【リカバリー】野球選手における水分補給

【リカバリー】野球選手における水分補給

練習後の水分補給。なにをどのように飲みますか?

みなさんがよく口にしているスポーツドリンクについても挙げていますのでぜひご覧ください。

運動によって失われる水分

まずはじめに、運動によって、どのように水分が失われていくのかについておさらいしていきます。

ヒトのカラダの約60%は水が占めているといわれています。
食事や水を飲むことによって、水分を摂取→発汗・排尿などで排泄することで、体内の水分の量を一定に保つ機能があります。

運動による身体の発熱量の増加や気温や湿度など外部からの熱や湿度の影響を受けると、身体は皮膚に流れる血液量を増やしています。

つまり、体内・体外による影響から水分量の調節をしています。

また、汗をかくこと(発汗)で水分が蒸発すると、熱の放散が行なわれ、体温調節をしています。発汗は運動時だけではなく、睡眠中など日常の生活でも機能しています。

上図からもわかるように、運動などによって汗をかくと、からだの中からは水分だけでなく電解質も失われていきます。

そのため、「ただ水分だけを補給すればOK」だけではなく、電解質も補給をすることで、体内の水分量・バランスの十分な回復を図っていく必要があります。

水分補給の目安

では、どのくらい水分を摂取すればよいのでしょうか?

一般的に推奨されている方法をご紹介していきます。

摂取量の目安として「体重量の減少」を一つの基準とし、およその量を決めています。体重の減少は個人差もあるため、体重が減りにくい選手よりも体重が減りやすい選手には摂取量が多く求められるため、注意しておくとよいと思います。

例)体重70kgの選手(運動前)→(運動後)69.5kg
→500gの減少
→500g×1.5=750g(ml)

こまめな水分摂取で全体量を確保できることが理想です。

スポーツドリンク!なにを選ぶ?

ここからは本題となるスポーツドリンクの選び方についてまとめていきます。「味が好きだから」「飲みやすいから」「安いから」ではなく、目的に応じた選択をしていく必要があります!

運動後

今回は運動後の対応についてまとめていきます。

運動後の水分摂取の目的は、失った水分や電解質を回復することです。発汗量は環境面や体調、季節、気温など個人差もあります。そのため、そのときどきの状況によって摂取する方法をとることが大切になります。

塩分(+糖質)

塩分0.1-0.2%を含んだスポーツ飲料の摂取が推奨されています。また、糖質(ブドウ糖+果糖)を含んだスポーツ飲料はエネルギー補給の効果に加え、腸管内での吸収スピードを速め、カラダの保水率も高めるため、脱水からのリカバリーに適しています。

<適切な量>
ナトリウム|40-80mg/100ml
糖質|2.5-8.0g/100ml

タンパク質

つぎにタンパク質について。
運動後の筋肉の損傷を回復させるために、アミノ酸などのタンパク質を含んだ飲料の摂取も有効とされています。

運動で傷ついた筋線維に栄養が入らなければ、修復が適切に行われず、また回復の遅れや二次的な筋損傷につながってしまいます。

タンパク質が不足した状態では時間が経つにつれて、筋肉を分解し、エネルギーへの変換を促してしまいます。

運動後30分以内は回復のゴールデンタイム

運動後30分という時間は、体が傷ついた筋を修復するために、栄養素を必要としているため、吸収が高まるといわれています。

筋肉は水分を除くと約80%がタンパク質からできています。

そのため、筋肉の主成分となるタンパク質を補給することで、傷ついた筋をより速く回復させることにつながっていきます。

温度

摂取する水分の温度は、
5-15℃に冷やすと飲みやすい+吸収も速いとされています。

また、真夏の暑い環境の運動後であれば、
カラダを冷却する効果も期待できます。

帯同時に経験した事例として、
冷たい水を急激に多量に摂取して下痢をした選手がいました。

これは、飲水により腸の粘膜が刺激され、腸の蠕動運動が活発化することで、本来吸収されるはずの水分がうまく吸収されずに下痢を招いたことが考えられました。

そのため、摂取の仕方には注意が必要です。

※感染性やストレス性の下痢との鑑別として、練習前や数日間の体調コンディションの聴取は必要となります。

その他

脱水症状が著しい場合は経口補水液の摂取が効果的です。

さいごに

リカバリーは運動後のサポートだけでなく、野球であれば試合のイニング途中や練習中など、疲労からの回復をさまざまな視点で考えていかなければなりません。

運動中の対応や栄養・運動などのアクティブリカバリー方法など、
さらに詳細を知りたい方はコチラの記事をご覧ください。

選手の身体のコンディショニングを考えていく際、リカバリー時に知っておくべき生理学的作用や実際のアプローチについて動画を添付して解説しています!