<経歴>
2021-東北保健医療専門学校卒業
2021-にしざわ整形外科クリニック(神奈川県)
2024-芦屋整形外科クリニック(兵庫県)
私は小学校から高校まで野球を経験し、肘を痛め一時的に野球ができずに苦しい思いを味わい理学療法士の方にお世話になりました。今度は自分が野球やスポーツで怪我をして苦しい思いをする方の力になれればと今も励んでいる次第であります。
今後ともよろしくお願いいたします。
⬇️本題
胸郭出口症候群は、その症状自体が問題にもなりますし、肩痛の根本の原因はTOS様症状による圧迫だったと言うこともあります。それは前回神経根症でお伝えしたクラッシュシンドロームの機序がそれに当たることが多いと思います。
と言うことで、前回は頸部の神経根症についてお話ししました。
私からは頸部シリーズということで、今回は胸郭出口症候群(TOS)のお話をしていきたいと思います。

01「TOS概要」


thoracic outlet、すなわち「胸郭出口」とは解剖学的用語ではなく造語で、①第一肋骨とそれに付着する前斜角筋、中斜角筋で形成される斜角筋部、②鎖骨と第一肋骨の間の肋鎖間隙、③烏口突起に付着する小胸筋下間隙を指す。
ここで問題が起こることで症状が出るもののことを総称して胸郭出口症候群と呼んでいます。1)p8

症状による分類は、動脈性TOS(arterial TOS:aTOS)、静脈性TOS(venous TOS:vTOS)、神経性TOS(neurogenic TOS:nTOS)と分類されます。
さらに神経性TOSは、圧迫型と牽引型に分類できます。1)p8

それらの原因部位の比率の報告があります。腕神経叢造影検査にて、神経血管束の圧迫、あるいは牽引を認めた部分は、斜角筋部30%、肋鎖間隙75%、小胸筋下間隙6%と報告されています。
さらに、Dynamic CT angiographyを用いた報告では、TOS患者の血管狭窄部位は、斜角筋部37%、肋鎖間隙63%、小胸筋下間隙3%ととされている。
どちらも肋鎖間隙で最も多く、ついで斜角筋部での絞扼が多くなっています。1)p11

胸郭出口とは、鎖骨と第一肋骨の間を通る鎖骨上窩から腋窩までの部位と定義されている。
この部位で先ほど挙げた3つの間隙があり、ここで鎖骨下動脈、静脈、腕神経叢という神経血管束が圧迫を受けます。1)p15

その症状は多岐にわたります。
1979年のRoosの報告によると、患者の年齢層は多岐に渡り、10歳代から高齢者まで。
頸部から肩、上肢(手指まで)への異常感覚や断続的な鋭い痛みが発生すると説明されています。
さらに、頭痛、立ちくらみ、めまいなどの自律神経症状を訴えることも稀ではないです。
この症状については、慶應病院が有症率の報告をしています。
肩関節や肘関節など単関節の痛みでもTOSによる症状の可能性もある。
主訴が肩や肘関節のみの痛みで来院することもあるため、頸部から肩甲帯、上肢の症状を有する場合は常にTOSを念頭において問診します。
スポーツ選手では、挙上位での動作を繰り返す野球選手で罹患率が高いことが報告されています。
競技中あるいは競技後の上肢の痺れや脱力感、握力低下などの訴えがあればTOSを疑います。
投球動作中に、ボールリリース時のすっぽ抜けやcocking phase~acceleration phaseでの痺れ、肩、肘関節の疼痛を訴える場合があります。
ADLでは、上肢挙上位での日常生活動作の困難さを聴取することでおおよその予測がつきます。
具体的な項目はスライドの通りです。この辺りを問診で聴取すると判断の参考になります。p30

「斜角筋部」
前斜角筋、中斜角筋、第一肋骨から構成される三角錐状の間隙。
起始→停止
・前斜角筋
C3〜6横突起前結節→第1肋骨
・中斜角筋
C2〜7横突起後結節→第1肋骨の鎖骨下動脈溝
斜角筋三角は、頸部の側屈時や深呼吸時に狭小化する。p.15

前、中斜角筋の起始部である前結節、後結節とは、、、
頚椎は他の脊椎と違い、横突起の上を神経根が走行するために溝があり、前側と後ろ突起があります。
その前を前結節、後ろを後結節と呼んでいます。

横から見るとこのような感じで、前結節に前斜角筋、後結節に後斜角筋が付着し、この間を神経が走行しています。

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