C-I Baseballトレーナーマニュアルの「トレーニング‐メディカルリハビリテーション‐」を担当する佐藤康です。
私はこのマガジンで「トレーニング」を担当します。
トレーニングは、ケガをしてから復帰にかけて行います。
その中で、メディカルリハビリテーションを中心にアスレティックリハビリテーションへの移行期までの関わりについてお伝えしたいと思います。
(下図:水色部分)
メディカルリハビリテーションの位置づけとして、投球やスローイングプログラム開始までの期間であると捉えています。
投球動作における肩関節機能
はじめに、投球動作(phase)ごとに求められる肩関節機能についてまとめていきます。これまでのマガジン内にphaseの解説がされてますが、各phaseのポイントとなる点をここでおさらいしていきます。
Early-cocking - Late-cocking
テイクバック~TOPと表す動作のphaseです。
ここでの動きの障害予防のための役割として、
両肩と肘がなす「肩-肩-肘ライン」が
前額面・水平面上で直線的に作れているTOPポジション
が肩関節のストレスを軽減させると考えています。
機能として、
肩関節伸展-内旋可動性・外転90°までの内旋を詳細に確認しています。
反対に肩伸展・内旋制限により、代償的に水平伸展が増大した動きをすることで、肩関節前方へのストレスをかけてしまい、肩前方を痛める投球フォームにつながる原因となりやすいphaseです。
Case. 肩峰下インピンジメントやインターナルインピンジメント
骨頭の異常運動
インピンジメント
腱板・肩甲帯の安定性
は確認しておきたい要素です。
Late-cocking - Acceleration
MERと表す肩関節の最大外旋したphaseです。
投球動作中の肩外旋角度の最大値は約145°
内訳として肩甲上腕関節の角度は約105°・肩甲骨後傾+胸椎伸展が約40°と報告されています。
宮下浩二:体力学,58,2009
このphaseでは肩外転・外旋可動域を十分に獲得し、肩甲骨外旋・水平外転での関節安定性を含めた機能が必要であると考えています。
投球側の肩が十分に上がりきらず、ゼロポジションとならないまま加速してしまうと、肩前方部分や肘内側を痛める原因となりやすいです。
Case.
インターナルインピンジメント、SLAP損傷、腱板損傷など
肩外転/外旋時のインピンジメント
肩甲骨外旋可動性
腱板・肩甲帯の安定性
を確認しておきます。
Acceleration
野球肩において痛みを訴えることが多い場面であることも特徴です。
痛みも含めて、Accelerationではここまでの動きの結果であるため、このphaseの動きが問題となることは多くはありません。
しかし、可動性の低下・関節安定性の低下、股関節の回旋可動性低下などがあると、肩関節のストレスを強める要因となります。
ゼロポジション+挙上での肩甲骨外旋可動性
外転/外旋位・屈曲/外旋での腱板・肩甲帯の安定性
は確認しておきたい要素です。
Follow-through
フォロースルーにおける腱板筋群の負荷を分析した報告より、
投球動作の繰り返しにより小円筋の負荷が最も大きい
DiGiovine NMJSES1 1995
棘下筋や三角筋後部線維と比較して投球動作の反復による負荷が大きく、結果として、硬くなりやすいことが推察できます。
屈曲/内旋位でのインピンジメント
3rd positionでの腱板・肩甲帯の安定性
は確認しておきたい要素です。
まとめ
ここまでの流れをおさらいします。
投球障害を考慮した各phaseに求められる機能として、一覧をまとめます。
図内以外の要素につきましても、詳細に分析するためには評価する必要がありますが、各phaseに求められる機能をポイントとしてまとめました。
トレーニングの構成
投球障害肩に共通してみられやすい機能障害や動作のエラーをもとに、肩の機能を改善していきます。以下の順序で主に肩関節のトレーニングを進めています。
可動性
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