野球選手に関わる上で必要な “頚部エコー”【トレーナーマニュアルvol.44】

野球選手に関わる上で必要な “頚部エコー”【トレーナーマニュアルvol.44】

C-I Baseballの小林弘幸です。

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元NPBチームドクターのスポーツDrと一緒にエコーを用いて、
選手の病態を理解し障害の原因追及、症状改善を大切にしています。

投球障害の原因は多岐にわたり、非常に難しいです。

しかし、皆様に少しでも自分の考えを共有していただき、
ご意見をいただきながら、現場の選手に少しでも還元できたら
うれしく思います!

CIB第2期後半では、
【野球選手に関わる上で必要なエコー】
ということで記事を書かせていただきます。

というのも、
私が運動器エコーと出会って一番良かったなと思うところは、
【筋骨格の断面解剖】と【神経の走行】の理解がしやすいと思ったからです。

ということで、小林が担当する、
野球選手に関わる上で必要なエコー編の記事(予定)です↓↓↓

①野球選手に関わる上で必要な “股関節エコー” (2月7日)
②野球選手に関わる上で必要な “頚部エコー” (3月14日)←今回
③野球選手に関わる上で必要な “肘関節エコー” (4月18日)
④野球選手に関わる上で必要な “肩関節エコー” (5月23日)


これらの記事を通じて、
臨床の基礎になっていただけたらと思っております。

そして、
様々なご意見をいただけたらと思います!

野球選手に関わる上で必要な “頚部エコー”

はじめに

投球動作の中で、あるいは打撃動作の中で、基本的に首は、
【反対方向】を向いています。

右投げであれば、左向き。

右打ちであれば、左向き。

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このような、同じ姿勢を取り続けることは、
身体の動きを考えると、
見直さなくてはなりません。

今回は、私が臨床場面から感じたこと、考えたことを中心に、
なぜ、頚部を観察しなくてはならないのか?
を含めて記載できたらと思います。

そして、エコーを通じて
解剖を理解して、臨床場面で活かしていただきたいと思います!

【肩甲挙筋】と【頚部の神経症状】

今回は、この二点について考えていきたいと思います。

まずは、肩甲挙筋です。

肩甲挙筋概要

エコーと解剖については、下記のYoutubeで小林が配信しております。


少しの時間ですが、ご覧いただきたいと思います。

基本情報をおさらいします。

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注目すべきは、
肩甲骨に対する作用です。

肩甲骨の挙上と、下方回旋作用があります。

投球における肩甲骨の動きは、上方回旋が重要となります。

overhead athletesの
Type2 SLAP病変の後方型に対して
肩甲骨上方回旋を促すことで疼痛軽減が見られるとされています。

※S S Burkhart, C D Morgan, W B Kibler. Et al.: Shoulder injuries in overhead athletes. The “dead arm” revisited. Clin Sports Med. 2000 Jan;19(1):125-58. 

いわゆる、
Scapula assistance test(SAT)での疼痛軽減です。

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※Pluim BM. Scapular dyskinesis: practical applications. Br J Sports Med. 2013 Sep;47(14):875-6.

肩甲骨下方回旋筋の肩甲挙筋がタイトネスになると、
上方回旋不足が生じ、SLAPやインピンジメントを招いてしまう原因になると思います。

この肩甲挙筋について、どのように評価治療すべきかは、後述していきます。

頚部の神経症状の概要

頚部の神経症状を、見逃してはいけません。

理由は、
肩の症状、特に筋力低下などは、頚椎性の症状があるからです。

これは、
投球障害肩を考える上で、非常に重要なことになります。

肩だけ評価して治療すると、まったく良くならないことがあります。

これは、頚椎性の症状があるからです。

まずは、腕神経叢をおさらいします。

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複雑に見えますが、
模式図を利用しながら、しっかりとした理解が必要です。

肩の症状との鑑別にはC5~C7までの神経を理解することが重要です。

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ここが理解できれば、肩と首の病態として判別できると思います。

まずはしっかりと判別することが重要です。

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判別テスト等で鑑別しますが、
これだけでは不十分ですので、この判別方法等も後述していきます。

肩甲挙筋

エコー画像での評価

肩甲挙筋の評価として、
頚部回旋時に肩甲挙筋がどの程度動いているのかという観点は非常に重要です。

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投球障害の肩以外の身体特性 : 肩甲骨と股関節に着目して (特集 投球障害を捉える : 動作,機能解剖,エコーの活用,予防に対する理学療法士の英知)
我妻 浩二 , 小林 弘幸 , 村本 勇貴 , 岩本 航
理学療法ジャーナル 54(5), 519-525, 2020-05
より、図を引用改変

肩甲挙筋をエコーで観察すると、
頚部の回旋に伴い頚最長筋の表層を肩甲挙筋が滑走する様子が観察されます。

頚部右回旋では肩甲挙筋が頚最長筋上を後方へ、
頚部左回旋では頚最長筋上を前方へと滑走します。

投球障害肩では、この肩甲挙筋の滑走が障害されやすく頚部の回旋可動域制限と肩甲骨上方回旋の可動域制限が同時に出現します。

実際に、動画で回旋時の肩甲挙筋の動態をご覧ください。

そして、もう少し、低位での動態です。

肩甲挙筋が横方向に滑走しているのが良くわかると思います。

しかし、
観察する高さによって、動態が異なります。

どのようなことを意味しているでしょうか?

これは、

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