C-I Baseballの増田稜輔です。
7月半ばも過ぎ、大会中のチーム、新体制となり次の大会を目指しているチームなど様々あると思いますが、どちらにもどのチームにも共通しているのが【試合期】であることです。
「試合期のコンディショニング・パフォーマンス」は
試合
結果につながる重要な時期であり
トレーナーへ求められることは多いです。今回は「試合期のトレーニング−」を野手にフォーカスして解説していきます。
「試合期のトレーニング−投手編−」はこちらから
今回はイメージしやすいように
仮想チームを設定して話を進めていきます。
高校野球部で部員数60名
夏の大会に敗退し新チームとなって7月20日より始動します。
監督さんより
「9月の大会に向けてパフォーマンスアップ・コンディショニングメニューを作成してくだいさい」と頼まれました。
みなさんならどうようなメニューを作成しますか?
■悩むポイント
・パフォーマンスを上げるためのトレーニングってなにかな?
・トレーニングの種類は知っているけどれをやればいいかな?
・ウエイトトレーニングと有酸素運動って同じ日にやっていいの?
・何セットやれば効果がでるのか?休憩ってどのくらい必要かな?
みなさんトレーナーとして同じような悩みを抱えたことはないでしょうか?
トレーニングメニューを作成するときに
ただトレーニング方法を列挙するだけはNGです!!
選手には具体的なメニューを伝えましょう!
今回はみなさんが悩む「トレーニングプログラム」の作成方法について
解説していきます!
試合期とは
具体的な話に入る前にまずは「試合期」について整理しておきましょう。
野球は1シーズンは4つに分類できます。
・準備期
・移行期
・試合期
・第2移行期(回復期)
4つの時期の中で最も試合が多い時期を
「試合期」といいます。
カテゴリーによって多少前後がありますが
おおよそ3月中旬から10月までの時期を指します。
・中学生野球の年間スケジュール
※佐藤康:中学野球のピーキングを考えるより引用
・高校野球の年間スケジュール
※高橋塁:高校野球のピーキングを考えるより引用
・大学野球の年間スケジュール
では、今回、例として考える高校野球の試合期はどのように捉えればよいでしょうか?
|高校野球の試合期の位置づけ
高校野球では練習試合が解禁となり春季大会が開催される
3月中旬から秋季大会が終了する10月下旬までの間を「試合期」とします。
|試合期の週間スケジュール
高校野球では平日は授業+練習、土日に練習試合を行います。
試合期のほとんどの時期を上記のスケジュールで進めていきます。
|試合期に行うトレーニング・コンディショニングの意義
試合期では”結果”を求めることが多く
技術練習や試合に割く時間が多くなります。
このような時期に行うトレーニングやコンディショニングに
どんな意義があるのでしょうか。
今回のケースが考える大きな目的は
「秋季大会に向けてパフォーマンス・コンディショニングをアップする」
そのためにトレーナーが試合期で求められること
・パフォーマンスの維持
・障害予防
・パフォーマンスの維持
パフォーマンスにアップのためのトレーニングは
試合期だけでなく通年で取り組んでいきます。
試合期ではオフシーズンに強化してものを維持して必要があります。
練習や試合の割合が多くなったことでトレーニング量が過度に
現象するとパフォーマンスレベルが低下する可能性があります。
選手の疲労度を考慮しつつ適度なトレーニングをプログラムしていきます。
・障害予防
練習、試合が多くなる時期であるため選手の”疲労度”をかなり高くなります。試合期ではオーバーユースによる障害が多く発生します。
野手においては
・腰痛
・手関節尺側部痛
・投球障害
・筋性障害
などが発生しやすいです。
疼痛がない状態で試合期を過ごすためにはコンディショニングも重要な要素のひとつになります。
ここまでの話をまとまると
「高校野球の試合期に求められること」は
秋季大会に向けて
・パフォーマンスを維持しつつ障害を予防すること
ーーーーーーーーーーーーー
ここからは
目的を達成するための具体的な内容に進んでいきます。
チームの目的を達成するために
トレーナーはトレーニング・コンディショニングプログラムを作成します。
ここでみなさんがよく悩むポイントが登場します。
実際にどんなトレーニング・コンディショニングプログラムを
デザインしていくのか悩むポイントを踏まえて一緒に考えていきましょう!
試合期のプログラムデザイン①
ートレーニング・コンディショニングに必要な要素を知るー
まずみなさんが悩むのが
パフォーマンスアップや障害予防ってどんなメニューを選択すればよいか?
こんな疑問ではないでしょうか?
これを解決するのに必要なのが
・パフォーマンスの構成要素の理解
・障害発生因子
上記の2つです。
2つの要素を理解することで必要なトレーニングやコンディショニングが
明確になってきます。
|パフォーマンスの構成要素
野手のパフォーマンス要素は
バッティング、走塁、守備の3つです。
この3つのパフォーマンスは
筋力、パワー、スピード、アジリティ、可動性の5つの要素から構成されます。
野手は投手と比較して
同じ動作を反復するよりも
瞬間的に力を発揮するシーンが多いです。
すなわち、
5つの要素が瞬発的に発揮できることが
パフォーマンスアップに繋がります。
トレーニングプログラムを作成する時は
・バッティング、走塁、守備に必要な
5つの要素を向上、または維持するような
メニューを構成していきます。
|障害発生因子
試合期では、練習や試合が多くなります。
技術的な練習時間が長くなるため
トレーニングやコンディショニングに使う時間は減ってきます。
したがって、疲労が蓄積し
筋性疲労や可動性の制限を引き起こし
・腰痛、・投球障害、・筋性トラブルが発生しやすくなります。
障害を予防するためには
筋の疲労を蓄積させず可動性を獲得しておくことが必要です!
筋性の疲労メカニズムやパフォーマンスとの
関係は前回のnote「連戦に備えたコンディショニング-野手編-」で解説してますので
こちらを参考にしてください。
試合期のプログラムデザイン②
ー優先順位をつけるー
プログラムを作成する前に優先順位を決めます。
ゴールとなる秋季大会に向けて
維持、向上させるパフォーマンス要素はなにか?
予防すべき障害と必要なコンディショニングはなにか?
チームのスタイルや状況、選手のコンディション、発生頻度の高い障害から
優先順位が高いものをピックアップしていきます。
|パフォーマンス要素の優先順位
優先順位を決める上で重要なのが
”競技特性”を理解することです。
野手の競技特性を考えるとほとんどが
パワー・スピードに関連するものになります。
バッティング:瞬発的な回旋能力
走塁:スプリント アジリティ
守備:アジリティ スローイング
野手では投手のように同一リズムで反復した動きではなく
瞬発的な動きを繰り返すことが多いです。
そのため
瞬発的な動きを生み出す”筋力”の維持向上が必須になります。
経験上、試合期の選手は
下肢や上背部筋の筋の出力が低下するケースが多く
スイングが鈍い、足が動きにくく打球に追いつかないなど
瞬発的なパフォーマンス低下に繋がります。
試合期に優先順位が低い項目としては
長時間、長距離の走り込みなどの”有酸素性持久力”です。
有酸素性持久力トレーニングの目的としては
最大酸素摂取能力の向上であり、30分以上継続して運動することが有効であるとされています。
しかし、野手においては30分以上継続して運動する機会は皆無なので
有酸素性持久力を高めるのであれば5−10分程度の高強度トレーニングを選択します。
|障害予防の優先順位
試合期に発生する障害のほとんどが
疲労が原因になってきます。
特に
・スイング量の増加による腰部や手関節周囲の障害
・投球回数の増加による肩関節・肘関節障害
が多く発生します。
どの障害も
疲労による筋コンディショニングが低下し
可動域が減少することでフォームエラーが生じます。
特定の関節や部位に過剰負荷が加わります。
障害を予防しコンディションを高めるには
可動性の確保が必須になります。
障害予防における優先順位が高い項目
・胸郭 脊柱の回旋可動性
・股関節の可動性
・肩 肩甲骨周囲の可動性
プログラムにデザインするトレーナーとしては
上記に上げた項目を優先順位に沿ってプログラムしていくことが求められます。
試合期のプログラムデザイン③
ートレーニング・コンディショニングエクササイズを選択するー
ここからは実際にトレーニング・コンディショニングに必要なエクササイズについて考えていきます。
ここでの悩むポイントは
・どんなエクササイズを選択するのか
・エクササイズの組み合わせ方法
ではないでしょうか。
エクササイズの選択は
・目的
・競技特性
・優先順位
・使用できる環境
などをもとに選択していきます。
|ウエイトトレーニング
パワー、スピード、アジリティの要素の中に必ず必要となるのが筋力です。
筋力を維持・向上するためにはウエイトトレーニングを行います。
優先順位の結果や試合期で低下する部位を考えると
下肢筋と背部筋を中心的にトレーニングしていく必要があります。
トレーニングの種類は①中心的エクササイズと②補助的エクササイズに分類できます。
①中心的エクササイズ
大筋群で2つ以上の関節運動を必要とするトレーニング
②補助的エクササイズ
小さな筋群(上肢筋等)で単関節運動
①中心的エクササイズの選択
試合期の中心的エクササイズは
「下肢・背部筋」を中心に選択していきます。
基本的には野球動作パターンに沿って必要な筋群を中心に構成します。
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