TFCCに対する理学療法実践編-実技動画-【トレーナーマニュアルvol.191】

TFCCに対する理学療法実践編-実技動画-【トレーナーマニュアルvol.191】

前回までTFCCの病態とその解釈、アプローチをお伝えさせていただきました。
今回は実技動画をメインに私が実際にTFCC損傷に対峙した時に行なっている理学療法をご紹介させていただきます。

1.関節外症状(神経障害性疼痛)のおさらい

 前回のnoteに詳しく記載させていただいておりますが、TFCC損傷の慢性症状で来院された場合にチェックを確実に行なっているのは、対象神経の状態把握です。
 痛みに関与する神経の状態をまず把握する必要があるため、対象の神経がどのような状態で痛みというアウトプットを出しているのかの確認と神経の状態を簡便にチェックすることができる筋力の確認(MMT)を行うようにしております。

 まず末梢神経障害の代表的な症状として、3つ上げることができます。
・急性外傷性(1球や1回で受傷したというエピソードがある)
・慢性微小外傷性(繰り返しの摩擦ストレスなど)
・圧迫性病変(筋肥大による圧迫)

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 実際にどの病変にあたるのかを理学所見・エコー評価・アプローチ後評価によって把握することができます。一番簡便でわかりやすい所見としては、エコー評価を用いることです。

神経脱臼や神経の摩擦ストレス・神経腫大はエコーで評価をすることが可能です。

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ただし、エコーがないという状況は現場含め多々あるかと思います。その際は、神経を触知しながら疼痛誘発動作を行うことで弾発感を観察したり、神経を触知し、大きさを左右差で比較することで予想だてをすることが重要であると考えます。

 特に神経脱臼や神経腫大に対しては、神経の滑走性や圧迫部位の改善を行うことで一時的にも疼痛の消失や筋機能改善、感覚の改善が見込まれます。しかし、徒手療法を行なっても全く反応を示さない場合もあります。
 その際は、急性症状(侵害受容性疼痛)や痛覚変調性疼痛の要素が強いことを疑うようにしております。もちろん自分自身の徒手療法の質を疑うため、他セラピストにも介入いただき反省することも多々あります。

2.TFCCに関わる神経の症状把握と描出の仕方

 末梢神経障害の種類を確認した後には、どの神経が障害されているのかを確認していきます。
 Guptaらは10体の解剖によって手掌・尺側部に尺骨神経の分枝、背側枝による神経支配を受け、Laporteらが前骨間神経・後骨幹神経・内側前腕皮神経も関与していることを示唆しています。

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そのため、私は尺骨神経・前骨間神経・後骨間神経の影響を受けていないかをチェックするようにしています。

◉尺骨神経の確認の仕方

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