C-I Baseballの小林弘幸です。
元NPBチームドクターのスポーツDrと一緒にエコーを用いて、
選手の病態を理解し障害の原因追及、症状改善を大切にしています。
投球障害の原因は多岐にわたり、非常に難しいです。
しかし、皆様に少しでも自分の考えを共有していただき、
ご意見をいただきながら、現場の選手に少しでも還元できたら
うれしく思います!
CIB第2期後半では、
【野球選手に関わる上で必要なエコー】
ということで記事を書かせていただきます。
というのも、
私が運動器エコーと出会って一番良かったなと思うところは、
【筋骨格の断面解剖】と【神経の走行】の理解がしやすいと思ったからです。
ということで、小林が担当する、
野球選手に関わる上で必要なエコー編の記事(予定)です↓↓↓
①野球選手に関わる上で必要な “股関節エコー” (2月7日)
②野球選手に関わる上で必要な “頚部エコー” (3月14日)
③野球選手に関わる上で必要な “肘関節エコー” (4月18日)
④野球選手に関わる上で必要な “肩関節エコー” (5月23日)←今回
これらの記事を通じて、
臨床の基礎になっていただけたらと思っております。
そして、
様々なご意見をいただけたらと思います!
野球選手に関わる上で必要な “肩関節エコー”
はじめに
肩関節は、大きな自由度を持ち解剖学的に非常に複雑な構造をしています。
さらに、投球障害肩ではいわゆる『レントゲン』で撮影しても
診断に役立つ情報が得られることが少ないです。
そのため、
軟部組織の影響が大きく関与すると考えられます。
そこで、【運動器エコー】が必要になってくると考えています。
いわゆる、
軟部組織に対するアプローチでは、運動器エコーを用いて、
実際に自分が触っている筋・神経をしっかりと確認する必要があります。
ただ、アプローチするにあたり、
なぜ、その筋の動きが悪くなっているのか、
それを考察してからアプローチしなければなりません。
運動器エコーでは、
プローブで当てている部分しか観察できません。
それ以外の部分は、評価治療の対象にならないので、
十分に考察し、
その上で、
軟部組織に対してアプローチしていきます。
肩甲上腕関節の筋
肩甲上腕関節の評価と
タイトネスの関係を以下に示します。
各肢位で関節可動域をチェックしてから
エコーでの軟部組織チェックを行います。
また、
関節包の支配神経も覚えておくと、治療の解釈に役立つと思います。
なぜ、肩の前方が痛いのか?
その場合は、
外側胸筋神経もしくは、肩甲下神経領域に他の症状がないのか?
そのような思考過程で
解釈へと結び付けられると良いかと思います。
棘上筋
①支配神経:肩甲上神経
支配神経はC5~6になります。
上神経幹へ入り込んだ神経は、
その後すぐ分岐します。
分岐した後、
前鋸筋と僧帽筋の間を通って、棘上筋の前方から
棘上筋の深層へ入り込み、
棘下切痕から棘下筋深層へ走行します。
②エコー画像
棘上筋表層に長軸でプローブを当てて、
肩甲切痕に肩甲上神経を描出します。
その後、棘上筋短軸にしてそのまま中枢へプローブを走査します。
そうすると、
棘上筋の前方へ肩甲上神経が走行するのが観察できます。
徒手療法を行うとしたら、
棘上筋・僧帽筋・前鋸筋 間にある肩甲上神経を
アプローチします。
神経周囲は疎性結合組織が多く存在するため、
その部位に対して徒手療法を施していきます。
③エコー動画
棘下筋
①支配神経:肩甲上神経
支配神経はC5~6になります。
上神経幹へ入り込んだ神経は、
その後すぐ分岐します。
分岐した後、
前鋸筋と僧帽筋の間を通って、棘上筋の前方から
棘上筋の深層へ入り込み、
棘下切痕から棘下筋深層へ走行します。
②エコー動画
肩甲切痕部に肩甲上神経が存在するのがわかります。
棘下筋の深層にある肩甲上神経は、
棘下筋下脂肪体に包まれています。
最終域まで外旋していくと、
脂肪体が動いて、肩甲上神経周囲の動きも改善します。
肩甲下筋
①支配神経:(上)肩甲下神経
支配神経はC5~6になります。
後神経束から肩甲下神経は肩甲下筋表層で3本分岐します。
そのうち、上肩甲下神経は肩甲下筋へと分岐します。
分岐した後、
上肩甲下神経は肩甲下筋上で収束します。
肩甲骨内側に肩甲下神経は存在するので、
エコーでは非常に観察しにくいです。
位置関係を理解しつつ、
プローブ走査をすることが大切です。
②エコー画像
腋窩から、骨頭と肩甲下窩が同時に観察できる位置で
肩甲下筋表層に肩甲下神経が走行する層が観察できます。
上・中・下の肩甲下神経を分別するには、
後神経束から分岐する部分を3本の神経を観察するか
中・下の肩甲下神経を尾側まで観察していくかの
どちらかで判別すると良いかと思います。
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