距骨下関節と腸骨評価から導き出すアプローチ【トレーナーマニュアルvol.153】

いつもC-I Baseballのコンテンツをご利用いただき、心より感謝申し上げます。C-I Baseballは、活動を開始してから早くも5年目を迎えることとなりました。
私自身メンバーとして活動させていただき、CIBの仲間から刺激を受け日々勉強になっております。
臨床で行っていることを可能な限りnoteで発信していきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

代表の増田より

5年目を迎えるにあたり、C-I Baseballの活動の方向性を整理しました。
・我々はこの先どのように進むべきなのか?
・どんな世界を作りたいのか?
・どんな活動をしていきたいのか?
など、今までの4年間に行ってきた活動や我々の価値観を改めて考えました。

そして、新たなC-I Baseballの方向性を定義しましたので、ご報告させて頂きます。

画像

整えることとは?

アライメントが崩れるということは、筋肉が伸張もしくは短縮していると考えます。
アライメントを整えないと筋出力は向上しません。

画像

しかし、ただ整えればいいのか?

教科書に載っている正常がその選手にとって整っている状態かと言われると答えは『NO』です。
距骨下関節指標中間位が個体差、左右差があるように他の関節(部位)も選手ごとに異なるのではないでしょうか?

異なるものに対しては、やはり評価が大切です。

今回のnoteは前回のおさらいと足部や腸骨をどのようにして評価し誘導方向を決定するのか、腸骨・肩甲骨誘導、腸骨誘導と、股関節エクササイズなどをご紹介いたします。

前回のおさらい

距骨下関節指標中間位

距骨下関節可動域は約30°ありそれには中間位が存在する。その中間位は左右や個々により異なる。
その左右や個々により異なる中間位を評価することは立位や歩行時の距骨下関節の動きを安定させるために必要である。
その中間位は個々により異なるため、距骨下関節が回内・回外・中間位なのかの評価したときの肢位を『距骨下関節指標中間位』ということにしている。

距骨下関節指標中間位評価

指標中間位評価は非荷重位で行う。荷重位では足部に荷重がかかることで足部構造が変化してしまう。
立位で後面から踵骨やアキレス腱の位置をチェックする方法があるが、荷重がかかることで体幹・骨盤の影響や横足根関節や足趾も加わり、色々な影響により足部構造が変化してしまう。
そのため純粋な距骨下関節の肢位がわかりにくくなる。


以下、距骨下関節指標中間位評価のスライド

画像
画像
画像
画像
画像

腸骨アライメントチェック

まずはASIS(上前腸骨棘)PSIS (上後腸骨棘)の触診から始めます。
腸骨前後傾中間位はPSISから2横指半下にASISがあると言われています。

画像

腸骨の動き

●挙上/下制
●前傾/後傾
●内転(内側移動)/外転(外側移動)
●回旋(骨盤全体の動き)

画像

腸骨は片側単独で動くわけではなく両側の位置や動きを把握できるといいと考えます。
左右の腸骨がどのような肢位になっているのか把握しましょう。

触診ポイント
●挙上・下制は腸骨稜で左右差確認
●前傾・後傾は矢状面でASISとPSISを確認

腸骨アライメントと足部

腸骨稜を触診し左右どちらが挙上・下制しているのか評価

画像

距骨下関節指標中間位回外が強い場合(両側比較し左右差がある場合)
→立位では回内位になるため同側腸骨は前傾・内転・下制位になりやすい

距骨下関節指標中間位に対して横足根関節回外の角度の差が強い場合
→立位になると距骨下関節回内よりも横足根関節の回内が大きくなるため、同側腸骨は前傾・内転位になりやすい
*挙上・下制は距骨下関節指標中間位により異なる

腸骨誘導は距骨下関節指標中間位の肢位が
●回外が大きい方➡️腸骨下制誘導
●回外が小さい方(回内傾向も)➡️腸骨挙上誘導

画像

ここからは今回のお話です。

腸骨評価・誘導

画像

腸骨評価

前回noteでは臥位膝PUSH TESTは下制方向しか行いませんでしたが、挙上方向の評価を行うことでさらにどの方向に誘導すればいいのかが確認できます。
8方向からPUSH TESTを行い、一番踏ん張れる踏ん張れない方向を評価します。

画像

ここから先は有料部分です

続きを読む

チェンジアップの投げ方(前編)【トレーナーマニュアルvol.151】

C-I Baseball「トレーナーマニュアル」をご購読頂きありがとうございます。 目次 CIBトレーナーマニュアルについてはじめにチェンジアップチェンジアップの軌道ラプソードデータで球質を確認チェンジアップの回転チェン … 続きを読む

投球障害へのピラティスメソッドの活用③ー胸郭編ー【トレーナーマニュアルvol.150】

目次 はじめに胸郭(thoracic)胸郭とはjoint by joint theoryから紐解く胸郭の運動投球動作時の胸郭足底接地からMERでの胸郭ボールリリースからフォロースルーでの胸郭胸郭の可動性を高めるピラティス … 続きを読む

C-I Baseball 5年目突入 〜我々が進む未来〜【トレーナーマニュアルvol.148】

いつもC-I Baseballのコンテンツをご利用いただき、心より感謝申し上げます。C-I Baseballは、活動を開始してから早くも5年目を迎えることとなりました。 これまでのC-I Baseballの成長に欠かせな … 続きを読む

C-I Basaball -上肢トレーニング動画集-

野球現場で行う選手への介入は
徒手療法ではなくストレッチ・エクササイズ・トレーニング
を多く使用します。
投球動作に必要な筋のトレーニング方法を知っておくことは
野球現場で活動するには必須条件になります。

・投球動作に必要な筋は?
・どんな活動をしているのか?
・どうアプローチすれば良いのか?

今回のnoteでは野球現場で使える
上肢筋トレーニングの理論とアプローチ方法を
全9動画にて紹介しています。
実際の動画では1~2分でまとめられています。

ここから先は有料部分です

続きを読む

爪のケアと対応

今回は野球現場で対応する機会が多いですが意外と知らない「爪割れ」のケア方法と対応について解説していきます。 ■野球における爪割れ|発生部位■爪の役割■爪割れの実際|実際の爪割れ例|爪割れしやすい選手の特徴■爪のケア方法| … 続きを読む

手関節捻挫 -評価対応-

今週の動画配信はスポーツ現場で遭遇する
「手関節捻挫」について配信していきます。

手関節捻挫は靱帯の損傷程度により、関節の不安定性をきたし、競技復帰までに時間を要してしまうケースも少なくありません。

そのため、機能評価を経時的にみていく必要があります。

画像1

■手関節捻挫について
|なぜ手関節捻挫が起こるのか?
|損傷をきたすメカニズム
■病態を知る
|症状
|重症度
|競技復帰するための治療目標
■3つの評価方法
|炎症所見の確認
|圧痛を行うべきポイント
|関節安定性評価
※動画解説・全2分収録

動画で確認していきましょう!

ここから先は有料部分です

続きを読む

野球肘を前腕・手からみる

C-I Baseball育成メンバーの新海貴史です。

前々回、前回はそれぞれ投球障害予防のチェックポイント「肩関節」、「肘関節」について説明させていただきました。

今回は投球障害肘に対する前腕・手関節・手指(以下、前腕以遠)の機能評価とアプローチについて解説していきたいと思います。前腕という部位の関係上、肘関節に重なってくる部分もありますが、最後までお読みいただければ幸いです。

現場や臨床では主に患部となりやすい肩関節や肘関節をターゲットとしてアプローチすることが多いと思います。しかし、投球動作は全身動作であり、下肢で生み出したパワーを体幹→上肢へと連動させていく運動になります。全身の各関節がそれぞれしっかりと機能することが重要です。

スクリーンショット 2021-01-24 11.36.50

野球選手の前腕以遠を診る意義

前腕回内外運動に伴い、腕尺関節、腕橈関節、近位橈尺関節、遠位橈尺関節で関節運動が生じます。この様に多くの関節が関わる前腕運動が破綻することによって、肘関節周囲へのメカニカルストレスが増大します。

また投球時における肘外反ストレスに対する動的制動機能として前腕回内屈筋群の機能が重要であることは多くの研究や文献でも報告されています。

パフォーマンスの観点から見ると、手関節の機能は投球動作のphaseの中でも主にボールリリース前後で重要になってくると考えます。

先行研究においても以下のように述べられています。

ボールに伝えられるエネルギーの大部分は手関節の関節力パワーに起因し、そのほとんどは体幹や肩関節の運動によって生み出されたエネルギーが関節や筋・腱を介して転移することによってもたらされることから、手関節や手指がボールリリースにおけるエネルギー伝達に重要な役割を果たしている。

宮西 智久,藤井 範久,他:野球の投球動作における体幹および投球腕の力学的エネルギーフローに関する3次元解析.体力科学.1997; 46(1):55-68.

スクリーンショット 2021-01-24 12.16.07

以上の理由から野球選手において肩肘のみでなく前腕以遠の機能に介入する意義があると考えます。以下、10項目に分けて詳細を説明させていただきます。

ここから先は有料部分です

続きを読む

野球選手の肘・前腕可動域改善方法

投球障害肘の発生要因には可動域制限が大きく影響しています。
障害の改善・予防には肘関節・前腕の可動域を確保しておく必要があります。

野球現場で行う選手への介入は
徒手療法ではなくストレッチ・エクササイズを多く使用します。

ただストレッチ・エクササイズを指導するのではなく
なぜこのストレッチ・エクササイズをやるのか?
理論と合わせて選手に伝えることが大切です。

今回のnoteでは野球現場で使える
肘関節可動域制限を改善するための
理論とアプローチ方法を全6動画にて紹介しています。
実際の動画では1~2分でまとめられています。

ダイジェスト版としてご覧ください。
※内容はつながっていませんので
ご覧になりたい場合は本編にお進みください!

肘外反アライメント改善1

画像3

外反アライメントは内側構成体の組織に伸張ストレスをきたしやすくなるため、障害を理解する上で押さえておきたいポイントです。

■外反肘とは
|生理的外反-キャリングアングル-
|外反肘の定義
■外反肘と痛み
|肘内側のストレスについて
■キャリングアングルの増大
|なぜ外反が増大するのか?
■肘外反の評価とアプローチ
|評価
|STEP 1 リリース
|STEP 2 可動性改善
|STEP 3 ストレッチ方法

ここから先は有料部分です

続きを読む