C-I Baseballの増田です。
【野球現場で行うウォームアップ】について解説していきます。
ウォームアップはトレーナーとしての力量の見せ所です!
素早くかつ効果的に選手へアプローチすることで
その後の試合・練習での選手のパフォーマンスに大きく変化させることが出来ます。
トレーナーとして関わるのであれば
ただなんとなく身体を温めるのではなく目的を持って
ウォームアップを指導出来るようになりましょう。
W-Upとは
みなさんがイメージするW-Upとはどんなものですか?
一般的には運動前に行う準備体操のようなイメージが強いと思います。
今行っているW-Upはどの程度プログラムされていますか?
チームによってはルーティン化されてしまい
なんとなく毎日同じものを行っている…
なんてこともあるかと思います。
・ただ身体を動かすだけ・・・
・ストレッチするだけ・・・
・やらないよりはやっておくか!
このような感覚になってないでしょうか?
W-Upはその後のパフォーマンスや怪我の予防に関連する
重要なメニューのひとつです。
的確にプログラムすることで多くの効果が得られます。
そのためトレーナーとして関わる際には
ウォームアッププログラム作成はとても重要なものになると考えています。
ウォームアップは
選手のコンディションや環境・時期・試合なのか・練習なのか
などの様々な要素によってプログラム内容は変化します。
そのため
どんなエクササイズをするのか?よりも
なぜやるのか?どんな目的があるのか?を理解することが大切です。
今回は
ウォームアップをなぜやるのか?を中心に解説していきます。
W−Upとは
競技やトレーニングに向けて身体的・精神的準備を整えること
パフォーマンス向上や障害を軽減させるために行うものです。
W−Up を行うためには
目的を明確化し最適な運動をプログラムすることが大切になります。
まずウォームアップの目的に入る前に
ウォームアップについて整理していきましょう。
ウォームアップは
・一般的ウォームアップ
・専門的ウォームアップ
2つの種類に分けられます。
|一般的ウォームアップ
ウォームアップの最初に行うものです。
主に・有酸素運動・ストレッチ・ダッシュメニューなどを行い
身体の生理学的反応を起こすことを目的とします。
|専門的ウォームアップ
ウォームアップ後半に行うもの。
競技動作に類似した動きを用いて行うものであり
キャッチボール・トスバッティング・ハンドリングなど
野球動作を中心に行います。
トレーナーとして関わる部分が多いのは
”一般的ウォームアップ”であり
その後の行われる”専門的ウォームアップ”や練習・試合に
適応できるコンディションを作って行くことが必要になります。
W-Upの目的
ウォームアップを行う3つの目的について解説していきます。
①野球動作やトレーニングを行う前の準備運動
ここで解説する準備運動とはただ身体を動かすものではありません。
目的とする準備運動とは
→野球動作やトレーニングを行う前に
精神的・身体的な準備し心と身体の状態を整えることを目的としています。
精神的準備運動
精神的
準備運動→最適な覚醒状態にする
W-UPの一般的な認知としては試合や練習に向けて
身体をよりよい状態にしていくものであると考えられていると思います。
実はもうひとつの効果があります。
それは精神的状態を良好にするというものです。
精神的に良好な状態とは?
適度な覚醒状態に保つことです。
試合・練習前の選手の精神状態は
緊張・不安・興奮などの要因により精神的に不安定な状態にあります。
精神的に不安定な状態は自律神経に作用し覚醒状態に変化が生じます。
覚醒状態はパフォーマンスに大きく関わる部分です。
この覚醒状態を適度にすることがW-UPに求められます。
覚醒状態とパフォーマンスの関係
覚醒状態とパフォーマンスは逆U字の関係にあります。
つまり覚醒が低くても高すぎてもパフォーマンスは低下します。
最適な覚醒状態とはどんな状態なのでしょうか?
覚醒状態は自律神経によってコントロールされています。
W-UPによってリラックスしている副交感神経優位の状態から
運動することで交感神経が活動し適度な覚醒状態にすることが出来ます。
身体的準備運動
身体的準備運動→生理学的反応を引き起こす
身体的な準備とは身体に生理学的反応を引き起こすことです。
W-UPを行うことで身体には様々な生理学的反応が起こります、
その主たるものが
身体が温まる=体温・筋温が上昇している状態です。
生理学的反応を引き起こすことで身体は運動に向けて最適な状態を作り出せます。
ウォームアップによって引き起こされる生理学的反応
・筋温の上昇
ウォームアップでは筋温(体温も含む)を上げることが大きな目的になります。
筋温の上昇はパフォーマンス向上とも関係してきます。
そのためウォームアップでは筋溫が上昇するレベルの強度まで
運動を行う必要があります。
筋温が上昇するの要素
筋温上昇による身体的変化
②パフォーマンス向上
効果的なウォームアップをデザインするとパフォーマンスが向上するとされています。
効果的なウォームアップなプログラムするには
競技特異性に対してどのようにデザインするかが重要です。
野球におけるパフォーマンス
パフォーマンスを定義づけることは難しいですが
野球においては
投げる・打つ・走る・捕るの4つの動作に対して
適切な身体活動を行うことが必要になってきます。
上記の4つの動作を可能にするためには
可動性/筋出力/スピード/持久力といった機能が求められます。
ウォームアップにてパフォーマンスを向上させるには
可動性/筋出力/スピード/持久力の要素に対しプログラムを行っていきます。
③怪我のリスク軽減
野球の練習中や試合中にに生じる怪我は
肉離れ・捻挫と言った外傷がほとんどです。
肉離れや捻挫は外力に対して身体制御が遅延することで発症します。
これはウォームアップの段階から準備できてないから起こる
可動性や筋の反応速度の問題であると考えられます。
そのためウォームアップではその後の運動強度を考えてプログラムすることが必要です。
特異性の原則
ウォームアップと試合・練習での運動強度に違いがあると
身体運動が適応出来ずに障害を引き起こす可能性があります。
ウォームアップでは、その後の運動強度を想定しプログラムし
本番での運動強度に対応する能力を引き出すことで
障害の発生率を軽減させることができると考えています。
ウォームアップの進め方
ウォームアッププログラムの進め方を解説していきます。
ウォームアップの順序はトレーナーやチームによって様々であると考えます。
・個人UPからチームアップに移行する
・ストレッチから開始し有酸素運動に進む
・有酸素運動からストレッチへ進む
などの順序が挙げられると思います。
私が考えるウォームアップの順序は有酸素運動運動から開始していきます。
ウォームアップの目的としては筋温を上げて
各関節の可動性や筋の状態、心肺機能機能にアプローチすることです。
有酸素運動から開始することのメリット
心拍数を上昇させ全身の血流量を増加させます。
全身の血流量が増加することで筋温が上がり
筋の粘性抵抗の低下や神経伝達速度が向上し
その後に行うモビリティエクササイズやダッシュメニューを
効果的に行うことが出来ます。
ストレッチや集団体操から開始するデメリット
この方法を否定するわけではありませんが生理学的な反応から考えると非効率的であるように思います。
ストレッチや集団体操では運動負荷が低く心拍数の増加や筋溫を上昇させることが難しいと思います。
そのような状態で伸張性を引き出すエクササイズを行っても効果が低いと考えられます。
筋へアプローチするのであれば筋温が上がっている状態でアプローチすることが効果的です。
有酸素運動運動から開始し心拍数・筋温を上昇させ
可動性のメニューにて筋の柔軟性を向上させます。
筋の柔軟性を向上させたら、神経系にアプローチし
筋の動きの調節機能を向上させます。
主に収縮‐弛緩や全身の協調性の機能に対してプログラムしていきます。
筋の機能が向上した後、ダッシュや切り返しなど
野球に必要となるプログラムを行い
試合・練習を想定した身体コンディションを構築します。
最後の段階的で専門的ウォームアップへ移行し
キャッチボール・トスバッティング・ハンドリングといった
野球動作を行うことで
ウォームアップを完了させます。
実際のW‐UP
ここからは実際のウォームアップで指導しているプログラムを紹介していきます。
プログラム内容は練習・試合・時期・気候によって変化していきますので
今回は練習前を想定したベーシックなプログラムを紹介していきます。
有酸素運動
有酸素運動は心拍数の上昇を主な目的としてプログラムしていきます。
選手の年齢や気候などにより心拍数の増加タイミングが異なるので
その日ごとに運動継続時間をコントロールすることが大切です。
心拍数の上昇や筋温の上昇を目指すあまり
過度なランニングを行うことに注意しましょう。
過度な筋温の上昇はその後のパフォーマンスを低下させることや
ウォームアップで疲労してしまうことがあるので
適度な強度で行うことを心がけましょう。
モビリティエクササイズ
心拍数・筋温が上昇したら筋の粘性抵抗が低下するので
モビリティエクササイズにて筋の柔軟性を向上させ全身の可動性を引き出します。
下肢のモビリティエクササイズ
モビリティエクササイズは大きい筋がある下肢から開始していきます。
下肢から開始することで下肢の筋ポンプ作用により
血流の循環を維持し筋温の低下を防ぎます。
①股関節内旋Ex
②スーパーエクステンション
③クロスオーバー
これより先に50種類の動画にてウォームアッププログラムを解説しています。
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