いつもC-I Baseballメソッドをご購読いただきありがとうございます。
C-I Baseballの野坂光陽です。
C-I Baseballは、理学療法士を中心に、野球選手に関わるための臨床・トレーニング・現場対応を発信している団体です。
このマガジンでは、投球障害への評価や介入、競技復帰、再発予防、トレーニング、野球現場での判断など、野球選手をみるうえで必要な考え方と実践をお届けしています。
初めに
改めまして、みなさんこんにちは!
C-I Baseballの野坂光陽です。
CIBでは、創設時の1期生として加入させていただいております。
noteを利用して、以前より記事を書かせていただいておりました。
2025年までの9年間は、整形外科のクリニックに従事していましたが
2026年1月より、栃木ゴールデンブレーブスのS&Cとして
働く環境を移し、勤務しております。
今回は、私が今シーズンS&Cとして取り組んできたシーズンの
取り組みを記事にさせていただき、みなさんに共有させて
いただきます。
私は理学療法士の免許をとったのちに、NSCA-CSCSを取得しました。
その理由は、「理学療法士という立場や思考での視野では、対応が困難なことが増えてきた」からということが大きいです。
元々、障害を予防したいという思いで理学療法士の免許を取得しました。
様々な環境で学ばせていただき、知識やスキルも多く学んできました。
しかし、数々の野球現場での活動を通して、身体的土台が強くなり
練習強度に耐えうるということも一つの障害予防であると感じるようになりました。
そこで、ストレングス&コンディショニング(以下S&C)領域に興味を持ち
資格取得に至りました。
2026年現在は、理学療法士としてではなく、S&Cとしてチームに所属し
仕事をしております。
CIBに興味がある方だけでなく、理学療法士として現場に出ている先生方や
臨床で野球選手に関わる先生方と同じように、選手がいかにプレーで
結果を出せるか、という観点といかに怪我をしない身体を構築できるか
という観点で、今回は記事を書き進めていきますので、最後までよろしく
お願いいたします。
チームにおけるS&Cとは?
S&Cの役割は
「選手が練習及び試合でパフォーマンスが発揮できる土台を作ること」
そして
「プレーやスキルの土台である、身体機能の向上及び維持」
という点で今シーズン活動して参りました。
業務内容として、栃木ゴールデンブレーブスにおいて
S&Cとして監督など指導者に求められたことは
「フィジカルの強化」
「コンディションの管理」
「故障者の早期復帰と再発予防」でした。
そこで、2026年シーズンに取り組んできたこととして
1. 定期的なフィジカルチェックによるコンディション、出力のチェック
2. ピリオダイゼーションを考慮したプログラムの作成と実施
3. 投手及び野手のウォームアップの先導ならびにトレーニングやエクササイズの提示及び実施
4. 試合におけるベンチ内での救急対応
5. 登板投手のコンディションチェックとその問題があった場合の対応(エクササイズ指導など)
上記5点を私の職務として活動して参りました。

今回の記事ではその中から、
1.フィジカルチェックによるコンディションチェック
2.ピリオダイゼーションを考慮したプログラムの作成と実施
3.ウォームアップについて
これらを抜粋して記事にしていきます。
理学療法士からS&Cへの転職
理学療法士(以下PT)とNSCA-CSCSのダブルライセンスを保有している方は
私の周りでは比較的多い印象を受けています。
様々な理由があると思いますが、PT×S&Cのダブルライセンスを
保有している方もしくは目指している方は少なくないと感じています。
現場では、PTとして立つのか、S&Cとして立つのか
目的を明確にされていた方がいいと、私は考えます。
現場では、その職務はもちろんオーバーラップするところもありますが
根本の部分が大きくことなるからです。
PTの職務として、「障害部位や他部位へのリハビリテーションを通した介入」つまりパーソナル的要素が強く、マイナスからゼロへの介入を
目指すことだと私は考えています。
介入に関しては、一対一もしくは数名という小規模であり
エクササイズもリグレッションした状態からスタートしていくという
側面が出ながら介入が進んでいくと考えています。
一方でS&Cの職務は上記した
「選手が練習及び試合でパフォーマンスが発揮できる土台を作ること」
「プレーやスキルの土台である、身体機能の向上及び維持」
よって、基本的に「プレー可能な選手」さらには
「試合に出場できる権利がある選手全員」が介入の対象となります。
チーム状況によって変動しますが、S&Cの対象は、一対複数つまりチーム全体ということになります。
私は、S&Cがチームに1名という状況だったので、野手ならびに投手全体を対応させていただいていました。

S&Cとして一人に対して時間をとって指導するということは
自主練習以外には基本的にはありません。つまり基本的には全体を見ながら
チーム状況を確認する必要があります。
しかし、投手は例外的に先発と中継ぎの大きく分けて2つの役割が
存在するため、該当選手には個別に試合から逆算した
トレーニングプログラムを立案していくこともさせていただいて
まいりました。
私は転職してからしばらくの期間は、PTマインドが抜けずに
四苦八苦していました。
ウォームアップに始まり、投手の役割ごとのトレーニングメニューの
立案や野手にも同様にトレーニングメニューの立案と実施を促しつつ、
練習時のウエイトトレーニングのプログラム立案や修正など
複数人を同時かつ様々な側面で見ていくことの難しさに直面しました。
理学療法士時代に、定期で介入しているチームでもトレーニング指導を
行なってきましたが、毎日の練習、そして試合や状態から逆算したものを
考慮し、構築し、実際に行動に移すということは、私にとって難易度が
とても高い部分で、苦しんだ思い出があります。
下記に、練習日のおおよそのタイムスケジュールを載せていますが
基本的にはグラウンドや選手に近くいる時間がほとんどで
私は朝の時間はW-upとトレーニングを担当し
その後の技術練習時間では主に投手のキャッチボールや状態の確認の
時間が多いです。
技術練習後はウエイトトレーニングの対応と、基本的には1日が流れていきます。

独立リーグというのは
「一人でも多くのNPB選手を輩出すること」
「地域貢献」
という目指す場所があり、選手だけでなくチーム全体が必死になって
結果を追い求めている中で、私がその土台を担うという
今までに経験してこなかった側面を、たくさん経験させていただきました。

球団情報 | 栃木ゴールデンブレーブスオフィシャルサイト球団概要 スタジアム情報 球団概要 チームロゴ チーム名栃木ゴールデンブレーブス(英語表記:Tochigitochigi-braves.jp
このnoteを見ている方の中でも、もしかしたら独立リーグのチームに
今後挑戦したい!という方がもしかしたらいらっしゃるかもしれません。
一つ、教訓としてこの記事を読んでいただけると、著者冥利に尽きますので
最後までよろしくお願いいたします。
チームにおけるS&Cとしての取り組み
1.フィジカルチェックによるコンディションチェック
S&CとしてもPTとしてもコンディショニングは重要だと思いますが
これには「基準」と「変化」を捉えることが重要であると考えています。
そして、そこから考えられる対応や、予測をすることで
症状や状態の悪化防止を未然に防いだり、トレーニング内容や強度の
変更などを考慮する一つの材料になると考えています。

今年の取り組みとして、練習時におけるトレーニング内にて
定期的な測定を行いながら、選手のコンディションチェックを
行なってまいりました。

チーム状況においては、まとまって測定の時間を取ることが
難しいこともあるかと思います。
野球=技術練習を重んじる部分が非常に強いためです。
しかし、トレーニングと測定を兼ねて時間に取り入れていくと
指導者にも伝えやすいですし、選手も
「今日は測定か」「週末だから今日は測定かな」と
ある程度の準備ができると考えていますので、組み込むメリットは
大きいと感じています。
1-2.フィジカルチェックの項目
今シーズン実施した項目を投手野手ともに列挙いたします。

測定においては、もちろん測定に対する科学的根拠(エビデンス)が必要なことは十分理解しています。
アプローチの根本にも、科学的根拠に基づく実践(EBP)を常に念頭に
おいて働いているのは間違いありません。

今回用いた測定に関してもそうですが
「測定自体が目的にならないようにする」
「準備が容易であり、選手及び練習の妨げにならない」
「フィードバックが容易で理解しやすい」
上記点を考慮しながらの測定となりました。
みなさんも、チームでの測定を行っていると思いますが
トレーナーやS&C側が「これは科学的根拠があるから!」といって
測定自体が目的化してしまうことは避けなければいけない点であると
思います。
あくまで測定は「選手のコンディションをチェックする手段」です。
なので、選手が一目もしくは投じた結果、調子の良し悪しがすぐ
簡便にわかる測定項目がいいと私は考えています。
2.ピリオダイゼーションを考慮したプログラムの作成と実施
独立リーグは、変動はありますが基本的に週末の金曜、土曜、そして日曜に
試合があり、今年は約60試合が4月から9月まで組まれている中で
シーズンが進んでいきました。
S&Cとして、ピリオダイゼーションに則った思考が介入軸の一つになります。
つまり、インシーズン中の4月から9月までは基本的にピーキングを
し続けなければいけないということにもなります。
CSCSの教本にもピリオダイゼーションとピーキングについて
基礎的な記載はありますが、これを約半年実行し続けることは
選手にとって大変だということがわかりました。(あくまで自分の体験談ですが)
よって、インシーズンのピーキングをいかにキープするか?
が私のシーズンを通しての課題でもありました。

トレーニングの残存効果も考慮していく必要もあるかと思いますが
今シーズンは、ミクロサイクル(週単位)でのブロックピリオダイゼーションを導入することにしました。
具体的には、クールの初めつまりオフ明けにW-upならびに
トレーニング、スプリント及びランニングのボリュームを最も多く位置付け
週末の試合に向けてボリュームを落としていくという方法です。
いわゆる「フィットネス-疲労理論」を用いたということも同義かと
思います。
2-1.フィットネス-疲労理論


トレーニングによって、フィットネスつまり身体的能力は向上しますが
一方で負荷をかけることになるので、疲労も同時に蓄積します。
時間経過とともに疲労は抜けていきますが、その落ちる度合いよりも
フィットネスの落ちる度合いが少ないと考えられており
結果的にフィットネスの効果が残存するということ、つまり
疲労が抜けてきても身体的機能は落ちずに残存しているということが
この理論となります。
2-3.今シーズンにおけるマクロサイクル内でのトレーニング計画
先発投手に関しては、前もっていつ登板するかがチームで
決められているので、そこに合わせて調整するような形で
ランメニューを組んでいました。
例えば、金曜日登板し中6日で次回登板が決まっている場合の
週間日程を列挙します。

先発投手はリカバリーラン日はストレッチを重点的に行い
エクササイズやトレーニング系は、翌日以降に行います。
項目には入れていませんが、他の投手同様に行っていきます。
中継ぎの投手に関しては、試合のどのタイミングで登板するか
状況によって変化するため、基本的には先発以外の投手は
全員同じ流れで進んでいきます。
以下に、今シーズン取り組んできた中継ぎ投手の
トレーニングについて列挙いたします。

投手で最もきついのは、ランニングメニューにあるPP(ポール間走)で
間違いないと思います。
私は今シーズン、春先から夏場まで一環してOFF明けには必ずPPを
組み込んでいました。
(週明け試合の場合は除く)
理由として、投手は投球を約20秒間隔で投げ続けていかなければならず
その度に強い負荷が全身にかかることになります。
投球時には、心拍数は180前後まで上昇すると言われています。
同様の負荷は、中距離ランニング及び全力のスプリントでしか出せません。

投球における心拍数と同程度の負荷を課し、その中でもスプリントができる
ようにならないといけませんし、その中で投手は再現性が求められるので
同じフォームで走り続けるというところも選手には意識するよう説明をしています。
2-4.パロフプレス
チューブでは、張力を利用したなかで胸郭周りのモビリティを出すエクササイズや、後方から牽引するような形でのレジスト走、パロフプレス系に代表される体幹のアンチローテ系、張力に抵抗する形でのジャンプ系を
日替わりで提示して行うようにしていました。
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