フィジカルチェック【トレーナーマニュアル33】

C-I Baseballの高橋塁です。

フィジカルチェックとは

フィジカルチェックとは、選手一人ひとりの各関節の可動域・柔軟性や全身の各部位の筋力を計測・評価し、それをもとに改善エクササイズを処方し、ケガの予防・パフォーマンスの向上を目指すための方法論となるものです。

フィジカルコンディション(可動域・柔軟性・筋力)の悪化はパフォーマンスの低下やケガのリスク上昇要因となるため、定期的なフィジカルチェックは欠かせないものとも言えます。

その一方で、フィジカルチェックの計測・評価には理学療法士やアスレティックトレーナー等の専門家が行うことが多く、知識のないスタッフが見よう見真似で行うとしても、測定値の精度が下がり、時間もかかるため、気軽に行うことがなかなかできません。

そこで、ここでは、簡易的に誰でも行えるフィジカルチェックの項目をお伝えしていきたいと思います。

フィジカルチェックを行う時期

フィジカルチェックは障害予防の観点もありますが、選手の現時点のパフォーマンスの現状を図る上でも非常に重要なものとなります。

まずは、下の図のように、野球のシーズンで言えば、シーズンオフに入る12月以降が最適でると考えます。

また、シーズンイン前の2月末や3月初旬、そして、夏の大会が終わって新チームが始まる時もチェックする時期の候補となります。

メディカルチェックやフィジカルチェックにあまり時間を避けないチームであれば、項目を絞り、シーズン中に行うこともオススメします。

これらのチェックより、普段の技術練習やトレーニングの効果を見ることもでき、選手のモチベーションや我々、トレーナーの振り返りの重要な要素ともなりますので、年間通して、1回のみではなく、数回、測定することがベストと考えます。

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フィジカルテストで確認を行う項目は

①可動性
②持久力 
③スピード 
④アジリティ(敏捷性)
⑤パワー(筋力・瞬発力)

上記が大まかなものとなります。

可動性

フィジカルチェックを開始する前に、各種目のタイムや記録だけを計測するだけでは、充分ではありません。

新年1作目の「メディカルチェック」でも取り上げた項目とも常にリンクする必要性があります。

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関わっているチーム内の部員数やメディカルチェック、フィジカルチェックに避ける時間にもよりますが、最低限、可動域を含めた可動性、連動性のチェックは行いましょう。

メディカルチェックのみ、フィジカルチェックのみでは不十分ですので、時間と環境面が許す限り、双方行いましょう。

メディカルチェックの詳細は下記、noteをご参考ください。

持久力

日常的に我々が使用する持久力とは「粘り強さ」を意味することが多いですが、スポーツを行う上で、持久力を疲労に抵抗する有機体の能力と考えられています。英語にするとエンデュランス(Endurance)とも呼ばれている。

単純な話にすると、できる限り長時間一定の負荷(例えば疾走速度)を維持できる能力になります。

持久力測定は下記で説明していますが、特に野球においては投手のパフォーマンスに大きな要素となるのは、おわかりになられるでしょう。

YO-YOテスト(持久力)

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メディカルチェック【トレーナーマニュアル32】

C-I Baseballの佐藤康です。

メディカルチェックとは

まずはじめに、メディカルチェックについてお話ししていきます。

メディカルチェックとは和訳すると、医学的な確認事項となるように、ケガの危険性をチェックするために行うものです。

そのため、ランニングなどのスプリント能力や瞬発系・持久系・パワー系などの体力的な要素を評価するフィジカルテストに比べて、
<障害に関わる動作や機能の評価>になります。

野球選手が起こしやすい障害と考えると、投球障害や腰痛など様々ですが、ケガの理由に共通した要因として可動性が挙げられます。

また、ストレステストや異常運動につながる動作がないかのファンクショナルテストを用いてチェックしていくことで、障害の危険性を判定していきます。

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メディカルチェックの目的

前項でもお伝えしましたが、
メディカルチェックでは障害の危険性を評価していきます。

テスト項目に対して問題がなければ、プレー・練習参加続行
問題があれば、治療の必要性に応じて練習の参加を検討しなければならないケースもあります。

例えば、下図のようにメディカルチェックにてエラーのあった項目があった場合、投球障害の危険性が考えられます。

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「危険性」という表現を伝えるためにはデータの活用が必須となります。10人の選手に行い得た情報よりも1000人の選手に対して得られた情報の方が確からしいデータとなります。

そのため、統計的にも再現性が高く、検査者間でエラーが少なく、多くの選手より得られた情報・結果がメディカルチェックの比較データとして求められます。

現場での実践のタイミング

メディカルチェックは選手のケガを守るため、常に行っておきたいチェックではあります。
しかし、シーズンに入ると、痛みがない選手においては、なかなか詳細に確認する機会はありません。

そのため、メディカルチェックの位置づけはチーム全体の体の状態、選手の今後のケガの予測・危険性を把握すために重要なものとなります。

試合期の後・前であるオフシーズンにチェックしておきたいチェックとなります。

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メディカルチェックの解釈

テスト結果に問題があった場合、障害の危険性を考えます。

患部に問題があるのか
患部に関わる患部外の機能に問題があるのか

に応じて、運動負荷量を検討していく必要があります。

メディカルチェックの方法

ここからは、実際のメディカルチェックの方法についてまとめていきます。

疼痛
ストレステスト
可動性テスト
筋力テスト
スタビリティテスト
ファンクショナルテスト

に分けてご紹介していきます。

疼痛チェック

どこが痛むのか
どのときに痛むのか
いつから痛みがあるのか
どのようにして痛めたのか?

疼痛部位
投球動作時痛|痛みの場面(phase)
痛みの詳細

の聴取をしていきます。

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方法|主に圧痛にて確認

解釈|押した圧が強く痛みがあったかと見極めるため、左右差を確認したり、他評価との結果と照らし合わせて解釈していきます。

例)
圧痛:右内側上顆
ストレス:外反ストレス+
可動性:肘関節伸展可動域制限
となった場合、内側型野球肘の危険性があると捉えます。

そのため、圧痛だけでケガの危険性があるかどうかは判定できず、総合的に判断していきます。

ストレステスト

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トレーナーマニュアルadvance【トレーナーマニュアル31】

この度はC-I Baseballのnoteを読んで頂きありがとうございます。おかげさまでこれまで数多くの方に購読頂きましてスタッフ一同感謝しております。 2020年6月より配信してきた【トレーナーマニュアル Basic版 … 続きを読む

育成年代の下肢障害からの復帰後のトレーニング・再発予防の身体作り【トレーナーマニュアル30】

C-I baseballの下肢障害から競技復帰後のトレーニング・再発予防の身体作りを担当します高橋塁です。

日々、野球を中心にスポーツの現場で、トレーニング、コンディショニング、技術指導を行っています。

私自身が、日々のスポーツ現場での経験をもとに、障害をいかに防ぎ、かつ再発せず、パフォーマンスアップできるかをお伝えし、医療機関とスポーツの現場との連携をいかにスムースにできるかをわかりやすく発信していきたいと思います。

高橋塁プロフ写真①

はじめに

下肢障害に対するnoteのダイジェスト!こちらのnoteをご参照にしながらご一読ください。

小林さんのTwitterはこちら↓↓↓
https://twitter.com/heroheroyuki?s=20

須藤さんのTwitterはこちら↓↓↓
https://twitter.com/keijisudo?s=11

佐藤さんのTwitterはこちら↓↓↓
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増田さんのTwitterはこちら↓↓↓
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成長期障害の概論

日本の野球においては、さらに野球人口減少の一途をたどっているとされています。

野球人口が減少しているのに対して、学童野球の大会自体は増えてきています。

結果として、優秀な選手に対する負担が増えていき、成長期の障害へとつながることが考えられます。

つまり、大人が子供を守らなくてはなりません。

未来の野球界を背負う野球少年少女に健康健全な野球生活を送ってもらえるように、読者の我々がしっかり学んでいきましょう。

2020年度より、全日本軟式連盟では、投球制限という形で、子供たちの怪我予防を行っています。

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一方、米国では、ピッチスマートというものを用いて、障害予防に努めています。(硬式球の場合)

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(※MLB公式HPより抜粋)

日本の野球連盟は、多数に派生されているため、障害予防に関しては足並み揃えて行えることが今後の課題になるかと思います。

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※一般社団法人全日本野球協会のHPより抜粋
https://www.baseballjapan.org/jpn/bfj/organization_japanbaseball.html

我々、現場に出るトレーナーは、このような一律した投球数の制限を守るのみでなく、個々の機能・能力の変化をいち早く察知して、障害予防を行えることが最重要かと考えています。


そして、上記の項目に関しては、主に肩肘障害に関してのことです。


下肢障害に関しては、大きな声明が出ていないので、個々人のトレーナーが判断しなくてはならないことが多くあります。

成長期のスポーツ障害


成長期の野球での障害については、肩肘障害が多いです。


しかし、下肢についても、ある一定の障害が見受けられます。

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そこで着目すべき下肢障害は、上記のグラフで示されている通り、

・踵(シーバー病) ・足(シンスプリント) ・膝(オスグッド)

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成長期の下肢障害は早期に対応し段階的に介入することで競技復帰が可能となる障害です。

成長期とは

まず、成長期の障害を解説していくには”成長期”について知っておく必要があります。

人の成長過程では、2回急激な身体変化が起こります。


小児期の特徴は、5つの時期に分かれます。

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そのうちの2回目の急激な変化を二次性徴期と言います。

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二次性徴期


成長期とは主に二次性徴期を指すことが多いです。


この時期は身長が1年で10cmも伸びるなど急激な身体変化が起こります。
この成長期の時期に骨格・筋が急激に発達します。

一般的に成長期とは  男子:13歳頃   女子:11歳頃


と言われていますが、ご承知の通り発達には個人差がかなりあり、個々の発達状況を把握する必要があります。

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筋・骨格系が発達してくるのは 男子:13歳ごろ  女子:11歳ごろ


これはあくまでも平均でご承知の通り発達には個人差があります!

なぜ、成長期に障害が起こるのか?

成長期に障害が生じやすのは、もちろん身体発達による骨格・筋の変化が大きな要因のひとつではありますがそれだけではないと考えます。


成長期に障害が生じる原因

①身体発達  ②環境や運動習慣の変化  ③姿勢・体力・運動能力


上記の3つの要素が関係していると考えています。

①身体発達


前述のように成長期は骨格・筋が著しく発達します。

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成長過程にある骨は、骨端線、骨端核が存在し、骨は非常に脆弱な状態です。

骨よりも付着している靭帯の張力が強いため骨には牽引ストレスが加わりやすいため、成長期には骨の障害が発生しやすいと言えます。

この時期に筋への過度な負荷や不良フォームでの運動を繰り返すことにより障害を発生してしまいます。

②環境や運動習慣の変化

一般的に成長期と言われる13歳頃に野球少年に何が起こるかというと学童野球から中学野球への移行する時期です。

多くの少年野球チームは土日が中心の活動になります。

しかし、中学生からは部活動であれば平日+土日の練習。


硬式クラブチームに加入する選手でも平日に練習があったり、ない場合でも他部活に入るなどして小学生時よりも運動量が増えてしまいます。


このような運動習慣の変化により筋や骨への過負荷を引き起こすひとつの要因となります。


だからと言って運動を制限するのではなく成長に応じて指導者やトレーナーが負荷量をコントロールする必要があります。

③姿勢・体力・運動能力


近年、姿勢不良や運動能力に劣る選手が多くなっている印象です。

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実際にデータを見ても握力、立ち幅跳び、ボール投げの項目で数値の低下が見られています。

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スポーツによって障害が発生するのではなく日々の習慣や運動の頻度なども成長期下肢障害には強く関係していると思います。


成長期の身体的特徴を考えて、後遺症が残ってしまうような傷害を負うことになると、可能性を0%にしてしまうことがあり得ます。


やはり、大人が子供を守っていく必要があると考えます。

成長期下肢障害を引き起こすパターン

成長期下肢障害を発症する選手の運動能力には共通する部分があります。

基礎運動能力

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下肢障害の段階的復帰プログラム【トレーナーマニュアル29】

C-I baseballの復帰プログラム‐担当する増田です。

今回の内容は
「成長期下肢障害の復帰プログラム」
についてまとめています。

成長期障害から復帰に向けてどのような関わり方をしていくのか?
どのようにトレーニングしていくのか?
アスレティックリハビリテーションまでの流れについてまとめていきます。

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野球における成長期下肢障害

成長期における野球障害では
野球肘を代表とする肩・肘関節の投球障害が最も多いですが
次いで多いのが下肢の障害です。


”肩・肘”のように投球障害が注目されがちですが
投球よりも多くの機会で使用するのが下肢です。

しかし、下肢の障害は「成長痛」だからと
放置されてしまうことが多いです。


疼痛が出現しても一時期安静にしてまた競技を再開するケースがあり
結果的に疼痛を繰り返すことや症状が重度になってしまうケースがあります。

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成長期の下肢障害は早期に対応し
段階的に介入することで競技復帰が可能となる障害です。

投球障害同様に下肢障害についても
段階的なトレーニングを行い復帰をサポートしていきましょう。

段階的な復帰プログラムの解説をする前に
成長期下肢障害についてもう一度復習しましょう。

野球における代表的な成長期下肢障害

下肢障害で多く経験するものが下肢障害が下記の3つです。

①オスグッド・シュラッター病
②シンスプリント
③シーバー病

詳しい病態については
「下肢障害に対する病態・動作」を参照ください。

ここからはなぜ成長期という時期に
障害が起こりやすいのか
身体的な面と環境面を踏まえて
解説していきます。

成長期ってなに?

まず、成長期の障害を解説していくには
“成長期”について知っておく必要があります。


そもそも成長期って具体的にいつなのか?
人の成長過程では、2回急激な身体変化が起こります。
そのうちの2回目の急激な変化を二次性徴期と言います。

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二次性徴期
成長期とは主に二次性徴期を指すことが多いです。
この時期は身長が1年で10cmも伸びるなど
急激な身体変化が起こります。
この成長期の時期に骨格・筋が急激に発達します

一般的に成長期とは
男子13歳頃
女子11歳頃
と言われていますが、
ご承知の通り発達には個人差がかなりあり、
個々の発達状況を把握する必要があります。

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筋・骨格系が発達してくるのは
男子13歳ごろ
女子11歳ごろ
これはあくまでも平均で
ご承知の通り発達には個人差があります

なんで成長期に障害が起こるのか?

成長期に障害が生じやすのは、もちろん身体発達による
骨格・筋の変化が大きな要因のひとつではありますが
それだけではないと私は考えています。

成長期に障害が生じる原因
①身体発達
②環境や運動習慣の変化
③姿勢・体力・運動能力
上記の3つの要素が関係していると考えています。

①身体発達

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前述してるように成長期は
骨格・筋が著しく発達します。
成長過程にある骨は、骨端線、骨端核が存在し骨は非常に脆弱な状態です。

骨よりも付着している靭帯の張力が強いため
骨には牽引ストレスが加わりやすいため
成長期には骨の障害が発生しやすいと言えます。
また、骨量の増加のピークは身長増加のタイミングよりも
遅れるため一時的な骨密度の低下が生じます。


この時期に筋への過度な負荷や
不良フォームでの運動を繰り返すことにより
障害を発生してしまいます。

不良動作や評価については
「成長期下肢障害の評価・アプローチ」
を参考にしてください。

②環境や運動習慣の変化

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一般的に成長期と言われる13歳頃に
野球少年に何が起こるかというと
少年野球から中学野球への移行する時期です。

多くの少年野球チームは土日が中心の
活動になります。
しかし、中学生からは
部活動であれば平日+土日の練習
硬式クラブチームに加入する選手でも
平日に練習があったり
ない場合でも他部活に入るなどして
小学生時よりも運動量が増えてしまいます。

このような運動習慣の変化により
筋や骨への過負荷を引き起こすひとつの
要因となります。

だからと言って運動を制限するのではなく
成長に応じて指導者やトレーナーが
負荷量をコントロールする必要があります。

②姿勢・体力・運動能力

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近年、子どもの運動能力の低下が叫ばれています。
私自身、クリニックや野球現場で
成長期の選手を診る機会がありますが
私たちの時代と比較して姿勢不良や
運動能力に劣る選手が多くなっている印象です。

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スマホやゲーム時間が増えたことによる
不良姿勢の習慣化や
運動機会の減少による
基礎体力不足、運動能力の不足が起きていると考えます。

実際にデータを見ても
握力、立ち幅跳び、ボール投げの項目で
数値の低下が見られています。

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※スポーツ庁:平成30年度体力・運動能力調査結果の概要及び報告書について
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/toukei/chousa04/tairyoku/kekka/k_detail/1421920.htm

グラフから解るように
上肢の総合的な筋発揮や
上下肢の連動した動きなどの能力が
低下しています。

実際に下肢障害を発症した選手を診ると
不良姿勢や運動能力の低下がある
選手がほとんどです。

スポーツによって障害が発生するのではなく
日々の習慣や運動の頻度なども
成長期下肢障害には強く関係していると
思います。

成長期下肢障害を引き起こすパターン

オスグッド シンスプリント シーバー病の
3つの成長期下肢障害では
それぞれ発症する部位は違いますが
発症する選手の運動能力には共通する部分があります。

基礎運動能力

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①姿勢不良
②しゃがみ込み
③パワーポジション
④片脚立位

前述した4つの基礎運動能力が低下している選手が
過剰な練習や過負荷なトレーニングを行うことにより
成長期の障害を引き起こす可能があります。

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成長期の下肢障害を防ぐには
・身体機能面と・練習環境や内容の両面を改善していく必要があります。

野球動作中止基準

成長期下肢障害では症状の感じ方は選手によって様々です。
そのため、選手の主観だけでなく
身体状況や動きを評価して判断していく必要があります。

野球現場での選手対応として、疼痛が一時的なものか
持続的に痛む可能性があるのか判断が重要です。
疼痛を発生させているのが、筋肉?骨?靭帯?なのかを
評価し対応していきます。

筋肉の場合であれば、疲労による一時的なものの可能性もあるので
症状の強さに応じて対応します。

野球動作中止のポイント

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・圧痛が強く逃避動作がある
・CKCでの疼痛による運動異常
・パフォーマンスの低下
・日常的な痛み(野球動作以外でも疼痛出現)

成長期の障害は、早期に対応することが大切です。
症状が長期化すると疲労骨折を併発したり
骨が変形した状態で治癒してしまうケースがあります。
持続的に疼痛が生じている選手には医療期間への受診を促し
早期に画像診断を行い状態を把握するようにしましょう。

アスレティックリハビリテーション

アスレティックリハビリテーション目標設定

他の障害同様にメディカルリハビリテーションにて
疼痛や機能が改善した選手の復帰までの”身体機能強化”を行っていきます。

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野球動作で求められる動き耐えうる筋機能を構築していきます。
・全力疾走
・切り返し
・ジャンプ
・踏み込み時の衝撃吸収

成人と成長期でのトレーニングの違い

成人のアスレティックリハビリテーション

競技特異性を考慮し動作負荷に耐えうる身体を構築していきます。
野球のおいては最大筋力の向上やスピードを上げた瞬発的なトレーニングを行って行きます。
そのため、自体重の1.5〜2倍の重量負荷を加えながらトレーニングすることで筋の強化を図っていきます。

成長期のアスレティックリハビリテーション

成長期では前述しているように、
骨・関節軟骨に負荷が加わりやすく、負荷に対しての耐久性も低いです。
この時期にパワーアップも目的としたウエイトトレーニングを行ってしまうと障害を誘発する恐れがあります。
しかし、全力疾走やジャンプ場面では、成人同様に高い筋発揮が必要になり
自体重よりも負荷量は上がります。
そのため、成長期であっても筋負荷を加える必要があります。

筋の発達時期から考えても成長期に筋負荷をかけていくことは必要であります。
筋が最も発達する時期は、身長最大発育年齢(男子11〜12歳ごろ)と同時期であるとされています。
この時期に適切な負荷を加えることがその後の運動能力にも影響していくと
考えられます。

※大澤清二:最適な体力トレーニングの開始年齢文部科学省新体力テストデータの解析から:発育発達研究 第 69 号 2015;69:25-35 

では、成長期ではどのようにして障害を予防しながら
筋負荷を高めていけば良いのでしょうか?

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育成年代の下肢障害に対するトレーニング【トレーナーマニュアル28】

C-I baseballのトレーニング‐メディカルリハビリテーション-を担当する佐藤康です。

今回の内容は
「下肢障害のメディカルリハビリテーションの流れ」
についてまとめています。

育成年代選手の復帰に向けてどのような関わり方をしていくのか?

野球選手(育成年代)の下肢障害の対応について、アスレティックリハビリテーションまでの流れについてまとめていきます。

メディカルリハビリテーションの位置づけ

はじめに、メディカルリハビリテーションにおいて何を目指していくのかについてお伝えしていきます。

目標設定

競技特性に応じたトレーニングをし、競技復帰を目指すアスレティックリハビリテーションに対して、私がお伝えするメディカルリハビリテーションでは「ランニング復帰」を目標に進めていきます。

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ランニング復帰を進めるにあたり、各障害の病態・特性を踏まえて進めていかなければなりません。

ランニング復帰をするための条件として、
ランニング動作を細分化し、以下を挙げています。

|ランニング復帰基準
①ROM・MMT 著明な左右差なし
②Single squat(三平面での安定)
③Single Calf raise
④Single hop/前方・側方(著明な代償運動- 痛み-)

メディカルリハビリテーションではこれらの要因をもとに、不足した機能の改善を図っていきます。

段階的な対応手順

ランニング復帰に向けた段階的な対応手順について図式化していきます。
重症度により、炎症期の期間などに差はありますので、復帰期間は重症度に応じた対応をしていきます。

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流れとして、運動復帰の第1段階となる「ジョギング」に求められる動きを細分化していきます。
主に障害の要因となる接地期・支持期の動きを基本動作に分けて評価し、それぞれを改善していきます。(例:片脚スクワット・フロントランジなど)

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基本動作にエラーが認められる場合や症状を増悪させる要因について掘り下げ、動作に求められる関節機能・筋機能の改善をすることで動作の改善を目指していきます。

受傷機転から考える改善のポイント

各病態ごとに主に改善すべき要因についておさらいしていきます。

オスグッド
シンスプリント
シーバー病

各病態の詳細についてはこちらのnoteをご参照ください。

臨床や現場でこのような悩みに陥りやすいのではないでしょうか?

大腿四頭筋の柔軟性が上がったのに改善しない「オスグッド」
過回内着地動作が改善しにくい「シンスプリント」
歩きは大丈夫だけど走ると痛い「シーバー病」

①オスグッド

オスグッドをはじめとした膝前面痛の増悪因子として、
膝関節伸展モーメントの増大した動作が主に挙げられます。

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オスグッドにおける病態をもとに改善すべき要因は、膝伸展モーメントを増大させないことが必要になります。

大腿四頭筋の柔軟性を上げても、大腿四頭筋の過活動することを改善できなければ、痛みの改善に難渋してしまいます。

|下半身中心の前方化
→大腿四頭筋の過活動
→骨盤後傾(ハムストリングスの柔軟性低下)

動作では、しゃがみ動作やランジ動作などにより膝を屈曲していく運動に際し、膝が過剰に前方に倒れていく動きを抑制していく必要があります。

着地時に重心の後方化を生じる原因を評価していきます。

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②シンスプリント

シンスプリントはジャンプなどにおける着地動作にて、足部が過回内接地の繰り返し動作によって、足関節底屈筋群の伸張性収縮によるストレスなどの負荷によって痛みを引き起こします。

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そのため、着地運動における足部の接地・アライメントを注視していく必要があり、シンスプリントを改善させるためには回内足を引き起こす原因も考えなければいけません。

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育成年代の下肢障害に対する評価とアプローチ【トレーナーマニュアル27】

下肢障害に対する病態・動作

小林弘幸さんの記事を参照してください。
病態に対する細かいことが記載されております!

下肢障害評価

はじめに

シンスプリント、オスグッド・シュラッター病、シーバー病は成長期に多い下肢疾患です。臨床で感じるのは、リトルリーガーズショルダーや野球肘と比較すると圧倒的に放置されやすいことです。

野球は投げることを重要視されがちですが、投げる・打つ・守る・走るためには下肢が重要です。投手が投球数をカウントするならば、成長期の捕手のボールを受けた数もカウントするべきです。

なぜならば、捕球するということはその数だけしゃがみ込みの動作と立ち上がる動作を行なっているからです。

しゃがみ込みを行う際の膝関節にかかる力は体重の約6・7倍とも言われています。1試合に捕手が受ける数が約80球だとすると、その分だけスクワットを行なっていることになります。

ですから、野球現場では指導者の方々、保護者には下肢疾患の重要性を理解してもらうようにすべきだと考えます。

姿勢

オスグッド・シンスプリントになりやすい選手は、

●アライメント不良
●立位での重心位置の偏り
●屈筋・伸筋の筋力低下、偏り
●股関節周囲筋のタイトネス

などが考えられます。

立位アライメント不良姿勢の特徴は

●腹筋が使えない
●骨盤後傾しやすい  
●殿部・ハムストリングスが使えない
●前脛骨筋・大腿四頭筋・殿筋群の過剰な収縮
●足趾が使えない

などが考えられます。

さらに上記の姿勢になるということは、トレーニングやプレー中のパワーポジションで骨盤後傾位になりやすいので、普段からの姿勢改善やトレーニング中の姿勢調整が必要です。

臨床での評価ですが、他の障害や疾患でも同じことが言えるのですが、

その疼痛はなぜ起きたのか?
原因は何か?

『なぜ?・なんで?』をたくさん考えていくことが臨床では大切です。

過去のトレーナーズマニュアルにトレーニング内容が満載ですのでそちらもご参照ください。

シンスプリント

動的評価

疼痛部位(前方型・内側型)
フォワードランジ
ジャンプ
歩行評価
足部評価

フォワードランジ

前足部で支えられない、足趾で踏ん張りにくい場合は下腿の前傾が大きくなりシンスプリントになりやすいです。
これは歩行時も同じように下腿の傾きが大きく見られます。

フォワードランジでToe-in、Toe-outで足部の回内・回外を変化させることで疼痛の有無を確認することができます。

足部の向きはそのままで、Knee-in、Knee-outでは下腿を動かすことでも疼痛の有無を確認することができます。

フォワードランジ動画

Toe-in Toe-out

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育成年代の下肢障害の病態・動作【トレーナーマニュアル26】

C-I baseballの病態・動作の発信を担当する小林弘幸です。

スポーツDrと一緒にエコーを用いて、選手の病態を理解し
障害の原因追及を大切にしています。

病態を理解することによって、医療機関と現場との橋渡し的な役割を果たすことができると思います。

基本的な部分ですが、なるべくわかりやすく発信していきたいと思います。

図3

成長期障害の概論

日本では、子供の人口減少に加えて、スポーツ離れが深刻な問題となっています。

野球においては、さらに野球人口減少の一途をたどっているとされています。

野球人口が減少しているのに対して、
少年野球の大会自体は増えてきています。

結果として、
優秀な選手に対する負担が増えていき、
成長期の障害へとつながることが考えられます。

つまり、大人が子供を守らなくてはなりません。

2020年度より、全日本軟式連盟では、
投球制限
という形で、子供たちの怪我予防を行っています。

図1-2

一方、米国では、ピッチスマートというものを用いて、
障害予防に努めています。(硬式球の場合)

図4

※MLB公式HPより抜粋
https://www.mlb.com/pitch-smart/pitching-guidelines

日本の野球連盟は、多数に派生されているため、
障害予防に関しては足並み揃えて行えることが
今後の課題になるかと思います。

図5

※一般社団法人全日本野球協会のHPより抜粋
https://www.baseballjapan.org/jpn/bfj/organization_japanbaseball.html

我々、現場に出るトレーナーは、
このような一律した投球数の制限を守るのみでなく、
個々の機能・能力の変化をいち早く察知して、
障害予防を行えること
が最重要かと考えています。

そして、上記の項目に関しては、主に肩肘障害に関してのことです。

下肢障害に関しては、大きな声明が出ていないので、
個々人のトレーナーが判断しなくてはならないことが多くあります。

未来の野球界を背負う野球少年少女に
健康健全な野球生活を送ってもらえるように
しっかり学んでいきましょう。

成長期小児の身体特性

小児期の特徴は、スライドに示すように、5つの時期に分かれます。

図2

野球少年少女は主に小学生からであり、その時期は
学童期で、精神発達・知能・情緒など多方面の発育を認める時期であります。

この時期に、健やかにスポーツができるということは、
成長面においても素晴らしいことであると考えられます

思春期は、二次性徴が進み身体発達のスピードが早まる時期です。

この時期の成長は個人差が多く、男女差も大きくなります。

図1

※(財)日本学校保健会:男児パーセンタイル身長体重成長曲線.
https://www.jpnsport.go.jp/anzen/Portals/0/anzen/kenko/siryou/kankou/himan/seito/pdf/himan01.pdf
(財)日本学校保健会:女児パーセンタイル身長体重成長曲線.
https://www.jpnsport.go.jp/anzen/Portals/0/anzen/kenko/siryou/kankou/himan/seito/pdf/himan01.pdf

成長途上にある小児は成人とは異なり、
解剖学的特徴により関節内あるいは筋・腱付着部での骨・軟骨障害が
発生しやすい
とされています。

図1-1

上記の特徴から、
子供:骨・軟骨障害(特に付着部)
大人:靭帯
が損傷されやすいとされています。

その他、成長期の特徴としては、
・骨が柔らかく未熟
・関節軟骨が脆弱
・骨と筋肉の成長速度が違う(骨>筋)
・靭帯が骨より強い
・骨端線、骨端核が存在する

上記のことから、成長期の子供は大人のミニチュアではないということが言えます。

これらの特徴から、
診断や対応が遅れることで様々な後遺症の残し、
スポーツを続けることも難しくなります。

その結果、子供に心身ともに深刻な影響を与えることがあります。

もちろん、ケガを通じてその後の人生をどうしていくかを考えていくということは、
子供たちにとっても非常に有益な経験となります。

しかし、すべてポジティブに捉えられるわけではなく、
成長期の身体的特徴を考えて、
後遺症が残ってしまうような傷害を負うことになると、
可能性を0%にしてしまうことがあり得ます。

取り返しのつかないことになっていくのです。

やはり、大人が子供を守っていく必要があると考えます。

成長期のスポーツ障害(野球)

やはり、成長期の野球での障害については、
肩肘障害が多いです。

特に、肘障害が成長期では多いことが示されています。

しかし、下肢についても、ある一定の障害が見受けられます。

図6

※松浦哲也:児童・生徒のスポーツ傷害の実態とその背景.学校における運動器検診ハンドブック.「運動器の10年」日本委員会監修,武藤芳照ほか編.南江堂.東京,25-29.2007
より引用改変

そこで着目すべき下肢障害は、上記のグラフで示されている通り、
・踵(シーバー病)
・足(シンスプリント)
・膝(オスグッド)

であります。

今回は、これらの病態を解説していきます。

成長期スポーツ障害の要因

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野球選手の腰痛の復帰後のトレーニング・再発予防の身体作り【トレーナーマニュアル25】

C-I baseballの腰痛から競技復帰後のトレーニング・再発予防の身体作りを担当します高橋塁です。

日々、野球を中心にスポーツの現場で、トレーニング、コンディショニング、技術指導を行っています。

私自身が、日々のスポーツ現場での経験をもとに、障害をいかに防ぎ、かつ再発せず、パフォーマンスアップできるかをお伝えし、医療機関とスポーツの現場との連携をいかにスムースにできるかをわかりやすく発信していきたいと思います。

高橋塁プロフ写真①

はじめに

腰痛に対する記事のダイジェスト!こちらのnoteをご参照にしながらご一読ください。

https://c-ibaseball.com/low-back-pain-return-program/

腰痛の概論


スポーツ選手にとって腰痛の発生頻度は一般の方よりも多いとされています。
腰痛の一般的な病態を理解したうえで、そのスポーツにおける競技特性と腰痛の病態とを結びつけることでスポーツにおける腰痛が理解出来るかと思います。

野球選手のスポーツ障害では、肩・肘障害がメインとなりますがその次に腰部障害が多いという報告が数多くあります。
プロ野球選手のメディカルチェックでは、27%もの選手に腰椎分離症を確認しています。
また体育学部の学生を調査したものでは、バレーボールに次いで野球で腰痛が多いとの報告もされています。

こ1

軸圧が加わる動作や、伸展・回旋動作が多い動作が腰痛の原因となりやすいと考えられます。
野球のダッシュや守備練習、バッティング・ピッチング動作が腰痛に関与すると考えられます。

野球のポジション別の発生頻度

こ1

基本的には、投手に関して、肩肘障害が多くなり、外野手では腰痛が多いとされています。

こ3

練習では、内野手より外野手は圧倒的にダッシュの距離が長いということが考えられます。
外野手は、背走時に腰椎伸展での回旋動作が加わります。
また左右の打球を追う際にも腰椎(体幹)の回旋を伴いながらダッシュをするのが多くなります。そういった特徴から、外野手では腰痛が多いのではないでしょうか。

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野球選手の腰痛の段階的復帰プログラム【トレーナーマニュアル24】

C-I Baseballの復帰プログラムを担当してます増田です。

今回は野球現場で生じる【腰痛】の
段階的復帰プログラムについて紹介していきます。

画像22

野球現場での「腰痛」の復帰プログラムとは?

野球選手の障害では肩・肘に代表させる投球障害に次いで
”腰部障害”いわゆる「腰痛」の発生率が高いです。
特にシーズンの序盤や終盤で「腰痛」の発生件数が多い印象です。

野球現場では疼痛発生直後から試合復帰までを
トータルでサポートしていきます。

スライド1

「腰痛」からの復帰に必要な要素
可動性の向上
腰部の安定化
野球動作の再構築
動作耐久性・スピードの構築

スライド2

以上の項目を病態や機能を考慮して段階的に復帰へ向けて
リハビリテーションを進めていきます。

ここからは疼痛発生から試合復帰までの
野球現場での対応を解説していきます。

野球現場で関わる腰痛

選手からの「腰痛」の訴えは様々なものがあります。

・投げると痛い 打つと痛い
・走った後に痛くなる
・捕球体勢が痛い
・ウエイトトレーニングすると痛い

野球現場で経験する「腰痛」には大きく分けて
特異的腰痛と非特異的腰痛の2種類に分類されます。


特異的腰痛
診断や画像診断にて構造上の問題が特定できるもの。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎分離症など

非特異的腰痛
構造上の問題はなく画像診断で確認できないもの。
椎間板性
椎間関節性
仙腸関節性
筋・筋膜性など

野球現場では主に”非特異的腰痛”の発生頻度が高いです。

スライド3

中学生〜高校生など成長期の現場では
特異的腰痛の一種である腰椎分離症の発生への
対応も必要です。

スライド4

腰椎分離症は早期に発見することができれば
骨癒合の確率は高いとされています。
そのため選手が訴える「腰痛」が
腰椎分離症なのか他の症状なのかを鑑別することが
野球現場では求められます。

野球現場で起こる「腰痛」のパターン

①トレーニング

スクワットで生じる腰痛発生例 屈曲型
スライド5

屈曲型の腰痛パターン
骨盤前傾・股関節屈曲不足による
”腰椎後弯増大・骨盤後傾”
椎間板内圧の上昇や脊柱起立筋の遠心性収縮を引き起こし
・椎間板性腰痛
・筋筋膜性腰痛
を発症させます。

スクワットで生じる腰痛発生例 伸展型
スライド6

伸展型の腰痛パターン
胸椎伸展不足や下半身重心の後方化による
”腰椎過伸展”
椎間関節に圧縮負荷を発生させ
脊柱起立筋の過活動を引き起こし
・椎間関節性腰痛
・筋筋膜性腰痛
を発症させます。

ランニング
スライド7

股関節伸展不足や床反力による衝撃
”腰椎過伸展・骨盤の前方位・仙骨前傾位”は
椎間関節や仙腸関節への圧縮負荷を引き起こし
・椎間関節性腰痛
・仙腸関節性腰痛
を発症させます。

②野球動作

野球で生じるほとんどの腰痛が野球動作中に起こるものです。
可動性の低下や筋機能低下を起因としたフォーム不良が
問題となってきます。

投球
画像20
バッティング
画像21

野球動作と腰痛の関係については
小林弘幸:「腰痛に対する病態と動作」で詳しく解説しています。https://note.com/heroheroyuki/n/nc0ca22e8d599

野球現場における腰痛の対応

野球現場で発生する「腰痛」への対応では
腰椎分離症or他の症状の鑑別が必要になります。

腰椎分離症が疑われる場合は早期の医療機関への受診
画像診断が必要となります。

スライド8

野球現場での腰痛への評価

野球現場では「腰痛」に対して評価を行い
・早期の医療機関への受診が必要なのか
・プレー継続が可能なのか
の判断が求められます。

スライド9

そのため下記に示す項目が重要になります。
①疼痛発生時期
②可動性や筋機能の確認
③パフォーマンスレベルの低下があるかどうか

①疼痛発生時期

スライド11

急性腰痛

特にウエイトトレーニングなどで発生するのが
強い疼痛を伴う急性的な腰痛、いわゆる”ぎっくり腰”です。

これは、高重量トレーニング中に発生することがあります。
椎間板の損傷、筋筋膜への過負荷、仙腸関節へのストレスなどが
原因で起こります。

急性腰痛発症後、体動困難な場合や過度な可動域制限が生じた場合は
3日ほどの安静期間後に機能評価を行います。

慢性腰痛

受傷動作が明確でなく、以前からの疼痛があるものや
疼痛による体動制限がない場合は
即座に疼痛、機能評価をしメカニカルストレスを把握し対応します。

②可動性・機能評価

スライド12

腰部へのメカニカルストレスは隣接する関節からの影響を受けます。
特に胸椎・股関節との関連が強いため
各部位の可動性と機能の評価は重要です。

評価については
須藤慶士:「腰痛に対する評価・アプローチ」で解説しています。https://note.com/0004ks/n/nf1918b584e6b

③パフォーマンスレベルの確認

スライド13

各野球動作レベルを確認します。
疼痛によりパフォーマンスレベルが著しく低下している
フォームエラーがメカニカルストレスの原因
悪化する可能性がある
などの問題があれば野球動作の中止や特定の動作に制限をかけます。
※チームの状況や選手の立場などを考慮して判断しますが
医学的に考えて悪化の恐れがある場合には中止の判断をします。

「腰痛」による野球動作中止基準

スライド14

「腰痛」の明確な中止基準は設けていません。
非特異的腰痛が85%の割合であるように
器質的な損傷がない場合がほとんであるので
選手の症状や立場などによって変化させています。
しかし、腰椎分離症や椎間板ヘルニアにより下肢症状などにおいては
医療機関での判断も含め野球動作を中止または制限します。

その他、疼痛の長期化や増悪傾向である場合や
パフォーマンスの低下、可動域改善・体幹筋の促通でも疼痛に変化が
ない場合においても中止または制限をかけます。

スライド16

「腰痛」により一時的な野球動作の中止・制限が
あった選手の多くが
他関節の可動性低下・体幹筋の機能低下に起因する
”フォームエラー”によって腰部へのメカニカルストレスを発生しています。
そのため、機能改善・動作改善が必要であり
段階的にトレーニングすることで
野球動作への復帰復帰を目指します。

腰痛の段階的復帰プログラム

メディカルリハビリテーション

メディカルリハビリテーションプログラム

※佐藤康:腰痛に対するトレーニングより引用
メディカルリハビリテーションでは”ランニング開始”を目標に
可動性・腰部安定化機能の獲得・胸郭-腰部-股関節の連動性(協調性)
などのファンクショナルな要素を中心に介入していきます。

アスレティックリハビリテーション

スライド17


アスレティックリハビリテーションでは”試合復帰・再発予防”を目標に
野球動作に対応する筋力・耐久性・スピード
などのフィジカルな要素を中心に介入していきます。

今回は可動性・体幹筋機能・胸郭-腰部-股関節の連動性(協調性)
が改善された後の試合復帰までの
野球における「腰痛」に対するフィジカルな要素を中心とした
内容を解説していきます。

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