肉離れの実際
C-I baseballの【Advance course 野球選手のみかたを深める】の発信を担当する小林弘幸です。
スポーツDrと一緒にエコーを用いて、選手の病態を理解し
障害の原因追及を大切にしています。
病態を理解し、しっかりと評価することによって
現在の傷害の原因をはっきりることができれば、
医療機関と現場との橋渡し的な役割を果たすことができると思います。
【マガジン紹介】
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Basic courseでは、主に病態の話をしてきました。
Advance courseでは、野球選手に対する
評価治療の実際を記事にしていきたいと思います。
肉離れとは、
スポーツ動作中に起こる代表的な筋損傷です。
病態に関しては、Basic course肉離れの病態の部分を参考にしてください。
Advance courseでは、
実際に評価治療していることを中心に話し、
最後に実際の症例を提示して評価治療の流れを示していきたいと思います。
※noteで紹介する症例すべての方には説明・同意を得た上で、
紹介させていただいております。
肉離れでの大切なこと
私が肉離れで大切にしていることは、
・患部の状態をしっかり把握、治療すること
・なぜその部分が痛くなったかを考えること
です。
一つ目の患部の状態を把握する、治療する
について実経験から話したいと思います。
実際に肉離れを経験した選手で、
安静期間を過ごしたあとに復帰をした選手が、
患部の痛みが引かないということで病院を受診することがあります。
これに関しては、
エコーなどを用いて、しっかりと詳細に患部の状態を把握することが
必要なのかと思っています。
二つ目のなぜその部分が痛くなったかを考えること
に関しては、
選手の経験談から抜粋して文字にしていきたいと思います。
受傷した原因についても考えなくて、その原因が解決しなければ、
さらに痛みが再発してしまうということも考えられます。
この上記2点を大切にした上で、段階的に復帰していくことが大切です。
トレーニングに関しても、数多く知っておく必要があります。
患部の状態をしっかり把握、治療すること
肉離れ後に疼痛が残存している例は少なくありません。
特に
・最終域でのストレッチペイン
・伸張位での収縮時の痛み
が残存していることがあります。
これらが消失・軽減してから、
競技復帰していく必要があると思います。
※奥脇透ほか:肉離れとMRIの臨床. 臨床画像24. 897-907. 2008
図を引用改変
頻度的にはⅠ、Ⅱ型が同程度で、Ⅲ型は数%と稀であります。
復帰までの期間も、タイプにより異なってきます。
復帰までの期間の目安は
・Ⅰ型:2週間以内
・Ⅱ型:6週間
・Ⅲ型:5カ月(半年)以上
とされています。
上記の分類を理解することで、
診断から、選手の予後が予測できます。
先の見通しがあることで、選手やチームにとっても
どのようにリハビリの期間を過ごしていくのかが理解できると思います。
しかし、近年、
奥脇分類のみでは肉離れの分類をしてしまうのは
時期尚早という見解も出てきており、
より多角的な評価が求められます。
例えば、エコーでの
ドップラー評価も大切な評価の一つであると考えます。
より多くの評価バッテリーを用いて、
より多くの視点から評価することが大切であると考えます。
なぜその部分が痛くなったかを考えること
肉離れの再発をする選手も少なくありません。
その原因として、
なぜ生じてしまったのかを考える必要があるかと思います。
下記記事は、
足関節(距骨下関節)から上行性の問題で生じてしまう、
ハムストリングスの肉離れの原因を解説してくれています。
大まかに解説しますが、
LR〜MStにかけて距骨下関節が過回内になることで肉離れが生じやすいとしています。
そのフェイズで過回内が生じてしまうと、
遊脚期で膝関節屈曲が過度に生じてしまいます。
結果として、膝屈曲位から接地期での膝伸展が大きく生じてしまって
ハムストリングスに急激な収縮が生じてしまう可能性が高くなります。
ではなぜ、過回内が生じてしまうのでしょうか。
距骨に付着する筋はありません。
距骨も他の影響も受けますので、その部分に対しても考察していかなくてはなりません。
なぜ肉離れが生じてしまったのかは、
とことん考察していかなくてはいけないと思います。
このように、
上記はダッシュの時の足関節の評価ですが、
受傷した動作に対してのしっかりと評価をしていくことが
大切かと思います。
番外編:羽状筋について
肉離れでは、羽状筋に頻度が多く発生すると考えられています。
羽状筋の収縮形態は実際どのようになっているのでしょうか?
エコーで見るとイメージがつきやすくなると思います。
伸張時の羽状筋
収縮時の羽状筋
★上記2動画 (浅層)腓腹筋内側頭と(深層)ヒラメ筋
メディカルプラザ市川駅 村本勇貴理学療法士のご厚意により掲載
このような線維配列になっているので、
筋線維が多く配置され、筋発揮がしやすいということが言えるでしょう。
実際にエコーを診ると、
模式的に示されている筋の線維配列がわかりやすく、
治療にも生きてくると思います。
実際の評価・症例
今回は、実際の3症例を提示したいと思います。
肉離れに関しては、投球障害肩・肘のような傷害とは異なり
それぞれの受傷機転がある『外傷』と分類することができます。
ですので、
その受傷機転を元にどのようにリハビリテーションを進めていくことが
良いのかを考えていくのか大切かと思います。
ただ、
腹斜筋に関しては、経験がないので、
実際に肉離れを生じた元NPBの選手の話を元に
記載したいと思います。
症例に関しては、
・大腿四頭筋肉離れ(スライディング受傷後1週)
・ハムストリングス肉離れ(ランニング受傷後3か月)
・腹斜筋肉離れ(元NPB投手体験談)
の3症例を提示します。
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