盤のスウェーや膝のスラストにつながり疼痛を引き起こします。さらに体幹も動揺し不安定になります。

5列評価

5列評価は2・3・4趾を結んだ線に対して挙上か下制のどちらの方が大きく可動域があるかです。

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投球障害肩の実際【トレーナーマニュアル40】

C-I baseballの【Advance course 野球選手のみかたを深める】の発信を担当する小林弘幸です。

スポーツDrと一緒にエコーを用いて、選手の病態を理解し
障害の原因追及を大切にしています。

病態を理解し、しっかりと評価することによって
現在の傷害の原因をはっきりることができれば、
医療機関と現場との橋渡し的な役割を果たすことができると思います。

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投球障害肩とは、
肩関節周囲が痛くて投球が完全にはできない状態のことを指します。

成長期の肩障害と成人期の肩障害では
考え方が異なりますので、
その部分はBasic courseの投球障害肩の病態の部分を参考にしてください。

Advance courseでは、
実際に評価治療していることを中心に話し、
最後に実際の症例を提示して評価治療の流れを示していきたいと思います。

※記事で紹介する症例すべての方には説明・同意を得た上で、
紹介させていただいております。

投球障害肩での大切なこと

私が投球障害肩で大切にしていることは、

・何が痛いのか
・なぜ痛いのか
・どのようにしたら痛くないのか

・治療方針の優先順位をつける

です。

一つ目に関しては
結果の把握をしっかりしてから、
原因を追究をするといった具合です。

この結果の把握を行わないと、
肩が【どのように】痛くなっているのかがわかりません。

【どのように】痛くなっているのかがわからないと、
その選手が【なぜ】肩が痛くなったのかが不明確のままです。

この【なぜ】【どのように】がわからないと、
投球障害肩の繰り返しになってしまいますし、
選手に明確な治療方針を示すことが難しくなってしまいます。

図11

再発した時には、
以前の問題点が引き続き存在しているのか、
新しい問題点が出てきたのか、判断できません。

(私は、少なからずこのような感じでした。
 どのように痛くなっているかの病態把握もせずに、
 痛みがなくなれば良い。【なぜ】は考えていましたが、
 【どのように】という部分に関しては、かなり疎かったです。。。)

診断をするのではなく、
選手の病態を理解し、【どのように】痛みがでているのか、
選手の痛みの原因を考え、【なぜ】痛みが出ているのかを、
考えていくことが投球障害肩の評価治療で(現時点で)一番大切なことだと考えています。

図12

肩関節複合体での評価をしっかり行う

そして、もう一つの大切なことについてです。

あくまで私見ではございますが、
投球障害肩を見る・語る場面で、しばしば散見される議論は

・肩関節(肩甲上腕関節)が大切だ!
・肩甲骨(肩甲胸郭関節)が大切だ!
・体幹が大切だ!         
・下肢が大切だ!         

といった具合かと思っています。

では何が大切でしょうか?

これは私の意見ですが、
全て大切かと思っています。

ただし、
【優先順位】はあると思うので、
その優先順位をつけて投球障害肩の選手をみる

というのが、私の意見になります。

その中でまずは、
肩関節に直接関係する

・肩甲上腕関節(GH)
・肩甲胸郭関節(ST)

のどちらの優先順位が高いのかを判断して評価治療していきます。

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この評価方法に関しては、
後述したいと思います。

選手自身は、肩を痛めているので、
その肩の状態を知りたいはずです。

それを、
単に肩甲骨が動いてないから、
体幹が弱いから、
足が弱いから、
で片付けてしまうのではなく、
肩の状態から把握し、
全体を理解するといったことが大切だと思います。

しっかりと肩関節の病態を理解・把握したうえで、
治療に入っていけることが重要だと思っています。

図2

評価治療の流れ

投球障害肩の選手が来院した際に行う評価治療の流れを
お示しします。

(病院の場合)
・事前情報収集(画像所見)
・診察見学

(病院・現場共通)
・問診
・疼痛疑似肢位確認
・肩関節複合体評価(GHorSTの治療優先順位の決定)
・他関節評価(既往歴の確認)
・情報共有
・治療
・再評価

上記の流れで投球障害肩に関しては、
対応するのが基本としています。

事前情報収集(画像所見)

野球選手の画像所見に関しては、
一言でいうと、私はあまり参考にしていません。

もちろん、リスク管理という視点では、画像所見を把握して、
病態を理解するということは大切なことです。

しかし、
野球選手の投球障害肩における画像所見は下記の特徴があると私は思っています。

レントゲン:ほとんど異常なし
CT    :ベネット骨棘等が観察されることはあるが、大きな障害無し
MRI   :筋腱の微細損傷やSLAP損傷などしばしば損傷が見受けられる

MRI等の軟部組織が観察される画像所見に関しては、
しばしば損傷等の異常が見つかることが多いです。

しかし、その画像所見と実際の選手の痛みや動きが
リンクしないことが多いのが野球選手の特徴です。

長年、野球をハイパフォーマンスのレベルで行っている選手は
多くの選手で肩関節の損傷が見つかるといっても
過言ではありません。

それでも、損傷や病態がありながら
高いレベルのままプレーし続けている選手はたくさんいます。

図9

※選手には掲載の許可をいただいています。
※独立リーガー捕手
(SLAP損傷:他院にて手術適応との診断もリハにてプレー続行可)

ですので、
身体機能を高めていく、トレーナーや、PTの存在は
大きいと思っています。

診察見学

我々の場合は、スポーツDrとタッグを組んで選手に対応しています。

常日頃からDiscussion、情報共有し、
Drの評価とPTの評価とを掛け合わせて
選手に対して、Bestの治療方針を、同じ方向で行っていきたい
ということを大切にしています。

図3

ですので、診察室で行われている会話だったり、
理学所見のとり方、診断に対する説明を聞いて、
選手がどのように理解しているのかを
事前情報として理解しておくことが大切かと思っています。

さらには、エコーを用いて一緒に評価することもあります。

選手を取り巻くすべての人が協力し合って、
その選手の復帰へ向けた治療が一緒の方向性を向くことが最善の方法かと思っています。

図15

問診

問診は一般整形の患者さんもそうですが、
投球障害肩の選手においても、とても大切だと思います。

特に投球障害肩では以下のことを大切にしています。

・いつから痛いのか?
・投球のどのフェイズで痛いのか?
・一球のエピソードがあるかどうか?
・今までの強度はどうだったのか?
・肩のどこが痛いのか?(one point indication or palmar indication)
・投球中に痛いのか?投球後に痛いのか?痛みが続くのか?

①いつから痛いのか?

今回のコロナ禍で多かったのが、コロナの緊急事態宣言中に
投げられずに、再開後投球したら、肩がすごく軽く調子が良かった。

しかし、そのまま投げ続けたら
今までにないような痛みが出た。
という選手が多かったです。

また、
中学野球、高校野球受験後(受験勉強で座りっぱなし)や、
定期考査後の練習、
入学して新天地で野球を始めた後に痛みが出たということもあります。

このような場合はGH内の炎症が強いこともありますので、
安静が必要です。

そして、その期間にどんな生活をしていたのかを
聞く必要があると思います。

ずっと家に引きこもって
スマホばかりいじっているとか、受験勉強していたとかは
重要な情報です。絶対に聞き逃してはいけないと思います。

このような選手は、間違いなく、胸郭脊柱の硬さが出ると思っています。

図10

※選手には掲載の許可をいただいています。
※大学1年野球外野手
(肩後方インピンジメント:受験勉強後、新入生として練習参加数週間より疼痛)

そのほかにも、学生のころから、
何十年もの間、投球時痛があるという症例です。

このような選手に対しては、
痛みがあって投げている状態が【普通】になってしまっているので、
運動療法はもちろんですが、認知面での介入も必要かと思います。

※クニヨシTVのクニヨシさん。ご本人には、顔出しと動画掲載の許可をいただいております。
※10数年痛みがあったので、アーリーコッキング~アクセレレーションにかけての逃避性の肘下がりが見られる。
※草野球選手:高校・大学野球時から肩痛有。投球時痛を感じている期間は約10数年。

痛くないフォームで投げられるということを、
身体と頭で理解する必要があるかと思います。

自分では腕が振れているつもりでも、
逃避性のフォームになっていることがしばしばあるかと思います。

痛みの悪循環

※Johan W S, et al.: Fear-avoidance and its consequences in chronic musculoskeletal pain: a state of the art. Pain 85 (2000) 317-332
図を引用改変(著者和訳)

痛みの経験が減ってきて、不安感がなくなるまでは、
逃避性の動きが出てしまうこともあります。

練習としては、こんな練習を取り入れていました。

後半でクニヨシさんの介入の解説も触れていきたいと思います。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓クニヨシTVより抜粋。↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
まだ怖さはあるものの少しずつ投げられてきた様子の場面。

②投球のどのフェイズで痛いのか?

図4

投球のフェイズで疼痛が出るフェイズで
病態の【予測】はできると思います。

MER付近でGHの後方部痛があれば、
後上方インピンジメント(PSI)が疑われます。

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リリースからフォロースルでGHの前方部痛があれば、
前上方インピンジメント(ASI)が疑われます。

図6

予測はできますので、
しっかりと問診をして、どのタイミングで痛みが出るのかを
把握することが大切です。

③一球のエピソードがあるかどうか?

投球時にどのように痛めたかの中で、
一球のエピソードがあるかどうかは重要です。

例えば、

・一球スライダーがすっぽ抜けた後から痛みが出た。
・チェンジアップの練習していたら、痛みが出た。
・遠投で思いっきり投げたら痛みが出た

などは要注意かと思います。

一球のエピソードがある選手は、
強いエネルギーがかかった外傷の要素があり、
肩関節の病態があることがあります。

図7

④今までの強度はどうだったのか?

これは、投球開始していった選手によくあることですが、
例えば、
ノースローの期間があった後、急に投げて痛めたのか、
徐々に強度を上げていって、痛めたのか

どのように強度を上げていったのかを聞くことも
大切です。

(経験則ですが、徐々に投球強度を上げていった症例でも、
 塁間から、対角線(1-3塁の距離)に強度を上げた時、
 遠投を始めた時
 に疼痛を再度訴えることも多くあります。)

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※CIB代表の増田稜輔さんの記事より抜粋

ですので、しっかりと段階的に強度を上げていくことがとても重要です。

⑤肩のどこが痛いのか?
(one point indication or palmar indication)

これは、実際に選手に疼痛部位を指さしてももらいます。

その際に、

・ここです(one point indication)
・この辺です(palmar indication)

と答えることがあります。

※one point indication

※palmar indication

この2つのパターンはとても大切で
one point indicationであれば、その部位の局所的な問題、
palmar indicationであれば、その周囲に関連する神経的な問題
が関与していることがあります。

末梢神経の絞扼のような問題であれば、
寒冷感覚をチェックすることも重要です。(palmar indication)

※寒冷感覚の評価(アルコール綿にて知覚の評価)

冷感が患側で低下しているのであれば、
末梢神経の要素も考えられます。(三角筋領域の腋窩神経絞扼)

肩のどこが、どのように痛いのかを
チェックすることも重要です。

⑥投球中に痛いのか?投球後に痛いのか?痛みが続くのか?

これを聞くことで、

・メカニカルストレス的な問題なのか、
・パフォーマンス的(筋疲労的含む)問題なのかを

【予測】できることができると思います。

図8

上記の様に問診でも、様々な情報が得られます。

選手と関わっていくうえでも、
色々と話しをしてみると、
ヒントになることが多く隠されていると思います。

たくさん、【予測】をしていくことで、
病態理解・今後の治療方針の決定に役立つと思っています。

疼痛疑似肢位確認

投球障害肩において、
理学所見をとるときに、その投球動作の疑似肢位にて評価することが大切です。

まずはactiveで疼痛の有無を確認。
その時に一方向の角度だけにならないように、多様な角度で評価します。

次にpassiveでの評価です。
これも方向を変化させて、GHの状態を確認します。

疼痛がなくなるように、GHや肩甲骨の誘導ができると、
治療の方針が決まってきますので、
色々な方向での評価が大切です!

①Early-cocking

・activeでのGH外転評価

・passiveでのGH外転評価

②Late-cocking

・activeでの挙上位GH外旋評価

・passiveでの挙上位GH外旋評価

③Release・Follow-through

・activeでのGH屈曲内旋評価

・passiveでのGH屈曲内旋評価

肩関節複合体評価(GHorSTの治療優先順位の決定)

一般的な肩関節周囲炎等の肩関節疾患の患者さんに比して
投球障害肩においては、
著明な可動域制限を認められる選手は少ないです。

そのため、評価を細かく行う必要があるのかなと
考えております。

そして、この評価で、治療の優先順位を決めていきます。

現時点の治療介入をするうえで、

・肩甲上腕関節を優先にすべきか
・肩甲胸郭関節を優先にすべきか

を考えていく必要があります。

図19

詳しくは下記に示していきます。

評価項目(動画順)
ROM

①肩屈曲と外転
②肩屈曲と外転(肩甲骨の動き観察)
③肩外転(passive)
④肩外転(肘屈曲位:上腕三頭筋の制限)
⑤疼痛疑似肢位でのSAT( Scapula Assistant Test:内転・上方回旋・挙上)
MMT
⑥Full can test(棘上筋)
⑦Empty can test(棘上・棘下筋)
⑧ISP test(棘下筋)
⑨Belly press test(肩甲下筋)
⑩Hornblower test(小円筋)
ROM
⑪CAT
⑫HFT
⑬1/2内外旋
⑭2nd 内外旋
⑮1st 内外旋
⑯3rd 内外旋
⑰後方タイトネスによる骨頭偏位

ーーー下記、評価の動画ーーー

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スピードトレーニング【トレーナーマニュアル39】

C-I Baseballの増田稜輔です。
今回は野球選手に対する
【スピードトレーニング】について解説していきたいと思います。

野球における「スピード」とは
走塁時の足の速さで表されることが多いです。

ベーラン1

走塁は得点・勝利に結びつく部分であり
走塁パフォーマンスを上げるための【スピードトレーニング】は
野球現場では必須スキルとなっています。
そのため、チームからの要望として「スピード強化」のオーダーが出ることは多々あると思います。

今回の記事では
✔スピードとは
✔野球に必要なスピード
✔ストライドとピッチについて
✔スピードトレーニング

スピードトレーニング=走るではなく、
身体機能を高めることで「スピード」を向上させる方法について解説していきます。

スピードとは?

そもそも「スピード」とは?
スピード=物体(身体)がどのくらいの距離を進むかの割合
すなわち単位時間当たりの移動距離

スクリーンショット 2021-02-21 7.04.46

一般的に競技におけるスピードはスプリントを表していることが多く
速く走れることをスピードが速いと表現します。

ほとんどの競技においてスプリントはパフォーマンススキルの
ひとつとされておりより速く走ることを求められています。
そのため「スピード」を向上させるには”走り”の要素を理解していく必要があります。

スプリント動作

スプリント動作は
主に加速局面,最大疾走局面,減速局面の3局面に分類されます。
各局面ごとに分析されることが多く機能を分けて考えていく必要があります。

スクリーンショット 2021-02-21 8.09.20

「スピード」はスタートから急激に加速し最大疾走局面で最大になります。
「スピードパフォーマンス」が高い選手ほど
・スタートから最大疾走速度までの距離が長い
・減速局面が短い
とされており
最大疾走局面までの「スピード」の増加量と「スピード」の維持が重要であると考えられます。

スプリントサイクル

スプリントサイクルはステップ(1歩)とストライド(2歩)ので構成されています。

ステップ:一側下肢の接地→体側下肢の接地
ストライド:一側下肢の接地→同側下肢の接地
ストライドはSupport phaseとRecovery phaseに分けられます。
Support phaseとRecovery phaseは支持期と非支持期と考えられており
その割合は走行速度が上がるにつれ非支持期の割合が増えていきます。

スクリーンショット 2021-02-21 10.37.30

①foot-strike:一側下肢の接地
②mid-support:荷重支持
③take-off:股関節伸展し足底離地準備
④follow-through:下肢を後方に降り出し膝は屈曲する
        両側下肢が離地し非支持期
⑤forward-swing:下肢が前方移動し膝の高さが最高地点になる
⑥foot-descent:膝が伸展し再び接地の準備

「スピード」にはストライドとピッチ(頻度)の積が大きく関係しているため
スプリントサイクルを理解しておくことが重要になります。

ストライドとピッチの関係

スプリントスピードはストライドとピッチ(頻度)の積よって表されます。
ストライド距離が長く×頻度が高い=スピードが速くなる

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【スピードトレーニング】では
・ストライドを長くすること
・ピッチを高めること
この2つの機能を向上させていく必要があります。

スピードを生み出す要素

【スピード】=身体を速く移動させるには身体を動かす筋パワーが必要になります。

この筋パワーを生み出すには2つの要素が必要になります。
①地面を押す力
②地面から返ってくる反力

①地面を押す力
身体は作用・反作用の法則により前方へ進みます。

作用・反作用
作用した方向とは反対方向に、同じだけ力が働くことです。

地面を押し、その反作用を受けることで前に進んでいます。地面に大きな力が加わるほどより大きな地面反力を受けるので
身体はスピードを生み出すことができます。

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②地面から返ってくる反力
地面からの反力は2つの成分があります。
・鉛直成分=縦方向 身体を支える力
・水平成分=身体を前方へ押し出す力

この2つの成分の力を合わせると身体が前方へ加速します。

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スプリント場面では身体の傾斜角度により2つの成分の割合が変化します。
これは三平方の定理の定理によって決まり地面に対しての身体の角度が重要になります。
地面と身体軸が成す角度が深い=水平成分の割合が大きい
地面と身体軸が成す角度が浅い=鉛直成分の割合が大きい

上記のことをスプリント場面で例えると
スタート時の身体軸の傾斜角度が深い場合=水平成分が大きい
トップスピード時の身体軸の傾斜角度が浅い場合=鉛直成分が大きい
このことによりスプリント場面によって必要な機能が異なります。

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野球におけるスピード


野球における「スピード」はなにが必要なのか?

野球でスピードが求められるシーンを整理していきましょう。
野球では走塁・守備の場面で走動作を必要としますが
スピードパフォーマンスは走塁時に評価されることが多いため
今回は走塁に求められる【スピード】に着目していきます。

野球に必要な走塁

ベーラン2

野球で必要な走塁
・1塁への駆け抜け
・盗塁
・ベースランニング
主に上記の3項目が必要になってきます。

3つの項目は”走る”という動作では共通していきますが
必要になる機能はそれぞれ違います。

3つの項目は大きく分けて2つに分類されます。
①1塁駆け抜け 盗塁
②ベースランニング

①1塁駆け抜け 盗塁
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この2つの項目は27.431mを速く走る=直線運動が必要になり
単純な【スピード】の要素が必要になります。

②ベースランニング
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ベースランニングでは
ホームー2塁や1塁ー3塁などベースを回るコーナリングや
加速ー減速ー方向転換の能力が必要になります。
つまり【スピード】+【アジリティ】の2つの要素が必要になります。

よくスピードとアジリティが同じような意味で使われていますが
捉え方は別々にしたほうがよいと考えています。

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スピード=速く移動する能力
アジリティ=方向転換や減速など運動様式を変える能力
2つの能力は似ているようで別のものなので
トレーニング内容を同じではなく変化させる必要があります。

ベースランニングのタイムを改善するには
【スピード】+【アジリティ】を組み合わせることが必要です。

①1塁駆け抜け 盗塁と②ベースランニングのどちらにも【スピード】の要素は必要になってきます。
しかし、この2つには共通しない点があります。
それが”走る距離”です。

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前述の通りスプリントスピードを上げるには
ストライドとピッチの積が必要です。
この2つの比重が①1塁駆け抜け 盗塁と②ベースランニングでは変わります。

①1塁駆け抜け 盗塁

1塁駆け抜けや盗塁では最長でも27mしか走りません。
この短い距離で最大疾走をするにはどうすればよいのでしょうか?

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ウェイトトレーニング【トレーナーマニュアル38】

今回、『ウェイトトレーニング』を担当しますC-I Baseballの高橋塁です。

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〈ツイッターはこちらから〉

https://twitter.com/ramichan2000?s=20

私自身、2021年、2作目の記事となります。

再度の告知にはなりますが、C-I BaseballのトレーナーマニュアルはBasic版Advance版に大きく分かれています。

Basic版では「野球選手のケガにどのように対応するのか?」

をテーマに病態の理解から評価・トレーニング・復帰・予防まで包括的にお伝えしてきました。

Advance版は、トレーニング構成や組み立て方、フィジカルチェック、ウォームアップ方法などをC-I Baseballの各スタッフが各セクションに分けて、野球現場でのグラウンドレベルでの動きについて週刊で配信しています。

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ウェイトトレーニング

ウェイトトレーニングは、バーベル、ダンベル、マシンまたは自重などを使い筋肉に負荷をかけ体を鍛えるトレーニングと言われています。

主に筋力の増大、またはそれに伴う筋肉の増量などを目的とするトレーニングの総称とされます。

ウェイトトレーニングの詳細メニューを紹介する前に、トレーニングの原理・原則についてお話していきます。

トレーニングの原理・原則

ウェイトトレーニングはじめ、トレーニングを効率よく行うためのルールとして3つの原理と5つの原則があります。

これらの原理、原則をまず、理解することにより、効率よくトレーニングを行えるようになります。

①トレーニングの3原理

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1.過負荷の原理

 機能を向上するためには、すでに持っている能力以上の負荷を与える必要性があります。

 トレーニングを行う時は、日常生活では行わないような重さを扱うことが重要で、ある程度の重さや動きに慣れてきた場合には、さらに、大きな負荷をかける必要があります。

2.特異性の原理

トレーニングの種類によって効果は変わってきます。

つまり、何か特定の効果が必要なら、それに応じたトレーニングを行わなければならないということです。

そのため、トレーニングによってどのような違いや効果があるのかを知ることが重要になります。

3.可逆性の原理

トレーニングをやめてしまうと、身体が元の状態に戻ってしまいます。

どれほど鍛えても、トレーニングをストップするとその時点で筋力は低下していきます。

ただし、ゆっくりと時間をかけて鍛えた身体は、トレーニングをやめても、元に戻るまで時間がかかりますが、短期間のトレーニングの場合、元に戻るまでの時間も短くなってしまいます。

②トレーニングの5つの原則

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リカバリー【トレーナーマニュアル37】

C-I Baseballの佐藤康です。
今回は野球選手に対する
「リカバリー」についてお伝えしていきたいと思います。

「リカバリー」で連想されるのは
運動後のクールダウンではないでしょうか。

クールダウンは運動後に身体の状態を落ち着かせ、心身の回復をさせるために行います。方法としてジョギングなどの軽い運動・ストレッチなどが一般的です。

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ジョギングなどの軽い運動は、身体全体に回っている血液を徐々に落ち着かせ、心臓など循環器系への負担を軽減したり、ストレッチを行うことで、体内に蓄積された疲労からの回復を早める効果があります。

今回の記事では

✓疲労の捉え方
✓リカバリーの生理学的な作用
✓リカバリーの目的や方法・負荷
✓試合中・試合後のリカバリーの実際

リカバリー=軽い運動ではなく、
身体の回復に関与する要素について実践向けにまとめていきたいと思います。

疲労とは?

はじめに、疲労という言葉を聞いたときに、
どんな状態をイメージしますか?

疲労の状況は日々の状況や環境によっても大きく変化し、個人によっても差があります。例えば、練習前から疲労が高い状態であれば、前日と同じメニューでもさらに疲労が蓄積され、故障のリスクが高くなることは容易に想像できるかと思います。

そのため、選手の疲労の状況は日々チェックしておくべき要素です。

疲労の評価

①生理学的評価
②身体機能評価
③主観的疲労評価
④その他

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身体の疲労が生じる原因として、野球では繰り返しの投球動作や走動作から、各部位にかかるストレスが起こり、代謝機能の低下、筋損傷、炎症などが生じることで疲労につながります。

疲労を避けるというのは難しく、
運動強度によって疲労は少なからず産まれます。

そのため早期に回復させたりするなど、
疲労との付き合い方が大切になります。

疲労と筋肉痛

疲労と関連の深い筋肉痛について考えていきます。

筋肉痛はなぜ起こるのか?
どのような部位に起こりやすいのか?

投球動作における肩関節の運動速度(プロ野球選手)は、平均7000°/秒以上にもなると言われています。この高速スピードを減速するためには、肩関節を安定させ、さらに高強度の遠心性収縮が必要となります。

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投球によって生じる筋肉痛は、 投球の減速時に主に働いている腱板筋群や上腕二頭筋による遠心性収縮運動の繰り返しから、力学的ストレスが加わることで、その筋腱組織が微細損傷を起こした結果、生じやすくなります。

強い力で投げた分、強い力でブレーキをかけなければ、十分な減速ができないため、ブレーキに作用する組織にも大きな負荷がかかります。

特徴
|筋の圧痛・伸張時痛・収縮時痛
|筋出力の低下および筋硬度増大
|関節可動域の低下
|伸張反射の減弱
※遅発性に起こる筋肉痛は多くの場合、
運動後24~48時間で主観的に認識される。

筋酵素物質

連日の練習や試合の影響により、筋酵素が蓄積されることによって、Overuseによるスポーツ障害へとつながってしまうリスクが高くなります。

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疲労に関わる筋酵素の物質として、高い負荷の運動により
血中のCK、LDH数値が上昇します。

これらの上昇した数値は疲労度の尺度としての参考となる値となります。

CKやLDHはマラソンなどの持久走による全身運動よりも、野球の投動作の ような部分的な激しい筋収縮運動の方が、より多量に発生する傾向にあります。

したがって、
「いかに酵素数値を低下させることができるか」
「蓄積された疲労物質を改善できるか」
が、早期回復のポイントとなります。

疲労を回復するリカバリーの手段

|生理学的作用
|方法
|プログラム選択

一般的に疲労の回復手段は、睡眠や食事、入浴、運動の中止などで休息をとることで回復する手段が重要です。スポーツの場面ではストレッチや軽い運動(アクティブレスト)によって、疲労を早期に回復させていきます。

競技種目や状況によっても疲労の種類や回復に要するものが違ってきます。そのため、その目的に応じた手段を選択していく必要があります。

選手のパフォーマンスを低下することを防いだり、
障害予防が主な目的となってきます。

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腰痛の実際【トレーナーマニュアル36】

C-I Baseballの評価・アプローチの発信を担当する須藤慶士です。

臨床では評価を大切にしております。評価が確かなものでないと原因に対するアプローチをすることができません。
局所評価だけでなく全体の評価を行うことも大切です。
臨床での経験を元にした評価とアプローチを発信していきたいと思います。

腰痛の概論(腰痛に対する病態と動作より)

腰痛を有している人は、現代の全国民においても男性の第一位女性の第二位となっています。

したがって、腰痛はスポーツ選手におけるという認識ではなく、一般的な病態であると考えられます。

しかし、スポーツ選手にとって腰痛の発生頻度は一般の方よりも多いとされています。

野球選手のスポーツ障害では、
肩・肘障害がメインとなりますが
その次に腰部障害が多いという報告が数多くあります。

プロ野球選手のメディカルチェックでは、27%もの選手に腰椎分離症を確認しています。

※延谷壽夫 他:2地区中学生の野球障害に関する調査:整形外科と災害外科43: (4) 1554~1556, 1994.
※松本 學:腰部障害の保存療法.臨スポーツ医 11:1301-1309, 2006
など多数


実際に評価治療していることを中心に話し、
最後に実際の症例を提示して評価治療の流れを示していきたいと思います。

※記事で紹介する症例すべての方には本人・ご両親に説明・同意を得た上で、紹介させていただいております。

評価・アプローチに対する考え方

私のリハビリは、選手(患者)の体が動きやすい方向に誘導し、バランスを整えていくように考えています。

身体は正直です。

安定している肢位は脱力しやすく、筋力を発揮しやすい。
不安定な肢位は緊張しやすく、筋力は発揮しにくい。

例えば、回旋しにくい方向があるとして、強制的に誘導するのではなく、まずは動きやすい方向を探してその選手の中心軸を作ることを意識します。

その中心軸は必ずしも中心にあるとは限りません。ですから、選手それぞれの中心軸を探す評価を行うのです。


たしかめが大事

リハビリは『たしかめ(再評価)』が大事です。

初期評価⇨アプローチ⇨たしかめ(再評価)⇨アプローチ⇨たしかめ(最終評価)


その日のリハビリで一番良い状態で帰っていただきたいので、一度のリハビリでアプローチすることに必ず『たしかめ』を行います。

一つのアプローチで状態が悪くなってしまうこともあります。ですから、たしかめはとても重要ですので、意識して行うようにしましょう。

野球選手に多い腰痛も一般の方の腰痛も骨盤の位置が大切です。

リハビリは姿勢評価を行いアプローチします。

若いセラピストは評価はできても、アプローチ方法や誘導方向がわからないという方が多いと思います。

今回の『腰痛アドバンスnote』では

骨盤を中心に評価・アプローチ方法を記載します。

評価⇨たしかめ⇨アプローチ⇨たしかめ とういうような流れで進めてまいります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ここからは腰痛を呈している選手の症例を解説を入れながら紹介していきます。

ご本人様、ご家族様に了承を得て撮影させていただきました。
無断での転載はご遠慮ください。

評価


男子中学生、右投げ右打ち、サード
診断名:第4腰椎分離症
既往歴:特になし
疼痛:前屈や左に体を捻った際に、左腰部から殿部にかけて痛みが出る

姿勢 

肩甲骨:左下制(内転・下方回旋) 右挙上
脊柱:右側屈位
骨盤:左下制 右挙上 右回旋位     
体幹回旋:右>左(右回旋量多い)

なぜ痛みが起きたのか?
⇨骨盤左回旋が行いにくいため、腰椎・胸椎での回旋を強めた動きになったと考えられる。
さらに送球・打撃で腰椎での回旋負荷が強くかかったために腰痛が出現したと考える。

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動画 回旋(リハビリ前)

骨盤誘導方向フローチャート


セラピストも選手も確認しやすいように深呼吸での評価方法をフローチャートにしました。

ここから紹介するのは骨盤の誘導方法です。

動作と深呼吸を合わせることで評価とアプローチ方向を導き出します。

深呼吸で『吸いやすい』ということは、胸郭が緩んでいる状態です。

腰痛は腰背部の緊張性のものが多いのでその選手の身体はどの姿勢で安定しているか、緩んでいるのかをこの深呼吸評価で確認することができます。

体幹前・後傾評価

体幹前傾・後傾し深呼吸します。

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投球障害肘の実際【トレーナーマニュアル35】

C-I baseballの【advance course 野球選手のみかたを深める】の発信を担当する小林弘幸です。

スポーツDrと一緒にエコーを用いて、選手の病態を理解し
障害の原因追及を大切にしています。

病態を理解し、しっかりと評価することによって
現在の傷害の原因をはっきりることができれば、
医療機関と現場との橋渡し的な役割を果たすことができると思います。

投球障害肘とは、
肘関節周囲が痛くて投球が完全にはできない状態のことを指します。

成長期の肘障害と成人期の肘障害では
考え方が異なります
ので、
その部分は投球障害肘の病態の部分を参考にしてください。

※紹介する症例すべての方には説明・同意を得た上で、
紹介させていただいております。

投球障害肘での大切なこと

投球障害肘の選手において大切にしていることは、

・局所評価をしっかり行う(評価)
・single-plainを獲得する(治療)
の2つです。

投球障害肘は、局所に症状が出ますが、
その局所だけが問題で肘関節に症状を生じることは少なく、
全身の問題から局所の問題へと波及してくることが多いと感じています。

そのため、
・肘関節の問題
・全身の問題

をしっかりと把握していくことが重要かと思っています。

図4

今回は、投球障害肘に多い、
【内側】肘障害について述べていきたいと思います。

内側の投球障害肘には大きく

・内側側副靭帯損傷
・上腕骨内側上顆裂離骨折
・肘頭骨折
・後内側インピンジメント症候群
・尺骨神経障害

などがあります。

病態に関しても考えながら、
実際の評価方法、治療を話していきます。

実際には、評価でしっかりと病態を把握し、
治療では、single-plainを獲得するというコンセプトで行うことが多いかと思います。

局所評価をしっかり行う

肘関節は単関節運動であるため、
内外反の動きには脆弱で、内側障害の場合は特に外反ストレスが原因で受傷してしまうことが多いと考えています。

投球動作という複雑な動きの中で、
肘関節、特にMERでは、出来る限り屈曲伸展の動きのみで投球動作を完結したいと考えています。

肘関節屈曲伸展のみでの投球動作

痛みを理解する、そのためには、
肘関節自体にどのように痛みが出て
どのようなストレスが加わっているのか
が明確にならないと、
自分が治療した後、なぜ良くなったのかを
解釈することができません。

解釈ができないと、その選手の再発にもつながります。

この部分は、しっかりと評価していく必要があると考えています。

single-plainを獲得する

肘関節は、他部位からの影響を大きく受け、
被害者になることが非常に多いと考えます。

運動連鎖を考えると、一部分の可動域が制限されると、
他部位の可動域が多くなり

投球動作のような下肢からエネルギーを伝えていくような動作では
より末梢に過負荷が生じてしまうと考えられます。

投球動作における運動連鎖の考え方
投球動作における運動連鎖の考え方2肘を考える

single-plainを考えることは、肘の外反ストレスが生じているのか否かを
把握できる
と考えております。

投球動作確認(Throwing plane concept)

MERでの肘関節外反ストレス軽減のためには、
MERで他の部位がどの程度動いているのかを知ることが大切です。

MERでの投球動作確認(Throwing plane concept)

肩甲上腕関節(GH)だけではなく、
肩甲骨や胸椎、股関節等がしっかりと可動することが重要です。

それらの部位が動かないと、
MERでのSingle-planeを獲得できず、
肘関節に外反ストレスが生じてしまう
のではないかと考えています。

MERでの投球代償動作確認
MERでの投球代償動作確認②ー1

なぜ、屈曲伸展以外の動きが生じてしまっているのか、
どうすれば改善できるのかを模索しながら治療に当たっていくことが
大切なこと
だと思っております。

そして、その答えは、肘関節以外に生じていることが多いのではないかと考えています。

肘関節評価の実際

肘関節の局所評価としては、

・関節可動域
・外反ストレステスト
・伸展ストレステスト
・圧痛
・MMT

を主に行います。

関節可動域評価

野球選手の肘関節関節可動域に関しては、
End-feelの確認を丁寧に行います。

屈曲伸展に関しては、
骨性に変形してしまい、制限が生じてしまう症例も少なくありません。

ただし、回内外に関しては筋性の制限があることも少なくないので、
End-feelを感じながら丁寧に評価します。

①屈曲伸展可動域

屈曲伸展に関しては、筋性の制限なのか骨性の制限なのかを分けて
評価をしています。

筋性の評価なのであれば、どの筋が制限を出しているのかをしっかりと見極める必要があるかと思います。

※右肘伸展制限有。

この後評価する、
前腕の回内外とも複合的に制限が出る部分ではありますので、
まずは屈伸に関しては把握するということが重要かと思います。

②前腕回内評価

野球選手において、前腕回内制限は多く生じると思います。

一見、回内ROMには問題ないように見える選手でも、
正確に評価すると制限があるような選手も見られます。

回内制限をきたすものとして、
・前腕伸筋群過剰収縮によるもの
・腕尺関節(輪状靭帯)由来のもの
・上腕筋と円回内筋由来によるもの

上記の要素を考えています。

回内運動においては、
尺骨を軸に橈骨が回旋するということを念頭に置かねばなりません。

回内運動の要素

それを考えた上で評価をすると、
尺骨を軸に回内を観察することが大切です。

評価する際には、
第5指を軸に回内を評価しています。

第5指をベッドに接地させたまま、上腕骨を固定して回内を観察します。

※患者には同意を得ています。
※野球選手ではありません。右の回内制限+。

この方法で評価すると、
制限のある選手が多くいます。

外側が詰まる選手には、
橈骨頭の回内運動を輪状靭帯が抑制していないかを評価し、
肘関節前面が詰まる選手には、
上腕筋と円回内筋間を評価します。

ここでは、前方のつまりを仮定し、
上腕筋と円回内筋の動態評価をします。
この部位に関しては、エコーを使用して評価します。

そうすることで、どのような動態をしているのかがわかります。

回内運動時の筋動態

上腕筋と円回内筋間は前腕の運動においては、非常に大切です。

回外においても同様の評価をします。

③前腕回外評価

野球選手において、前腕回外制限も多く生じると思います。

・前腕屈筋群過剰収縮によるもの
・方形回内筋由来のもの
・尺骨神経由来によるもの

これも病態がオーバーラップしていることが多いので、
しっかりと評価することが大切です。

ここでは、
前腕遠位回外制限と
前腕近位回外制限とを評価したいと思います。

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