中学野球チームのピーキングを考える【トレーナーマニュアル47】

中学野球チーム・選手のピーキングを考える

C-I Baseballスタッフの佐藤康です。
今回はトレーナーマニュアルの集大成でもあるテーマ
「ピーキング」について配信していきます。

「ピーキング」というワードを初めて聞く方もいらっしゃるかと思うので、簡単に説明します。

ピーキング
重要な大会・試合に対して、トレーニング計画を組み立て、最高のコンディションでパフォーマンスを発揮できるようにしていく過程

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大会に向けて、いかにカラダの状態をピークにもっていけるかを考えていきます。ここではメニューに裏付けされた中学生のカラダの発達・成長過程の特徴を考慮したプログラミングが大事であると思います。

つまり、昨年6月から配信してきましたトレーナーマニュアルで選手のケガやトレーニング、現場での選手への対応などお伝えしてきた内容が実際どのように対応しているのか?を表すとても重要なテーマです。

これをやらなければ、トレーナーマニュアルはまとめられない。といえるほど大事なテーマです。

ピーキングとは?

はじめに、ピーキングについてまとめていきます。

先程もお伝えしましたが、
ピーキングはその試合・大会に向けた直前の数日~数週間を指します。
いわゆる最終段階の調整です。

そのため、数日~数週間のメニューを構成・実践しただけでは最高のコンディションを迎えることはできません。

ピーキング期間に向けた準備・強化として、年間を通してトレーニングメニューを考えていく必要があります。例えば「試合が多い実践練習をする期間」と「試合のない体力づくりをする期間」ではその目的も異なるため、メニューも変わってくることはイメージしやすいのではないでしょうか。

これらの目的に応じて年間をそれぞれの期間(stage)に分けてプログラミングしていく過程をピリオダイゼーションといいます。

ピーキングを考えるためのピリオダイゼーション

C-I Baseballの無料マガジン「トレーナーメモ」に4/11投稿しましたこちらの記事にピーキングを考える上で大切なピリオダイゼーションについて簡単にまとめておりますので、ぜひご参照ください。

https://note.com/ko_bmk/n/nb0338ee05cf5

ピリオダイゼーションにおけるstage

ピリオダイゼーションにおけるstageについて
一般的な考え方をまとめていきます。
これには大きく分けて4つの期間に分けて構成していきます。

①準備期 ②移行期
③試合期 ④回復期

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①準備期

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準備≒カラダづくりの期間であり、コンディションの基礎を向上させる時期となります。

筋力や持久力、バランス能力など、基礎体力で不足している部分を強化していきます。また、より高強度なトレーニングに耐えられるようにコンディションのレベルを徐々に引き上げることを目的としています。

②移行期

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量を重視した準備期から強度を重視した試合期へと移行する前に設ける期間です。体力づくりと実践練習の間を担う重要な期間あり、期間は試合の1-2か月前になります。

移行期では、種目特異的な動き(スピードなど)を考慮した、専門的な動きの負荷の割合を増やしていきます。

実践に近い練習を取り入れ、
試合にむけての技術的なメニューや戦術練習が中心となってきます。

③試合期

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試合期では、トレーニング強度を増大or維持させながら、トレーニング量を減少させること(テーパリング)でコンディションをピークに高めることを目的としています。(=ピーキング)

オーバートレーニングを回避することが必要であり、試合に向けたコンディションとして、疲労をためすぎず回復させることも大切です。

そのため、試合期がリーグ戦のように数週間から数カ月間に及ぶ場合は、体力(フィジカル)の低下をおさえる目的で短時間+高強度のトレーニングを行なっていくことが多くあります。

④回復期

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回復期はオフシーズン前の期間であり、試合期終了後から次のサイクル(準備期)の開始までの期間です。

そのため、疲労やけがの回復を主な目的とするトレーニング期間となります。オフシーズンといわれますが、完全に休止して回復させるのではなく、トレーニングメニューを調整してケガのケアなどを行いながら進めていきます。

回復期ではシーズンで試合までに行なってきたトレーニングの成果を評価(フィジカルチェックなど)し、必要に応じてトレーニングメニューの改良を検討し来シーズンの準備をしていきます。

トレーニングサイクル

トレーニング周期の単位の設定として、
周期期間別に以下のように捉えていきます。

野球では試合期と試合のないトレーニング期が明確に分けられているため、1年を1周期とするマクロサイクルを用いて考えることが一般的です。

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中学生世代の年間スケジュール

ここまで、ピリオダイゼーションの構成についての概要をまとめてきました。ここで一度、実際の中学生の練習・試合スケジュールを整理していきましょう。

中学生が野球をやる環境ってどのような環境があるのでしょうか?
大きく分けて、学校の部活動とクラブチームに大別されます。

中学校の部活動は主に軟式野球です。
クラブチームには硬式野球が主であり、地域によっては軟式のクラブチームも存在しています。

例)中学校の部活動

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例)クラブチーム

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例として某チームの例を学校の部活動とクラブチームに分けてあげてみました。

学校の部活動は放課後に活動することに対して、クラブチームは学校のスケジュールに左右されないため、土日は試合、平日は練習(夜間まで)といった違いがあります。部活動の選手はその後学習塾に通っていたり、クラブチームの選手は夜間の練習ということもあり、睡眠や食事の管理がとても大切になってきます。

ピーキングを考える

それでは今回のテーマであるピーキングを考えていきます。

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下肢疾患の実際 〜投球時の下肢の疼痛〜【トレーナーマニュアル46】

下肢疾患の実際 〜投球時の下肢の疼痛改善〜

C-I baseballの【Advance course 野球選手のみかたを深める】の発信を担当する須藤慶士です。

Advance courseでは腰痛・捻挫・下肢疾患・インソールの発信を担当しております。

臨床では評価を大切にしております。評価が確かなものでないと原因に対するアプローチをすることができません。
局所評価だけでなく全体の評価を行うことも大切です。
臨床での経験を元にした評価とアプローチを発信していきたいと思います。

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【マガジン紹介】
C-I Baseballトレーナーマニュアルでは、臨床・現場での野球におけるケガの対応力を高めるためのマニュアルを配信しています。
・これから野球現場に出たい方
・野球のケガの対応力を高めたい方
・臨床での野球のケガの評価・トレーニング・復帰について悩む方
にオススメの内容です!
ぜひ、ご活用ください!!

現場で必要なことは色々あります。

マニュアルは現場を知る理学療法士が作成しておりますので、ぜひ購入して読んでみてくだい!

今回の記事は下肢疾患の実際です。

今回のキーワードです↓↓↓

『アライメント』と『筋出力』を確認する作業


投球動作で下肢に疼痛が出現する選手に承諾をいただき、ポイントを絞り、アプローチのビフォー・アフターを撮影させていただきました。


評価のポイントは

どのプレーで疼痛が起こるのか
それはどのような肢位なのか
なぜその肢位になってしまうのか
改善するにはどうすればいいのか

です。

評価と疼痛が起こる動作が一致しなければなりません。

今回は一致するように評価・アプローチを行いましたので担当されている選手に使ってみてください。

疼痛を確認する場合は、

どのプレーで出現するのか(トップダウン)
アライメント、筋出力(ボトムアップ)

で、考えます。


現場で必要なのはトップダウンですから、今回のnoteの記事の順番は投球動作評価⇨ランジ⇨筋力評価で記載しました。

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選手紹介

投手/右投げ・右打ち/大学生
1ヶ月前から投球時に左膝・左腰部の疼痛・違和感出現、その後、腰痛発症
病名:腸脛靭帯炎
既往歴:内側野球肘、肩関節痛、腰痛

*選手には承諾をいただいております

評価

Late cocking〜Ball releaceにかけて、ステップ脚の膝関節外側の疼痛と、左腰部の違和感がある大学生投手です。

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まず問題点の予測をします。

なぜこうなるのでしょうか?

軸足の問題・足部の問題・ステップ側の問題など。(足部については次回の記事がインソールですので今回は足部に関しては記載いたしません)

今回は選手の訴えている部位に着目し評価を行うことにします。

疼痛部位・違和感部位はステップ脚の膝関節外側、腰部

この肢位になると大腿筋膜張筋・腸脛靭帯は伸張されます。特に遠位である膝関節外側は伸張ストレスが加わりやすいです。

では、なぜこの肢位になるのか?

中殿筋が弱いから?

と考えると思います。本当に筋力低下が問題なのでしょうか?

先に答えからお話ししますが、半分正解で半分間違いです。

今回のnoteは中殿筋をどうすれば発揮しやすくなるかということを評価からアプローチ、最終的にどうなったかを動画内で説明していきます。

筋力強化はただメニューを組んで行うだけではなく、選手個々パフォーマンスや痛みの訴えを確認すること、そしてアライメントを整え、筋出力発揮しやすい状態にしてから行うことが重要です。

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投球動作


Late cocking〜:ステップ脚Knee-in、骨盤sway

Late cocking〜ステップ脚股関節は内転・内旋位、Knee-inが見られます。

この肢位だと大腿骨遠位では大腿筋膜張筋の収縮が強まり近位では大腿筋膜張筋が伸張され左膝関節外側の疼痛が出現します。

大腿筋膜張筋が働きすぎると中殿筋は出力低下するので股関節は内転します。

左腰部はステップ脚中殿筋が筋出力低下しているために中殿筋で止められず左腰部周囲の筋肉が代償し過収縮していることで違和感が起こっていると考えます。

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フォワードランジ


ボールリリース時の姿勢と似ています。フォワードランジでも投球時と同じように膝関節外側に疼痛出現します。

反対側のフォワードランジと比較しても股関節内転・内旋しKnee-inしているのがよくわかります。


フォワードランジでのKnee-inはなぜおこるのでしょうか?
・ステップ脚の中殿筋の筋力低下
・ステップ脚の股関節可動域制限
・投球側股関節股関節可動域制限
・足部問題
など挙げられます。

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サイドランジ

サイドランジはどうでしょうか?

左方向へのサイドランジで反対側と比較すると体幹が下肢よりswayしているように見えます。

これも考えられるのは、左下肢の筋力低下、不安定性です。
サイドランジでは膝関節疼痛、腰部違和感はありませんでした。

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サイドランジからの左回旋を行った際には膝関節疼痛、腰部違和感が出現しました。
動作評価は、骨盤左回旋量は少なく骨盤の左側へのsway、体幹左回旋が大きく見られました。

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股関節安定性チェック


投球動作・フォワードランジ・サイドランジの評価から中殿筋があやしいのでは?
という評価になりました。

ここで中殿筋の評価を行います。

右股関節は安定
左股関節は不安定

シングルブリッジ

これらの評価のみで見ると中殿筋の筋力低下に見えます。

最近はトレーニングをきちんと行っている選手は多く見られます。

それなのに筋力低下??

本当に低下しているのでしょうか?
MMT弱い=筋力低下

ではなく、

MMT弱い≠筋力低下

このように考えていきましょう。


ここで考えなければいけないのは、

筋出力できるための関節位置にあるのか?

です。


アライメントが崩れていると筋力は発揮できません。ですから、筋力低下なのか、アライメント不良なのかを確認する必要があります。

選手の身体が安定しているかどうかのチェック方法です。
詳しい説明は過去の記事にも記載しておりますのでそちらもご参照ください。

次に、クラムシェルで筋力・可動域を見てきます。ちなみにこの選手は股関節ROMは正常です。


クラムシェルを行うと選手は『腰部に力が入る』と訴えました。

肩甲帯・腰背部・骨盤緩みチェック

股関節外転評価、クラムシェル評価

中殿筋の筋力低下が疑われますが、股関節周囲が緩んでいなければ外転・外旋はできません。

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しかし、前述しましたが、本当にそうなのでしょうか?
それを確認するためにもう少し評価をしてみましょう。

次に骨盤帯の評価を行います。

腸骨評価


これは抵抗を加えることで腸骨のアライメントチェックと骨盤の誘導方向のチェックが確認できます。

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肉離れの実際【トレーナーマニュアル45】

肉離れの実際

C-I baseballの【Advance course 野球選手のみかたを深める】の発信を担当する小林弘幸です。

スポーツDrと一緒にエコーを用いて、選手の病態を理解し
障害の原因追及を大切にしています。

病態を理解し、しっかりと評価することによって
現在の傷害の原因をはっきりることができれば、
医療機関と現場との橋渡し的な役割を果たすことができると思います。

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【マガジン紹介】

C-I Baseballトレーナーマニュアルでは、臨床・現場での野球におけるケガの対応力を高めるためのマニュアルを配信しています。

・これから野球現場に出たい方
・野球のケガの対応力を高めたい方
・臨床での野球のケガの評価・トレーニング・復帰について悩む方
にオススメの内容です!


ぜひ、ご活用ください!!


Basic courseでは、主に病態の話をしてきました。

Advance courseでは、野球選手に対する
評価治療の実際を記事にしていきたいと思います。

肉離れとは、
スポーツ動作中に起こる代表的な筋損傷です。


病態に関しては、Basic course肉離れの病態の部分を参考にしてください。

Advance courseでは、
実際に評価治療していることを中心に話し、
最後に実際の症例を提示して評価治療の流れを示していきたいと思います。

※noteで紹介する症例すべての方には説明・同意を得た上で、
紹介させていただいております。

肉離れでの大切なこと

私が肉離れで大切にしていることは、

・患部の状態をしっかり把握、治療すること
・なぜその部分が痛くなったかを考えること

です。

一つ目の患部の状態を把握する、治療する
について実経験から話したいと思います。

実際に肉離れを経験した選手で、
安静期間を過ごしたあとに復帰をした選手が、
患部の痛みが引かないということで病院を受診することがあります。

これに関しては、
エコーなどを用いて、しっかりと詳細に患部の状態を把握することが
必要なのかと思っています。

二つ目のなぜその部分が痛くなったかを考えること
に関しては、
選手の経験談から抜粋して文字にしていきたいと思います。

受傷した原因についても考えなくて、その原因が解決しなければ、
さらに痛みが再発してしまうということも考えられます。

この上記2点を大切にした上で、段階的に復帰していくことが大切です。

トレーニングに関しても、数多く知っておく必要があります。

患部の状態をしっかり把握、治療すること

肉離れ後に疼痛が残存している例は少なくありません。

特に
・最終域でのストレッチペイン
・伸張位での収縮時の痛み

が残存していることがあります。

これらが消失・軽減してから、
競技復帰
していく必要があると思います。

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※奥脇透ほか:肉離れとMRIの臨床. 臨床画像24. 897-907. 2008
図を引用改変

頻度的にはⅠ、Ⅱ型が同程度で、Ⅲ型は数%と稀であります。

復帰までの期間も、タイプにより異なってきます。

復帰までの期間の目安は
・Ⅰ型:2週間以内
・Ⅱ型:6週間
・Ⅲ型:5カ月(半年)以上

とされています。

上記の分類を理解することで、
診断から、選手の予後が予測できます。

先の見通しがあることで、選手やチームにとっても
どのようにリハビリの期間を過ごしていくのかが理解できると思います。

しかし、近年、
奥脇分類のみでは肉離れの分類をしてしまうのは
時期尚早という見解も出てきており、
より多角的な評価が求められます。

例えば、エコーでの
ドップラー評価も大切な評価の一つであると考えます。

より多くの評価バッテリーを用いて、
より多くの視点から評価することが大切であると考えます。

なぜその部分が痛くなったかを考えること

肉離れの再発をする選手も少なくありません。

その原因として、
なぜ生じてしまったのかを考える必要があるかと思います。

下記記事は、
足関節(距骨下関節)から上行性の問題で生じてしまう、
ハムストリングスの肉離れの原因を解説してくれています。

大まかに解説しますが、
LR〜MStにかけて距骨下関節が過回内になることで肉離れが生じやすいとしています。

そのフェイズで過回内が生じてしまうと、
遊脚期で膝関節屈曲が過度に生じてしまいます。

結果として、膝屈曲位から接地期での膝伸展が大きく生じてしまって
ハムストリングスに急激な収縮が生じてしまう可能性が高くなります。

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ではなぜ、過回内が生じてしまうのでしょうか。

距骨に付着する筋はありません。
距骨も他の影響も受けますので、その部分に対しても考察していかなくてはなりません。

なぜ肉離れが生じてしまったのかは、
とことん考察していかなくてはいけないと思います。

このように、
上記はダッシュの時の足関節の評価ですが、
受傷した動作に対してのしっかりと評価をしていくことが
大切かと思います。

番外編:羽状筋について

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肉離れでは、羽状筋に頻度が多く発生すると考えられています。

羽状筋の収縮形態は実際どのようになっているのでしょうか?

エコーで見るとイメージがつきやすくなると思います。

伸張時の羽状筋

収縮時の羽状筋

★上記2動画 (浅層)腓腹筋内側頭と(深層)ヒラメ筋
 メディカルプラザ市川駅 村本勇貴理学療法士のご厚意により掲載

このような線維配列になっているので、
筋線維が多く配置され、筋発揮がしやすいということが言えるでしょう。

実際にエコーを診ると、
模式的に示されている筋の線維配列がわかりやすく、
治療にも生きてくると思います。

実際の評価・症例

今回は、実際の3症例を提示したいと思います。

肉離れに関しては、投球障害肩・肘のような傷害とは異なり
それぞれの受傷機転がある『外傷』と分類することができます。

ですので、
その受傷機転を元にどのようにリハビリテーションを進めていくことが
良いのかを考えていくのか大切
かと思います。

ただ、
腹斜筋に関しては、経験がないので、
実際に肉離れを生じた元NPBの選手の話を元に
記載したいと思います。

症例に関しては、

・大腿四頭筋肉離れ(スライディング受傷後1週)

・ハムストリングス肉離れ(ランニング受傷後3か月)

・腹斜筋肉離れ(元NPB投手体験談)

の3症例を提示します。

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柔軟性トレーニング【トレーナーマニュアル44】

柔軟性トレーニング

C-I Baseballの増田稜輔です。
今回は野球選手に必要な
「柔軟性トレーニング」をテーマにお伝えしていきます。

みなさん「柔軟性トレーニング」は何を目的に行っていますか?

ストレッチ3

おそらく
柔軟性トレーニング=可動域を広げること
をイメージするのではないでしょうか?

みなさんのイメージの通り
柔軟性トレーニングとは
ストレッチやエクササイズを用いて関節可動域を広げるトレーニングのことです。

では、なんのために可動域を広げているのでしょうか?

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柔軟性トレーニングは
①パフォーマンス向上②障害予防③疲労回復
の3つを目的として行われることが多いです。

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野球現場では
それぞれの目的に合ったトレーニングを選択していく必要があります。

今回のnoteでは野球現場で活用するための
「柔軟性トレーニング」
基本的な分野から実際のトレーニング方法について解説していきます。

・柔軟性とはなにか?
・柔軟性トレーニングをする目的
・トレーニングの方法と効果
・柔軟性トレーニングの選択方法

柔軟性とは?

まずは柔軟性について解説していきます。

柔軟性
対象となる関節が適切な可動範囲で動作を行えること

柔軟性は可動域で示され、
静的柔軟性と動的柔軟性の2つの要素を持ちます。

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静的柔軟性
受動的な可動範囲
随意的筋活動を利用せず外的な力によって伸張される範囲


動的柔軟性
能動的な可動範囲
随意筋活動を必要とし静的柔軟性よりも広い可動範囲がある

野球において、柔軟性を高めることは
①パフォーマンスの向上②障害予防③疲労回復の観点から
重要な要素であり各目的によって求められる柔軟性が違います。

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パフォーマンス向上に必要な柔軟性

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パフォーマンスを向上するための柔軟性では
単純に関節可動域が広ければ良いわけではありません。
野球動作の様に投げる・打つ・守る・走るといった多様な動きに対応するには競技に適した柔軟性が必要です。

野球においてパフォーマンスを発揮するシーンでは
瞬間的なパワーを必要とする場面が多いです。
瞬間的なパワーを生み出すには柔軟性と筋活動が必要になります。

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野球動作に適した柔軟性があることで
動作効率性や正確性が向上します。
筋活動を起こることで関節へのブレーキング作用が働き
筋の張力により強い力を生み出せます。

つまり
パフォーマンスを上げるには
筋活動を伴った柔軟性の獲得が必須であり
動的柔軟性=動的なストレッチやエクササイズを選択する必要があります。

障害予防に必要な柔軟性

野球による障害発生には2つに分類されます。
・動作不良による障害
・筋伸張性低下による障害

動作不良による障害発生を予防

野球における障害で最も多い投球障害は
動作不良によって発生するケースが非常に多いです。
その主たる原因は柔軟性低下によるものです。
・投球動作に必要な可動範囲が獲得出来ていない
・関節機能が低下している
・関節運動の制御が行えていない
などの投球に必要な柔軟性機能が破綻しているケースがほとんどです。
そのため投球動作に必要な柔軟性の獲得が必要になります。

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動作不良による障害発生には動的な柔軟性が必要です。
理由としては
野球動作は関節に対し瞬間的に強いパワーが加わります。
この際に過度に関節柔軟性が高いと動作制御が行えずに関節負荷が強まり諸発生を引き起こします。

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つまり
関節運動を制御するには受動的な制御ではなく
能動的な制御が必要であり、動的な柔軟性を獲得を選択します。

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アジリティトレーニング【トレーナーマニュアル43】

アジリティ

今回、『アジリティ』を担当しますC-I Baseballの高橋塁です。

高橋塁プロフ写真①

〈私のツイッターはこちらから〉

https://twitter.com/ramichan2000?s=20

私自身、2021年・3作目の記事となります。

今回の記事もC-IBaseballのトレーナーマニュアルのAdvance版になります。

Advance版の前号は、佐藤康さんの『筋持久力のトレーニング』

前々号は須藤慶士さんの『捻挫の実際』

上記のようにAdvance版は、コンディショニングからメディカルの内容すべてを網羅しています。

Basic版では「野球選手のケガにどのように対応するのか?」

をテーマに病態の理解から評価・トレーニング・復帰・予防まで包括的にお伝えしてきました。

Basic版も、ぜひ、ご参考ください。

月額500円で読める『野球トレーナーを目指す方向けのマガジン』を週刊で配信しております!

ぜひ、ご購読された事のない方は、この際、ぜひ、ご一読ください。

体力要素としてのアジリティ

野球をはじめ、さまざまなスポーツでは、筋力や瞬発力等、さまざまな「体力的要素」が求められます。

体力

上記のように体力と言ってもいろんな要素に分かれていきます。

いわゆる「アジリティ」とは、敏捷性、加速や減速、方向転換などの意味があります。

ここでは、「アジリティ」とはどのようなものか、また、正確な「アジリティ」能力を習得、向上するためのトレーニングメニューなどを紹介しいきます。

「アジリティ」能力を高めて、今まで以上のプレーを選手に習得させたい指導者・トレーナーの皆様、また、自らアジリティ能力を改善したいと考えている選手の皆様はぜひ参考にしてください。

アジリティ画像1

実際に、アジリティ能力を向上させるには、正しい姿勢、加速-減速、方向転換などが上手く行えるようにしなければなりません。

まずは、身体を上手くコントロールすることからです。

「アジリティ」という言葉は、今では、スポーツ界だけでなく、ビジネスの世界でも、環境の変化に素早く対応するという意味で使われています。

アジリティトレーニングとは

「アジリティ」とは、運動をする時の身体をコントロールする能力のこと意味することもあり、『SAQ(エス・エー・キュー)』の一つです。

『SAQ』は、Speed(スピード)、Agility(アジリティ)、Quickness(クイックネス)の頭文字で、SAQトレーニングはスピードトレーニングの代名詞ともなっています。

SAQトレーニングは、元々は、1980年代後半に、サッカー、ラグビー、バスケットボール用に考案されました。

野球において、例えば、ベースランニングでは


「ホームー2塁」「1塁ー3塁などベースを回るコーナリング」


「加速ー減速ー方向転換」の能力が必要になります。

走塁⑤

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筋持久力トレーニング【トレーナーマニュアル42】

筋持久力のトレーニング

C-I Baseballの佐藤康です。
今回は「筋持久力」をテーマにお伝えしていきます。

「筋持久力トレーニング」と聞いた時に
どのようなトレーニングをイメージしますか?

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持久力というワードから
長距離をランニングしたり、
耐久性を高める運動を連想されやすいかと思います。

持久力には大きく分けて
局所的な持久力全身的な持久力に分けられます。

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|筋持久力(局所的持久力)
身体の一部分を集中的に使うことのできる持続力
筋力を維持することのできる能力
|全身持久力
全身運動の持続力
全身の筋 (全身の骨格筋の1/7~1/6以上)が働く場合の持久力
呼吸・循環器系が運動の主役

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そこで今回は野球選手のパフォーマンスに関わる重要な要素である「筋持久力」について生理学的な分野から実際のトレーニング方法について解説していきます。

・筋持久力とはなにか?
・トレーニングにおける整理学的な作用とは?
・野球に求められる筋持久力とは?
・どんなトレーニングを選択すべきか?

筋持久力とは

はじめに、<筋持久力>という意味にピンとこない方のために整理していきます。

筋持久力
同じ動作の繰り返しが要求される場面で発揮される力

野球では、投球・スイング動作ともに一度に最大能力を発揮できる(筋パワーの向上)ことが重要ですが、試合の中でそれは一度だけではなく、同じ動作を繰り返すことが要求される競技でもあります。

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連日の試合や試合後半のプレーで、前半と比べて投球やスイングスピード・走塁が落ちてしまうのは筋持久力の問題も考えられます。

つまり、同じ筋肉が繰り返し使われることで、筋肉自体が疲労してプレーの質が下がることにつながってしまいます。

筋持久力の中には等尺性収縮を保持した静的筋持久力、等張性・等速性による繰り返しの筋収縮を行う動的筋持久力があります。

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野球で求められるのは動的筋持久力であり、トレーニングの内容によって最大筋力を指標に負荷設定をしていきます。

こちらの詳細は「トレーニングの負荷設定」の項でお伝えしています。

筋持久力が高いと疲労しにくいのか?

筋持久力(筋肉が力を発揮し続ける能力)は、
必要とするエネルギーを補給し続けられるかどうか、
すなわち筋力を発揮し続けられる時間が重要なポイントとなります。

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一度にいかに強い力を発揮できるかを表す「筋力」とここが異なります。

例として、
重量の軽いダンベルと重いものでの運動(アームカール)を挙げます。

例)アームカール
重量が軽いと、肘を屈曲する筋肉を構成する筋線維が交代して活動することができます。
対して、重量が重いと、構成する筋線維のほとんどが活動することになるため、筋線維は連続して活動しなければなりません。

すなわち、疲労しやすくなります。

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つまり、
交代して活動を休んでいる筋線維へのエネルギーの補給はしやすいが、活動し続ける筋線維へのエネルギーの補給は難しくなります。

そのため、筋肉がどのくらい長く活動できるかを示す筋持久力として、重負荷での筋持久力の増強は望ましくないといえます。

生理学的作用

筋持久力トレーニングによる効果を
生理学的な作用を中心にまとめていきます。

TypeⅠ線維・Ⅱa線維・Ⅱb線維といった
筋線維の特性からおさらいしていきます。

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トレーニングの効果

筋持久力を高めるトレーニングを続けると、毛細血管が発達し、筋肉を流れる血液量(筋血流量)が増加していきます。

すると筋肉に、より多くの酸素を取り込むことが可能となるため、運動の継続に必要なエネルギーがより多く生み出されるようになります。

これが回復能力となり、「筋持久力の強化」につながります。

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最大筋力が高ければ、トレーニング課題を楽に(疲労が少なく)こなせるようになるので、筋持久力を高める効果がありそうですが、最大筋力を高めるトレーニングでは主に白筋が鍛えられるので、筋持久力の向上には、あまり効果が期待できません。

最大筋力が高いからといって筋持久力が高いわけではないということです。

エネルギーの補給

筋収縮にはATP(アデノシン3リン酸)がADP(アデノシン2リン酸)に分解されるときのエネルギーが使われます。つまり、ATPが筋収縮のエネルギー源といえます。

ATPは筋内に貯蔵されていますが、量に限りがあるため、運動を続けるためには消費したATPを再合成して補充していく必要があります。

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エネルギー源であるATPをつくる過程には3種類あります。

①ATP-CP系
②解糖系
③有酸素系

|無酸素性
・酸素を利用しない(必要としない)エネルギー産生
・短時間に大きな力を必要とする運動で有効(瞬発力)
・糖質を原料とし、反応速度が速い

①ATP-CP系
②解糖系

最大強度で運動した場合、ATP-CP系と解糖系を合わせても約40秒程度しか続きません。これは無酸素系のエネルギー源であるグリコーゲンの筋肉貯蔵量に限りがあるためです。

|有酸素性
・酸素を利用した(必要とする)エネルギー産生
・長時間継続する運動に有効(持久力)
・反応速度は遅いが、酸素の供給+糖質・脂質があれば、長時間エネルギーを供給することができる

③有酸素系(TCA回路:クエン酸回路)

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エネルギーの供給速度

ATP-CP系>解糖系>有酸素系

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捻挫の実際【トレーナーマニュアル41】

C-I Baseball Advanceの腰痛・捻挫・下肢疾患・インソールの発信を担当する須藤慶士です。
臨床では評価を大切にしております。評価が確かなものでないと原因に対するアプローチをすることができません。
局所評価だけでなく全体の評価を行うことも大切です。
臨床での経験を元にした評価とアプローチを発信していきたいと思います。

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【マガジン紹介】
C-I Baseballトレーナーマニュアルでは、臨床・現場での野球におけるケガの対応力を高めるためのマニュアルを配信しています。
・これから野球現場に出たい方
・野球のケガの対応力を高めたい方
・臨床での野球のケガの評価・トレーニング・復帰について悩む方
にオススメの内容です!
ぜひ、ご活用ください!!

野球トレーナーマニュアル|C-I baseball|note【C-I Baseballトレーナーのトレーナーマニュアル】 投球障害肩・肘、腰痛、捻挫、肉離れ、下肢障害など野球におけるnote.com

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はじめに

捻挫は日常生活でもよくある疾患です。
野球選手の受傷ケースは、ベースの踏み外し、ボールを踏んでしまう、捕球時踏ん張ろうとした際などに起こりやすいです。

損傷度は様々ですが治療の流れは、固定から始まり徐々に固定装具を外して日常生活で慣らしながらプレー復帰の順だと思います。

復帰までに比較的多くみられるのが『歩行時痛』だと思います。
筋力強化や可動域訓練はしているのに『なぜ?』なんていう事ありませんか?

今回のnoteは現場でも多い『捻挫後の歩行時痛に対する評価とアプローチ』を記載していきます。

足関節の解剖(捻挫に対する病態・動作より)

外反捻挫において、間違いなく理解しなくてはならないのが、足関節外側靭帯です。3つの靭帯から構成されます。

・前距腓靭帯(ATFL)
・後距腓靭帯(PTFL)
・踵腓靭帯(CFL)

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前距腓靭帯損傷メカニズム

前距腓靭帯伸張肢位:底屈・内転・回外位

距骨の形状は水平面で見ると台形のような形をしていて、後方の方が前方よりも辺の長さが短い。
そのため距腿関節は底屈位で関節の遊びが出やすい。(背屈位は脛骨・腓骨にはまり、ロックされるため遊びが少ない)
底屈位では距骨が前方に引出されるために前距腓靭帯が伸張される。

受傷後の足部

受傷3日経過した捻挫です。
右足は圧痛、伸張痛、腫脹、可動域制限、歩行時痛が見られます。

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安静時・睡眠時のポジショニング

受傷後から夜間痛がある間行います。

下腿の重みで足部に対して下方(床方向)に落ちるストレスがかかり、距腿関節で足部が前方に引き出されるような形になります。

寝るときは下腿と踵骨の下にタオルを入れて重みを取り除き前距腓靭帯へのストレスを軽減しましょう。

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距腿関節 背屈位から戻すのはいつか?

背屈誘導バンドは前距腓靭帯を伸張しないために巻いていますが、いつまで背屈位にしておけばいいのでしょうか?

受傷後から前距腓靭帯を伸張しないために背屈位に誘導していたので靭帯は短縮していることが考えられます。

ストレステストを利用し靭帯の状態を確認します。エコーを使用することで判断基準はさらに高まります。

ストレステストが陰性になった際に固定を外すことを考えていきます。(医師の診断が大事)

捻挫に対する病態・動作(小林幸弘)にエコーが記載されています

ストレステスト 動画

圧痛・ストレステスト痛みないのに歩行時痛がある場合

所見がないのに捻挫後の選手が歩行時やランニング時に痛みを訴えることがあると思います。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

ここで考えなければいけないことは、距骨下関節の中間位です。

捻挫後の足部バンド誘導をチェックすると以下のようにしていることが多いです。

ストレステスト
+:距腿関節背屈誘導(距骨下関節回内)
ー:距腿関節底屈誘導(距骨下関節回外)

ストレステスト陰性=距骨下関節回外?

そうではありません。

それぞれの距骨下関節にはそれぞれの中間位が存在します。
個々で異なり、さらに左右でも異なります。

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それぞれの距骨下関節中間位を評価し、その距骨下関節に合わせた誘導が必要です。

歩行時痛はなぜ出るのか?

復帰までに足部トレーニングはきちんと行ってきたが、歩行やランニング、ダッシュと強度を上げていくと『痛みが出る』『ひねりそうで怖い』と選手からの訴えがあると思います。

なぜでしょうか?
それは、距骨下関節肢位にあると考えます。

距骨下関節肢位とは?

捻挫後は必ずと言っていいほど靭帯を伸張させないように固定をします。
この時の足部肢位は

・距腿関節背屈位
・距骨下関節背屈・外転・回内位

このようになっています。

この肢位は足趾が使いにくい状態になっています。

距骨下関節回内位はLR〜MStの肢位です。

足圧中心は外側を通るとTStに距骨下関節回外傾向になります。

靭帯損傷中はこの回外傾向になる際に痛みが生じやすいので前距腓靭帯を伸張させないように距骨下関節を回内させて内側を通ります。

この肢位で2週間もしくは3週間歩いているのです。
この肢位が『癖』になってしまう選手もいると思います。

癖=距骨下関節回内位

『癖』になっている場合は回外にすると痛みが取れる場合があります。

しかし、どの選手も距骨下関節回外誘導すればいいのでしょうか??

それを確かめなければなりません。

回内位もしくは回外位が良い場合・悪い場合が考えられます。

その足の距骨下関節の中間位がどの肢位なのかがわからなければアプローチしても歩行時痛は残存する可能性があります。

元々の距骨下関節肢位がどうなっていたのかを知る必要があります。

癖をどう変えるか?

足部の評価ポイントは3点です。

・距骨下関節中間位
・立方骨
・第4・5趾

アプローチはこの3点を意識したものを紹介します。

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評価

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距骨下関節

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距骨下関節の中間位はどこでしょう?

教科書では、、、
距骨と踵骨の位置が整い、踵骨底面が地面に並行な状態
だと思います。

距骨下関節中間位はあくまで教科書上ですのでこれに当てはまるとは限りません。

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距骨下関節 指標中間位 評価

外果上下にあるラインが直線になる位置を作り、その際の踵骨底面の向きで評価します。
この肢位を距骨下関節の指標中間位と言います。

指標中間位を軸にして回内・回外と距骨下関節は動きます。
評価は非荷重位(OKC)で行います。

なぜかと言うと、CKCだと荷重がかかることにより、その距骨下関節だけでなく横足根関節や足趾の機能が含まれるので、純粋な距骨下関節の肢位がわかりにくいからです。

立位で距骨下関節を後側から見た際に回外位や回内位がその距骨下関節の指標中間位の可能性が考えられます。
ですから、OKCで距骨下関節評価を行う必要があるのです。

理想の距骨下関節肢位は、OKCでの指標中間位のままの肢位で立位がとれることです。指標中間位のまま立位保持ができれば、立位動作で距骨下関節の回内・回外の動きがスムーズに行えるようになります。

距骨下関節が機能しなければ歩行時、距骨下関節の回内外が崩れてしまい足部が機能しないだけでなく骨盤・体幹のバランスも崩れます。

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距骨下関節の評価ができないと足趾は機能しません。

まずは距骨下関節指標中間位評価をしっかり行いましょう。

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5趾

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5趾(小趾)

歩行時MSt後半から足圧中心が外側に向かう際に、4・5趾(小趾)が使えることが重要です。
扁平足や・変形性膝関節症の歩行では側圧中心が内側に移動しやすいです。

4・5趾(小趾)が働かないと骨盤のスウェーや膝のスラストにつながり疼痛を引き起こします。さらに体幹も動揺し不安定になります。

5列評価

5列評価は2・3・4趾を結んだ線に対して挙上か下制のどちらの方が大きく可動域があるかです。

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投球障害肩の実際【トレーナーマニュアル40】

C-I baseballの【Advance course 野球選手のみかたを深める】の発信を担当する小林弘幸です。

スポーツDrと一緒にエコーを用いて、選手の病態を理解し
障害の原因追及を大切にしています。

病態を理解し、しっかりと評価することによって
現在の傷害の原因をはっきりることができれば、
医療機関と現場との橋渡し的な役割を果たすことができると思います。

画像1

投球障害肩とは、
肩関節周囲が痛くて投球が完全にはできない状態のことを指します。

成長期の肩障害と成人期の肩障害では
考え方が異なりますので、
その部分はBasic courseの投球障害肩の病態の部分を参考にしてください。

Advance courseでは、
実際に評価治療していることを中心に話し、
最後に実際の症例を提示して評価治療の流れを示していきたいと思います。

※記事で紹介する症例すべての方には説明・同意を得た上で、
紹介させていただいております。

投球障害肩での大切なこと

私が投球障害肩で大切にしていることは、

・何が痛いのか
・なぜ痛いのか
・どのようにしたら痛くないのか

・治療方針の優先順位をつける

です。

一つ目に関しては
結果の把握をしっかりしてから、
原因を追究をするといった具合です。

この結果の把握を行わないと、
肩が【どのように】痛くなっているのかがわかりません。

【どのように】痛くなっているのかがわからないと、
その選手が【なぜ】肩が痛くなったのかが不明確のままです。

この【なぜ】【どのように】がわからないと、
投球障害肩の繰り返しになってしまいますし、
選手に明確な治療方針を示すことが難しくなってしまいます。

図11

再発した時には、
以前の問題点が引き続き存在しているのか、
新しい問題点が出てきたのか、判断できません。

(私は、少なからずこのような感じでした。
 どのように痛くなっているかの病態把握もせずに、
 痛みがなくなれば良い。【なぜ】は考えていましたが、
 【どのように】という部分に関しては、かなり疎かったです。。。)

診断をするのではなく、
選手の病態を理解し、【どのように】痛みがでているのか、
選手の痛みの原因を考え、【なぜ】痛みが出ているのかを、
考えていくことが投球障害肩の評価治療で(現時点で)一番大切なことだと考えています。

図12

肩関節複合体での評価をしっかり行う

そして、もう一つの大切なことについてです。

あくまで私見ではございますが、
投球障害肩を見る・語る場面で、しばしば散見される議論は

・肩関節(肩甲上腕関節)が大切だ!
・肩甲骨(肩甲胸郭関節)が大切だ!
・体幹が大切だ!         
・下肢が大切だ!         

といった具合かと思っています。

では何が大切でしょうか?

これは私の意見ですが、
全て大切かと思っています。

ただし、
【優先順位】はあると思うので、
その優先順位をつけて投球障害肩の選手をみる

というのが、私の意見になります。

その中でまずは、
肩関節に直接関係する

・肩甲上腕関節(GH)
・肩甲胸郭関節(ST)

のどちらの優先順位が高いのかを判断して評価治療していきます。

図1

この評価方法に関しては、
後述したいと思います。

選手自身は、肩を痛めているので、
その肩の状態を知りたいはずです。

それを、
単に肩甲骨が動いてないから、
体幹が弱いから、
足が弱いから、
で片付けてしまうのではなく、
肩の状態から把握し、
全体を理解するといったことが大切だと思います。

しっかりと肩関節の病態を理解・把握したうえで、
治療に入っていけることが重要だと思っています。

図2

評価治療の流れ

投球障害肩の選手が来院した際に行う評価治療の流れを
お示しします。

(病院の場合)
・事前情報収集(画像所見)
・診察見学

(病院・現場共通)
・問診
・疼痛疑似肢位確認
・肩関節複合体評価(GHorSTの治療優先順位の決定)
・他関節評価(既往歴の確認)
・情報共有
・治療
・再評価

上記の流れで投球障害肩に関しては、
対応するのが基本としています。

事前情報収集(画像所見)

野球選手の画像所見に関しては、
一言でいうと、私はあまり参考にしていません。

もちろん、リスク管理という視点では、画像所見を把握して、
病態を理解するということは大切なことです。

しかし、
野球選手の投球障害肩における画像所見は下記の特徴があると私は思っています。

レントゲン:ほとんど異常なし
CT    :ベネット骨棘等が観察されることはあるが、大きな障害無し
MRI   :筋腱の微細損傷やSLAP損傷などしばしば損傷が見受けられる

MRI等の軟部組織が観察される画像所見に関しては、
しばしば損傷等の異常が見つかることが多いです。

しかし、その画像所見と実際の選手の痛みや動きが
リンクしないことが多いのが野球選手の特徴です。

長年、野球をハイパフォーマンスのレベルで行っている選手は
多くの選手で肩関節の損傷が見つかるといっても
過言ではありません。

それでも、損傷や病態がありながら
高いレベルのままプレーし続けている選手はたくさんいます。

図9

※選手には掲載の許可をいただいています。
※独立リーガー捕手
(SLAP損傷:他院にて手術適応との診断もリハにてプレー続行可)

ですので、
身体機能を高めていく、トレーナーや、PTの存在は
大きいと思っています。

診察見学

我々の場合は、スポーツDrとタッグを組んで選手に対応しています。

常日頃からDiscussion、情報共有し、
Drの評価とPTの評価とを掛け合わせて
選手に対して、Bestの治療方針を、同じ方向で行っていきたい
ということを大切にしています。

図3

ですので、診察室で行われている会話だったり、
理学所見のとり方、診断に対する説明を聞いて、
選手がどのように理解しているのかを
事前情報として理解しておくことが大切かと思っています。

さらには、エコーを用いて一緒に評価することもあります。

選手を取り巻くすべての人が協力し合って、
その選手の復帰へ向けた治療が一緒の方向性を向くことが最善の方法かと思っています。

図15

問診

問診は一般整形の患者さんもそうですが、
投球障害肩の選手においても、とても大切だと思います。

特に投球障害肩では以下のことを大切にしています。

・いつから痛いのか?
・投球のどのフェイズで痛いのか?
・一球のエピソードがあるかどうか?
・今までの強度はどうだったのか?
・肩のどこが痛いのか?(one point indication or palmar indication)
・投球中に痛いのか?投球後に痛いのか?痛みが続くのか?

①いつから痛いのか?

今回のコロナ禍で多かったのが、コロナの緊急事態宣言中に
投げられずに、再開後投球したら、肩がすごく軽く調子が良かった。

しかし、そのまま投げ続けたら
今までにないような痛みが出た。
という選手が多かったです。

また、
中学野球、高校野球受験後(受験勉強で座りっぱなし)や、
定期考査後の練習、
入学して新天地で野球を始めた後に痛みが出たということもあります。

このような場合はGH内の炎症が強いこともありますので、
安静が必要です。

そして、その期間にどんな生活をしていたのかを
聞く必要があると思います。

ずっと家に引きこもって
スマホばかりいじっているとか、受験勉強していたとかは
重要な情報です。絶対に聞き逃してはいけないと思います。

このような選手は、間違いなく、胸郭脊柱の硬さが出ると思っています。

図10

※選手には掲載の許可をいただいています。
※大学1年野球外野手
(肩後方インピンジメント:受験勉強後、新入生として練習参加数週間より疼痛)

そのほかにも、学生のころから、
何十年もの間、投球時痛があるという症例です。

このような選手に対しては、
痛みがあって投げている状態が【普通】になってしまっているので、
運動療法はもちろんですが、認知面での介入も必要かと思います。

※クニヨシTVのクニヨシさん。ご本人には、顔出しと動画掲載の許可をいただいております。
※10数年痛みがあったので、アーリーコッキング~アクセレレーションにかけての逃避性の肘下がりが見られる。
※草野球選手:高校・大学野球時から肩痛有。投球時痛を感じている期間は約10数年。

痛くないフォームで投げられるということを、
身体と頭で理解する必要があるかと思います。

自分では腕が振れているつもりでも、
逃避性のフォームになっていることがしばしばあるかと思います。

痛みの悪循環

※Johan W S, et al.: Fear-avoidance and its consequences in chronic musculoskeletal pain: a state of the art. Pain 85 (2000) 317-332
図を引用改変(著者和訳)

痛みの経験が減ってきて、不安感がなくなるまでは、
逃避性の動きが出てしまうこともあります。

練習としては、こんな練習を取り入れていました。

後半でクニヨシさんの介入の解説も触れていきたいと思います。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓クニヨシTVより抜粋。↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
まだ怖さはあるものの少しずつ投げられてきた様子の場面。

②投球のどのフェイズで痛いのか?

図4

投球のフェイズで疼痛が出るフェイズで
病態の【予測】はできると思います。

MER付近でGHの後方部痛があれば、
後上方インピンジメント(PSI)が疑われます。

図5

リリースからフォロースルでGHの前方部痛があれば、
前上方インピンジメント(ASI)が疑われます。

図6

予測はできますので、
しっかりと問診をして、どのタイミングで痛みが出るのかを
把握することが大切です。

③一球のエピソードがあるかどうか?

投球時にどのように痛めたかの中で、
一球のエピソードがあるかどうかは重要です。

例えば、

・一球スライダーがすっぽ抜けた後から痛みが出た。
・チェンジアップの練習していたら、痛みが出た。
・遠投で思いっきり投げたら痛みが出た

などは要注意かと思います。

一球のエピソードがある選手は、
強いエネルギーがかかった外傷の要素があり、
肩関節の病態があることがあります。

図7

④今までの強度はどうだったのか?

これは、投球開始していった選手によくあることですが、
例えば、
ノースローの期間があった後、急に投げて痛めたのか、
徐々に強度を上げていって、痛めたのか

どのように強度を上げていったのかを聞くことも
大切です。

(経験則ですが、徐々に投球強度を上げていった症例でも、
 塁間から、対角線(1-3塁の距離)に強度を上げた時、
 遠投を始めた時
 に疼痛を再度訴えることも多くあります。)

画像2

※CIB代表の増田稜輔さんの記事より抜粋

ですので、しっかりと段階的に強度を上げていくことがとても重要です。

⑤肩のどこが痛いのか?
(one point indication or palmar indication)

これは、実際に選手に疼痛部位を指さしてももらいます。

その際に、

・ここです(one point indication)
・この辺です(palmar indication)

と答えることがあります。

※one point indication

※palmar indication

この2つのパターンはとても大切で
one point indicationであれば、その部位の局所的な問題、
palmar indicationであれば、その周囲に関連する神経的な問題
が関与していることがあります。

末梢神経の絞扼のような問題であれば、
寒冷感覚をチェックすることも重要です。(palmar indication)

※寒冷感覚の評価(アルコール綿にて知覚の評価)

冷感が患側で低下しているのであれば、
末梢神経の要素も考えられます。(三角筋領域の腋窩神経絞扼)

肩のどこが、どのように痛いのかを
チェックすることも重要です。

⑥投球中に痛いのか?投球後に痛いのか?痛みが続くのか?

これを聞くことで、

・メカニカルストレス的な問題なのか、
・パフォーマンス的(筋疲労的含む)問題なのかを

【予測】できることができると思います。

図8

上記の様に問診でも、様々な情報が得られます。

選手と関わっていくうえでも、
色々と話しをしてみると、
ヒントになることが多く隠されていると思います。

たくさん、【予測】をしていくことで、
病態理解・今後の治療方針の決定に役立つと思っています。

疼痛疑似肢位確認

投球障害肩において、
理学所見をとるときに、その投球動作の疑似肢位にて評価することが大切です。

まずはactiveで疼痛の有無を確認。
その時に一方向の角度だけにならないように、多様な角度で評価します。

次にpassiveでの評価です。
これも方向を変化させて、GHの状態を確認します。

疼痛がなくなるように、GHや肩甲骨の誘導ができると、
治療の方針が決まってきますので、
色々な方向での評価が大切です!

①Early-cocking

・activeでのGH外転評価

・passiveでのGH外転評価

②Late-cocking

・activeでの挙上位GH外旋評価

・passiveでの挙上位GH外旋評価

③Release・Follow-through

・activeでのGH屈曲内旋評価

・passiveでのGH屈曲内旋評価

肩関節複合体評価(GHorSTの治療優先順位の決定)

一般的な肩関節周囲炎等の肩関節疾患の患者さんに比して
投球障害肩においては、
著明な可動域制限を認められる選手は少ないです。

そのため、評価を細かく行う必要があるのかなと
考えております。

そして、この評価で、治療の優先順位を決めていきます。

現時点の治療介入をするうえで、

・肩甲上腕関節を優先にすべきか
・肩甲胸郭関節を優先にすべきか

を考えていく必要があります。

図19

詳しくは下記に示していきます。

評価項目(動画順)
ROM

①肩屈曲と外転
②肩屈曲と外転(肩甲骨の動き観察)
③肩外転(passive)
④肩外転(肘屈曲位:上腕三頭筋の制限)
⑤疼痛疑似肢位でのSAT( Scapula Assistant Test:内転・上方回旋・挙上)
MMT
⑥Full can test(棘上筋)
⑦Empty can test(棘上・棘下筋)
⑧ISP test(棘下筋)
⑨Belly press test(肩甲下筋)
⑩Hornblower test(小円筋)
ROM
⑪CAT
⑫HFT
⑬1/2内外旋
⑭2nd 内外旋
⑮1st 内外旋
⑯3rd 内外旋
⑰後方タイトネスによる骨頭偏位

ーーー下記、評価の動画ーーー

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スピードトレーニング【トレーナーマニュアル39】

C-I Baseballの増田稜輔です。
今回は野球選手に対する
【スピードトレーニング】について解説していきたいと思います。

野球における「スピード」とは
走塁時の足の速さで表されることが多いです。

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走塁は得点・勝利に結びつく部分であり
走塁パフォーマンスを上げるための【スピードトレーニング】は
野球現場では必須スキルとなっています。
そのため、チームからの要望として「スピード強化」のオーダーが出ることは多々あると思います。

今回の記事では
✔スピードとは
✔野球に必要なスピード
✔ストライドとピッチについて
✔スピードトレーニング

スピードトレーニング=走るではなく、
身体機能を高めることで「スピード」を向上させる方法について解説していきます。

スピードとは?

そもそも「スピード」とは?
スピード=物体(身体)がどのくらいの距離を進むかの割合
すなわち単位時間当たりの移動距離

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一般的に競技におけるスピードはスプリントを表していることが多く
速く走れることをスピードが速いと表現します。

ほとんどの競技においてスプリントはパフォーマンススキルの
ひとつとされておりより速く走ることを求められています。
そのため「スピード」を向上させるには”走り”の要素を理解していく必要があります。

スプリント動作

スプリント動作は
主に加速局面,最大疾走局面,減速局面の3局面に分類されます。
各局面ごとに分析されることが多く機能を分けて考えていく必要があります。

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「スピード」はスタートから急激に加速し最大疾走局面で最大になります。
「スピードパフォーマンス」が高い選手ほど
・スタートから最大疾走速度までの距離が長い
・減速局面が短い
とされており
最大疾走局面までの「スピード」の増加量と「スピード」の維持が重要であると考えられます。

スプリントサイクル

スプリントサイクルはステップ(1歩)とストライド(2歩)ので構成されています。

ステップ:一側下肢の接地→体側下肢の接地
ストライド:一側下肢の接地→同側下肢の接地
ストライドはSupport phaseとRecovery phaseに分けられます。
Support phaseとRecovery phaseは支持期と非支持期と考えられており
その割合は走行速度が上がるにつれ非支持期の割合が増えていきます。

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①foot-strike:一側下肢の接地
②mid-support:荷重支持
③take-off:股関節伸展し足底離地準備
④follow-through:下肢を後方に降り出し膝は屈曲する
        両側下肢が離地し非支持期
⑤forward-swing:下肢が前方移動し膝の高さが最高地点になる
⑥foot-descent:膝が伸展し再び接地の準備

「スピード」にはストライドとピッチ(頻度)の積が大きく関係しているため
スプリントサイクルを理解しておくことが重要になります。

ストライドとピッチの関係

スプリントスピードはストライドとピッチ(頻度)の積よって表されます。
ストライド距離が長く×頻度が高い=スピードが速くなる

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【スピードトレーニング】では
・ストライドを長くすること
・ピッチを高めること
この2つの機能を向上させていく必要があります。

スピードを生み出す要素

【スピード】=身体を速く移動させるには身体を動かす筋パワーが必要になります。

この筋パワーを生み出すには2つの要素が必要になります。
①地面を押す力
②地面から返ってくる反力

①地面を押す力
身体は作用・反作用の法則により前方へ進みます。

作用・反作用
作用した方向とは反対方向に、同じだけ力が働くことです。

地面を押し、その反作用を受けることで前に進んでいます。地面に大きな力が加わるほどより大きな地面反力を受けるので
身体はスピードを生み出すことができます。

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②地面から返ってくる反力
地面からの反力は2つの成分があります。
・鉛直成分=縦方向 身体を支える力
・水平成分=身体を前方へ押し出す力

この2つの成分の力を合わせると身体が前方へ加速します。

スクリーンショット 2021-02-21 14.59.42


スプリント場面では身体の傾斜角度により2つの成分の割合が変化します。
これは三平方の定理の定理によって決まり地面に対しての身体の角度が重要になります。
地面と身体軸が成す角度が深い=水平成分の割合が大きい
地面と身体軸が成す角度が浅い=鉛直成分の割合が大きい

上記のことをスプリント場面で例えると
スタート時の身体軸の傾斜角度が深い場合=水平成分が大きい
トップスピード時の身体軸の傾斜角度が浅い場合=鉛直成分が大きい
このことによりスプリント場面によって必要な機能が異なります。

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野球におけるスピード


野球における「スピード」はなにが必要なのか?

野球でスピードが求められるシーンを整理していきましょう。
野球では走塁・守備の場面で走動作を必要としますが
スピードパフォーマンスは走塁時に評価されることが多いため
今回は走塁に求められる【スピード】に着目していきます。

野球に必要な走塁

ベーラン2

野球で必要な走塁
・1塁への駆け抜け
・盗塁
・ベースランニング
主に上記の3項目が必要になってきます。

3つの項目は”走る”という動作では共通していきますが
必要になる機能はそれぞれ違います。

3つの項目は大きく分けて2つに分類されます。
①1塁駆け抜け 盗塁
②ベースランニング

①1塁駆け抜け 盗塁
スクリーンショット 2021-02-21 11.41.46


この2つの項目は27.431mを速く走る=直線運動が必要になり
単純な【スピード】の要素が必要になります。

②ベースランニング
スクリーンショット 2021-02-21 11.43.51


ベースランニングでは
ホームー2塁や1塁ー3塁などベースを回るコーナリングや
加速ー減速ー方向転換の能力が必要になります。
つまり【スピード】+【アジリティ】の2つの要素が必要になります。

よくスピードとアジリティが同じような意味で使われていますが
捉え方は別々にしたほうがよいと考えています。

スクリーンショット 2021-02-21 11.55.13

スピード=速く移動する能力
アジリティ=方向転換や減速など運動様式を変える能力
2つの能力は似ているようで別のものなので
トレーニング内容を同じではなく変化させる必要があります。

ベースランニングのタイムを改善するには
【スピード】+【アジリティ】を組み合わせることが必要です。

①1塁駆け抜け 盗塁と②ベースランニングのどちらにも【スピード】の要素は必要になってきます。
しかし、この2つには共通しない点があります。
それが”走る距離”です。

スクリーンショット 2021-02-21 13.46.20


前述の通りスプリントスピードを上げるには
ストライドとピッチの積が必要です。
この2つの比重が①1塁駆け抜け 盗塁と②ベースランニングでは変わります。

①1塁駆け抜け 盗塁

1塁駆け抜けや盗塁では最長でも27mしか走りません。
この短い距離で最大疾走をするにはどうすればよいのでしょうか?

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ウェイトトレーニング【トレーナーマニュアル38】

今回、『ウェイトトレーニング』を担当しますC-I Baseballの高橋塁です。

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〈ツイッターはこちらから〉

https://twitter.com/ramichan2000?s=20

私自身、2021年、2作目の記事となります。

再度の告知にはなりますが、C-I BaseballのトレーナーマニュアルはBasic版Advance版に大きく分かれています。

Basic版では「野球選手のケガにどのように対応するのか?」

をテーマに病態の理解から評価・トレーニング・復帰・予防まで包括的にお伝えしてきました。

Advance版は、トレーニング構成や組み立て方、フィジカルチェック、ウォームアップ方法などをC-I Baseballの各スタッフが各セクションに分けて、野球現場でのグラウンドレベルでの動きについて週刊で配信しています。

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ウェイトトレーニング

ウェイトトレーニングは、バーベル、ダンベル、マシンまたは自重などを使い筋肉に負荷をかけ体を鍛えるトレーニングと言われています。

主に筋力の増大、またはそれに伴う筋肉の増量などを目的とするトレーニングの総称とされます。

ウェイトトレーニングの詳細メニューを紹介する前に、トレーニングの原理・原則についてお話していきます。

トレーニングの原理・原則

ウェイトトレーニングはじめ、トレーニングを効率よく行うためのルールとして3つの原理と5つの原則があります。

これらの原理、原則をまず、理解することにより、効率よくトレーニングを行えるようになります。

①トレーニングの3原理

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1.過負荷の原理

 機能を向上するためには、すでに持っている能力以上の負荷を与える必要性があります。

 トレーニングを行う時は、日常生活では行わないような重さを扱うことが重要で、ある程度の重さや動きに慣れてきた場合には、さらに、大きな負荷をかける必要があります。

2.特異性の原理

トレーニングの種類によって効果は変わってきます。

つまり、何か特定の効果が必要なら、それに応じたトレーニングを行わなければならないということです。

そのため、トレーニングによってどのような違いや効果があるのかを知ることが重要になります。

3.可逆性の原理

トレーニングをやめてしまうと、身体が元の状態に戻ってしまいます。

どれほど鍛えても、トレーニングをストップするとその時点で筋力は低下していきます。

ただし、ゆっくりと時間をかけて鍛えた身体は、トレーニングをやめても、元に戻るまで時間がかかりますが、短期間のトレーニングの場合、元に戻るまでの時間も短くなってしまいます。

②トレーニングの5つの原則

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