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はじめに
野球選手の身体を診る際に肩甲骨の機能評価やアプローチが重要となることは言うまでもありません。
肩甲骨の運動に関わる重要な筋の一つである前鋸筋の評価・アプローチについては以下の記事で説明させていただきましたので宜しければご覧ください。
投球動作では高速で上腕骨が回旋します。
肩関節を安定させるため腱板(肩関節のインナーマッスル)のトレーニングを行う選手は多いかと思いますが、腱板が十分機能を発揮するためには肩甲骨の十分な可動性・安定性が重要です。
肩甲骨を機能的に安定させるための筋はいくつか存在しますが、今回は僧帽筋について解説していきます。
僧帽筋の解剖学
まず初めに僧帽筋の解剖学についてです。
ご存知の通り、僧帽筋は上部、中部、下部と線維が分かれています。
それぞれの線維の付着部や作用に関してはスライドをご参照ください。
投球動作と僧帽筋
投球動作中に僧帽筋はどのような役割を果たしているのかについて解説します。
僧帽筋は上部、中部、下部の全てでEarly-cocking〜Follow throwにおいて活動します。
その中でも最も筋活動が大きくなるフェーズはDeceleration phase(減速期)になります。
正常な投球時の肩甲骨の動きとしては、内転、下方回旋、後傾から急激に外転、上方回旋、前傾へとシフトしていきます。
この際の肩甲骨運動のコントロールには小円筋や広背筋のような後方筋群が遠心性に寄与しています。
つまり、振り抜かれる上肢にブレーキをかけるように肩甲骨周囲の筋が働きます。
今回のテーマである僧帽筋もDeceleration phaseにおける肩甲骨の過剰な外転を制御するためにブレーキングの役割を担っています。
また投球動作において腕を振り切る際に上肢は体幹から離れようとしますが、上腕骨の動きに肩甲骨が追従することによって肩甲上腕関節への過剰な水平内転負荷を軽減することができます。
投球障害と僧帽筋
先ほどは投球動作において僧帽筋がどのように活動しているのかを述べさせていただきましたが、続いては投球障害との関係についてです。
多くの文献で野球選手の肩や肘の障害と僧帽筋の機能低下が関与していることが報告されています。
肩肘障害の要因の一つとして、僧帽筋下部の筋力低下が関与している。
浜田純一郎,他:高校野球選手にみられる肩肘障害とコンディショニング,
臨床スポーツ医学 ,25 (6) : 657-663,2008.
プロ野球選手の投球障害肩においても僧帽筋下部の機能が落ちている。
内藤重人:野球選手のコンディショニングと障害予防 プロ野球選手における取り組み,
臨床スポーツ医学 ,29(12):1209-1214, 2012.
・加速期以降における肩関節および肘関節機能の指標であるゼロポジション近似肢位での肘伸展筋力と僧帽筋下部筋力はOCD (離断性骨軟骨炎)症例で低下していた。
阿蘇卓也,他:上腕骨小頭離断性骨軟骨炎症例および内側型投球肘障害症例の上肢筋力の比較,
・これらはOCD症例の上肢筋機能の特徴である可能性が示唆される。
日本臨床スポーツ医学会誌:30(2), 2022.
このように障害予防的な視点からも、僧帽筋、特に下部線維の筋出力が重要であることが分かるかと思います。
僧帽筋の機能評価
ここからは実際に選手を見る際の評価・アプローチになります。
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