投球動作における胸椎伸展のstep②    ー コントロール編 ー【トレーナーマニュアルvol.188】

投球動作における胸椎伸展のstep②    ー コントロール編 ー【トレーナーマニュアルvol.188】

C−I Baseball2期生の戸高です。
今回の配信はサポートメンバーシリーズとなります。

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私が配信する内容としては「ピラティス【pilates】」というメソッドが1つのツールとして投球障害の治療、予防、パフォーマンスの向上にどう活かしていくかに焦点をあてて、配信させていただいております!

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はじめに

投球動作には胸椎伸展はパフォーマンスにおいても障害予防においても重要な動きになります。
前回の記事では、胸椎伸展を獲得するために動きが必要な部位のリリースについて解説しました。

今回はコントロール編です。
胸椎の伸展を引き出す際に必要なコントロールについて解説していきます。
エクササイズだけを知りたい方は目次より飛んでいただくと動画がありますのでそちらを見ていただければ幸いです。

step1 腹部のコントロール

コントロールのステップ1は腹部のコントロールです。
腹部のコントロールといっても結論を言うと、体幹伸展時に腹筋群が遠心性で働くということです。これが胸椎伸展になぜ必要か?ということを解説していきます。

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・体幹伸展時には腹直筋
立位での体幹伸展には腹直筋の活動が必要と報告されています。
かりに腹直筋の活動がない場合には腰椎の伸展が過剰に起こり、椎間関節にストレスが掛かり、椎間関節性腰痛や腰椎分離症の怪我のリスクが高まります。
また、腰椎が伸展することで胸椎の伸展が起こりにくい状態になります。
そのためにも体幹伸展時に腹直筋が遠心性収縮で働くことは重要だと考えます。

・ドローインの影響
腹腔内圧を高めるトレーニングの代表としてドローインがあります。

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腹腔内圧に関する調査
・横隔神経を刺激すると腹腔内圧が高まる
・最大IAPの27~61%上昇
・脊柱の硬さは安静時の8~31%増加

このことから考えられることは腹腔内圧が高まると脊柱(腰椎)の剛性が高まる、いわゆる安定性が向上することがわかります。

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これがどう胸椎の伸展と関わるのか、すでにご存知の方も多いと思いますが解説していきます。

体幹伸展時に腹筋群が遠心性収縮で働くことで、腰椎が安定します。
腰椎の中でも下位腰椎の剛性が増すことで伸展しにくくなります。
また上位腰椎は動きやすい状態となります。その結果、胸椎は上位腰椎との連携で動きやすくなるため伸展が引き出しやすくなるといった考えです。

上部、下部体幹わけてコントロール

エクササイズとしては体幹を安定させた状態で上肢、下肢を動かしていく方法でコントロールしていきます。

ポイントとしては
・上肢、下肢を動かしていく際に腰椎の過剰な伸展が起こらないように常に腹部を使うこと
・このとき腹部は固めすぎないように注意
・あくまでコントロール

背臥位でのコントロールができたらこれをうつ伏せの状態から伸展していく際にコントロールができるかレベルアップしていきます。

うつ伏せでのコントロール(スワン)

方法としてはうつ伏せの状態で顔の前に両手を置き、地面を押しながら肘伸展の動きとともに体幹を伸展していく動きになります。
スタートのポジションとして軽度骨盤後傾して、恥骨を地面に押し当てた状態で吸気で伸展していきます。

このときにしっかりと腹部のコントロールを入れた状態で胸椎メインでの体幹伸展を行っていきます。
感覚としては腹筋を伸ばしながら使っている感じがあると上手くコントロールできている状態と捉えてます。。

エラーとしては
・肩をすくめて地面をプッシュできてない
・腹部のコントロールが抜け、過剰な腰椎伸展が起こっている

まとめると、腹部コントロールができると、腰椎の安定ができ伸展しづらくなるため胸椎の可動性を引き出しやすくなるといったことです。

step2 上肢のコントロール

胸椎の伸展には上肢のコントロールも重要となります。

上肢挙上に脊柱の動きが必要なことはご存知かと思いますが実際にどこがどのくらい?というところまで知っておくと良いと思います。

上肢挙上に伴う脊柱の動き
A)胸椎:屈曲90°以降から伸展
B)腰椎:2〜3°前弯
C)骨盤:90°以降からわずかに前傾

正常な脊柱の動きとしては骨盤・腰椎の動きは軽度で挙上に伴って胸椎の伸展が起こって来るということがわかります。
腰椎・骨盤は安定させた状態で胸椎を伸展できることが重要です。

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スウェイバックのような姿勢状態にあると、これが上手くできません。
肩の挙上とともに腰椎の伸展が入るパターンは多くあるエラーです。
腰椎の伸展が起こると胸椎の伸展は起こりにくくなります。

このエラーが起こる原因としては先程のステップでも解説しましたが腹部のコントロールが抜けている状態です。

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特に投球動作の場合は胸椎伸展とともに上肢が挙上している状態なので胸椎伸展にはこの上肢のコントロールが必要になります。

また胸椎屈曲、いわゆる円背の状態にあると上肢挙上中の肩甲骨後傾・外旋が減少することで正常な肩の動きも制限されるので姿勢のチェックも重要です。

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座位での上肢コントロール

エクササイズはシンプルです。
まずは座位の状態で上肢挙上の動作をしていきます。
この時に、下部肋骨はできるだけ外旋(リブフレア)が起こらないように腹部で安定させます。

これが抜けてしまうと肋骨の外旋が起こり、それに伴って腰椎の伸展もおきます。

エラーとしては
・リブフレアが起こる
・腰椎伸展、骨盤前傾が過度に起こる

step3 下半身の質量中心のコントロール

現代人の7割がスウェイバックです。
野球選手の場合は腰椎前弯が増大した反り腰パターンもありますが、ほとんどはスウェイバックです。

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このスウェイバック状態にあると、骨盤の前方変位の代償として胸椎は後弯してしまいます。
したがって、この姿勢の状態にあると胸椎の伸展が起こりにくい状態と考えられます。

これを改善するには股関節のいい位置の学習や腹斜筋の強化が必要です。
今回は、骨盤の前方変位が起こりやすい状態下でのエクササイズを紹介したいと思います。

チェストエキスパンション

この動きはニーリングで行っています。
ニーリングのポジションをとった時点で、骨盤の前方変位が起こりやすいのでしっかりとニュートラルを獲得した状態から動いていきます。

ニュートラルチェック
・大転子‐肩峰‐乳様突起が一直線
・ASISと第10肋骨を結んだ線が床と垂直

ニーリングが取れたら肩の伸展や屈曲の動きを行います。
このときに骨盤の位置が動かないのがポイントです。
負荷を上げるときはチューブなどを用いて行うとより、骨盤の位置を保つことが難しくなります。

まとめ

胸椎の伸展を獲得していくためには、胸椎の伸展を効率よく引き出すための状態にまずもっていくことが重要です。

胸椎の伸展が起こりにくい状態でいくらエクササイズを行っても腰椎での代償動作やエクササイズ後は良くても数分すると姿勢の影響でもとに戻るといったケースは多くあります。

まずは胸椎伸展を引き出す際は胸椎以外の問題で妨げになっているものはないかチェックして今回お伝えしたステップを参考にしていただければと思います。

ご購読ありがとうございました。

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