野球選手の腰痛の復帰後のトレーニング・再発予防の身体作り【トレーナーマニュアル25】

C-I baseballの腰痛から競技復帰後のトレーニング・再発予防の身体作りを担当します高橋塁です。

日々、野球を中心にスポーツの現場で、トレーニング、コンディショニング、技術指導を行っています。

私自身が、日々のスポーツ現場での経験をもとに、障害をいかに防ぎ、かつ再発せず、パフォーマンスアップできるかをお伝えし、医療機関とスポーツの現場との連携をいかにスムースにできるかをわかりやすく発信していきたいと思います。

高橋塁プロフ写真①

はじめに

腰痛に対する記事のダイジェスト!こちらのnoteをご参照にしながらご一読ください。

https://c-ibaseball.com/low-back-pain-return-program/

腰痛の概論


スポーツ選手にとって腰痛の発生頻度は一般の方よりも多いとされています。
腰痛の一般的な病態を理解したうえで、そのスポーツにおける競技特性と腰痛の病態とを結びつけることでスポーツにおける腰痛が理解出来るかと思います。

野球選手のスポーツ障害では、肩・肘障害がメインとなりますがその次に腰部障害が多いという報告が数多くあります。
プロ野球選手のメディカルチェックでは、27%もの選手に腰椎分離症を確認しています。
また体育学部の学生を調査したものでは、バレーボールに次いで野球で腰痛が多いとの報告もされています。

こ1

軸圧が加わる動作や、伸展・回旋動作が多い動作が腰痛の原因となりやすいと考えられます。
野球のダッシュや守備練習、バッティング・ピッチング動作が腰痛に関与すると考えられます。

野球のポジション別の発生頻度

こ1

基本的には、投手に関して、肩肘障害が多くなり、外野手では腰痛が多いとされています。

こ3

練習では、内野手より外野手は圧倒的にダッシュの距離が長いということが考えられます。
外野手は、背走時に腰椎伸展での回旋動作が加わります。
また左右の打球を追う際にも腰椎(体幹)の回旋を伴いながらダッシュをするのが多くなります。そういった特徴から、外野手では腰痛が多いのではないでしょうか。

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野球選手の腰痛の段階的復帰プログラム【トレーナーマニュアル24】

C-I Baseballの復帰プログラムを担当してます増田です。

今回は野球現場で生じる【腰痛】の
段階的復帰プログラムについて紹介していきます。

画像22

野球現場での「腰痛」の復帰プログラムとは?

野球選手の障害では肩・肘に代表させる投球障害に次いで
”腰部障害”いわゆる「腰痛」の発生率が高いです。
特にシーズンの序盤や終盤で「腰痛」の発生件数が多い印象です。

野球現場では疼痛発生直後から試合復帰までを
トータルでサポートしていきます。

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「腰痛」からの復帰に必要な要素
可動性の向上
腰部の安定化
野球動作の再構築
動作耐久性・スピードの構築

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以上の項目を病態や機能を考慮して段階的に復帰へ向けて
リハビリテーションを進めていきます。

ここからは疼痛発生から試合復帰までの
野球現場での対応を解説していきます。

野球現場で関わる腰痛

選手からの「腰痛」の訴えは様々なものがあります。

・投げると痛い 打つと痛い
・走った後に痛くなる
・捕球体勢が痛い
・ウエイトトレーニングすると痛い

野球現場で経験する「腰痛」には大きく分けて
特異的腰痛と非特異的腰痛の2種類に分類されます。


特異的腰痛
診断や画像診断にて構造上の問題が特定できるもの。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎分離症など

非特異的腰痛
構造上の問題はなく画像診断で確認できないもの。
椎間板性
椎間関節性
仙腸関節性
筋・筋膜性など

野球現場では主に”非特異的腰痛”の発生頻度が高いです。

スライド3

中学生〜高校生など成長期の現場では
特異的腰痛の一種である腰椎分離症の発生への
対応も必要です。

スライド4

腰椎分離症は早期に発見することができれば
骨癒合の確率は高いとされています。
そのため選手が訴える「腰痛」が
腰椎分離症なのか他の症状なのかを鑑別することが
野球現場では求められます。

野球現場で起こる「腰痛」のパターン

①トレーニング

スクワットで生じる腰痛発生例 屈曲型
スライド5

屈曲型の腰痛パターン
骨盤前傾・股関節屈曲不足による
”腰椎後弯増大・骨盤後傾”
椎間板内圧の上昇や脊柱起立筋の遠心性収縮を引き起こし
・椎間板性腰痛
・筋筋膜性腰痛
を発症させます。

スクワットで生じる腰痛発生例 伸展型
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伸展型の腰痛パターン
胸椎伸展不足や下半身重心の後方化による
”腰椎過伸展”
椎間関節に圧縮負荷を発生させ
脊柱起立筋の過活動を引き起こし
・椎間関節性腰痛
・筋筋膜性腰痛
を発症させます。

ランニング
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股関節伸展不足や床反力による衝撃
”腰椎過伸展・骨盤の前方位・仙骨前傾位”は
椎間関節や仙腸関節への圧縮負荷を引き起こし
・椎間関節性腰痛
・仙腸関節性腰痛
を発症させます。

②野球動作

野球で生じるほとんどの腰痛が野球動作中に起こるものです。
可動性の低下や筋機能低下を起因としたフォーム不良が
問題となってきます。

投球
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バッティング
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野球動作と腰痛の関係については
小林弘幸:「腰痛に対する病態と動作」で詳しく解説しています。https://note.com/heroheroyuki/n/nc0ca22e8d599

野球現場における腰痛の対応

野球現場で発生する「腰痛」への対応では
腰椎分離症or他の症状の鑑別が必要になります。

腰椎分離症が疑われる場合は早期の医療機関への受診
画像診断が必要となります。

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野球現場での腰痛への評価

野球現場では「腰痛」に対して評価を行い
・早期の医療機関への受診が必要なのか
・プレー継続が可能なのか
の判断が求められます。

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そのため下記に示す項目が重要になります。
①疼痛発生時期
②可動性や筋機能の確認
③パフォーマンスレベルの低下があるかどうか

①疼痛発生時期

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急性腰痛

特にウエイトトレーニングなどで発生するのが
強い疼痛を伴う急性的な腰痛、いわゆる”ぎっくり腰”です。

これは、高重量トレーニング中に発生することがあります。
椎間板の損傷、筋筋膜への過負荷、仙腸関節へのストレスなどが
原因で起こります。

急性腰痛発症後、体動困難な場合や過度な可動域制限が生じた場合は
3日ほどの安静期間後に機能評価を行います。

慢性腰痛

受傷動作が明確でなく、以前からの疼痛があるものや
疼痛による体動制限がない場合は
即座に疼痛、機能評価をしメカニカルストレスを把握し対応します。

②可動性・機能評価

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腰部へのメカニカルストレスは隣接する関節からの影響を受けます。
特に胸椎・股関節との関連が強いため
各部位の可動性と機能の評価は重要です。

評価については
須藤慶士:「腰痛に対する評価・アプローチ」で解説しています。https://note.com/0004ks/n/nf1918b584e6b

③パフォーマンスレベルの確認

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各野球動作レベルを確認します。
疼痛によりパフォーマンスレベルが著しく低下している
フォームエラーがメカニカルストレスの原因
悪化する可能性がある
などの問題があれば野球動作の中止や特定の動作に制限をかけます。
※チームの状況や選手の立場などを考慮して判断しますが
医学的に考えて悪化の恐れがある場合には中止の判断をします。

「腰痛」による野球動作中止基準

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「腰痛」の明確な中止基準は設けていません。
非特異的腰痛が85%の割合であるように
器質的な損傷がない場合がほとんであるので
選手の症状や立場などによって変化させています。
しかし、腰椎分離症や椎間板ヘルニアにより下肢症状などにおいては
医療機関での判断も含め野球動作を中止または制限します。

その他、疼痛の長期化や増悪傾向である場合や
パフォーマンスの低下、可動域改善・体幹筋の促通でも疼痛に変化が
ない場合においても中止または制限をかけます。

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「腰痛」により一時的な野球動作の中止・制限が
あった選手の多くが
他関節の可動性低下・体幹筋の機能低下に起因する
”フォームエラー”によって腰部へのメカニカルストレスを発生しています。
そのため、機能改善・動作改善が必要であり
段階的にトレーニングすることで
野球動作への復帰復帰を目指します。

腰痛の段階的復帰プログラム

メディカルリハビリテーション

メディカルリハビリテーションプログラム

※佐藤康:腰痛に対するトレーニングより引用
メディカルリハビリテーションでは”ランニング開始”を目標に
可動性・腰部安定化機能の獲得・胸郭-腰部-股関節の連動性(協調性)
などのファンクショナルな要素を中心に介入していきます。

アスレティックリハビリテーション

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アスレティックリハビリテーションでは”試合復帰・再発予防”を目標に
野球動作に対応する筋力・耐久性・スピード
などのフィジカルな要素を中心に介入していきます。

今回は可動性・体幹筋機能・胸郭-腰部-股関節の連動性(協調性)
が改善された後の試合復帰までの
野球における「腰痛」に対するフィジカルな要素を中心とした
内容を解説していきます。

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野球選手の腰痛に対するトレーニング【トレーナーマニュアル23】

C-I baseballのトレーニングを担当する佐藤康です。

今回の内容は
「腰痛のメディカルリハビリテーションの流れ」
についてまとめています。

腰痛選手の復帰に向けてどのような関わり方をしていくのか?

野球選手の腰痛の対応について、アスレティックリハビリテーションまでの流れについてまとめていきます。

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メディカルリハビリテーションの位置づけ

腰痛のリハビリテーションを対応する際に
まずどのような目標を設定し、どのような流れで進めていくのか
を簡単にまとめていきます。

目標設定

スポーツ復帰を進めていく上で、
ランニング動作などの各競技に共通した動作とスローイングやバッティングなどの競技特異性のある動作についての復帰について考えていく必要があります。

メディカルリハビリテーションの位置づけとして、各競技に共通した動作である「ジョギング復帰」を目安としてまとめていきます。

そのためトレーニング内容については、フィジカル要素よりもファンクショナル(機能的)な要素を重視した内容を構成しています。

段階的な対応手順

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腰仙部痛の原因とメカニカルストレス

トレーニングを構成する上で、腰仙部へのストレスをきたす原因を考えることはとても重要であるため、メカニカルストレスによる影響を整理しておきます。

腰仙部に生じるメカニカルストレスは、
圧縮・回旋・剪断ストレスが挙げられます。

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メカニカルストレスを軽減するための脊柱の運動

脊柱におけるメカニカルストレスを軽減するためには、脊柱が生理的な弯曲にてアライメントを制御した状態で運動を行うことができることがポイントです。

|生理的な弯曲
頚椎前弯・胸椎後弯・腰椎前弯

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インナーマッスルとアウターマッスルが協調して働くことで、適切な脊柱の運動を維持することができます。

そのため、機能・動作のレベルに応じた段階的なトレーニングを行うことが重要になります。

骨盤帯の安定化

脊柱の動きを支える土台の役割として、
骨盤帯の安定性も重要な機能となります。

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仙腸関節を含む骨盤帯の安定性を維持するためには、Force closureForcm closureによる構造的・機能的な安定化が重要です。

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|Form closure
骨・関節・靱帯による構造的に安定させる機構
仙骨が屈曲すると靱帯の張力が大きくなり、構造的に安定した位置になります。

|Force closure
筋や筋膜によって関節を安定させる機構
仙骨が後屈すると関節構造として不安定な位置になるので、周囲の筋・筋膜が安定させるように働きます。

4つの安定化メカニズム

仙腸関節の圧迫力を増加させる筋群は体幹部を安定させるインナーマッスルに加え、胸背筋膜、大殿筋や広背筋などが関与しています。

以下の筋・筋膜が協調して仙腸関節を安定させています。

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トレーニングの実際

ここからは実際のトレーニングを段階的にお伝えしていきます。

トレーニングの段階的な手順として、可動性・筋機能の獲得にしたがい、他関節との連動したトレーニングを実施していきます。

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可動域の改善

Q.なぜ可動域を改善する必要があるのか?

A.体幹や股関節周囲筋群の筋の伸張性が低下していると、重力下での姿勢や動作においてマルアライメントを形成しやすくなり、腰椎骨盤リズムの破綻をきたす可能性があるためです。

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また、腰椎に隣接した関節の可動性が低下することで腰椎の過剰な運動が求められることにより、疼痛をきたすストレスを高めてしまう可能性があるからです。

そのため、特に腰痛選手においては
体幹と股関節周囲筋の柔軟性を獲得しておくことが重要です。

|ストレッチの注意点
疼痛の捉え方:関節由来の疼痛?or筋のストレッチ痛?をチェック

関節由来(例:椎間関節へのストレス)の痛みであった場合
間違ったストレッチになっている可能性あり
ストレッチ方法を見直す必要があります。

ここでは
①局所的な脊柱の可動性
②股関節周囲の柔軟性を高めるストレッチ
③胸郭・胸椎の可動性

に分けてお伝えしていきます。

①体幹屈筋群

体幹の屈筋群である腹直筋や腹斜筋などの腹筋群に短縮があると、円背姿勢を招きやすく、屈曲型腰痛を引き起こしやすくなります。

腹筋群の柔軟性

腹筋群は荷重下で腰椎の過前弯や骨盤前傾を制御する機能があるため柔軟性が重要となります。

腰椎の伸展と骨盤の前傾を誘導してストレッチをしていきます。

②体幹伸筋群

脊柱の屈曲運動の制動となる多裂筋や深部に位置する短回旋筋群、脊柱起立筋群、腰方形筋の伸張性の改善を図っていきます。

後方組織の柔軟性

腹部を上方へ持ち上げるようにして、腰椎部を屈曲+骨盤後傾をさせながら、ゆっくりと息を吐くことで背筋群を伸張していきます。

●ポイント
さらに腰背筋群を伸張するためには、この屈曲位姿勢から膝の屈曲を深くしていきます。

腰方形筋ストレッチ

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野球選手の腰痛に対する評価・アプローチ【トレーナーマニュアル22】

C-I Baseballの評価・アプローチの発信を担当する須藤慶士です。

臨床では評価を大切にしております。評価が確かなものでないと原因に対するアプローチをすることができません。
局所評価だけでなく全体の評価を行うことも大切です。
臨床での経験を元にした評価とアプローチを発信していきたいと思います。 

画像11

はじめに

腰痛に対する病態・動作はこちらを参照してください!

次回以降はトレーニングです。

腰痛はプレー中のみでなく普段からの姿勢や動作でも起こることが考えられます。

ですから、腰痛でリハビリを開始する際は、

アライメントや動的な評価のみでなく、普段の意識していない姿勢や立ち上がりなどの何気ない動作も評価する必要があります。

小・中学生は学校の椅子の高さが合っていない場合も考えられます。

普段使用している椅子の高さや、座り方を確認しておきましょう!

評価

姿勢

立位

姿勢評価は色々な視点で評価することが大切です。

姿勢評価が苦手な方は、骨盤・胸郭の2箇所から評価していくといいでしょう。

骨盤の傾きや胸郭の形状で腰部へのストレスが変化します。

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腰痛の場合、腰椎の過度な伸展が見られます。

過度な伸展が見られる場合、体幹前面の筋力低下だけでなく、他部位の影響も大きく関わってきます。

他には腸骨の挙上・下制・前後傾の左右差があることで体幹の屈曲・伸展・回旋に大きな影響が出やすくなります。


骨盤の傾きを靴でわざと調整した例を挙げると、

右腸骨下制しているだけで動作が行いにくくなります。
体感していただけるとわかりやすいのですが、左足は靴を履き、右足は脱いだ状態を作りましょう。

その状態で、

屈曲すると、腰椎は左側屈しながらの動きになります。
伸展も同様の動きが見られます。

この際、右腰部は伸張ストレス、左は収縮した状態になるので緊張しやすくなります。

回旋(骨盤右回旋⇨左回旋)をすると、右回旋は大きく動き左は回旋量が少なくなります。

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骨盤・腰椎の位置は上行性・下行性に波及しますし、足部からの影響も大きく関与しますので胸郭・骨盤の位置・高さ・向き・股関節・膝関節・足部の状態はチェックしましょう。

臥位

腰部の緊張が強い場合、臥位で腰部に隙間が見られます。

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この場合は腰椎の過度な伸展ストレスが加わり腰椎分離症や筋筋膜性腰痛症など起こる可能性が高まります。

臥位で腰椎前弯が強くなる原因

●腸腰筋の短縮・タイトネス(トーマステスト)
●大腿四頭筋のタイトネス
●臀筋の筋出力低下
●腹筋群筋力低下
●腰背部の筋肉緊張

などが考えられます。

プレー中は骨盤前傾位が多いため、股関節前面が硬くなりやすいことが考えられます。

疼痛を引き起こしている原因がどこにあるのか姿勢を変えてひとつずつ評価していくことはとても大切です。

トーマステスト

腰椎前弯が強い場合、腸腰筋のタイトネスが考えられます。

トーマステストは評価にも・ストレッチにも使えます。

ストレッチで行う場合は、下肢をベッドから下ろして下肢の重みを利用したストレッチが良いでしょう。

骨盤後傾位・腰椎後弯させながらですので腰部への負担は少なく伸張できます。

画像5

ブリッジ

ブリッジは肩甲上腕関節から股関節までの可動性・柔軟性を一度に評価できます。

腰部にストレスがかからない状態では胸郭・股関節の伸展が見られ、綺麗な半円を描いたように見えます。

ジュニア世代に多く見られるのは、

腰椎前腕が強く、股関節伸展がない
胸郭の伸展がなく、足部の方に移動してしまう

これらのようなブリッジでは腰椎に過度なストレスが加わり、分離症などを起こしてしまう可能性があります。

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座位

立位と座位の違いは、

●支持基底面
●重心
●下肢(足部構造、膝・股関節の状態、骨盤位置)

が、異なります。

骨盤・体幹の評価を行うなら座位で行いましょう。

臥位では体幹はベッドに固定され安定しやすいので、骨盤・下肢の評価が行いやすいです。

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姿勢評価は、姿勢の特徴を考慮して行うようにすると評価の結びつきがみやすくなります。

そして姿勢の特徴が動作に現れてくるので動作分析の前に必ず姿勢評価を行いましょう。

動的評価

前屈・後屈

前後屈での評価ポイントは、

●重心移動
●骨盤の移動
●骨盤の前後傾
●股関節の動き

です。

重心移動
前屈時の重心:後方へ
後屈時の重心:前方へ

骨盤移動
前屈時:後方へ
後屈時:前方へ

骨盤の傾き
前屈時:後傾方向へ
後屈時:前傾方向へ

股関節の動き
前屈時:屈曲・内転・内旋
後屈時:伸展・外転・外転

色々な方向から観察することで動きの特徴が見えてきます。

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上記の動きがあることで腰部へのストレスは軽減します。

では、腰部へのストレスが増大するときはどのような場合でしょうか?

重心移動をさせないようにした状態で前後屈を行うと明らかな代償動作が見られます。

下のスライドの写真左は台から踵のみを出して前屈時に後方への重心移動を抑制し、写真右は台から足趾を出して後屈した状態です。

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通常の前後屈と比較すると重心移動量の違いがよくわかります。

通常の前後屈時では、骨盤・腰椎・胸椎での動きが見られますが、重心移動させないようにした状態では、骨盤・胸椎での動きが制限されるため腰椎での動きが大きくなり、それにより負担が増大します。

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側屈

側屈時のポイントは、

●骨盤のSWAYが大きすぎないか
●脊柱全体で側屈できているか
●過度な腰椎伸展が起きていないか
●脊柱の回旋(カップリング動作)

前額面での側屈は、

写真左は骨盤の左側への移動がなく、下部腰椎での側屈が見られます。
写真右は骨盤が右側へ移動し全体で側屈しています。

ここで大事なのは、

どちらの動作が良いか悪いかではなく、目的としている動作に対して動けているかです。

骨盤のSWAYが必要な時とそうでない時があるので、ポジションや打撃動作を把握し、選手の動的評価を行い選手に合った動作かどうかの評価を行いましょう。


例えば、

写真左の右側屈の動きでは、打撃のフォロースルーを行う際、骨盤のSWAYを出そうとすると腰部にストレスがかかり腰痛リスクが高まります。

この動作ではステップ脚で踏ん張りSWAYしないフォロースルーが身体にかかるストレスは少なくなります。

選手の動的評価に対して、プレー時の動作が合わなければ疼痛を引き起こしてしまいます。

選手がどのような動作をしたいのかを確認しましょう。

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回旋

体幹回旋時のポイント

●体幹と骨盤の捻れ
●肩甲帯
●骨盤の動き(前後傾・挙上下制・回旋)
●足部・足趾

もうひとつ回旋時のポイントはその捻れが良いのか悪いのかです。

回旋しすぎている場合もあります。

回旋時の評価は
骨盤に対して胸郭(肩甲帯)がどう動いているか

臨床で多いケースは、骨盤(腸骨)の高低差(脚長差)です。
高低差があることで、回旋量の左右差が見られます。

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重心移動が行いにくい場合は可動域を出すためにストレッチを行うのではなく、重心移動を行いやすくするエクササイズをしてみましょう。

重心位置評価

PUSHテスト

重心の位置を確認するテストです。

姿勢から視診で重心を評価するだけでなく、外力を加え、どのあたりに重心があるかを確認することで動作時の身体の特徴と一致しているかどうかを確認する評価です。

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野球選手の腰痛の病態と動作【トレーナーマニュアル21】

C-I baseballの病態・動作の発信を担当する小林弘幸です。

スポーツDrと一緒にエコーを用いて、選手の病態を理解し
障害の原因追及を大切にしています。

病態を理解することによって、医療機関と現場との橋渡し的な役割を果たすことができると思います。

基本的な部分ですが、なるべくわかりやすく発信していきたいと思います。

画像2

腰痛の概論

腰痛を有している人は、現代の全国民においても
男性の第一位、女性の第二位となっています。

したがって、腰痛はスポーツ選手におけるという認識ではなく、
一般的な病態であると考えられます。

しかし、スポーツ選手にとって腰痛の発生頻度は一般の方よりも
多い
とされています。

腰痛の一般的な病態を理解したうえで、
そのスポーツにおける競技特性と腰痛の病態とを結びつけることで
スポーツにおける腰痛が理解出来るかと思います。

野球選手のスポーツ障害では、
肩・肘障害がメインとなりますが
その次に腰部障害が多いという報告が数多くあります。

プロ野球選手のメディカルチェックでは、27%もの選手に腰椎分離症を確認しています。

※延谷壽夫 他:2地区中学生の野球障害に関する調査:整形外科と災害外科43: (4) 1554~1556, 1994.
※松本 學:腰部障害の保存療法.臨スポーツ医 11:1301-1309, 2006
など多数

また体育学部の学生を調査したものでは、バレーボールに次いで野球で腰痛が多いとの報告もされています。

画像3
※Hangai M, et al: Relationship between low back pain and competitive sports activities during youth. Am J Sports Med 38:791-796, 2010 
図は引用改変

スポーツ競技で腰痛の原因となりやすい動作は、
ジャンプやスローイング、回旋動作が多いものです。

理由としては、軸圧が加わる動作や、伸展・回旋動作が多い動作が腰痛の原因となりやすいと考えられます。

野球のダッシュや守備練習、バッティング・ピッチング動作が
腰痛に関与すると考えられます。

ただし、
腰痛の85%は非特異的腰痛といい、原因がはっきりしないものが
多いのも事実です。

腰痛の分類

この画像所見ではわからない非特異的腰痛に対して、
セラピスト・トレーナーがしっかりと機能的評価をして、
対応していくことが重要
かと考えられます。

腰部の解剖

腰椎周囲の解剖で重要な組織を列挙します
・腰椎椎体
・椎弓
・椎間板
・椎間関節
・靭帯(後縦靭帯)
・多裂筋
・脊柱起立筋

腰椎周囲の解剖

上記組織は、
屈曲でストレスがかかる部位、
伸展でストレスがかかる部位

に分かれます。

屈曲では、
・腰椎椎体(圧迫)
・椎間板(圧迫)
・後縦靭帯(伸張)

伸展では
・椎弓(圧迫)
・椎間関節(圧迫)
・多裂筋(収縮)
・脊柱起立筋(収縮)

にストレスが加わります。

腰椎屈伸時の圧力

※赤が圧迫ストレスが加わる部分

椎体の骨構造を理解すれば、
屈伸時にどのようなストレスが加わるかが明確になるかと思います。

また、各組織の感覚受容器の閾値が異なるため、
各組織間で、役割が異なります。

下記に閾値を示します。

・椎間関節     :  6.0g
・傍脊柱筋(深層) :  2.2g

・仙腸関節(後方部):69.5g
・後縦靭帯     :80.3g
・椎間板(前側方部):241g

※山下敏彦 編:スポーツと腰痛 メカニズム&マネジメント. 金原出版株式会社. 2011

上記の受容器機械的閾値の差を見ると、
椎間関節と脊柱筋は、その他組織と比して、
弱い侵害刺激にも反応するということが言えます。

腰椎周囲の閾値

※1~5は閾値の低値順

特にスポーツにおける腰痛は、
主として椎間関節やその周囲筋が関与しているということが多いと
考えられます。

椎間関節包内には、自由神経終末も観察できます。
そして椎間関節周囲には多数の受容器が分布されています。

椎間関節の受容器分布
※Yamashita T, et al: Somatosensory innervation of the lumbar spine and
adjacent tissues. A review of the electrophysiological studies. Trends Comprat Biochem Physiol 1:219-227, 1993 
図を引用改変

椎間関節周囲の症状は、
回旋動作の多い野球という競技特性を踏まえても
非常に重要なのではないかと考えられます。

腰部スポーツ障害のバイオメカニクス

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野球選手の足関節捻挫の復帰後のトレーニング・再発予防の身体作り【トレーナーマニュアル20】

C-I baseballの足関節捻挫から競技復帰後のトレーニング・再発予防の身体作りを担当します高橋塁です。

日々、野球を中心にスポーツの現場で、トレーニング、コンディショニング、技術指導を行っています。

私自身が、日々のスポーツ現場での経験をもとに、障害をいかに防ぎ、かつ再発せず、パフォーマンスアップできるかをお伝えし、医療機関とスポーツの現場との連携をいかにスムースにできるかをわかりやすく発信していきたいと思います。

高橋塁プロフ写真①

足関節捻挫の概論


スポーツ障害で最も多いのが足関節捻挫。足関節捻挫の中でも圧倒的に多い割合を占めるのが内返し捻挫であり、足関節にみられる全外傷のうち約75%を占めるといわれています。

青年期に多く発症し、足関節捻挫の約半数が10~20歳代前半に集中しています。
10代の捻挫での病態は下記の通りです。

・前距腓靭帯損傷(47%) ・前下脛腓靭帯損傷(14%) ・踵腓靭帯損傷(10%)・骨折(5%) ・その他(骨軟骨障害も含む:数%)

野球現場で起こる足関節捻挫は試合中や練習中のプレー場面だけでなくボールを踏んだやトレーニング中に発生することもあります。そのため、現場帯同トレーナーは受傷直後から試合復帰までサポートしていくことが必要です。

野球では、他のスポーツと異なり、金属の刃がついたスパイクが使用されます。非常に引っ掛かりが強いので、ケガの予防・パフォーマンス向上に向けて、刃の形状にも着目すべきと考えます。

スパイクについては、障害予防・パフォーマンス向上両方の側面からもしっかりと考える必要があります。

足関節捻挫は発生率や再発率の非常に高い疾患であり、そのまま放置しておくと慢性足関節不安定症(Chronic ankle instability: CAI)へと発展してしまいます。
CAIは、距骨下関節の安定性が重要であると報告されています。

足関節捻挫のついての復帰・強化トレーニング方法を理解する前に病態の解釈・筋機能を中心とした評価方法については知っておかなければなりません。

足関節の解剖

外反捻挫において、間違いなく理解しなくてはならないのが、足関節外側靭帯であり、

・前距腓靭帯(ATFL) ・後距腓靭帯(PTFL) ・踵腓靭帯(CFL)

 の3つに靭帯から構成されます。

捻挫①

前距腓靭帯:ATFL

ATFLは距腿関節の関節包の一部を担い、関節包靭帯と呼ばれることが知られています。
靭帯の走行からもわかるように、足関節底屈内反で最も伸張されるので、その肢位で受傷します。

捻挫②


厚さはおよそ2mm程度であるといわれ、外側靭帯でも脆弱であるといわれています。

ATFLのWrap around構造

【距骨】に沿ってATFLが囲むような走行

画像3

踵腓靭帯:CFL

CFLは機能的に距骨下関節の安定性に大きく寄与しています。靭帯の走行から、足関節背屈内反で最も伸張。

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野球選手の足関節捻挫の段階的復帰プログラム【トレーナーマニュアル19】

C-I Baseballの復帰プログラムを担当してます増田です。

今回は野球現場で生じる【足関節捻挫】の
段階的復帰プログラムについて紹介していきます。

足関節捻挫をした選手がどのような過程で復帰するのか?
復帰にするにはどんなトレーニングが必要なのか?
再発しないようには?
パフォーマンスを戻すには?

足関節捻挫は軽視せずに対応していくことが重要です。

捻挫の復帰プログラムとは

野球現場で起こる足関節捻挫は
試合中や練習中のプレー場面だけでなく
ボールを踏んだやトレーニング中に発生することもあります。
そのため、現場帯同トレーナーは受傷直後から試合復帰まで
サポートしていくことが必要です。

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足関節捻挫は、比較的受傷頻度が高く
重症化するケースが少ないため
選手・指導者は軽視することが多いです。

しかし、足関節捻挫は再受傷率が高いことや
パフォーマンスの低下を引き起こす可能性があります。
そのため、復帰までには注意しなくてはなりません。

復帰までの注意点

痛みが消失した=復帰可能ではありません。

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足関節捻挫は再発率が非常に高い障害であることです。
いわゆる”捻挫グセ”です。
足関節捻挫は医療機関への受診をしない場合や
1週間程度で復帰をしてしまうケースがあります。
そのようなケースでは足関節の機能低下が残存していることが
考えられます。

捻挫によって損傷した組織の修復には
少なくても6週間はかかります。

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※佐藤康:足関節捻挫に対するトレーニングより引用

組織の修復をせずに復帰すると
関節の構造的不安定性や機能的不安定性を引き起こし
結果的に慢性足関節不安定症につながります。

また、足関節は身体制御やスポーツ動作において
重要な関節であるため機能破綻は
パフォーマンスへ大きく影響します。

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足関節は股関節と共に、身体バランス制御に関わります。
重心制御機能の足関節戦略では小さい動揺に対し作用し立位バランス保持に関与します。
足関節戦略が機能低下を起こすと
野球動作時の片脚立位に不安定性が生じます。

片脚立位不安定性は投球障害の発生要因になることもあります。
肘内側側副靱帯損傷の選手は動的バランスの値が低値(garrison,2013)

前述したように、足関節捻挫発生後十分な経過を追わず
復帰した場合には、パフォーマンスの低下が生じます。

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足関節内反捻挫では、靭帯損傷による
・外側支持機構の破綻
・距骨の偏位
・回内足
などのアライメント不良をきたしやすく
なり
足関節の構造変化が起こします。

前距腓靭帯には、身体制御に関与する
固有受容器が多く存在します。
そのため、前距腓靭帯の損傷による
固有感覚の低下
が起こります。

捻挫による、外果周囲の腫脹や固定による不動期間
荷重不足などが原因

腓骨筋や前脛骨筋、後脛骨筋など足関節の
安定性に関わる筋の筋力低下が生じます。
特に、固有受容器の機能低下と共に、身体バランスに対する
反応速度が遅延する
と考えられえます。

上記した理由により
・足関節のアライメント変化
・固有感覚の低下
・筋の反応速度の遅延
により結果として
身体制御において重要な足関節戦略機能の低下が起こると考えられます。

足関節捻挫後のパフォーマンス低下

足関節捻挫後に野球動作に対して
どのような影響が出るのでしょか?

野球における足関節の機能は
・軸足の支持性
・踏み込み脚での衝撃吸収
・下肢からの運動連鎖
などが考えられます。

上記の機能が低下することで野球パフォーマンスは低下します。

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足関節捻挫の段階的復帰プログラムの進め方

ここからは、足関節捻挫からの復帰について解説していきます。

足関節捻挫の復帰段階は下記の図に示されている手順で進めて行きます。

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急性期〜回復期におけるメディカルリハビリテーションでは
疼痛・腫脹の消失や足関節の機能改善が重要な役割です。

回復期〜復帰までのアスレティックリハビリテーションでは
筋機能や動作の再構築、パフォーマンスの向上が役割になってきます。

段階的復帰プログラムのゴールは
競技復帰が最終目標となりますが
その前にいくつかのステップが必要です。
ステップを踏まずにリハビリテーションを進めてしまうと
関節の不安定性の残存や疼痛・腫脹の長期化を招き
結果として競技復帰までの期間が遅延してしまいます。

そのため下記の項目を靭帯の治癒過程に沿って
段階的にリハビリテーションを進めていきます。

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復帰プログラムの重要点

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足関節捻挫からの復帰では
・疼痛が消失している
・再発させない
・パフォーマンスを低下させない

上記の3つの状態で復帰させることが
野球現場では最も重要になってきます。
そのため、受傷初期から競技復帰までの全期間で
サポートしていく必要があります。

ここからは、受傷直後から競技復帰までの
具体的な対応を説明していきます。

現場での受傷直後の対応

野球現場帯同で経験する足関節捻挫は様々な場面で発生しますが、
特に重要なのが試合中の発生です。
試合中に受傷したケースではその後のプレーが可能であるのかの
判断が求められます。
素早く状態を把握し、プレーの判断をするためには
評価を理解しておくことが必要になってきます。

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野球選手の足関節捻挫に対するトレーニング【トレーナーマニュアル18】

C-I baseballのトレーニングを担当する佐藤康です。

今回の内容は
「足関節捻挫のメディカルリハビリテーションの流れ」
についてまとめています。

捻挫を発症した選手、足関節に不安定性を抱えた選手の
復帰に向けてどのような関わり方をしていくのか?

足関節捻挫として対応することの多い内反捻挫への対応について、ジョギング開始までの流れについてまとめていきます。

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メディカルリハビリテーションのすすめかた

足関節捻挫のリハビリテーションを対応する際に
まずどのような目標を設定し、どのような流れで進めていくのか
を簡単にまとめていきます。

目標設定

今回のテーマに挙げた捻挫ですが、
内反捻挫時には前距腓靭帯・踵腓靭帯が
多い受傷部位として挙げられています。

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リハビリテーションにおける競技復帰の目標においてはランニングができることが目標になります。

負荷強度も含めランニングの前提であるジョギングがメディカルリハビリテーションにおける目標としています。

不完全な治癒のケースでは再受傷するケースも少なくなく、治癒過程において再受傷を予防する足部・身体つくりが求められます。

段階的な対応手順

急性期→亜急性期→回復期→アスリハへの移行
と大きくわけて解説していきます。

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肉離れでの対応に同じく、炎症所見の改善が求められる急性期対応
アスリハの移行に向けて、可動域や筋機能を改善し、動作の獲得を図っていきます。

急性期対応では
患部の保護と腫脹の抑制といった炎症所見の改善が重要となります。

亜急性期では
残存する腫脹の除去対策と可動域・筋力の回復を図っていきます。

回復期では
段階的な荷重運動を通し、動作レベルの向上・獲得を目指しアスレティックリハビリテーションの移行へとつなげていきます。

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メディカルリハを進める上で整理しておくべきこと

メディカルリハビリテーションを進めるにあたって、
以下はおさえておくべき事項であると思います。

損傷した組織の治癒過程(靱帯・腱)
捻挫の重症度
スポーツ復帰までの期間
病態理解(病期に応じた対応)

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内反捻挫の理解を深める病態と評価

今回お伝えする内容は「トレーニング」ですが、
トレーニング方法を理解する前に
病態の解釈・筋機能を中心とした評価方法
については知っておかなければなりません。

病態

評価

トレーニング前におさえておくポイント

トレーニングを進める前に以下のポイントを注意しておきます。
特に重症度の理解は重要であるため、後述してまとめています。

受傷機転
|どのようなメカニズムで受傷したのか?
重症度
|捻挫がどの部位をどの程度損傷しているのか?
治癒過程
|どのような過程で損傷部位が修復されるのか?
初期対応
|炎症を最小限に抑えるための方法とは?
再受傷の危険因子
|負荷の設定方法や運動負荷による再受傷のリスクとは?

内反捻挫による靱帯損傷後、多くの場合保存療法が選択されます。

保存療法で損傷した靱帯を治癒させながら、足関節に構造的な不安定性が起こらないようにすることを目指していきます。

①受傷機転の理解

受傷機転については以下の記事で詳細に解説しているため、割愛します。

非接触型による受傷の多い内反捻挫であるポイントをおさえておきます。

②重症度

Kannusらの報告

GradeⅠ:靭帯の損傷がなくストレッチされた状態でわずかな腫れと圧痛
GradeⅡ:中等度の疼痛と靭帯の部分断裂。軽度から中等度の関節不安定性
GradeⅢ:靭帯の完全断裂。強い腫脹,出血,圧痛,機能低下, 関節不安定性

(引用:捻挫の病態と動作|小林弘幸 より)

一般的な復帰期間として以下の期間が挙げられています。

GradeⅠ:2~4週間
GradeⅡ:4~6週間
GradeⅢ:6週間以上or ope

そのため、復帰を考える上で、
重症度における損傷の程度も重要ですが、
損傷部位を特定して適切に対応することが重要となってきます。

③治癒過程

急性外傷における復帰時期について考えるときは組織の治癒過程を考慮していきます。

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つまり、受傷直後から身体の内面は治癒が始まっており、外力に対する靱帯の張力は3週程度から強くなってきます。

そのため、リハビリテーションを進める上でも、病態診断・病態に応じた治癒過程・期間を十分に把握しておく必要があります。

メディカルリハビリテーションの実際

つぎに、メディカルリハビリテーションの流れを解説していきます。

捻挫受傷後のリハビリテーションの主目的

足関節捻挫の治療では受傷パターンや重症度によって組織治癒に要する期間も異なってきます。

損傷組織や複数の損傷組織によっては復帰時期も異なるが、受傷から復帰までの治療プログラムに大きな変わりはありません。
(安静期間・各種トレーニング期間)

急性期では早期の消炎鎮痛とアライメント・ROM改善が治療のポイントとなります。炎症が軽減して荷重可能となる回復期では、急性期治療を継続しつつ積極的な筋機能回復を図ることで動作レベルの向上につなげていきます。

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運動復帰の基準

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野球選手の足関節捻挫に対する評価・アプローチ【トレーナーマニュアル17】

C-I Baseballの評価・アプローチの発信を担当する須藤慶士です。
臨床では評価を大切にしております。評価が確かなものでないと原因に対するアプローチをすることができません。

局所評価だけでなく全体の評価を行うことも大切です。
臨床での経験を元にした評価とアプローチを発信していきたいと思います。

捻挫の評価

捻挫は日常生活・スポーツ現場でも頻度が高い疾患です。

早期復帰・再発予防・パフォーマンスアップのために何が必要なのかを今回のnoteに記載しました。

捻挫は距骨下関節が重要です

距骨下関節の中間位評価が行えることで足部機能を安定させることが可能です。

後半に距骨下関節の中間位評価を載せてありますので参考にしてください。

捻挫に対する病態・動作と合わせて読んでいただき、次回以降のトレーニングを合わせることで、早期復帰・再発予防・パフォーマンスアップが可能になります!

圧痛

前距腓靭帯を触診し、圧刺激を加えた際に痛みが出現する際は靭帯の炎症や損傷が残存している可能性があります。

ストレステスト

足関節を他動的に内反方向に動かし、前距腓靭帯に伸張性のストレスを加えます。

この際に『痛み・不快感』を感じるようなら靭帯の炎症や損傷が残存しているためそれ以上は伸張を加えないほうがいいです。

『伸ばされている』感じなら痛みが出ないようにストレッチを加えて可動域を広げても問題ありません。

捻挫のアプローチ

状態に応じたリハビリ

捻挫直後から開始する場合は、

距腿関節は固定した状態で、足趾・下腿の皮膚誘導・マッサージや、足趾の運動(タオルギャザー・距腿関節固定の足趾で物掴みなど)・膝関節周囲の筋力強化を行いましょう。

足底には多くの感覚センサーが存在するので足底刺激も行うといいでしょう。

膝立ちで行うエクササイズは股関節・体幹に対し荷重下でできるため股関節外転筋力強化やバランス能力向上が期待できます。

*捻挫に対する病態・動作の『他部位への影響』◯膝、股関節の筋機能参照

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安静時・睡眠時のポジショニング

患部の固定方法は受傷度合いに応じて異なります。

受傷後はシーネ固定・バンド固定を行います。

医療機関で巻き方など指導されるとは思いますが、チームトレーナーの立場でしたら、日常生活できちんと固定・誘導できているかの確認をすることが大事です。

下腿の重みで足部に対して下方(床方向)に落ちるストレスがかかり、距腿関節で足部が前方に引き出されるような形になります。

寝るときは下腿と踵骨の下にタオルを入れて重みを取り除き前距腓靭帯へのストレスを軽減しましょう。

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ROMex

底屈方向へのROMexは注意が必要です。

2〜3週間で靭帯が修復しても底屈時に前距腓靭帯に痛みがあれば、それ以上は可動域を広げてはいけません。

伸張痛(伸ばされている・ストレッチされているような感じ)なら内反方向(底屈・内転・回外)へのROMexは行なっていきましょう。

背屈・底屈のROMexする際は、距腿関節の構造・関節軸を意識して動かすことが重要です。

ホールド・リラックスなどを利用して背屈への抵抗運動を行い、前脛骨筋・長趾伸筋・長母趾伸筋などの筋肉を緩めてから底屈方向へのROMexを行うのもいいです。

背屈位でのホールド・リラックス⇨底屈へのROMex

底屈位でのホールド・リラックス⇨背屈へのROMex

筋力強化

筋力強化で重要なのは、

●捻挫中に他部位を強化すること

●医師との連携をとり靭帯の修復をきちんと確認すること

●前距腓靭帯にストレスをかけないこと

●腓骨筋の働きが重要

*捻挫に対する病態・動作の『他部位への影響』◯膝、股関節の筋機能参照

です。

底屈からの背屈運動で距腿関節の軸・構造を把握しながら行うことが重要です。

固定中は距腿関節を背屈していたために足趾が使いにくい状態になっていることが予測できます。

距腿関節・距骨下関節の肢位を変化させながらのタオルギャザーや、足趾での物掴みを行うのも大事です。

荷重位(CKC)での強化は

●固定しているバンドを外して行うのか、使用したまま行うのかは医師に確認しましょう。

●外して行う際はその選手の距骨下関節の肢位が重要です。

●距骨下関節の中間位の肢位は左右によって異なります。

●その中間位の肢位で行うことで荷重位でのトレーニングの効果を高めることができます。

距骨下関節 評価

●体格・体型・形状は個々により異なります。
●一人の体でも左右差があります。
●距骨下関節も同様に構造・動きの左右差はあります。

足部は地面に接している唯一の部位です。

距骨下関節は足部構造の中でも複雑で、重要な関節です。

距骨下関節は約30°の可動域があり、

中間位から回外は20°(全体の3分の2)
中間位から回内は10°(全体の3分の1)

と言われております。

ですから距骨下関節の中間位を評価し把握することは足部疾患をリハビリ・トレーニングしていくためにとても重要です。

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距骨下関節 指標中間位 評価

外果上下にあるラインが直線になる位置を作り、その際の踵骨底面の向きで評価します。

この肢位を距骨下関節の指標中間位と言います。

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指標中間位を軸にして回内・回外と距骨下関節は動きます。

評価は非荷重位(OKC)で行います。

なぜかと言うと、

CKCの場合、荷重がかかることにより、距骨下関節だけでなく横足根関節や足趾の機能が含まれるので、純粋な距骨下関節の肢位がわかりにくいから

です。

立位で距骨下関節を後側から見た際に、回外位や回内位になっていますがその距骨下関節の肢位が、指標中間位の可能性が考えられます。

ですから、OKCで距骨下関節評価を行う必要があるのです。

理想の距骨下関節肢位は、OKCでの指標中間位のままの肢位で立位がとれることです。

指標中間位のまま立位保持ができれば、立位動作で距骨下関節の回内・回外の動きがスムーズに行えるようになります。

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距骨下関節機能が発揮できることで立位バランスや、足関節周囲の筋肉が収縮しやすくなります。

逆を言えば、機能していない状態でトレーニングしても効果が得られにくいです。

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野球選手の足関節捻挫の病態と動作【トレーナーマニュアル16】

C-I baseballの病態・動作の発信を担当する小林弘幸です。

スポーツDrと一緒にエコーを用いて、選手の病態を理解し
障害の原因追及を大切にしています。

病態を理解することによって、医療機関と現場との橋渡し的な役割を果たすことができると思います。

基本的な部分ですが、なるべくわかりやすく発信していきたいと思います。

捻挫の概論

足関節捻挫は、スポーツ選手であれば重軽症に関わらなければ、
誰もが経験したことがあるのではないでしょうか?

足関節捻挫の中でも圧倒的に多い割合を占めるのが内返し捻挫であり、
足関節にみられる全外傷のうち約75%を占めるといわれています。

※Garrick, J. G. : The frequency of injury, mechanism of injury, and epidemiology of ankle sprains. Arn J Sports Med. 5(6) : 241-242, 1977

青年期に多く発症し、足関節捻挫の約半数が10~20歳代前半に集中しています。
ジャンプや切り返しが多いスポーツであるバスケットやサッカーにおいて
発症率が多いとされています。

・捻挫の約半数が10~20歳代前半に集中している

※Waterman BR Owens BD, Davey S, et al. The epidemiology of ankle sprains in the United States. J Bone Joint Surg Am 2010 : 92 : 2279-84

・ジャンプや切り返し動作中に発症することが多く、バスケットボール中に起こる全外傷中の約45%、サッカーの約31%を占める

※Ekstrand J, Tropp H. The incidence of ankle sprains in soccer. Foot Ankle 1990 ; 11 : 414.

野球においては、スライディングや、バットやボールを踏んでしまうこと、ベースの端を踏んでしまい受傷することが考えられます。
スライディング時の受傷は、骨折を伴うことが多いとされています。

※浅井忍ほか:野球のスライディングによる足関節果部骨折. 東日本スポーツ医学研究会会誌 3: 200-203, 1981

野球では、他のスポーツと異なり、金属の刃がついたスパイクが使用されます。非常に引っ掛かりが強いので、ケガの予防・パフォーマンス向上に向けて、刃の形状にも着目すべきと考えます。

人工芝と天然芝とで、スパイクの引っ掛かりも違うので、
リスクファクターとなり得ます。

捻挫は発生率や再発率の非常に高い疾患であり、そのまま放置しておくと
慢性足関節不安定症(Chronic ankle instability: CAI)へと発展してしまい、
慢性的な疼痛、パフォーマンス低下を引き起こすことが考えられます。

CAIは、距骨下関節の安定性が重要であると報告されています。

しっかりと病態把握をしていき、
再発予防や、症状改善に努めていくことがトレーナーとしての役割かと考えます。

足関節の解剖

外反捻挫において、間違いなく理解しなくてはならないのが、
足関節外側靭帯であり、

・前距腓靭帯(ATFL)
・後距腓靭帯(PTFL)
・踵腓靭帯(CFL)

の3つに靭帯から構成されます。

※熊井司ほか:足関節捻挫の病態. MB Orlhop. 18 (11) : 1-9, 2005
図を引用改変

後に、足関節捻挫の分類ということで述べますが、
ATFLとCFLの正確な評価ができるか否かで分類のGradeが変化してきます。

正確な解剖をこちらで理解しましょう。

〇前距腓靭帯:ATFL

ATFLは距腿関節の関節包の一部を担い、関節包靭帯と呼ばれることが知られています。

付着部は、腓骨前結節遠位から距骨外側突起遠位となります。

靭帯の走行からもわかるように、足関節底屈内反で最も伸張されるので、
その肢位で受傷します。

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