C-I Baseballの復帰プログラムを担当してます増田です。
今回は野球現場で生じる【腰痛】の
段階的復帰プログラムについて紹介していきます。
野球現場での「腰痛」の復帰プログラムとは?
野球選手の障害では肩・肘に代表させる投球障害に次いで
”腰部障害”いわゆる「腰痛」の発生率が高いです。
特にシーズンの序盤や終盤で「腰痛」の発生件数が多い印象です。
野球現場では疼痛発生直後から試合復帰までを
トータルでサポートしていきます。
「腰痛」からの復帰に必要な要素
可動性の向上
腰部の安定化
野球動作の再構築
動作耐久性・スピードの構築
以上の項目を病態や機能を考慮して段階的に復帰へ向けて
リハビリテーションを進めていきます。
ここからは疼痛発生から試合復帰までの
野球現場での対応を解説していきます。
野球現場で関わる腰痛
選手からの「腰痛」の訴えは様々なものがあります。
・投げると痛い 打つと痛い
・走った後に痛くなる
・捕球体勢が痛い
・ウエイトトレーニングすると痛い
野球現場で経験する「腰痛」には大きく分けて
特異的腰痛と非特異的腰痛の2種類に分類されます。
特異的腰痛
診断や画像診断にて構造上の問題が特定できるもの。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎分離症など
非特異的腰痛
構造上の問題はなく画像診断で確認できないもの。
椎間板性
椎間関節性
仙腸関節性
筋・筋膜性など
野球現場では主に”非特異的腰痛”の発生頻度が高いです。
中学生〜高校生など成長期の現場では
特異的腰痛の一種である腰椎分離症の発生への
対応も必要です。
腰椎分離症は早期に発見することができれば
骨癒合の確率は高いとされています。
そのため選手が訴える「腰痛」が
腰椎分離症なのか他の症状なのかを鑑別することが
野球現場では求められます。
野球現場で起こる「腰痛」のパターン
①トレーニング
スクワットで生じる腰痛発生例 屈曲型
屈曲型の腰痛パターン
骨盤前傾・股関節屈曲不足による
”腰椎後弯増大・骨盤後傾”
椎間板内圧の上昇や脊柱起立筋の遠心性収縮を引き起こし
・椎間板性腰痛
・筋筋膜性腰痛
を発症させます。
スクワットで生じる腰痛発生例 伸展型
伸展型の腰痛パターン
胸椎伸展不足や下半身重心の後方化による
”腰椎過伸展”
椎間関節に圧縮負荷を発生させ
脊柱起立筋の過活動を引き起こし
・椎間関節性腰痛
・筋筋膜性腰痛
を発症させます。
ランニング
股関節伸展不足や床反力による衝撃
”腰椎過伸展・骨盤の前方位・仙骨前傾位”は
椎間関節や仙腸関節への圧縮負荷を引き起こし
・椎間関節性腰痛
・仙腸関節性腰痛
を発症させます。
②野球動作
野球で生じるほとんどの腰痛が野球動作中に起こるものです。
可動性の低下や筋機能低下を起因としたフォーム不良が
問題となってきます。
投球
バッティング
野球動作と腰痛の関係については
小林弘幸:「腰痛に対する病態と動作」で詳しく解説しています。https://note.com/heroheroyuki/n/nc0ca22e8d599
野球現場における腰痛の対応
野球現場で発生する「腰痛」への対応では
腰椎分離症or他の症状の鑑別が必要になります。
腰椎分離症が疑われる場合は早期の医療機関への受診
画像診断が必要となります。
野球現場での腰痛への評価
野球現場では「腰痛」に対して評価を行い
・早期の医療機関への受診が必要なのか
・プレー継続が可能なのか
の判断が求められます。
そのため下記に示す項目が重要になります。
①疼痛発生時期
②可動性や筋機能の確認
③パフォーマンスレベルの低下があるかどうか
①疼痛発生時期
急性腰痛
特にウエイトトレーニングなどで発生するのが
強い疼痛を伴う急性的な腰痛、いわゆる”ぎっくり腰”です。
これは、高重量トレーニング中に発生することがあります。
椎間板の損傷、筋筋膜への過負荷、仙腸関節へのストレスなどが
原因で起こります。
急性腰痛発症後、体動困難な場合や過度な可動域制限が生じた場合は
3日ほどの安静期間後に機能評価を行います。
慢性腰痛
受傷動作が明確でなく、以前からの疼痛があるものや
疼痛による体動制限がない場合は
即座に疼痛、機能評価をしメカニカルストレスを把握し対応します。
②可動性・機能評価
腰部へのメカニカルストレスは隣接する関節からの影響を受けます。
特に胸椎・股関節との関連が強いため
各部位の可動性と機能の評価は重要です。
評価については
須藤慶士:「腰痛に対する評価・アプローチ」で解説しています。https://note.com/0004ks/n/nf1918b584e6b
③パフォーマンスレベルの確認
各野球動作レベルを確認します。
疼痛によりパフォーマンスレベルが著しく低下している
フォームエラーがメカニカルストレスの原因
悪化する可能性がある
などの問題があれば野球動作の中止や特定の動作に制限をかけます。
※チームの状況や選手の立場などを考慮して判断しますが
医学的に考えて悪化の恐れがある場合には中止の判断をします。
「腰痛」による野球動作中止基準
「腰痛」の明確な中止基準は設けていません。
非特異的腰痛が85%の割合であるように
器質的な損傷がない場合がほとんであるので
選手の症状や立場などによって変化させています。
しかし、腰椎分離症や椎間板ヘルニアにより下肢症状などにおいては
医療機関での判断も含め野球動作を中止または制限します。
その他、疼痛の長期化や増悪傾向である場合や
パフォーマンスの低下、可動域改善・体幹筋の促通でも疼痛に変化が
ない場合においても中止または制限をかけます。
「腰痛」により一時的な野球動作の中止・制限が
あった選手の多くが
他関節の可動性低下・体幹筋の機能低下に起因する
”フォームエラー”によって腰部へのメカニカルストレスを発生しています。そのため、機能改善・動作改善が必要であり
段階的にトレーニングすることで
野球動作への復帰復帰を目指します。
腰痛の段階的復帰プログラム
メディカルリハビリテーション
※佐藤康:腰痛に対するトレーニングより引用
メディカルリハビリテーションでは”ランニング開始”を目標に
可動性・腰部安定化機能の獲得・胸郭-腰部-股関節の連動性(協調性)
などのファンクショナルな要素を中心に介入していきます。
アスレティックリハビリテーション
アスレティックリハビリテーションでは”試合復帰・再発予防”を目標に
野球動作に対応する筋力・耐久性・スピード
などのフィジカルな要素を中心に介入していきます。
今回は可動性・体幹筋機能・胸郭-腰部-股関節の連動性(協調性)
が改善された後の試合復帰までの
野球における「腰痛」に対するフィジカルな要素を中心とした
内容を解説していきます。
ここから先は有料部分です
この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。