■はじめに
投球動作は「足部」から始まる
投球動作の評価やパフォーマンスアップを考える際、多くの場合、肩関節や股関節・骨盤・胸郭に注目します。
しかし、実際の投球動作は足部で発生した地面反力を全身へ伝達する運動連鎖によって成り立っています。

そのため、足部機能の評価は、理学療法士やトレーナーにとって重要な視点の一つです。
このnoteは
投球動作を最大限に活かすために、足部評価と投球動作評価からインソールを作製する
という完結編として記事にしました。
足部が苦手と思う方にもスライドだけでもわかりやすくしましたので足部からの視点を取り入れ現場や臨床で活用していただけると幸いです。

■足部の名称



■距骨下関節
|距骨下関節とは
距骨下関節(Subtalar Joint:STjt)は、距骨・踵骨からなる関節で三平面運動を行います。
動き
回内・内転・底屈
回外・外転・背屈
回内・回外運動ができることで、立位姿勢保持や歩行において、足裏を地面になじませるサスペンション機能と身体全体を支えて推進力を生み出す機能を切り替える非常に重要な役割や重心を安定させる微調整を行います。
回内(ゆるむ・衝撃吸収)
➡️関節がゆるみ、足のアーチが下がって足裏全体で衝撃を受け止める状態(立脚中期)
回外(硬める・力伝達)
➡️関節が締まり、足のアーチが高くなって足部が強固になる状態(立脚初期・後期)
投球時の足部の章でもお話ししますが、
投球や打撃を行う際に、『蹴り出し』『踏ん張り』が必要です。それらの動きを行うのが『足部』です。
cocking〜accelerationで軸足の構造破綻が起こると下腿内旋し、骨盤の早期回旋が早まってしまいます。さらには、体幹の投球側へ側屈し、肘下がりを起こしてしまいます。
ですから、足部を理解することが重要なのです。



|距骨下関節評価
|距骨下関節 中間位とは?
距骨下関節の動きは回内・回外です。
距骨下関節の中間はどこか?
距骨下関節は関節面が複雑なため回内と回外の中間点がわかりにくくなっています。
距骨下関節には関節適合肢位が一つだけ存在する。
それは中間位で、このとき足部は距骨に対して真っ直ぐの位置となる。すなわち回内・回外を伴わない。
この中間位は靭帯ではなく重力によって支持されるので安定しており、長時間保持することができる。他の肢位は安定しておらず多少なりとも関節不適合を招く。
(カパンディ関節の生理学原著第5版より一部抜粋改変)

|距骨下関節 指標中間位とは
距骨下関節の中間位は『個体差』があり、『左右差』もあります。
CKCでは姿勢や重心位置、横足根関節など距骨下関節以外の影響があるため純粋な距骨下関節中間位を評価することはできません。
距骨下関節中間位を評価するには、非荷重位(OKC)で距骨と踵骨の位置を整えることでその足の中間位がわかります。
それぞれの距骨・踵骨を整えた肢位を
『距骨下関節指標中間位』
といいます。


|距骨下関節指標中間位評価
指標中間位を軸にして距骨下関節は回内・回外します。
評価は非荷重位(OKC)で行います。
外果上下にあるラインが直線になる位置を作り、空間上の地面に対する踵骨底面の向きで距骨下関節回内・回外を評価します。
この肢位が距骨下関節の指標中間位です。

理想の距骨下関節肢位は、OKCでの指標中間位のままの肢位で立位(CKC)がとれることです。
指標中間位のまま立位保持ができれば、回内・回外を伴わず、足部は距骨に対して真っ直ぐの位置となります。
この中間位は靭帯ではなく重力によって支持されるので安定します。
立位動作で距骨下関節の回内・回外の動きがスムーズに行えるようになります。

|指標中間位判定基準
距骨下関節指標中間位評価肢位を作り保持
↓
空間上の地面をイメージ
↓
空間上の地面に対して踵骨底面の向きを見る
↓
踵骨底面の向きにより、距骨下関節指標中間位は『回外位』『中間位』『回内位』と評価する

|指標中間位 評価手順
臥位or長座位
膝蓋骨正面
足尖から足部外側ライン覗く
STjt指標中間位ライン整える
足部評価時はOKCで行います。
肢位は臥位もしくは長座位(①)です。
脱力していることが確認できたら、膝蓋骨を正面に向けます(②)。膝蓋骨を正面に向けることで膝関節を正面に向けることになります。
膝蓋骨を正面に向け下腿の捻転(内捻・外捻・彎曲)を評価し、捻転によってできる足部(足尖)の向きが距骨下関節評価肢位です。


仮に右下肢の膝蓋骨を正面に向けたとき下腿が内捻しているとします。内捻していると足尖は内側を向きます。
踵をセラピストは左手で支えます。足尖の向きから足部外側ラインを覗きます(③)。
足部外果の上下の凹凸と踵骨外側ラインが直線になるように踵骨を把持している左手で調節します。




|体幹回旋時の距骨下関節
回旋に伴い距骨下関節は回内・回外します。
距骨下関節は足部と下肢の繋ぎ目の役割を果たしています。
距骨下関節が回内・回外と機能することで上行性、横足根関節、足趾に良好な運動連鎖が行えるようになります。
逆に距骨下関節が動かないと足部からの上行性の運動連鎖が機能しません。
機能しなければ体幹回旋時には膝や腰椎に過度な負荷がかかり疼痛を引き起こす可能性があります。
ですから、体幹回旋評価は距骨下関節を評価する上で重要です。

|歩行時の距骨下関節
接地 → 回内 → 衝撃吸収
↓
体重移動 → 回外へ
↓
蹴り出し → 回外 → 推進力
衝撃を吸収するために柔らかくなり、蹴り出すために硬くなります。
LRで距骨下関節は最大回内位になります。その後PSwに向かい回外していきます。
回外 ➡️ 中間 ➡️ 回内 ➡️ 中間 ➡️ 回外
という動きが出ることで足部が正常に機能します。
投球動作を評価・アプローチするときに歩行時の足部の動きが正常に機能することが投球にもリンクするため歩行を見ることはとても重要です。


■横足根関節
|横足根関節の役割
横足根関節は、
距舟関節
踵立方関節
から構成され、足部の「柔軟性」と「剛性」を切り替える重要な関節です。


距骨下関節が回内すると横足根関節は可動性を増し、
・衝撃吸収
・地面適応
を行います。
一方、距骨下関節が回外すると横足根関節はロックされ、
・足部剛性の向上
・効率的な力発揮
を可能にします。
|関節軸
運動軸のポイント
横足根関節には、代表的に2つの軸があります。
①踵立方関節の縦軸
足部の長軸に近い方向
回内・回外運動に関与
② 距舟関節の斜軸
内外側方向に対して斜め
底屈・内転、背屈・外転の動きに関与
横足根関節は、単純に「1本の軸を中心に動く関節」ではありません。
重要なのは「2軸が連動する」ことです。


|横足根関節評価
横足根関節評価は距骨下関節指標中間位で行なった評価に加えて行います。
距骨下関節指標中間位が評価できると純粋な横足根関節の可動性がわかります。
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