試合期に向けた持久力トレーニングの選択【トレーナーマニュアルvol.45】

C-I Baseballのトレーニング記事を担当する佐藤康です。

学生野球では春休みである大学生はオープン戦を連日行うチームも多く、中高生では週末に練習試合を行い、春季大会に向けた実践練習中心のメニューとなっているところが多いかと思います。

冬季にトレーニング中心のメニューで取り組んできた効果がパフォーマンスに反映されてきますが、試合が続く連戦になると試合間でのパフォーマンスに差が出てきたりします。

持久力と聞くと、サッカーやバスケットボールに比べ、野球にはあまり必要ではないのではないか。と思う方もいらっしゃるかもしれません。結果、過小評価される要素になりがちです。

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持久力を疎かにしてしまうと、疲労の蓄積によりパフォーマンスレベルは低下し、怪我をするリスクも増大するおそれがあります。走り込みは必要か?という論議がさまざまなところでされておりますが、結論から言うと、短距離・中距離・長距離ともに必要な要素であると思います。もちろん目的を無視した過度な走り込みについては問題があると思います。

そこで、今回は持久力をテーマに考えていきたいと思います。

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野球に持久力は必要か?

はじめに野球の競技特性から整理していきましょう。
野球は投球・スイング・守備・走塁の一瞬の高強度な動き(投手では約2秒間・野手では約5秒間)を1試合・練習の中で繰り返される競技です。

一般的に競技種目を持久系と瞬発系の程度に分けて分類してみると、以下のように分類されています。
例えば、ボクシングを例に挙げると、ダッシュのようなハイパワー(無酸素性能力) を維持し続ける持久力が求められるといえます。

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参考書籍:持久系スポーツの特徴(臨床スポーツ医学)

こうしてみると、やはり野球には持久力はそこまで必要ではないのでは?と思われる方も多いかもしれませんが、体力の土台となる持久性を前提に各種要素の能力の向上があります。

持久力を強化する目的として
①パフォーマンスをし続けられる体力の土台をつくる
➁同じ動きをし続けられることでケガのリスクの低下
③リカバリー能力の向上

が挙げられます。

この点につきましては後述していきます。

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上図は運動要素を力・時間・速度の3つの軸で捉えた際に、体力のエネルギーを三次元で示した図になります。

トレーニングを段階的に進め、選手の持久力・リカバリー能力・筋力からなる”スタミナ”を養成していくためには、基盤としてこれらの要素を向上させていく必要があります。

無酸素系と有酸素系では、エネルギーがつくられる仕組みや筋線維の組成などに違いがみられますが、図にもあるように、両者は混在しているため、どちらか一方だけでなく、両者の理解が大事になってきます。

以下にそれをまとめていきます。

持久力で知っておくべき生理学的メカニズム

持久力の生理学的なメカニズムをおさらいしていきましょう。

持久力とは、長くその作業を続けることができる能力を意味しており、あらゆるスポーツにおいても、体力の中核的な要素として位置づけられます。

一般的に持久力は下記の2つに大きく分類されます。

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これらの持久力エネルギーをつくるためには、その代謝のシステムを理解していく必要があります。

エネルギー供給のシステム

エネルギー供給というワードを聞くと難しいイメージを持たれがちですが、十分に運動をし続けるためには、カラダにはエネルギーが必要となります。そのため、エネルギー供給の仕組みを理解し、どのようなトレーニングが必要となるかについて整理していきます。

競技において、求められる運動能力が瞬発系なのか、持久系なのかにより、筋肉へのエネルギー供給機構が違ってきます。

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瞬発系では、酸素を必要としないエネルギー供給機構(無酸素系)が働き、持久系では酸素を必要とするエネルギー供給機構 (有酸素系) が利用されていきます。

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筋収縮にはATP(アデノシン3リン酸)がADP(アデノシン2リン酸)に分解されるときのエネルギーが使われます。つまり、ATPが筋収縮のエネルギー源となります。

ATPは筋内に貯蔵されていますが、量に限りがあるため、運動をし続けるためには消費したATPを再合成して補充していく必要があります。

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①無酸素系(ATP-CP系)
➁無酸素系(解糖系)
③有酸素系

①無酸素系(ATP-CP系)
エネルギー産生の過程において酸素を用いない無酸素系のシステム

筋肉内にあるクレアチンリン酸・ATPが分解されエネルギー生成されていきます。筋肉内にあるため、多くのエネルギーを生むことができますが、その持続時間が5-7秒と短時間であることが特徴です。

つまり、短時間・高強度の運動にてエネルギーを生成しています。

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➁無酸素系(解糖系)
解糖系はその名前の通り、糖(グリコーゲン)を消費して、乳酸に分解するエネルギーを生成するシステム

運動の強度の増大により、糖質の消費(燃焼)がより行われていきますが、酸素のない状態で糖質を代謝するため、強度が上がるにつれて、生成した際に蓄積される乳酸を除去しきれない運動強度となってしまいます。

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100m走などの高強度かつ短時間の運動ではエネルギーのほとんどがATP-CP系から供給され、高強度・1分弱の運動では解糖系が中心となります。

また、最大強度で運動した場合、ATP-CP系と解糖系を合わせても約40秒程度しか続きません。これは無酸素系のエネルギー源であるグリコーゲンの筋肉貯蔵量に限りがあるためです。

つまり、無酸素系のエネルギー生成では限られた時間内でのシステムであるということです。

疲労に関連する「乳酸の蓄積」について整理しておきます。

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野球選手に関わる上で必要な “頚部エコー”【トレーナーマニュアルvol.44】

C-I Baseballの小林弘幸です。

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元NPBチームドクターのスポーツDrと一緒にエコーを用いて、
選手の病態を理解し障害の原因追及、症状改善を大切にしています。

投球障害の原因は多岐にわたり、非常に難しいです。

しかし、皆様に少しでも自分の考えを共有していただき、
ご意見をいただきながら、現場の選手に少しでも還元できたら
うれしく思います!

CIB第2期後半では、
【野球選手に関わる上で必要なエコー】
ということで記事を書かせていただきます。

というのも、
私が運動器エコーと出会って一番良かったなと思うところは、
【筋骨格の断面解剖】と【神経の走行】の理解がしやすいと思ったからです。

ということで、小林が担当する、
野球選手に関わる上で必要なエコー編の記事(予定)です↓↓↓

①野球選手に関わる上で必要な “股関節エコー” (2月7日)
②野球選手に関わる上で必要な “頚部エコー” (3月14日)←今回
③野球選手に関わる上で必要な “肘関節エコー” (4月18日)
④野球選手に関わる上で必要な “肩関節エコー” (5月23日)


これらの記事を通じて、
臨床の基礎になっていただけたらと思っております。

そして、
様々なご意見をいただけたらと思います!

野球選手に関わる上で必要な “頚部エコー”

はじめに

投球動作の中で、あるいは打撃動作の中で、基本的に首は、
【反対方向】を向いています。

右投げであれば、左向き。

右打ちであれば、左向き。

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このような、同じ姿勢を取り続けることは、
身体の動きを考えると、
見直さなくてはなりません。

今回は、私が臨床場面から感じたこと、考えたことを中心に、
なぜ、頚部を観察しなくてはならないのか?
を含めて記載できたらと思います。

そして、エコーを通じて
解剖を理解して、臨床場面で活かしていただきたいと思います!

【肩甲挙筋】と【頚部の神経症状】

今回は、この二点について考えていきたいと思います。

まずは、肩甲挙筋です。

肩甲挙筋概要

エコーと解剖については、下記のYoutubeで小林が配信しております。


少しの時間ですが、ご覧いただきたいと思います。

基本情報をおさらいします。

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注目すべきは、
肩甲骨に対する作用です。

肩甲骨の挙上と、下方回旋作用があります。

投球における肩甲骨の動きは、上方回旋が重要となります。

overhead athletesの
Type2 SLAP病変の後方型に対して
肩甲骨上方回旋を促すことで疼痛軽減が見られるとされています。

※S S Burkhart, C D Morgan, W B Kibler. Et al.: Shoulder injuries in overhead athletes. The “dead arm” revisited. Clin Sports Med. 2000 Jan;19(1):125-58. 

いわゆる、
Scapula assistance test(SAT)での疼痛軽減です。

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※Pluim BM. Scapular dyskinesis: practical applications. Br J Sports Med. 2013 Sep;47(14):875-6.

肩甲骨下方回旋筋の肩甲挙筋がタイトネスになると、
上方回旋不足が生じ、SLAPやインピンジメントを招いてしまう原因になると思います。

この肩甲挙筋について、どのように評価治療すべきかは、後述していきます。

頚部の神経症状の概要

頚部の神経症状を、見逃してはいけません。

理由は、
肩の症状、特に筋力低下などは、頚椎性の症状があるからです。

これは、
投球障害肩を考える上で、非常に重要なことになります。

肩だけ評価して治療すると、まったく良くならないことがあります。

これは、頚椎性の症状があるからです。

まずは、腕神経叢をおさらいします。

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複雑に見えますが、
模式図を利用しながら、しっかりとした理解が必要です。

肩の症状との鑑別にはC5~C7までの神経を理解することが重要です。

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ここが理解できれば、肩と首の病態として判別できると思います。

まずはしっかりと判別することが重要です。

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判別テスト等で鑑別しますが、
これだけでは不十分ですので、この判別方法等も後述していきます。

肩甲挙筋

エコー画像での評価

肩甲挙筋の評価として、
頚部回旋時に肩甲挙筋がどの程度動いているのかという観点は非常に重要です。

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投球障害の肩以外の身体特性 : 肩甲骨と股関節に着目して (特集 投球障害を捉える : 動作,機能解剖,エコーの活用,予防に対する理学療法士の英知)
我妻 浩二 , 小林 弘幸 , 村本 勇貴 , 岩本 航
理学療法ジャーナル 54(5), 519-525, 2020-05
より、図を引用改変

肩甲挙筋をエコーで観察すると、
頚部の回旋に伴い頚最長筋の表層を肩甲挙筋が滑走する様子が観察されます。

頚部右回旋では肩甲挙筋が頚最長筋上を後方へ、
頚部左回旋では頚最長筋上を前方へと滑走します。

投球障害肩では、この肩甲挙筋の滑走が障害されやすく頚部の回旋可動域制限と肩甲骨上方回旋の可動域制限が同時に出現します。

実際に、動画で回旋時の肩甲挙筋の動態をご覧ください。

そして、もう少し、低位での動態です。

肩甲挙筋が横方向に滑走しているのが良くわかると思います。

しかし、
観察する高さによって、動態が異なります。

どのようなことを意味しているでしょうか?

これは、

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スプリントトレーニング・その③【トレーナーマニュアルvol.43】

C-IBaseballの高橋塁です。 2022年に入り、スプリントトレーニングをシリーズとしてお伝えしています。 今回はスプリントトレーニング3作目となります。 まずは、私の自己紹介から 前回までに紹介した、スプリントト … 続きを読む

Late cockingからの踏み込み脚の機能を足部から変える編【トレーナーマニュアルvol.42】

いつもトレーナーマニュアルをご購読頂きありがとうございます。
C-I Baseballの足部担当の須藤慶士です。

前回までの記事はWind-up〜Early cockingまででした。
今回の記事は『Late cockingからの踏み込み脚の機能を足部から変える』です。

投球時踏み込み脚が不安定なためにフォームが崩れるということはありませんか?インソールで動作改善をしてみませんか?

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どの投球相でどのように崩れるのか?
足部評価と姿勢・動作評価ができると投球動作の、どのフェーズで崩れるのか予測できるようになります。
さらには、足部からのアプローチで投球動作の改善が可能にもなります。

今回の記事は投球動作に対しての評価・インソールを記載しております。

今回のポイント

Late cocking
・過回内にならない事
・距骨下関節指標中間位キープ
・足趾屈曲が強くならない事
Acceleration
・母趾が使える事

前回はWind-up〜Early cockingまでの足部について記載しました。
軸足が機能しなければもちろん踏み込み脚は崩れてしまいます。

今回からCIB 記事をご覧になった方は前回記事を参考にしてください。

記事はこちら⬇️

そのほかの記事はこちらから⬇️

野球トレーナーマニュアル|C-I baseball|note【C-I Baseballトレーナーのトレーナーマニュアル】 投球障害肩・肘、腰痛、捻挫、肉離れ、下肢障害など野球におけるnote.com

・・・・・・・・・以下本文・・・・・・・・・

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チェック項目

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どの相で崩れやすい動作が見られるのか?
①姿勢・動作チェック
②足部チェック
③投球動作フェーズチェック

①姿勢・動作チェック
 ・姿勢
 ・回旋
 ・歩行

②足部チェック
 ・距骨下関節評価

③投球動作フェーズチェック
 ・投球動作フェーズでの距骨下関節肢位
 ・過回内、Knee-in
 ・突っ込み

姿勢・動作チェック

姿勢、回旋、歩行動作を評価します。

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チェックポイント

姿勢:投球側肩甲帯位置、骨盤位置

肩甲骨:下制しているとEarly cockingで肩関節外転しにくくなり肘下がりにつながりやすい

骨盤:静止立位時に投球側への回旋・下制がみられるとLate cockingで骨盤回旋量低下しやすい(投球側距骨下関節が関係)

静止立位時に非投球側への回旋・下制がみられるとLate cockingでKnee-inがみられやすい(踏み込み側距骨下関節が関係)

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回旋:投球側回旋量、非投球側回旋量


投球側回旋量が大きい場合:Wind-up〜Early cocking安定しやすい

非投球側回旋量が大きい場合:Late cocking〜安定しやすい


投球側回旋量が大きい場合はLate cockingからの投球動作は不安定になりやすい
と予測できます。

理由
非投球側の距骨下関節が回外しにくいために回旋量が低下していると考えられます。
距骨下関節が回外しにくいという事は、投球で踏み込んだ時点で回内傾向になりやすく運動連鎖でKnee-inすることが考えられるからです。

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歩行動作:歩行時骨盤・肩甲帯の下制量


ICで投球側肩甲帯・骨盤下制が大きい場合
:肘下がりの傾向が予測できる

ICで非投球側肩甲帯・骨盤下制が大きい場合:Accelerationから骨盤の非投球側へのSWAYがおこりやすい

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足部チェック

距骨下関節評価

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踏み込み脚足部の過回内により内側縦アーチの低下や扁平足が起こると、踏み込んだ際に投球動作が崩れやすくなります。

まずは距骨下関節評価を行い、足部形態がどうなっているのかをチェックしましょう。

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距骨下関節評価はこちらの記事をご参照ください⬇️

投球動作フェーズチェック

 

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踏み込み脚は以下のような現象が起こると考えます。

・上体のつっこみ・沈み込み
・Knee-in
・骨盤が回旋しない

小林さんの記事で述べられているものを以下に記載します。
小林さん記事⬇️

●踏み込み脚において、股関節の重要な機能の一つとして、伸展機能が重要
●踏み込み脚機能が低下すると、上体のつっこみ・沈み込みが生じ、肘下がりや、肩関節の過外旋が生じてしまう
●股関節伸展機能は大殿筋が重要
(一部改変)

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これらの事は足部の接地や状態により起こることがあります。
筋力低下や柔軟性も関係しますが、地面に接しているのは足部ですので動作チェックを行う際は足部の接地を確認してみましょう。

フェーズで考えられる事

 ・Early cocking:肘下がり
 ・Late cocking:踏み込み脚足部過回内、Knee-in
 ・Acceleration:突っ込み、踏み込み脚足部過回内or回外(足趾機能低下)

投球動作フェーズ距骨下関節肢位


Late cocking:距骨下関節中間位
Acceleration〜:距骨下関節中間位〜回外位

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プレシーズンのトレーニングプログラム−野手編−【トレーナーマニュアルvol.41】

C-I Baseballの増田稜輔です。
2月に入りいよいよシーズンインに向けて準備の最終段階に入ってきました。

アマチュア野球現場では3月から試合を開始することが多いです。
トレーニングプログラムは身体作りからより実践に必要な機能を高めるものに移行していきます。

今回はオフシーズントレーニングから
プレシーズントレーニングへの移行する際の
プログラムの組み立て方について解説していきます。

トレーニングプログラムを立てる前に行うこと

トレーニングプログラムを考える前にチームからの要望と選手の身体状況を把握していきます。

「チームがトレーナーに何を求めているのか」
「どんな要素を向上させたいのか」
「現在のチーム・選手の状態はどうなっているのか」

このようなことを明確にしていき、要望に対してトレーナーとして
提供できることを考えていきます。

チームからの要望

今回は実際にC-I Baseballに依頼があった事例をもとに解説していきます。

対象チーム
・大学野球部
・部員数80名程度
・1部リーグに所属

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チームからはすでにストレングス分野のトレーナーは在籍しているため
パフォーマンスに繋がる・障害を予防するための
「身体操作性」を向上させるトレーニングを行ってほしいとのことでした。

また、対象人数が約30名と大人数であり、30名が一斉に実施できる
トレーニングを提供してほしいとの要望がありました。

トレーニングの方針を決める

要望を受けて考えたことは下記の3つの要素です。
・身体操作性をどのように向上させるか
・パフォーマンスにどのように転換するか
・大人数の動きをどのように管理していくか

身体操作性やパフォーマンスレベルは約30人が同じレベルではないことが多くあります。
能力別にグループ分けをしトレーニングレベルを変化させて実施していく方法もありますが、チーム全体のパフォーマンスを上げることを考えると
全員が統一して実施し身体操作性やパフォーマンスが向上するトレーニングを提供することが妥当であると考えました。

今回のケースでは
事前にフィジカルテスト等を行っていないため、選手の身体的状況がわからないまま作成する必要がありました。
なので、選手の身体状況を確認しながら
「野手に必要となるパフォーマンス要素」をボトムアップ形式でトレーニングプログラムを作成し実施することにしました。

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下記の図に示しているように、パフォーマンスピラミッドを使い
土台となる、ポジションやムーブメントの部分を中心に行い段階的にパワーやスキルに繋げていきます。

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上記の内容を踏まえ今回のトレーニングのプランを考えました。

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パフォーマンスを向上したいからと言って
競技特異的なトレーニングを中心に行なうのではなく
競技特性を理解し、パフォーマンスに必要な各関節の機能
連動性、筋機能などを1から構築していくことを行います。

また、オフシーズン〜プレシーズンは急なトレーニング強度の上昇により
障害が発生するリスクがあるため各要素を段階的、計画的にプログラム設定していきます。

トレーニングプログラム作成

トレーニングの方針が決定したら次にトレーニングスケジュールを決めていきます。

具体的には
「どの期間にどのようなトレーニング行うのか」です。
ここを決めるためにはオフシーズンとプレシーズンでの違いを知っておくことが必要になります。

オフシーズンとプレシーズンの違い

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大学野球では秋季リーグ戦終了後の11月から2月までをオフシーズン
2月から春季リーグ戦が始まる4月までをプレシーズンとしています。

オフシーズン
身体の基本的な動作や筋力を強化する時期
プレシーズン
オフシーズンに獲得した能力をパフォーマンスへ転換する時期

オフシーズンのトレーニングプログラム

オフシーズンはパフォーマンスピラミッドの土台となる
BodyPosition(可動性・安定性・姿勢)とBodyMovement(動作コントロール)を構築していきます。

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今回のテーマである「身体操作性・パフォーマンス向上」の土台として、
野球に必要な可動性や安定性、姿勢の獲得と各動作のコントロールを目指していきます。

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トレーニングメニューは、
縦方向・横方向・回旋の3平面の動きに分類し
各要素に必要な上肢ー体幹ー下肢を連動させていくようなメニューを作成しました。4
特に重視した点は、1つの関節や筋に特化してトレーニングするのではなく
多くの関節や筋を活動させ動きを作ることを意識しました。

今回の記事では縦方向のトレーニングプログラムについて解説していきます。

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プレシーズンのトレーニングプログラム‐投手編‐【トレーナーマニュアルvol.40】

C-I Baseballの現場編記事を
担当する佐藤康です。

野球現場では3月からの対外試合開始に向けて、トレーニング中心の練習メニューからボールを使った実践練習への移行をすることが多くなってくると思います。下図にもあるように、試合期に向けてトレーニングの強度も変化した移行期に入っていきます。

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今回はオフシーズン(準備期)でのトレーニングにおける実際のプログラムを例に、どのように組み立てて提供しているかについて解説していきたいと思います。

まだコチラをご覧になっていない方はぜひご覧いただけたらと思います。
※約1時間の動画解説をしています。

今回の記事では、投手選手を対象としたトレーニング指導を組み立てる際に実践した内容をご紹介していきます。

トレーニングメニューを考える前にすべきこと

はじめに、トレーニングメニューを構成する上で、まず選手・チームの現在地を把握し目標設定をすることが大前提となります。

「いま、自分・チームの弱点がなにか?
それに対してどんな目標を立てたらよいのか?」
ここをある程度明確にして、内容を考えています。

加えて、チーム側からいただいたニーズを加味してその要素をかみ砕いていきます。

「走れるチームにしたい」
「バッティングを強化したい」
「完投できる投手をつくりたい」

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そこで、なにが必要となるのか?
走力・バッティング・完投能力に必要なフィジカル要素を挙げ、そのアセスメントから弱点要素を分析し、実際のメニューの構成を考える過程をベースとしております。

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※評価・再評価はフィジカルチェックなどになります。

段階的なトレーニングプログラムの構成

これらの動き・パフォーマンスができるようになるために、その動きを補助する要素も併せてメニューに組んでいきます。

チーム内でも選手によって身体的な運動能力・体力はさまざまであるため、トレーニング強度を優先したプログラムになりすぎてしまうと、故障のリスクを増大する恐れもあるため注意が必要です。

そのため、トレーニング強度に並行して、障害予防の観点も決して無視してはいけません。そのため、その動きができない選手向けに補助種目も準備しておくことが大事であると思います。

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難しいところは、1対1のパーソナルの指導ではなく、集団へのトレーニング指導となるため、ひとりひとりに細かい指示が行き届きにくい点があります。そのため、全体の動き・状態をみながら、メニューを進行していく必要があります。

トレーニングの参考書で必ず目にする「パフォーマンスピラミッド」がありますが、トレーニング指導をする際の基盤となるものさし・軸として重要です。

一般的なピラミッドは以下のように大きく分けて3段階に挙げられます。
・基本動作の獲得(Movement:stabilization/mobilization)
・パフォーマンス(Performance)
・動作スキル(Skill)

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このピラミッドに今回私が構成する上で重視している点は赤字部分の根底にあたる”基本動作の強化”のところです。2nd stage(パフォーマンス)にあたる筋力やパワーの強化に向け、体性感覚をもとにした姿勢・動作のコントロール(制御能力)・関節の安定性・可動性などの因子を向上させることが重要となります。

詳細は、動画と併せて後述していきます。

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野球選手に関わる上で必要な “股関節エコー”【トレーナーマニュアルvol.39】

C-I Baseballの小林弘幸です。

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元NPBチームドクターのスポーツDrと一緒にエコーを用いて、
選手の病態を理解し障害の原因追及、症状改善を大切にしています。

投球障害の原因は多岐にわたり、非常に難しいです。

しかし、皆様に少しでも自分の考えを共有していただき、
ご意見をいただきながら、現場の選手に少しでも還元できたら
うれしく思います!

CIB第2期後半では、
【野球選手に関わる上で必要なエコー】
ということで記事を書かせていただきます。

というのも、
私が運動器エコーと出会って一番良かったなと思うところは、
【筋骨格の断面解剖】と【神経の走行】の理解がしやすいと思ったからです。

ということで、小林が担当する、
野球選手に関わる上で必要なエコー編の記事(予定)です↓↓↓

①野球選手に関わる上で必要な “股関節エコー” (2月7日)←今回
②野球選手に関わる上で必要な “頚部エコー” (3月14日)
③野球選手に関わる上で必要な “肘関節エコー” (4月18日)
④野球選手に関わる上で必要な “肩関節エコー” (5月23日)

これらの記事を通じて、
臨床の基礎になっていただけたらと思っております。

そして、
様々なご意見をいただけたらと思います。

野球選手に関わる上で必要な “股関節エコー”

はじめに

野球というスポーツは、
投球や打撃の【回旋系】の動きが主となるスポーツです。

人体の中で大きな回旋可動域がある部位は、
【肩関節と股関節】です。

とくに、股関節は可動域とともに、
軸足、踏み込み足にとって可動域も筋力発揮もとても重要です。

股関節を体幹と連動して機能させることも、とても重要ですが、
股関節自体の機能改善も必要です。

エコーでの解剖の断面解剖や神経の走行が理解出来たら、
治療の幅が広がると思いますので、
参考にしてください。

野球に必要な股関節機能

軸脚 股関節

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軸脚において、
股関節で重要な機能の一つとして、
外転機能が重要だと考えています。

軸足機能が低下すると、
上体のつっこみが生じ、肘下がりや、肩関節の過外旋が生じてしまうと考えています。

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股関節外転機能と言えば、
中・小殿筋が重要であると考えています。

中殿筋:腸骨稜後面 → 大腿骨大転子の外側面
    上殿神経支配

小殿筋:腸骨の外側、中殿筋の起始のすぐ下 → 大腿骨大転子の前面
    上殿神経支配

これらの外転筋の特徴として、
両方とも、上殿神経支配ということになります。

これらの解説は、後述したいと思います。

踏み込み脚 股関節

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踏み込み脚において、
股関節で重要な機能の一つとして、
伸展機能が重要だと考えています。

踏み込み脚機能が低下すると、
こちらも上体のつっこみ・沈み込みが生じ、肘下がりや、肩関節の過外旋が生じてしまうと考えています。

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投球動作不良の動作自体は似ている結果でも、
原因となることが違うことは良く経験します。

股関節伸展機能といえば、
大殿筋が重要だと考えます。

大殿筋:腸骨稜の後方1/4、仙骨の腸骨近くの後面、腰背筋膜 → 大腿骨の殿筋粗面、腸脛靭帯
    下殿神経支配

この詳細な解剖、エコーも後述します。

股関節の解剖とエコー画像

股関節周囲は、殿筋群に加え、深層外旋六筋があり、
非常に理解しにくいです。

しかし、一つのキーマッスルとして、
エコーを見る上では 【梨状筋】 が重要だと考えています。

そのあたりを踏まえて、まずは基本的な解剖を復習して、
エコー画像を見ていきます。

股関節後面筋

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大殿筋は大きく理解しやすいので、
省いています。

重要なものを記載していきます。

中殿筋の深層に、小殿筋が位置します。

梨状筋は、大殿筋の深層に位置し、仙骨の前面から付着します。

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坐骨神経周囲

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坐骨神経は、基本的には、梨状筋の深層を走行します。

ただし、それはバリエーションがあるといわれており、
・梨状筋の深層:約80%
・梨状筋間+梨状筋深層:約15%
程度だといわれています。

※Luis Perez Carro, et al.: Deep gluteal space problems: piriformis syndrome, ischiofemoral impingement and sciatic nerve release. Muscles Ligaments Tendons J, Dec 21;6(3):384-396. 2016.

その他の外旋六筋の表層(外閉鎖筋を除く)を通って下肢後面へ走行します。

エコーでは、
大腿方形筋のレベルではっきりとわかりやすく観察できます。

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上・下殿神経

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上下殿神経に関しては、
梨状筋すぐ上下に存在します。

これは、エコーでも観察できます。

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※神経は動脈と伴走しているので、拍動している部分が神経周囲です。

梨状筋の頭側から上殿神経、尾側から下殿神経が走行します。

つまり、梨状筋周囲の動きが非常に重要であると考えられます。

治療の考え方

徒手療法の考え方としては過去記事を参考にしていただけたらと思います。

基本的には、
(脈管系の)タイトネス改善 ≒ 筋機能(出力)改善
と考えています。

脈管系周囲には疎性結合組織が存在し、その密性化が神経の滑走性低下や痛みを伴った可動域制限につながるとされています。

※工藤慎太郎: 腱板損傷に対する軟部組織理学療法. 理学療法ジャーナル, 54(9), 1016-1021, 2020

相対的な密性組織化を改善させることで、
中の水分量が改善され、疎性結合組織に戻ると思います。

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※疎性結合組織に関する模式図(イメージ)

脈管系周囲の脱水が改善されれば、
神経血管に対する循環が改善し、
筋肉に対する栄養、信号伝達が正常化するのではないかと考えています。

その結果、
タイトネス(軽微なスパズム)、筋出力改善するのではないかと考えています。

股関節周囲の神経走行とその周囲の循環改善を中心に治療の方法を解説していきます。

股関節周囲のエコー下徒手療法と運動療法

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スプリントトレーニング・その②【トレーナーマニュアルvol.38】

C-IBaseballの高橋塁です。

2022年、私個人では2作目、C-IBaseballでは5作目となります。

まずは、自己紹介から

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また、現在、私は『走りの学校』の公認インストラクターをしています。

『走りの学校』の詳細はこちらから

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走る能力を高めたい方はぜひ、体験会や普及員講習にぜひ、ご参加ください。


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【走りの学校】足の速さは才能じゃない!!’’足の速さは才能じゃない’’ 私たちは足が速くなるために必要なトレーニングやテクニックを 誰にでも分かりやすくお伝えするwww.youtube.com

前回より、『スプリント能力』を高めるためのエクササイズを3回に渡りお伝えしています。

前回、第1回目の記事はこちらから

指導者、トレーナーの皆様は足の速さは、センスだとか才能だとかと決めつけていませんか?

また、冬場に目的を明確にせず、走力アップと称して、闇雲に走る量を増やしていませんか?

実際は、正しい事をやれば、誰でもが走り方が改善でき、タイムの改善、しいては、走ることが楽しくなります。

まずは、前回の復習として、正しい走り方を習得する前に、『ランニング』と『スプリント』の違いを理解する必要があります。

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まずは、上記をしっかりと理解してください。

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肘下がりを足部から考える Wind-up〜Early cocking編【トレーナーマニュアルvol.37】

足部構造が破綻する事で投球動作は崩れてしまいます。
今回のnoteは肘下がりが起こるメカニズムを足部からの考え方で記載しております。

臨床現場で野球で肘や肩を痛めて受診してくるケースは多く、特に内側型野球肘が多くみられます。

問診で選手から話を聞くと、指導者や親から『肘が下がっている』と言われる事が多いと話す選手がほとんどです。

選手たちは一生懸命肘をあげようと意識や努力をして投げようとしていますがなかなか肘下がりは改善しません。

なぜ肘が下がるのか?

それは姿勢に関係します。

立位姿勢が崩れていると肘は下がりやすくなります。

内側型野球肘で受診してくるケースのほとんどのジュニア選手が投球側の肩甲骨が下制しています。
地面に接しているのは足部です。足部が崩れると姿勢も崩れます。

肩甲骨の下制は体幹の機能低下や、肩甲胸郭関節の固定性低下が考えられますが、今回のnoteでは足部からの考え方ですすめてまいります。

Wind-up

Wind-upは投手が軸脚をプレートに置きステップ脚をあげたところまでの動作です。

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Wind-up動作は、
●両手を頭上まで振りかぶる・体幹の前で両手を止める
●セットポジションから行う
といった動作があります。

Wind-upで起こりやすい現象

●体幹前傾
●体幹後傾
●投球側側屈
●骨盤前傾⬆️
●腰椎伸展⬆️
●股関節機能低下
●足部回内
➡️片脚立位不安定

肩甲骨下制すると肘は下がりやすい

臨床で肩や肘を痛めて受診する選手の多くは静止立位で肩甲骨下制位がみられます。

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アプローチで考えることは、まずアライメントを整える必要があるので肩甲骨周囲のエクササイズを行うと思います。

しかし、肩甲帯のエクササイズのみでは元に戻ってしまう経験はないでしょうか?

体幹エクササイズや肩甲帯エクササイズで元に戻りやすい場合は足部機能を変えないと肘下がりは変わらない事があります。

足部からの運動連鎖

Wind-upでは片脚立位で溜めた力をCockingに繋げなければいけません。
そのためにはWind-upでの距骨下関節は指標中間位の状態を保つ事が重要です。

距骨下関節指標中間位評価についてはこちらをご参照ください↓


片脚立位で長時間バランスを取るためには距骨下関節は回内位が優位です。

しかし、距骨下関節回内位はバランスを取りやすい半面、ふらつきやすくなってしまいます。
Wind-upでは距骨下関節指標中間位(もしくは若干の回外位)になることが必要です。

足部からの崩れ方⬇️

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足部形態から考えるアライメント

距骨下関節回外位

距骨下関節回外は機能的脚位延長させます。

距骨下関節回外位になるということは、同側の骨盤が下制していることが予測できます。

『下制=短い』と考えます。

短いので左右のバランスを保とうとするため距骨下関節を回外させて少しでも伸ばそうとします。
ですから、立位投球側が下制位の場合の同側の距骨下関節は、指標中間位評価すると回外位になります。

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距骨下関節回内位

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野球現場起こる外傷対応について【トレーナーマニュアルvol.36】

C-I Baseballの増田稜輔です。
いつもC-I Baseball「トレーナーマニュアル」をご購読頂きありがとうございます。
お陰様で2022年も多くの方にご購読頂いております。
今後も野球トレーナーにとって有益な情報を配信していきますので
よろしくお願い致します。

野球トレーナーとして野球現場で活動するには
トレーニング・コンディショニングや投球障害等の予防・治療ができればいい訳ではありません。
私のように理学療法士は普段、医療機関で勤務しているので
「外傷」に対しての経験が少ないと感じています。
しかし、試合や練習中に起こる「外傷」についても対応する場面があります。
そこで今回は今まで私が経験がした実際のケースをもとに
野球野球現場で起こる「外傷」について解説していきます。
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野球現場で起こる外傷について

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野球はラグビーやアメフトのように激しい衝突が少ないため
比較的「外傷」の発生頻度は低い印象があります。

・野球現場発生する外傷の種類
「外傷」の種類も擦過傷や打撲などがほとんどですが、
時には脳震盪や骨折、肩関節脱臼が発生することもあります。

上記のような外傷が発生したときに、トレーナーとして
対応し試合または練習が継続可能か、中止し医療機関の受診が必要かを判断しなくてはいけません。
そのため外傷への対応方法も少なからず知っておくことが
野球現場では求められます。

各外傷の対応について解説する前に、野球チームへ帯同する際に
やっておくべきことを紹介します。

野球チームトレーナーとしてチームに帯同する際にやっておくべきこと

①基本的な救命法を学んでおく

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万一に備えて、心肺蘇生法やAED(自動体外式除細動器)の使用方法について講習を受けておく必要があります。
実際に野球試合中に、胸部にボールが当たる事故も発生しており
AEDの使用により命が助かったことも報告されています。
現場に関わる以上、遭遇する可能性がありますので、トレーナーとしては必須事項であると考えています。

特に理学療法士はこのような救命法を学ぶ機会が少ないと思うので
各自、受講しておきましょう。

基礎的な救命法については
日本赤十字社にて定期的に開催されており、1日で講習を受けることができますので野球チーム帯同前にチェックしてみてください。
詳細は下記にリンクを添付しております。

救急法|講習の種類|講習について|日本赤十字社www.jrc.or.jp

②近隣の医療機関を確認しておく

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帯同しているチームの近隣に緊急時に受診できる医療機関があるのかを確認しておきます。
現場で対応出来なような外傷が生じた際や医療機関の受診が必要になった際に
対応してくれる医療機関を事前に把握し連絡が取れる状態にしておくことで
スムーズな対応が出来ます。

主に下記の医療機関をリストアップしておくことが必須です。
・整形外科
・眼科
・口腔外科
・総合病院

医療機関へは、トレーナーや指導者から連絡し
怪我の概要や選手の個人情報を伝え、受診可能か問い合わせることが多いです。
また、保護者の方への連絡も忘れずに行うと良いでしょう。

救命法の習得や医療機関への対応は、全スポーツ現場に帯同するトレーナーとして最低限のスキルです。
トレーニングなどの知識だけでなく、このような命に関わることの重要性も理解しておきましょう。

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ここからは実際に経験した、外傷対応の一例をご紹介していきます。

外傷への対応方法

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ここからは実際に経験した、外傷対応の一例をご紹介していきます。
野球現場では。前述した通り接触が少ないスポーツのため
擦過傷、打撲、捻挫、肉離れなどが多いです。

捻挫と肉離れの対応については以前のマニュアルで紹介していますので
詳細についてはそちらをご参照ください。

概要のみご紹介します。

捻挫の対応

捻挫は多く発生する外傷のひとつです。
野球現場ではSALTAPSを基準に受傷がプレーが可能か判断します。
関節運動による痛みや筋の出力低下、荷重が困難な場合は
プレーの中止を判断します。
特に、初回捻挫は痛みが強く出ますので基本的に中止にします。

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固定方法
固定は主にテーピングで行うことが多いです。
捻挫後のテーピング固定では足関節背屈+内反制御の
テーピングが多く紹介させていますが、
前下脛腓靭帯損傷例では背屈位で疼痛が増強する場合もあります。
ストレステストの結果を考慮して、固定よりは良肢位に保つようにすることが重要です。

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詳細については、こちらのnoteをご参照下さい。

肉離れの対応

野球におけるハムストリングスの肉離れは様々な状況で生じます。
主には走塁中や守備の切り返し動作や一歩目の対応時に
受傷することが多いですが
投手の場合には投球中に受傷することもあります。

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肉離れ受傷後は、基本的にプレーの継続を中止し
処置を行うのが望ましいと考えます。
(SALTAPSの項目がクリア出来ないと継続負荷)
理由としては、
野球現場では、適切な損傷部位、損傷状況の判断が困難なこと
野球動作ではハムストリングスや腹斜筋の活動を抑制出来ないこと
パフォーマンスレベルが著しく低下すること
以上のような理由により、監督やコーチの報告し
プレー継続を中止します。

圧迫方法
肉離れの後は、損傷組織周囲の血腫が生じます。
また、筋の伸張短縮によって疼痛が増強するため
圧迫にて、血腫を最小限にし、筋の張力負荷を抑えることが
その後のリハビリテーションへ移行するためには重要です。
血腫が残存してしまうと筋の癒着による、制限が生じ
疼痛も長引きます。

詳細については、こちらのnoteをご参照下さい。

打撲の対応

野球現場でかなりの高確率で対応することになるのが
デッドボールや自打球、打球処理時に起こる打撲です。
特に重篤な外傷ではないですが、発生件数としては多く骨折を伴うケースもあります。

また、試合中に発生することが多いのでの、処置方法と試合に復帰出来るかの判断も求められます。

今回は実際に起きた自打球のケースをもとに解説します。

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受傷シーン:打席中に自打球にて受傷
受傷部位:右膝関節 パテラ下内側部
選手の状態:受傷後、立ち上がれない状態

トレーナーの動き
ベンチで受傷シーンを確認し
選手が立てなくなったの見て監督に確認後グラウンド内へむかいます。
グラウンド内で受傷部位を確認し状態を評価する。

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その場での処置はできないので
選手と話しながら、SALTAPSに従って状態を評価しました。
評価は上の図を参照してください。
骨折の可能性が低いこと、疼痛が徐々に減少し、動作可能だったこと
カウントが2ストラクであり、ツーアウトだったことも踏まえ
選手と監督と話し今回の場合はプレー可能と判断し続行させました。

打席終了後のイニングに処置を行うます。

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