ウォームアップ【トレーナーマニュアル34】

C-I Baseballの増田です。

【野球現場で行うウォームアップ】について解説していきます。
ウォームアップはトレーナーとしての力量の見せ所です!
素早くかつ効果的に選手へアプローチすることで
その後の試合・練習での選手のパフォーマンスに大きく変化させることが出来ます。

トレーナーとして関わるのであれば
ただなんとなく身体を温めるのではなく目的を持って
ウォームアップを指導出来るようになりましょう。

W-Upとは


みなさんがイメージするW-Upとはどんなものですか?
一般的には運動前に行う準備体操のようなイメージが強いと思います。

今行っているW-Upはどの程度プログラムされていますか?
チームによってはルーティン化されてしまい
なんとなく毎日同じものを行っている…
なんてこともあるかと思います。

・ただ身体を動かすだけ・・・
・ストレッチするだけ・・・
・やらないよりはやっておくか!
このような感覚になってないでしょうか?

W-Upはその後のパフォーマンスや怪我の予防に関連する
重要なメニューのひとつです。
的確にプログラムすることで多くの効果が得られます。
そのためトレーナーとして関わる際には
ウォームアッププログラム作成はとても重要なものになると考えています。

ウォームアップは
選手のコンディションや環境・時期・試合なのか・練習なのか
などの様々な要素によってプログラム内容は変化します。

そのため
どんなエクササイズをするのか?よりも
なぜやるのか?どんな目的があるのか?を理解することが大切です。

今回は
ウォームアップをなぜやるのか?を中心に解説していきます。

W−Upとは
競技やトレーニングに向けて身体的・精神的準備を整えること
パフォーマンス向上や障害を軽減させるために行うものです。

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W−Up を行うためには
目的を明確化し最適な運動をプログラムすることが大切になります。

まずウォームアップの目的に入る前に
ウォームアップについて整理していきましょう。

ウォームアップは
・一般的ウォームアップ
・専門的ウォームアップ
2つの種類に分けられます。

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|一般的ウォームアップ
ウォームアップの最初に行うものです。
主に・有酸素運動・ストレッチ・ダッシュメニューなどを行い
身体の生理学的反応を起こすことを目的とします。

|専門的ウォームアップ
ウォームアップ後半に行うもの。
競技動作に類似した動きを用いて行うものであり
キャッチボール・トスバッティング・ハンドリングなど
野球動作を中心に行います。

トレーナーとして関わる部分が多いのは
”一般的ウォームアップ”であり
その後の行われる”専門的ウォームアップ”や練習・試合に
適応できるコンディションを作って行くことが必要になります。

W-Upの目的

ウォームアップを行う3つの目的について解説していきます。

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①野球動作やトレーニングを行う前の準備運動

ここで解説する準備運動とはただ身体を動かすものではありません。

目的とする準備運動とは
→野球動作やトレーニングを行う前に
精神的・身体的な準備し心と身体の状態を整えることを目的としています。

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精神的準備運動


精神的
準備運動→最適な覚醒状態にする
W-UPの一般的な認知としては試合や練習に向けて
身体をよりよい状態にしていくものであると考えられていると思います。
実はもうひとつの効果があります。
それは精神的状態を良好にするというものです。

精神的に良好な状態とは?
適度な覚醒状態に保つことです。
試合・練習前の選手の精神状態は
緊張・不安・興奮などの要因により精神的に不安定な状態にあります。
精神的に不安定な状態は自律神経に作用し覚醒状態に変化が生じます。
覚醒状態はパフォーマンスに大きく関わる部分です。
この覚醒状態を適度にすることがW-UPに求められます。

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覚醒状態とパフォーマンスの関係
覚醒状態とパフォーマンスは逆U字の関係にあります。
つまり覚醒が低くても高すぎてもパフォーマンスは低下します。

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最適な覚醒状態とはどんな状態なのでしょうか?

覚醒状態は自律神経によってコントロールされています。
W-UPによってリラックスしている副交感神経優位の状態から
運動することで交感神経が活動し適度な覚醒状態にすることが出来ます。

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身体的準備運動

身体的準備運動→生理学的反応を引き起こす
身体的な準備とは身体に生理学的反応を引き起こすことです。
W-UPを行うことで身体には様々な生理学的反応が起こります、
その主たるものが
身体が温まる=体温・筋温が上昇している状態です。
生理学的反応を引き起こすことで身体は運動に向けて最適な状態を作り出せます。

ウォームアップによって引き起こされる生理学的反応

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・筋温の上昇
ウォームアップでは筋温(体温も含む)を上げることが大きな目的になります。
筋温の上昇はパフォーマンス向上とも関係してきます。
そのためウォームアップでは筋溫が上昇するレベルの強度まで
運動を行う必要があります。

筋温が上昇するの要素

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筋温上昇による身体的変化

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②パフォーマンス向上


効果的なウォームアップをデザインするとパフォーマンスが向上するとされています。
効果的なウォームアップなプログラムするには
競技特異性に対してどのようにデザインするかが重要です。

野球におけるパフォーマンス

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パフォーマンスを定義づけることは難しいですが
野球においては
投げる・打つ・走る・捕るの4つの動作に対して
適切な身体活動を行うことが必要になってきます。

上記の4つの動作を可能にするためには
可動性/筋出力/スピード/持久力といった機能が求められます。

ウォームアップにてパフォーマンスを向上させるには
可動性/筋出力/スピード/持久力の要素に対しプログラムを行っていきます。

③怪我のリスク軽減

野球の練習中や試合中にに生じる怪我は
肉離れ・捻挫と言った外傷がほとんどです。
肉離れや捻挫は外力に対して身体制御が遅延することで発症します。
これはウォームアップの段階から準備できてないから起こる
可動性や筋の反応速度の問題であると考えられます。

そのためウォームアップではその後の運動強度を考えてプログラムすることが必要です。

特異性の原則

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ウォームアップと試合・練習での運動強度に違いがあると
身体運動が適応出来ずに障害を引き起こす可能性があります。
ウォームアップでは、その後の運動強度を想定しプログラムし
本番での運動強度に対応する能力を引き出すことで
障害の発生率を軽減させることができると考えています。

ウォームアップの進め方

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ウォームアッププログラムの進め方を解説していきます。
ウォームアップの順序はトレーナーやチームによって様々であると考えます。
・個人UPからチームアップに移行する
・ストレッチから開始し有酸素運動に進む
・有酸素運動からストレッチへ進む
などの順序が挙げられると思います。

私が考えるウォームアップの順序は有酸素運動運動から開始していきます。
ウォームアップの目的としては筋温を上げて
各関節の可動性や筋の状態、心肺機能機能にアプローチすることです。

有酸素運動から開始することのメリット
心拍数を上昇させ全身の血流量を増加させます。
全身の血流量が増加することで筋温が上がり
筋の粘性抵抗の低下や神経伝達速度が向上し
その後に行うモビリティエクササイズやダッシュメニューを
効果的に行うことが出来ます。

ストレッチや集団体操から開始するデメリット
この方法を否定するわけではありませんが生理学的な反応から考えると非効率的であるように思います。
ストレッチや集団体操では運動負荷が低く心拍数の増加や筋溫を上昇させることが難しいと思います。
そのような状態で伸張性を引き出すエクササイズを行っても効果が低いと考えられます。

筋へアプローチするのであれば筋温が上がっている状態でアプローチすることが効果的です。

有酸素運動運動から開始し心拍数・筋温を上昇させ
可動性のメニューにて筋の柔軟性を向上させます。

筋の柔軟性を向上させたら、神経系にアプローチし
筋の動きの調節機能を向上させます。
主に収縮‐弛緩や全身の協調性の機能に対してプログラムしていきます。

筋の機能が向上した後、ダッシュや切り返しなど
野球に必要となるプログラムを行い
試合・練習を想定した身体コンディションを構築します。

最後の段階的で専門的ウォームアップへ移行し
キャッチボール・トスバッティング・ハンドリングといった
野球動作を行うことで
ウォームアップを完了させます。

実際のW‐UP

ここからは実際のウォームアップで指導しているプログラムを紹介していきます。
プログラム内容は練習・試合・時期・気候によって変化していきますので
今回は練習前を想定したベーシックなプログラムを紹介していきます。

有酸素運動

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有酸素運動は心拍数の上昇を主な目的としてプログラムしていきます。
選手の年齢や気候などにより心拍数の増加タイミングが異なるので
その日ごとに運動継続時間をコントロールすることが大切です。

心拍数の上昇や筋温の上昇を目指すあまり
過度なランニングを行うことに注意しましょう。
過度な筋温の上昇はその後のパフォーマンスを低下させることや
ウォームアップで疲労してしまうことがあるので
適度な強度で行うことを心がけましょう。

モビリティエクササイズ

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心拍数・筋温が上昇したら筋の粘性抵抗が低下するので
モビリティエクササイズにて筋の柔軟性を向上させ全身の可動性を引き出します。

下肢のモビリティエクササイズ

モビリティエクササイズは大きい筋がある下肢から開始していきます。
下肢から開始することで下肢の筋ポンプ作用により
血流の循環を維持し筋温の低下を防ぎます。

①股関節内旋Ex

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②スーパーエクステンション

③クロスオーバー

これより先に50種類の動画にてウォームアッププログラムを解説しています。

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フィジカルチェック【トレーナーマニュアル33】

C-I Baseballの高橋塁です。

フィジカルチェックとは

フィジカルチェックとは、選手一人ひとりの各関節の可動域・柔軟性や全身の各部位の筋力を計測・評価し、それをもとに改善エクササイズを処方し、ケガの予防・パフォーマンスの向上を目指すための方法論となるものです。

フィジカルコンディション(可動域・柔軟性・筋力)の悪化はパフォーマンスの低下やケガのリスク上昇要因となるため、定期的なフィジカルチェックは欠かせないものとも言えます。

その一方で、フィジカルチェックの計測・評価には理学療法士やアスレティックトレーナー等の専門家が行うことが多く、知識のないスタッフが見よう見真似で行うとしても、測定値の精度が下がり、時間もかかるため、気軽に行うことがなかなかできません。

そこで、ここでは、簡易的に誰でも行えるフィジカルチェックの項目をお伝えしていきたいと思います。

フィジカルチェックを行う時期

フィジカルチェックは障害予防の観点もありますが、選手の現時点のパフォーマンスの現状を図る上でも非常に重要なものとなります。

まずは、下の図のように、野球のシーズンで言えば、シーズンオフに入る12月以降が最適でると考えます。

また、シーズンイン前の2月末や3月初旬、そして、夏の大会が終わって新チームが始まる時もチェックする時期の候補となります。

メディカルチェックやフィジカルチェックにあまり時間を避けないチームであれば、項目を絞り、シーズン中に行うこともオススメします。

これらのチェックより、普段の技術練習やトレーニングの効果を見ることもでき、選手のモチベーションや我々、トレーナーの振り返りの重要な要素ともなりますので、年間通して、1回のみではなく、数回、測定することがベストと考えます。

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フィジカルテストで確認を行う項目は

①可動性
②持久力 
③スピード 
④アジリティ(敏捷性)
⑤パワー(筋力・瞬発力)

上記が大まかなものとなります。

可動性

フィジカルチェックを開始する前に、各種目のタイムや記録だけを計測するだけでは、充分ではありません。

新年1作目の「メディカルチェック」でも取り上げた項目とも常にリンクする必要性があります。

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関わっているチーム内の部員数やメディカルチェック、フィジカルチェックに避ける時間にもよりますが、最低限、可動域を含めた可動性、連動性のチェックは行いましょう。

メディカルチェックのみ、フィジカルチェックのみでは不十分ですので、時間と環境面が許す限り、双方行いましょう。

メディカルチェックの詳細は下記、noteをご参考ください。

持久力

日常的に我々が使用する持久力とは「粘り強さ」を意味することが多いですが、スポーツを行う上で、持久力を疲労に抵抗する有機体の能力と考えられています。英語にするとエンデュランス(Endurance)とも呼ばれている。

単純な話にすると、できる限り長時間一定の負荷(例えば疾走速度)を維持できる能力になります。

持久力測定は下記で説明していますが、特に野球においては投手のパフォーマンスに大きな要素となるのは、おわかりになられるでしょう。

YO-YOテスト(持久力)

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メディカルチェック【トレーナーマニュアル32】

C-I Baseballの佐藤康です。

メディカルチェックとは

まずはじめに、メディカルチェックについてお話ししていきます。

メディカルチェックとは和訳すると、医学的な確認事項となるように、ケガの危険性をチェックするために行うものです。

そのため、ランニングなどのスプリント能力や瞬発系・持久系・パワー系などの体力的な要素を評価するフィジカルテストに比べて、
<障害に関わる動作や機能の評価>になります。

野球選手が起こしやすい障害と考えると、投球障害や腰痛など様々ですが、ケガの理由に共通した要因として可動性が挙げられます。

また、ストレステストや異常運動につながる動作がないかのファンクショナルテストを用いてチェックしていくことで、障害の危険性を判定していきます。

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メディカルチェックの目的

前項でもお伝えしましたが、
メディカルチェックでは障害の危険性を評価していきます。

テスト項目に対して問題がなければ、プレー・練習参加続行
問題があれば、治療の必要性に応じて練習の参加を検討しなければならないケースもあります。

例えば、下図のようにメディカルチェックにてエラーのあった項目があった場合、投球障害の危険性が考えられます。

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「危険性」という表現を伝えるためにはデータの活用が必須となります。10人の選手に行い得た情報よりも1000人の選手に対して得られた情報の方が確からしいデータとなります。

そのため、統計的にも再現性が高く、検査者間でエラーが少なく、多くの選手より得られた情報・結果がメディカルチェックの比較データとして求められます。

現場での実践のタイミング

メディカルチェックは選手のケガを守るため、常に行っておきたいチェックではあります。
しかし、シーズンに入ると、痛みがない選手においては、なかなか詳細に確認する機会はありません。

そのため、メディカルチェックの位置づけはチーム全体の体の状態、選手の今後のケガの予測・危険性を把握すために重要なものとなります。

試合期の後・前であるオフシーズンにチェックしておきたいチェックとなります。

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メディカルチェックの解釈

テスト結果に問題があった場合、障害の危険性を考えます。

患部に問題があるのか
患部に関わる患部外の機能に問題があるのか

に応じて、運動負荷量を検討していく必要があります。

メディカルチェックの方法

ここからは、実際のメディカルチェックの方法についてまとめていきます。

疼痛
ストレステスト
可動性テスト
筋力テスト
スタビリティテスト
ファンクショナルテスト

に分けてご紹介していきます。

疼痛チェック

どこが痛むのか
どのときに痛むのか
いつから痛みがあるのか
どのようにして痛めたのか?

疼痛部位
投球動作時痛|痛みの場面(phase)
痛みの詳細

の聴取をしていきます。

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方法|主に圧痛にて確認

解釈|押した圧が強く痛みがあったかと見極めるため、左右差を確認したり、他評価との結果と照らし合わせて解釈していきます。

例)
圧痛:右内側上顆
ストレス:外反ストレス+
可動性:肘関節伸展可動域制限
となった場合、内側型野球肘の危険性があると捉えます。

そのため、圧痛だけでケガの危険性があるかどうかは判定できず、総合的に判断していきます。

ストレステスト

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トレーナーマニュアルadvance【トレーナーマニュアル31】

この度はC-I Baseballのnoteを読んで頂きありがとうございます。おかげさまでこれまで数多くの方に購読頂きましてスタッフ一同感謝しております。 2020年6月より配信してきた【トレーナーマニュアル Basic版 … 続きを読む

育成年代の下肢障害からの復帰後のトレーニング・再発予防の身体作り【トレーナーマニュアル30】

C-I baseballの下肢障害から競技復帰後のトレーニング・再発予防の身体作りを担当します高橋塁です。

日々、野球を中心にスポーツの現場で、トレーニング、コンディショニング、技術指導を行っています。

私自身が、日々のスポーツ現場での経験をもとに、障害をいかに防ぎ、かつ再発せず、パフォーマンスアップできるかをお伝えし、医療機関とスポーツの現場との連携をいかにスムースにできるかをわかりやすく発信していきたいと思います。

高橋塁プロフ写真①

はじめに

下肢障害に対するnoteのダイジェスト!こちらのnoteをご参照にしながらご一読ください。

小林さんのTwitterはこちら↓↓↓
https://twitter.com/heroheroyuki?s=20

須藤さんのTwitterはこちら↓↓↓
https://twitter.com/keijisudo?s=11

佐藤さんのTwitterはこちら↓↓↓
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増田さんのTwitterはこちら↓↓↓
https://twitter.com/ryosuke20679492?s=20

成長期障害の概論

日本の野球においては、さらに野球人口減少の一途をたどっているとされています。

野球人口が減少しているのに対して、学童野球の大会自体は増えてきています。

結果として、優秀な選手に対する負担が増えていき、成長期の障害へとつながることが考えられます。

つまり、大人が子供を守らなくてはなりません。

未来の野球界を背負う野球少年少女に健康健全な野球生活を送ってもらえるように、読者の我々がしっかり学んでいきましょう。

2020年度より、全日本軟式連盟では、投球制限という形で、子供たちの怪我予防を行っています。

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一方、米国では、ピッチスマートというものを用いて、障害予防に努めています。(硬式球の場合)

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(※MLB公式HPより抜粋)

日本の野球連盟は、多数に派生されているため、障害予防に関しては足並み揃えて行えることが今後の課題になるかと思います。

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※一般社団法人全日本野球協会のHPより抜粋
https://www.baseballjapan.org/jpn/bfj/organization_japanbaseball.html

我々、現場に出るトレーナーは、このような一律した投球数の制限を守るのみでなく、個々の機能・能力の変化をいち早く察知して、障害予防を行えることが最重要かと考えています。


そして、上記の項目に関しては、主に肩肘障害に関してのことです。


下肢障害に関しては、大きな声明が出ていないので、個々人のトレーナーが判断しなくてはならないことが多くあります。

成長期のスポーツ障害


成長期の野球での障害については、肩肘障害が多いです。


しかし、下肢についても、ある一定の障害が見受けられます。

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そこで着目すべき下肢障害は、上記のグラフで示されている通り、

・踵(シーバー病) ・足(シンスプリント) ・膝(オスグッド)

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成長期の下肢障害は早期に対応し段階的に介入することで競技復帰が可能となる障害です。

成長期とは

まず、成長期の障害を解説していくには”成長期”について知っておく必要があります。

人の成長過程では、2回急激な身体変化が起こります。


小児期の特徴は、5つの時期に分かれます。

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そのうちの2回目の急激な変化を二次性徴期と言います。

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二次性徴期


成長期とは主に二次性徴期を指すことが多いです。


この時期は身長が1年で10cmも伸びるなど急激な身体変化が起こります。
この成長期の時期に骨格・筋が急激に発達します。

一般的に成長期とは  男子:13歳頃   女子:11歳頃


と言われていますが、ご承知の通り発達には個人差がかなりあり、個々の発達状況を把握する必要があります。

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筋・骨格系が発達してくるのは 男子:13歳ごろ  女子:11歳ごろ


これはあくまでも平均でご承知の通り発達には個人差があります!

なぜ、成長期に障害が起こるのか?

成長期に障害が生じやすのは、もちろん身体発達による骨格・筋の変化が大きな要因のひとつではありますがそれだけではないと考えます。


成長期に障害が生じる原因

①身体発達  ②環境や運動習慣の変化  ③姿勢・体力・運動能力


上記の3つの要素が関係していると考えています。

①身体発達


前述のように成長期は骨格・筋が著しく発達します。

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成長過程にある骨は、骨端線、骨端核が存在し、骨は非常に脆弱な状態です。

骨よりも付着している靭帯の張力が強いため骨には牽引ストレスが加わりやすいため、成長期には骨の障害が発生しやすいと言えます。

この時期に筋への過度な負荷や不良フォームでの運動を繰り返すことにより障害を発生してしまいます。

②環境や運動習慣の変化

一般的に成長期と言われる13歳頃に野球少年に何が起こるかというと学童野球から中学野球への移行する時期です。

多くの少年野球チームは土日が中心の活動になります。

しかし、中学生からは部活動であれば平日+土日の練習。


硬式クラブチームに加入する選手でも平日に練習があったり、ない場合でも他部活に入るなどして小学生時よりも運動量が増えてしまいます。


このような運動習慣の変化により筋や骨への過負荷を引き起こすひとつの要因となります。


だからと言って運動を制限するのではなく成長に応じて指導者やトレーナーが負荷量をコントロールする必要があります。

③姿勢・体力・運動能力


近年、姿勢不良や運動能力に劣る選手が多くなっている印象です。

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実際にデータを見ても握力、立ち幅跳び、ボール投げの項目で数値の低下が見られています。

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スポーツによって障害が発生するのではなく日々の習慣や運動の頻度なども成長期下肢障害には強く関係していると思います。


成長期の身体的特徴を考えて、後遺症が残ってしまうような傷害を負うことになると、可能性を0%にしてしまうことがあり得ます。


やはり、大人が子供を守っていく必要があると考えます。

成長期下肢障害を引き起こすパターン

成長期下肢障害を発症する選手の運動能力には共通する部分があります。

基礎運動能力

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下肢障害の段階的復帰プログラム【トレーナーマニュアル29】

C-I baseballの復帰プログラム‐担当する増田です。

今回の内容は
「成長期下肢障害の復帰プログラム」
についてまとめています。

成長期障害から復帰に向けてどのような関わり方をしていくのか?
どのようにトレーニングしていくのか?
アスレティックリハビリテーションまでの流れについてまとめていきます。

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野球における成長期下肢障害

成長期における野球障害では
野球肘を代表とする肩・肘関節の投球障害が最も多いですが
次いで多いのが下肢の障害です。


”肩・肘”のように投球障害が注目されがちですが
投球よりも多くの機会で使用するのが下肢です。

しかし、下肢の障害は「成長痛」だからと
放置されてしまうことが多いです。


疼痛が出現しても一時期安静にしてまた競技を再開するケースがあり
結果的に疼痛を繰り返すことや症状が重度になってしまうケースがあります。

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成長期の下肢障害は早期に対応し
段階的に介入することで競技復帰が可能となる障害です。

投球障害同様に下肢障害についても
段階的なトレーニングを行い復帰をサポートしていきましょう。

段階的な復帰プログラムの解説をする前に
成長期下肢障害についてもう一度復習しましょう。

野球における代表的な成長期下肢障害

下肢障害で多く経験するものが下肢障害が下記の3つです。

①オスグッド・シュラッター病
②シンスプリント
③シーバー病

詳しい病態については
「下肢障害に対する病態・動作」を参照ください。

ここからはなぜ成長期という時期に
障害が起こりやすいのか
身体的な面と環境面を踏まえて
解説していきます。

成長期ってなに?

まず、成長期の障害を解説していくには
“成長期”について知っておく必要があります。


そもそも成長期って具体的にいつなのか?
人の成長過程では、2回急激な身体変化が起こります。
そのうちの2回目の急激な変化を二次性徴期と言います。

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二次性徴期
成長期とは主に二次性徴期を指すことが多いです。
この時期は身長が1年で10cmも伸びるなど
急激な身体変化が起こります。
この成長期の時期に骨格・筋が急激に発達します

一般的に成長期とは
男子13歳頃
女子11歳頃
と言われていますが、
ご承知の通り発達には個人差がかなりあり、
個々の発達状況を把握する必要があります。

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筋・骨格系が発達してくるのは
男子13歳ごろ
女子11歳ごろ
これはあくまでも平均で
ご承知の通り発達には個人差があります

なんで成長期に障害が起こるのか?

成長期に障害が生じやすのは、もちろん身体発達による
骨格・筋の変化が大きな要因のひとつではありますが
それだけではないと私は考えています。

成長期に障害が生じる原因
①身体発達
②環境や運動習慣の変化
③姿勢・体力・運動能力
上記の3つの要素が関係していると考えています。

①身体発達

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前述してるように成長期は
骨格・筋が著しく発達します。
成長過程にある骨は、骨端線、骨端核が存在し骨は非常に脆弱な状態です。

骨よりも付着している靭帯の張力が強いため
骨には牽引ストレスが加わりやすいため
成長期には骨の障害が発生しやすいと言えます。
また、骨量の増加のピークは身長増加のタイミングよりも
遅れるため一時的な骨密度の低下が生じます。


この時期に筋への過度な負荷や
不良フォームでの運動を繰り返すことにより
障害を発生してしまいます。

不良動作や評価については
「成長期下肢障害の評価・アプローチ」
を参考にしてください。

②環境や運動習慣の変化

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一般的に成長期と言われる13歳頃に
野球少年に何が起こるかというと
少年野球から中学野球への移行する時期です。

多くの少年野球チームは土日が中心の
活動になります。
しかし、中学生からは
部活動であれば平日+土日の練習
硬式クラブチームに加入する選手でも
平日に練習があったり
ない場合でも他部活に入るなどして
小学生時よりも運動量が増えてしまいます。

このような運動習慣の変化により
筋や骨への過負荷を引き起こすひとつの
要因となります。

だからと言って運動を制限するのではなく
成長に応じて指導者やトレーナーが
負荷量をコントロールする必要があります。

②姿勢・体力・運動能力

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近年、子どもの運動能力の低下が叫ばれています。
私自身、クリニックや野球現場で
成長期の選手を診る機会がありますが
私たちの時代と比較して姿勢不良や
運動能力に劣る選手が多くなっている印象です。

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スマホやゲーム時間が増えたことによる
不良姿勢の習慣化や
運動機会の減少による
基礎体力不足、運動能力の不足が起きていると考えます。

実際にデータを見ても
握力、立ち幅跳び、ボール投げの項目で
数値の低下が見られています。

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※スポーツ庁:平成30年度体力・運動能力調査結果の概要及び報告書について
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/toukei/chousa04/tairyoku/kekka/k_detail/1421920.htm

グラフから解るように
上肢の総合的な筋発揮や
上下肢の連動した動きなどの能力が
低下しています。

実際に下肢障害を発症した選手を診ると
不良姿勢や運動能力の低下がある
選手がほとんどです。

スポーツによって障害が発生するのではなく
日々の習慣や運動の頻度なども
成長期下肢障害には強く関係していると
思います。

成長期下肢障害を引き起こすパターン

オスグッド シンスプリント シーバー病の
3つの成長期下肢障害では
それぞれ発症する部位は違いますが
発症する選手の運動能力には共通する部分があります。

基礎運動能力

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①姿勢不良
②しゃがみ込み
③パワーポジション
④片脚立位

前述した4つの基礎運動能力が低下している選手が
過剰な練習や過負荷なトレーニングを行うことにより
成長期の障害を引き起こす可能があります。

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成長期の下肢障害を防ぐには
・身体機能面と・練習環境や内容の両面を改善していく必要があります。

野球動作中止基準

成長期下肢障害では症状の感じ方は選手によって様々です。
そのため、選手の主観だけでなく
身体状況や動きを評価して判断していく必要があります。

野球現場での選手対応として、疼痛が一時的なものか
持続的に痛む可能性があるのか判断が重要です。
疼痛を発生させているのが、筋肉?骨?靭帯?なのかを
評価し対応していきます。

筋肉の場合であれば、疲労による一時的なものの可能性もあるので
症状の強さに応じて対応します。

野球動作中止のポイント

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・圧痛が強く逃避動作がある
・CKCでの疼痛による運動異常
・パフォーマンスの低下
・日常的な痛み(野球動作以外でも疼痛出現)

成長期の障害は、早期に対応することが大切です。
症状が長期化すると疲労骨折を併発したり
骨が変形した状態で治癒してしまうケースがあります。
持続的に疼痛が生じている選手には医療期間への受診を促し
早期に画像診断を行い状態を把握するようにしましょう。

アスレティックリハビリテーション

アスレティックリハビリテーション目標設定

他の障害同様にメディカルリハビリテーションにて
疼痛や機能が改善した選手の復帰までの”身体機能強化”を行っていきます。

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野球動作で求められる動き耐えうる筋機能を構築していきます。
・全力疾走
・切り返し
・ジャンプ
・踏み込み時の衝撃吸収

成人と成長期でのトレーニングの違い

成人のアスレティックリハビリテーション

競技特異性を考慮し動作負荷に耐えうる身体を構築していきます。
野球のおいては最大筋力の向上やスピードを上げた瞬発的なトレーニングを行って行きます。
そのため、自体重の1.5〜2倍の重量負荷を加えながらトレーニングすることで筋の強化を図っていきます。

成長期のアスレティックリハビリテーション

成長期では前述しているように、
骨・関節軟骨に負荷が加わりやすく、負荷に対しての耐久性も低いです。
この時期にパワーアップも目的としたウエイトトレーニングを行ってしまうと障害を誘発する恐れがあります。
しかし、全力疾走やジャンプ場面では、成人同様に高い筋発揮が必要になり
自体重よりも負荷量は上がります。
そのため、成長期であっても筋負荷を加える必要があります。

筋の発達時期から考えても成長期に筋負荷をかけていくことは必要であります。
筋が最も発達する時期は、身長最大発育年齢(男子11〜12歳ごろ)と同時期であるとされています。
この時期に適切な負荷を加えることがその後の運動能力にも影響していくと
考えられます。

※大澤清二:最適な体力トレーニングの開始年齢文部科学省新体力テストデータの解析から:発育発達研究 第 69 号 2015;69:25-35 

では、成長期ではどのようにして障害を予防しながら
筋負荷を高めていけば良いのでしょうか?

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